中篇コンテスト

Last-modified: 2009-10-28 (水) 08:45:37

 色々叩かれては居るが、ニコがデビューしたのは実はここ。その価値はあった。
 中短編コンテストとして復活。短コン常連のクオリティに新規参入が負けてしまっていることがしばしばだったりするが、おそらく慣れの問題だと思われる。
 そして2009年。ペナルティー未消化を理由に管理担当回の規模を第五.五回という形で縮小した杞憂、管理を担当する第七回の終了を待たず活動の停止を宣言したRaise、いるのかいないのか見当もつかないエムダヴォ……。大丈夫なのか中短コン。
 2009年2月7日、ついに新運営スタッフの募集が始まった。そして同25日、参加者の一人であるミヤビが新運営スタッフに決定。

中短編コンテスト優勝作品

第一回:杞憂(推定)「七番バスのお忘れ物」

記念すべき第一回優勝作品。書き手のHNは不明瞭だが、ハートウォーミングな語り口からおそらくは杞憂とされている。循環バスとその運転手、そして幽霊のななちゃんの物語。ささやかな日々への着眼は流石と言う他無く、結末を飾る温かな情感は一読の価値あり、の逸品である。ラストのあえての柔らかな筆致もこの作者ならではの気品を伺わせる。テーマはRaiseの「始」。

 

第二回:(中止)

詳しくは下記件3を参照。

 

第三回:Raise:「プラナリアは地図する」

テーマは杞憂の「プレゼント」。分裂していく図書館の司書のアサコと、同居人のハルヒコの物語。独特な世界と文学からの固有名詞がちりばめられる中、作者特有の詩情が発揮された逸品。分裂する二人のアサコの物語が交差していく構造、音のつながる文体のミステリアスさ、結末の詩情は作者の手腕を思わせる。ラストの輝かしさと独特の言語感覚はイメージ豊かな作者ならではのものだ。

 

第四回:葵「夜明けにワルツを」

テーマは鈴一の「機械」。以前より注目されていた葵の、強豪朱空を破っての輝かしい優勝作品。息子の死を忘れようと「毎日を淡々と規則的に過ごすこと」に生活を費やす伯母。伯母の息子にしてピアノの天才高町雅也。母の思い出であるショパンの「子犬のワルツ」から逃げるわたし。――「機械」たちをつなぎとめる自動演奏装置付きのピアノ。文章は多少粗いながらも、完璧なストーリーライン、テーマの生かし方、モチーフの正当性は賞賛に値する。優勝が妥当と頷ける良作だ。

 

第五回:ニコ「キグルマー」

ポップ&スラップスティック・コメディの文体が完全にこの作者に定着した作品だと言えるだろう。「糞森」「火薬」「闇子」といった名前遊びのポップ・カルチャーや、カフカを伺わせる不条理性、論理の長回し、等ニコ作品を読み通す上で指標として置くとも出来る作品である。深く織込まれた機知は知的遊戯の楽しみを味あわせてくれる。スーパーのマスコットキャラクター「海老熊」に入ったままある日明け出さなくなった「俺」只野どよめきは、住まいを失い、スーパーから追い出された末に、闇子と火薬の母娘と同棲を始めるが。テーマはRaiseの「街」。

 

第五,五回:宮塚「雨塊を破り」

日常の退屈さを疎う「僕」、豊胸の乳井先生(ニコ的な名前遊びの模倣と考えられる)、ラリーを続ける桑原さん、部活の顧問に不満を抱く島の織りなす、どこにでもある、そしてそれ故に愛しい、学園物語。「学園ドラマ」をセルフパロディする筋書き、日常への反抗/日常への回帰という青春の黄金課題とでも言うべきテーマは手堅く、始点の稚拙さが伺われるものの、人物素描については衒いが無く、読みやすい作品である。しかしながら、同時にこれは宮塚作品全体に共通する「あまりの読みやすさ」「あまりの平易さ」「創造性の浅さ」を浮き彫りにする作品ともなった。しかしながら、やはり宮塚の進歩を感じさせられる作品である。テーマは杞憂のダブルテーマ「スポーツ」「雨」。

 

第六回:ニコ「頭の中の小さな戦争」(42.2枚)

ニコの再度優勝作品。文章の機知はさすがに優勝に値すべくのもの。何もかもを嘘をこめて話す嘘つき町の僕と、何もかもを正直に話す正直町からの移民である彼女、恋に落ちる二人と、衝突し始める二つの民、そして僕の葛藤。ニコ作品にはおなじみの恋愛/思考小説だが、ここにおいて一つの極まりを見せた作品とも言える。嘘と正直の論理展開、パラドックス、その先の虚無感は見事の一言他無い。テーマは鈴一の「嘘」。

 

第七回:かに「1991カタストロフ」

テーマはRaiseの「祝」。

 

第八回:Frey「空の彼方」

テーマは杞憂の「飛翔」。

 

第九回:Esque「きらきらとろとろぐるぐるあぼがど」

テーマはミヤビの「魂」。

 

第十回:桂花「スイートピーは意味を持つ」

テーマは鈴一の「花」。

 

第11回:かおり「かわるいろ」

テーマはエムダヴォの「後ろ」。 

 

第12回:朱空「小さくて緋色」

テーマは杞憂の「化」。 

 

第13回:鴎「淡月」

テーマはミヤビの「淡」。

 

第14回:ポポンデッタ「葬送行進曲」

テーマは鈴一の「夏」。

 

第15回:柱時計「モノ・サイクル」

テーマは杞憂の「子供」。

 

第16回:アシュラマンコ「Socialism's identity」

テーマは杞憂の「お洒落」。

 

中編コンテストで起きた事件

件1、新企画者陣

短編コンテストが終了し、直後に現れたRaise、鈴一、杞憂、エムダヴォの新企画者四名。
どういう経緯でこの四人になったのかは分からないが、姿を消していたエムダヴォの登場にはやや衝撃を与えた。
その後に発表されたルールから想像するにRaiseのいつもの企画癖が出たのかと言われ、その後この企画を投げ出すんじゃないかという不安を住人(主にストテラスレの方)に与えた。
しかし杞憂の存在がその不安を和らげる働きをしたのは言うまでも無い。

件2、高すぎた敷居

誰もが短編コンテストの引継ぎだと思っていたが、蓋を開けてみれば最低枚数が短編コンテストでの上限枚数すら超える急激な敷居の上昇、コンテスト側が参加者を選ぶような選民意識を感じさせるルールとなっており、また匿名性を導入した事でシステム的にも未知であり、一部で「Raiseの自己満足」などといった意味の発言がやや見られた。
案の定、参加者は十人にも満たず、今後のコンテストの継続に不安を与える結果となった。

件3、参加者不足により中止

第二回中編コンテストにおいて、やはり敷居が高すぎたのか、参加者不足によって早くもコンテストを中止とせざるを得ない事態となった。誰もが感じていた不安が的中してしまい、中コン企画陣もさすがに頭を切り替えざるを得なくなったと思われる。
(惨状を見かねたお銀が「悪印象を残したままでは後に続かない」という旨の書き込みをしたところ、参加者は一名しかいなかったことが鈴一の返答で明らかになっている)

件4、中短編コンテスト

第三回から中編コンテストは、中短編コンテストとして生まれ変わった。
参加者不足によって中止された第二回の手痛い失敗から、旧・短編コンテスト企画者達に助言を求めたらしく、短編コンテストのシステム・敷居を改めて取り入れ、中編コンテストのRaise色を薄めることで、ようやく参加のしやすい高さまで敷居が下りてきた。
そしてそれまで存在感の薄かった鈴一が有力者に参加要請の書き込みをするなど、積極的に盛り上げようとする意識が見られ、ようやくコンテストがまともに進行されることとなった。
このような企画はいかに格が有ろうと、ホストがゲストを選ぶのではなく、ゲストがホストを選ぶものであることが証明された。
これからは参加者を選ぶコンテストではなく、参加者に選ばれるコンテストであってもらいたい。

件5、Neo-K盗作騒動

第三回中短編コンテストにおいて、せっかく新しく生まれ変わり参加人数も増えたことでマイナスイメージを払拭しようとしていたところ、そこに泥を塗るようなNeo-Kの盗作事件が起きた。
詳しくはNeo-Kさん「ギフト」は盗作と中短編コンテスト運営が発表、Neo-Kさんに非難の声殺到を参照。
残念な事に口ばかり達者に回すのみで本人に反省の色は全く見えない。

件6、Raise活動停止表明

第七回中短編コンテスト期間中の2009年1月9日、Raiseが交流所にて突然の活動停止を宣言した。理由は受験およびスランプなど。中短編コンテストの中心人物であっただけに、この先中コンはどうなるのかとストテラスレ住人に大きな不安をもたらしている。

件7、新運営スタッフ募集

件6、Raise活動停止表明を受け、運営陣は2009年2月7日に新運営スタッフの募集を開始。抜けてしまったRaiseの埋め合わせを図っているようだが、果たしてどうなるのだろうか……。

件8、新運営スタッフはミヤビに決定

2009年2月25日、新運営スタッフを募集した結果、ミヤビに決定した旨を杞憂が発表。これからの活躍が期待される。

件9、エムダヴォ 様

第11回にして、今まで完全に空気だったエムダヴォ(プラコン規約違反者)が遂に管理を担当。
初っ端から「おこk。がんばれ。後日ちゃんと規約を確認するよーに。」と不真面目さを予感させる失言を繰り出し、ストテラスレにも批判の声が寄せられた。
ストテラに顔を出す頻度が低かったようで他の運営スタッフ任せな部分が多く、また運営スタッフが「エムダヴォさんじゃなくて面白みに欠けちゃうのです、ごめんなさい。」「GGG風に承認してくださるとうれしい。」と終始エムダヴォの非礼を擁護していたことにも批判がある。
その流れで自らエムダヴォ 様を名乗り参加者に接したことは、これからも語り草となっていくことだろう。