地獄の有り様

Last-modified: 2011-04-30 (土) 23:56:01

シナリオ/世界移動シナリオ-異空幸福追求編のイベント。

地獄の有り様

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ま、真面目に働くって、滅茶苦茶疲れるんだな・・・」
「故郷のみんなも、これだけ苦労してたのかなぁ」
「いや、ここの労働環境は普通じゃありませんから」
3りの囚人がそんな風に駄弁っていると。
「お前達」
「はいィ!?」
囚人服でない男が現れ、囚人達は固まる。
この場で囚人服でない者は管理者側か・・・あるいは、もうすぐ管理者に見付かってOSIOKIされる奴かの二種類しかしないからだ。そしてどうやら、この男は前者らしい。
「私語は慎むべきだ。あの獄長に見付かれば大目玉くらいでは済まないだろう事は理解しているはずだぞ」
「hai!すぐにっ!すぐに戻りまっす!!」
そして囚人たちは駆けていった。
その背中を見ながら男は溜め息を吐き、S.Q.U.I.D.の吐き出す、あまり好みでない煙草に火を着けた。

 

シャントット帝国・・・。
馬鹿馬鹿しいくらいの名前で呼ばれるそこが、もう一つの生き地獄だ。
獄長がシャントットというだけで囚人達にとっての地獄は確定したようなものだが、実際のところ管理者側もそう楽な場所ではない。
なにせ、ここにS.Q.U.I.D.はない。あったら無償で囚人に物資をやれるのだから。
管理者側も囚人と同じく、一定の期間でやってくる評議会の補給物資と、囚人の仕事の一環である畑の収穫、あとは自力で獲ってくるしか食事にありつけないのだ。
つまり、管理する側もされる側にも劣悪。それがここなのだ。

 

そんな場所なので、当然の如く獄長シャントットはストレスの溜まる一方であった。
瞬間的な破壊衝動、それを満たすためだけにやるには、この地の獄長はあまりにも辛い仕事なのだ。
「そもそも、囚人は破壊するものではないからな。当然の結果とも言えよう」
「シャルトルーズ・・・まさか、儚い命を散らせるためにここまで来ましたの?」
「冗談ではないな」
シャルトルーズと呼ばれた男が煙草を吸いながら応えた。少なくとも今この収容所にシャントットに対してこのような態度を取れる者はこの男しかいないだろう。
「評議会本部からの伝言だ。この世界はファンタジーではないし、貴様は恐怖の大魔王などでも無い・・・だそうだ」
「尻で椅子を磨いているだけの連中が何を言おうと痛くも痒くもありませんわ」
「獄長・・・あまり囚人に無理な労働を強制しないでもらいたいな」
「あら、悪人に人権などありまして?豚は豚らしく、黙って働けばいいんですわ」
「・・・豚ならば豚なりの飼い方というものがある。肥え太っていなければ腹も満たせないだろうに」
「ふむ。一理ありますわね」
「荒廃したこの世界だろうと・・・いや、こんな状況だからこそ、労働力は貴重で重要な資源なのだ。個人の嗜好で無駄に浪費させるわけにはいかない。理解していただきたいな」
評議会からの刺客、シャルトルーズ。今日も彼は懸命にシャントットを説得し続ける。