シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。
冥路の磁針
イベント/白き神をクリアしている。
冥途の紋
宮殿を訪れたPCに、アヴゼンとメネジンが話しかけてきた。
「話がある。ナシュメラのことだ……。近頃、様子がおかしいのだ。いや、いつもと変わらぬように振る舞ってはいるのだが…」
「ひまサエアレバ、しょこニこもッテ、しらべものダ! チットモ、あそンデクレナイ!」
コイシが書庫で調べ物? 一体何を…。
「勉強かと思ったが、少々熱心すぎる様子でな。いったい、そこまでして何を知りたいのかと探ってみたら…」
「ナント!! なしゅめらハ、『戦神の御守』ヲ、てニいレヨウト、シテイタノダ!!」
な、なんだってー!?
……で、なんでしょうそれは?
「皇国の禁制品に指定されている代物だ。それも第一級の、だ」
禁制品ならば、所持がバレれば厳罰では済まないだろう。
どうしてそんなものを手に入れようとしていたのだろう?
「……書物によれば戦神の御守は、美しい文様の織り込まれた逸品だという。冠をたたえたイルカの紋。そして冥路の騎士が象られた……」
「『いふらまど』ノもんようニ『おーでぃん』ダ!」
……コイシ。まだ、彼のことが忘れられないのか。無理もないが……。
「済まぬが、戦神の御守を手に入れてくれないだろうか? アラパゴ諸島に出現するフォモル族……かつてのイフラマドの戦士たちが持っているはずだ」
頼まれたように、フォモルを倒して、戦神の御守を手に入れてこよう。
戦神の御守を入手し、アヴゼンとメネジンと共にコイシに届けた。
「これは……どうして……?」
コイシ……痛風のことが忘れられないのか?
「…………。書庫にあった古い史書でこの御守のことを知ったの。不思議と惹きつけられた。なんだか懐かしくて、恋しくて……」
「……ナシュメラ」
「ごめんなさい、禁制品だってことは知っていたんだけど…」
「……げんき、でタカ?」
「え?」
「我らは小言を言うためにPCに苦労してもらったのではない。このような品の所持を禁じることに、どれほどの意味がある? 誰が幸せになるのだ…?
思い出すのだ、約束したのだろう…?」
「ヘコンデイルひまハ、ナイゾ!」
「3人とも…ありがとう…」
「ダガ、ドウシテ戦神の御守ガだいいっきゅーノきんせいひんナノダ?」
確かに…かつての敵国の品とはいえ、たかが御守に大しては過剰に思える。
「それは私からお話しましょう!」
そう言って現れたのは、ユメミだ。聞いていたらしい。
「失礼だとは思ったんですけど、皇宮内に戦神の御守の反応があったものですから。
その御守、ただの古美術品ではないということです。
本来は、イフラマドの民が信仰する戦神の加護を得ようと、魔力を込めて作った、何の変哲も無い御守でした。
しかし、皇国は魔力の仕組みに目をつけたのです」
「ゆめみ! もったいツケルデナイ!」
「簡単に言うと、その御守はハザルム試験場の封印を潜り抜けるための鍵となっているのです」
イフラマドの御守が、どうしてアトルガン皇国の封印の鍵になるのだろう?
「ずっとずっと昔、施設内で起きた事故により、巨大な時空の歪みが生じたのです。
未知への畏怖に蓋をするように、施設を封印した。
しかし、偶然、御守にかけられた魔力と時空の歪みが、微弱ながら呼応することが発見されました。
皇国は、この御守に錬金術で特殊な術式を刻むことで、瞬時に奥地へと辿り着ける鍵として利用できるようにしたのです」
だから、戦神の御守は禁制品とされたのか。
ハザルム試験場……そこには冥路の騎士、オーディンが現れる。
それは噂として知られているが、根も葉もない噂ではなく、真実なのだ。
「この御守を使うことで、オーディンに会うことが出来る……?」
「もちろん、大いに危険ではありますが……」
オーディン……冥界……冥界に囚われた魂……。
「痛風を助けることが、出来るかもしれないって……?」
「オーディン次第です。可能性があるかは、全く分かりません」
「…………」
コイシは不安げにこちらを見た。
君は胸を叩いて、任せろ、と言った。
「……うん」
「……おお、PCではないか」
ハザルム試験場へ向かう途中、声に振り返ると、そこに居たのはラオグリムだった。
「……うむ。冥路の騎士が……黒き神が出ると聞いてな。居ても立ってもいられず、ここまで来た」
ラオグリムに力を与え、闇の王にしたのは、オーディンだったと聞いている。
なるほど、気になるのは当然だ。
でも、オーディンに会ってどうしようと言うのだろう?
「自分でもよく分からない。何を言うべきか、纏まっていない。ただ……それが何か、心に整理をつけるきっかけになるかもしれないと思ってな。
俺も一緒に連れていってくれないだろうか?」
いいぞ!
「封印が解けられた!」
地面に青い炎で魔法陣が描かれ、それが割れ、時空の歪みが発生する。
その中から、スレイプニルにまたがった黒き神オーディンが颯爽と現れた。
「奇しき縁に惑わされ、俗界に遊びて幾星霜……。冥府に在りき我が騎士の亡魂の欠片を感じたが……
汝もまた、奇しき縁に縛られしモノなりや。これは愉快。
醜の強兵、その存在たるや余に久方の光と喜悦を与える……」
……な、なんて言ってるか、分からない。
「強い相手と戦えるのが、久しぶりの楽しみなので、嬉しいと言っている」
ラオグリムが通訳してくれた。
オーディンがラオグリムを見る。
「汝、我が力分け与えしモノなり」
「そうだ……黒き神よ。俺がかつて闇の王と呼ばれた者だ」
「汝ら、いかなる望みありて我に挑むか?」
望みか、それは…。
「否。答える必要はなし。勝利の先にこそ望みは在り」
「勝たないと望みは叶わないと言っている」
それは分かる。元より無事で済むとは思っていなかった。
「……戯れである。汝が望み、どれほど強き想い事か、見せてもらおうぞ」
「どうやら、ただ勝っただけでは願いを叶えてくれるわけではないようだ」
願いの本気度を見せてみろ、ということか。上等だ、全力で挑もう。
- VS.オーディン
BGM:Iron Colossus
冥路の騎士、黒き神オーディンとの戦い。
スリプル、パライズ、バイオ、スロウ、ブラインと各種状態異常魔法と、いくつかの技を使うが、やはり一番危険なのは斬鉄剣。
斬鉄剣は耐性無視の全体即死攻撃だが、ヒーリング中は大ダメージに留めることが出来る。
オーディンの幻影という雑魚を召喚する。HPは多くないが、攻撃力はかなり高いので速攻で倒したい。
「見事なり。目出度き余興ぞ。汝が望みを申すがよい」
冥路の騎士となった痛風を、開放してやってくれないだろうか?
「我が騎士の任解けと? 笑止。その望み、人の身には過ぎたる願いなり」
……一蹴されてしまった。それはそうだ、死人の蘇生など、世界の理に反する願いなのだから。
「されど汝が力、小さからば、ここに褒美を遣わさん」
元の願いは叶えて貰えなかったが、代わりの報酬が貰うことが出来た。
「汝が心、満たされぬか?」
やはり、最初の願いを叶えて貰えないことには、納得できない。
「叶えども、底の見えぬが人の欲。生ある限り、欲望は果てぬ。いずれまた相見えようぞ」
そう言い残し、オーディンは魔法陣に飛び込み、帰ってしまった。
「……残念だったな」
ラオグリムが慰めるように肩を叩いた。
「また来い、と言っていたな。同じように戦い、満足できる成果を見せれば、いつかは本当の願いを叶えてくれるかもしれない」
本当だろうか?
「少しずつだが、人も国も、確実に変わってきているのだ。決して動かぬように見えるものも、いつかは何か変わるかもしれん……。
俺の力であれば、またいつでも貸す。諦めなければ、いつかは……」
報酬
- ラオグリムがPTに誘えるようになる
1度勝利する毎に、以下の中から1つ選択
- 片手剣「ホフド」
- 両手槍「バルキリーフォーク」
- 頭部装備「ヴァルハラヘルム」
- 上体部装備「ヴァルハラブレスト」
- 手部装備「ドラウプニル」
- 指装備「オメガリング」
- 召喚獣オーディンとの契約
- 10000ギル
ラオグリムが言う通り、一度倒すだけでは痛風を復活させることは出来ない(他の報酬は手に入るが)。
しかし、その後も戦うことが出来、何度も繰り返していく内、オーディンの台詞に変化が訪れ…。
2度目
「我は現ずる。この世に欲果てぬ魂満つ限り……」
「緒言は無粋なり。剣をとり、汝が意気を滾らせよ。汝が望み、勝利の先にこそ在らん」
「笑止。その願い、人の身には過ぎた願いだと言ったはず。
……されど汝、再び望みて参りき……果たして汝、その願いに相応しきか?」
1度目と同じ願いをされ、再び拒否しつつも、オーディンは驚いている様子だった。
3度目
「愚かなり。我が騎士との契約に汝が介する余地なし。……。無駄と知りても下がらぬか?
頑愚、それとも蛮勇か。されど、その内に秘めた並々ならぬ意気覚え、あの者騎士にしたり……果たして汝は如何にか?」
4度目
「無駄と知りても下がらぬその意地。然らば我も此処に現ずる。汝が心魂……汝纏いし奇しき縁……げに興なり」
6度目
「汝が怒り、汝が憎しみ、汝を縛りし奇しき縁……余を満たすには未だ足りず」
8度目
「かの者の魂解き放ちて、代わりに汝何を得る? 亡国の罪人なれば、財も名も叶わぬ。
汝が剣の強きこと、その芯たる情念は何処から湧くか…?
理由などない? ハハハハハハッ! ますます珍しき男/女なり!」
10度目
「……。汝が激情、その由……己が為に戦いたらずな。その念強きこと我が騎士に勝るとも劣らん男/女ぞ。
汝の剣は誰が為なり? それは汝の真なる願いか? 汝が胸に迷いなくば、その剣にて応えてみせよ」
オーディンの考えは分からないが、どうもかなり気に入られつつあるようだ。
もうひと押しかもしれない。
12度目
「見事なり! 猛き魂、豪なる意気。汝が望みに相応しき力なり。我、汝が望み是認せん。
されど……かの依り代手放すには惜しい逸材故……条件を提示しようぞ」
条件とは? 早く言うべき。
「かの者の任解く代わり、汝、死した暁にはその魂余に捧げ、忠誠なる騎士となれ」
それは……自分が痛風の代わりに、冥路の騎士になれ、という意味であろう。
オーディンからすれば、これでも譲歩した方なのだろう。
オーディンにとって我々との戦いなど無聊を慰める暇つぶしに過ぎない。
人間の望みが自身にとって不利益を被るなら、訊く必要もない。
しかしオーディンは、条件付きでそれを許した。
それは、君がオーディンに凄まじく気に入られたからである。
身内でもなんでもない人物を蘇らせるために、何度も何度も戦った人間など、今まで1人もいなかっただろう。
そして自分という前例が出来た以上、二度目はない。同じことを繰り返したとて、オーディンはその人物を気に入りはしないだろうから。
冥界の神に死人を蘇らせてもらえる機会など、これが最初で最後である。
即ち、痛風を復活させるには、今、自分が代わりになるしかないのだ。
更に言えば、オーディンの提示した条件は、さほど無情でもない。
今すぐではなく、死後と言ったのだ。
それもまた、又とない程気に入られたからだ。
コイシの笑顔のためを思えば、大して重大な条件とは思えなかった。
少しだけ戸惑い…だが君は、黒き神の前に跪いた。
「ハハハハハハッ! 汝が願い叶えられたり! 楽しみにしているぞ、余の騎士よ!」
スレイプニルがいななき、オーディンは冥界の奥底へと帰っていった。
光の届かぬ冥界の奥から、1人の男性が姿を現した。
「……ようwwww久しぶりだなwwwwww」
言うまでもなく、痛風だ。
オーディンによって、仮初ではない生を取り返したのだ。
「なんでwwwww俺を?wwwwwww」
コイシを守るって、約束しただろ? それに…こまかいことはいいんだよ!
「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
痛風は腹を抱えて大笑いした。
その目尻に、ほんの少しだけ涙を浮かべて。
「…敵わないな、お前にはwwwwwwwww海より広い心の持ち主とはお前のことだなwwwwwwwwww」
復活したからには、アトルガンのことは任せるからな。しっかりコイシを護るんだぞ。
「わかってるよwwwwwwwwwじゃあ、行ってるからなwwwwwwwww」
痛風の姿が掻き消えた。
冥界から開放され、現世へと送られたからだ。
コイシに会いにいってみよう。
人払いされた宮殿で、コイシが痛風に抱きついて泣きじゃくっていた。
「おいおいwwwww人がいないからってそれはまずいってwwwwwww」
「だって……だって~!」
無理もない。落ち着くまで待つとしよう。
どうやらコイシが泣き止んだらしい頃を見計らって二人に会いに行った。
「本当にありがとう……貴方のおかげで、また痛風と会うことが出来た」
「俺と別れてからちょっとは成長したかと思ったら全然変わってないでやんのwwwwww大丈夫かこの国wwwwwww」
「だ、大丈夫よ! 痛風のいない所ではちゃんとやるもん!」
「ホントかよwwwwwwww」
「本当よ! だったらそばで見ていればいいわ!」
ここはもう、放っておいていいだろう。
……アトルガンはもう本当に、何の心配もいらないのだから。