イベント/見えない王冠

Last-modified: 2011-11-13 (日) 23:47:55

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


見えない王冠

少女の決意

どうにかブーメラン・センチネルまで辿り着いた一行。
「あら^^♪無事だったのね^^♪」
臼姫がいつものように出迎えてくれた。見たところ、特に社内が荒らされているような痕跡はない。
「変じゃないですか?不滅隊に喧嘩売ったんだから、私てっきりここで待ち伏せしてるかと……」
鈴仙の言うことももっともだ。少しでき過ぎている気がする。
「それはそうと、コイシちゃんが来てるわよ^^♪」
「えwwwwwwコイシちゃんがwwwwwwwドコドコーwwwwwww」

 

と、社長室からドンドンと大きな音が聞こえた。
「まさか、不滅隊!?」
扉を無理やり開けて飛び出してきたのは……。

 

思いっきり転んだコイシだった。

 
 
 

「……………」
傭兵3りはパッと無事を喜んだが、他の面子は何が何だか分からない。
「…………私からもお話したいことがあります……」
恥ずかしいのを誤魔化すように、落ち着いた口調で切り出した。
今はコイシじゃなくてナシュメラだ。
「……貴方たち、頭が高い……ッ」
まさか臼姫からそんな言葉が出るとは誰も思わず、咄嗟に頭を下げる。なんとなく豪華な服着てるし、きっと偉い人なんだろうくらいの認識だった。
「違うッ……御前である!」
「いいのよ、臼姫。みんな知らないことなんだから」
「いえ、存ぜぬとはいえこのような無礼なもてなし、万死に値します。どうか、お許し下さいませ、陛下……」
「へ、陛下?」
フリオニールが素っ頓狂な声を上げる。そう、彼らは知らない。目の前の少女が現聖皇であることを。
初対面で大体キャラの分かった臼姫のあまりの変貌振りとどっちに驚いていいか分からない。
「つまり……宮廷傀儡師のコイシは、我が社のオーナーでもあり、聖皇陛下御自身でもあったのよ^^♪♪♪」
「な、なんだってー!?」
驚愕に沸き立つみんなに見られ、ナシュメラは恥ずかしそうにはにかんだ。

 
 
 

臼姫社長がかいつまんで説明してくれた限り、事の次第はこうだ。
主人公がコイシから預かった輝金の短剣を社長に手渡した後、臼姫は社員をナイズル島へ派遣し周辺を探らせていた。
結果は、機関巨人があると思われるブロックは厳重に閉鎖されている状況だった。
また、痛風も同様にそこへ移送されたものと思われる。
臼姫たちがナイズル島にいたのは、そういった事情があってのことだった。

 

「大体分かったわ……でも、これからどうするの?機関巨人破壊にせよ痛風救出にせよ、そのブロック、突破できないんでしょう?」
パチュリーが疑問を言い、誰も答えられないでいると、ナシュメラが自信なさ気に言った。
「私、幼い頃にお母様に連れられて一度だけナイズル島の奥まで探検したことがあるの」
「え……あんな危険なところに、子連れで!?」
鈴仙が驚くのも無理はない。
「怖くはなかったよ。転送装置の秘密の使い方でひとっ飛びだったから」
「どうして、そんな所へ行くことになったんだ?」
「お父様とお母様の思い出の場所だとか……ごめんなさい、よく覚えてないんだ。でも、この鏡をお母様が転送装置にかざすと、奥の部屋まで移送されたことは、はっきり覚えてる。綺麗だから、お母様にせがんでずっと宝物にしていたの……」

 

今でも、動くかもしれない。
僅かだが大きい希望が生まれるのを、みな実感していた。
「もしかしたら、転移した先でいきなり不滅隊とばったり遭遇するかもしれない。危険だよ?」
「危険なんて元より承知ですよ。早速その鏡を使って、機関巨人を破壊しに参りましょう。その足で痛風も救出して御覧に入れます!」
アリスが強気に宣言した。

 

「でも……時間がないかもしれない」
ナシュメラが不安げに呟いた。
「飛空艇を撃墜した閃光のことか?」
自分たちは当事者だったので、フリオニールの口調も真が入る。
「あれは多分、アレキサンダーの審判の光……。だから、お願い!私を連れて行って下さい!お姉ちゃんを……姉を説得したいんです!」
「……陛下」
「痛風の救出は、臼姫に任せます。……説得に失敗した時は、コントロールを外部から奪取するしか巨人を止める手立てはなくなる。それが出来るのは、お母様に人形プログラミングの手解きを受けた私しかいないから!」
ナシュメラは、強い決意をもって申し出た。それを断るものは、この場にいない。
「……私は、もう聖皇としての権限を、一切持っていません。それでも……私と一緒に、来てくれますか?」
皆で顔を見合わせる。答えは当然の如く決まっていた。

 

「いいですとも!」

 
 

(……アヴゼン、メネジン……見守っていて……)

 

(……リシュフィー……私に勇気を下さい)

姉妹の決戦

「主砲の装填には、もうしばらく時間がいるわね」
「構わないわ。アレキサンダーは翼を欲している。じっくり待ちましょう、その時を……。来たわね」

 

ナイズル島の奥。とうとう、決戦の場へと足を踏み入れた。
「あれが、機関巨人か。へぇ……」
アリスが目前の大仰な人形を見て唸る。
「お姉ちゃん……私、お姉ちゃんと話し合いたいことがあって来たの」
「ふぅん……傭兵連れとは穏やかじゃないわね」
「みんな私の友達よ。だから、付いて来てくれたの」
「……そう。話を聞きましょうか?」
サトリは、妹の言葉をまるで信じていない。そのことはみなにも分かった。

 

「……もう、その人形を争いの道具にするのは、やめて下さい」
「ふっ何を言い出すかと思えば……。ナシュメラ、貴方だって機関巨人の完成をずっと心待ちにしていたじゃない」
「私は、世界を知った。色々な人と出会い、色々なことを知ったの。その人形を使ってアレキサンダーを降臨させてしまうと、ラグナロクが起きてしまうのよ!そうしたら、皇国も、アルザダール文明みたいに一夜にして滅んでしまうって……」
ナシュメラの言葉を聴き、ユメミが機関巨人を感慨深そうに見上げた。

 

「情けないわ、ナシュメラ。未だ、冥界の亡霊に毒されたまま?ラグナロクだなんて……アレキサンダーの神威が、世界をあまねく照らした、その時こそ真の平和がもたらされる。それが審判の日よ。ラグナロクなんて、その失敗談に過ぎない。安心していいわ。この巨人の心臓たる魔笛はすべてわが皇都の時代技術を集め完成させたもの……アルザダールの二の舞は踏まないわ」
「人が神を御せると、本気で思っているのか?」
サトリの傲慢な考えに、フリオニールが反発する。
「例え出来たとしても、そんな平和はまやかし。アトルガンは……いえ、全ての国は、個々の人間が形作っているもの。平和だって、国と国が協力しあって始めて価値があるものじゃなくて?神様は、その人間の努力を認めて、祝して下さるのよ」
「言うようになったわね、ナシュメラ。けど、それは理想……貴方も知っている通り、我が皇国は疲弊している。もはや、かつての大国としての威信は消え、諸外国や蛮族は虎視眈々と付け入る隙を狙っている……このままでは、民が絶えるのも、そう先のことではなくなる。そのためには、多少の犠牲はやむを得ぬと知れ」
「お姉ちゃんお願いよ!みんな協力してくれるわ!だから……もう一度、中の国との交渉を!」

 

「……もう遅い。西の軍勢は大飛空艇艦隊を差し向けて我が国の領空を侵している」
「バストゥークとジュノの連合艦隊ね……」
「あれを放置すれば、アルザビは火の海に包まれるのは必定……数多の皇国民が犠牲になる。全てが動き出してしまった後なのよ。もう誰にも止められない。貴方にも、私にも……」
と、サトリがゴルディオスに触れる。
「ナシュメラ。私は、後世に悪名を残すことを厭わない覚悟よ。もはや、貴方は与り知らぬことと思いなさい。……だけど、今はこれ以上の邪魔立ては許さない」
そして、ゴルディオスの内部へ乗り込んだ。
「お姉ちゃん……!」

 

「……聞いて、みんな。お姉さまの説得は失敗したわ。けど、あの機関巨人に再び聖なる矢を撃たせてはいけないのよ。(あそこでユメミが操作している箱が見える?私は、あれに見覚えがある。あれは、巨人の操縦を外部からサポートする、からくり士のストリンガーみたいなものよ。あの箱さえ奪えれば、機関巨人を外からコントロールできると思う。お姉ちゃんの注意を引き付けて、お願い!)」
小声で告げると、一目散に駆け出した。
「了解……さて、ラストミッションね」
「俺様wwwwww今ここに光臨wwwwwwww」
一同は、アレキサンダーの前に身を踊りだす。
「何のつもりですか、ご友人の皆々様……。貴方たちに出来ることなど、最早何もないでしょう?……セフィロス」
「御意。……ついに、貴様をこの俺が食らうときが来たようだな」
セフィロスが長刀、正宗を構えつつ、サトリを庇うように立ち塞がる。
「みんな……行くぞ!」
フリオニールの号令と共に、決戦が始まった。

  • 大規模戦闘
    再臨:片翼の天使(AC)
    勝利条件:敵の全滅
    敗北条件:主人公の戦闘不能
    備考:3ターン毎にゴルディオスの正面方向に射程無限の聖属性攻撃
     
    アトルガンを巡る一連のイベントの最後を飾る連戦の最初。
    味方は痛風を救出しに向かった臼姫を除いた対アミナフ戦と同様の面子。
    敵方は不滅隊隊長セフィロスと、ゴルディオスに搭乗したサトリだ。
    サトリ(ゴルディオス)は3ターン毎に正面方向に射程無限の聖属性攻撃「聖なる矢」を使用。だが、サトリ(ゴルディオス)はその場から一歩も動けない上、聖なる矢以外の技も持たないため、正面に立たなければ被害を被らない。パチュリーやアリス、フリオニールの弓など、斜め方向から遠距離攻撃しているだけで一方的にダメージを与えられる。HPが50%以下になると「絶対防御」を使用し一切のダメージを与えられなくなるが、代わりにサトリ(ゴルディオス)も行動を止める。
    「……素晴らしい。この偉大なる神威を見よ!アレキサンダーが我らを勝利へと導いてくれる!」
    問題はセフィロスだ。
    攻撃力は並だが、使用する両手刀WSはどれも威力が高い。しかも、セフィロスは倒されても2度まで復活するのだ。その上、復活する毎に耐性を増していく。
    具体的には、HPを0にした攻撃の種類の耐性が50%増える。例えば、最初を物理攻撃で倒すと1度復活した以降は物理攻撃で与えられるダメージが半分になり、2度目も物理攻撃で倒すと2度目の復活時には物理攻撃の耐性が100%となり、物理攻撃ではダメージを与えられなくなる。
    戦闘では、1戦目2戦目を物理攻撃で倒し、最後に魔法や遠隔攻撃で一気に倒してしまう戦法がお勧め。
    「不滅なるモノの力、存分に味わえ。そして……絶望を送ろう」
    ちなみに、セフィロスを先に倒した場合、戦闘終了まで放置される。要するに死なない。この後のイベントシーンでは何気なく立ち上がっている

聖なる審判

「……て、停止した?応えて、アレキサンダー!どうしたというの!?」
セフィロスが倒れ、ゴルディオスにも大打撃を与えた。もうまともに動けやしないはずだ。
そのゴルディオスに乗っているサトリの様子がおかしい。
いや……おかしいのはサトリではなく……。
「な……操縦桿が勝手に?ユメミッ!いったい、どうなってる!?」

 
 
 

……私は……アレキサンダー

 

私を……畏れよ……私を……崇めよ……

 
 
 

「なに?この耳元で鳴り響く声はなにっ!?」
「なんでっ?どうして外部からの操作を受け付けないの?まさか……まさか……」

 

私を……空へ……私に……陽を……

 

「お姉ちゃん……!?」
コイシは、隙を見てユメミに飛び掛った。
「ユメミ、どきなさいッ!アヴゼン。メネジン。お願い、私に勇気を……」

  • vs.アレキサンダー
    ラグナロク
    勝利条件:アレキサンダーの撃破
    敗北条件:主人公の戦闘不能
     
    遂に降臨した白き神、アレキサンダーとの死闘。
    防御力がかなり高く、基本攻撃力の低い、二刀流などの連続攻撃では有効にダメージを与えられない。魔法でのダメージも50%カットされるが、それでも使うしかない。
    また、光属性の耐性がほぼ完璧。
    HPが50%以下になると聖属性の自身中心の範囲攻撃「聖なる審判」を使用し、以後2ターンの間完全にダメージを0にする「絶対防御」と併用しつつ聖なる審判を織り交ぜてくる。
    絶対防御が終了した2ターン後には聖なる審判を使う可能性があるので、その度に一旦距離を離し、聖なる審判を回避した後再び接近、攻撃を続けよう。
    長い戦いになるが、決して諦めてはいけない。
    まだこの後があるのだ。
    「汝……称えよ……人に終わりが……あるように……私に終わりは……ないのだから……」

ラグナロク

「私を……崇めよ……私を……畏れよ……私を……私……を……お……畏れ……おそ……れ……」

 

「と、止まったの……?」

 

……おそレルニ、タラ~ズ!

 

「アヴゼン!?」
アレキサンダーから聞こえた声。もう、何も喋りはしない。だが、確かに聞こえたのだ。
「……ありがとう、アヴゼン、メネジン」

 

「みんな!私……私、やったわ!!巨人を操作して、機関を停止させたの。みんなが、巨人の注意を引き付けてくれたおかげよ!ありがとう、みんな♪」
みなが一様に安堵した表情で彼女の笑顔を見た。
そこへ。

 

「コイシ!www」
「痛風!無事だったのね、よかった……」
臼姫が救出に向かっていた痛風が、墨樽や臼姫を引き連れてやってきたのだ。
「あら^^♪せっかくの大舞台に遅刻しちゃったかしら^^♪」
「仕事がなくてヒマーwwwwww・えちょ いや楽でいいわーwwwwwww」
「聞いて!機関巨人は止めたわ。アレキサンダーは還っていったのよ!もう、倒す相手はいない……オーディンになる必要もない……痛風、貴方は自由なのよ!」
喜んで痛風へ駆け寄ろうとするコイシ。
だが。
「気を付けろ、コイシwwww俺の中のオーディンは消えては……www」

 
 
 

アレキサンダーの眼が光った。
コイシの身体を、聖なる矢が突き抜けるのを皆が見た。
彼女は、よろよろとおぼつかない足取りになり、全身の力が抜けるように……倒れた。

 
 
 

アレキサンダーが蒸気を吹き上げ、大きな音を立てつつ、再び活動を開始する。ゴルディオスには本来ないはずの自己再生能力の作用により、全身が眩しく輝く。
アレキサンダーは、還ってなどいなかった。

 

「……崇めぬ……者に……天罰……を……」
「…………w」

 
 
 

「ァアレキィサンダァァァアッ!!!」

 
 
 

痛風の咆哮と共に、オーディンが現出する。
それは、ペリキアで見た時の様な中途半端な影でもなければ、ハザルムに現れた化身でもない。
オーディンの神体。
900年前、アレキサンダーと相討ちになった、正真正銘の神オーディンだった。

 

「ハハハハハハハハッ!我が騎士よ、見事だ!実に心地よい怒り……」

 
 
 

その時だった。
赤と白の閃光が走るように、二柱の神にぶつかるものがあった。
それは……。

 

ブロントさん!レミリア!

 

二人は交差するように吹き飛ばされると、素早く立ち上がり背中を合わせるように互いの敵へと向き合った。
「何を呆けている!援護しろ!」
「俺たちが盾になる!お前ら安心して全力出していいぞ!」
は……hai!封印が解けられた!

  • アレキサンダーvs.オーディン
    君がいるから
    勝利条件:ラグナロクの阻止
    敗北条件:主人公の戦闘不能、ラグナロクの発生
     
    いよいよ最終決戦だ。
    味方には臼姫、墨樽に加え、ブロントさんとレミリアという心強い助っ人が参戦。今度は全員言うことを聞いてくれる。
    一方、敵方は今まさにラグナロクを起こそうとしている二柱の神、アレキサンダーとオーディンだ。
    ラグナロクの発生とは、アレキサンダーとオーディンを隣接させること。
    アレキサンダーはその場を動かないので、オーディンの四方を固めて動けなくしてしまえばいい。
    アレキサンダーはHPが50%になっているが、行動は2回戦のときと同じ。HPを20%以下にすると1戦目同様「絶対防御」で行動を止める。
    オーディンは普段は通常攻撃しかしないが、
    「研ぎ澄まされし白銀の刃は魂の住み家を断ち切るため……反り返りし漆黒の峰は魂の寄る辺を振り切るため……」
    という台詞が表示されたら、次のターンに即死の斬鉄剣を使う合図。範囲はオーディンの隣マスとなるので、囲んでいるユニットはすぐに離れよう。
    戦法としては、まずブロントさんとレミリア含むユニット4名をオーディンの元に向かわせ、四方を囲んで移動を阻害する。残りのメンバーで一刻も早くアレキサンダーを黙らせてオーディンとの戦いに集中しよう。斬鉄剣の合図が来たらその場を離れて回避した後、すぐさま四方を固めればいい。
    「汝……滅せよ……万物の無限を願い……万物の無窮を思い……万物の無常を知り……万物の無痕を見よ……ΩΩΩΩΩΩΩ」
    「ヴァルハラに散華せよ、斬・鉄・剣!」
    この戦いがアトルガンを巡るイベントの締めくくりとなる。最後まで挫折せず戦い抜こう。
 
 

ブロントさんがアレキサンダーに迫り、レミリアがオーディンと打ち合う。
一対の神々は、鏡写しかと見紛うばかりのタイミングで二人を同時に吹き飛ばす。
ブロントさんとレミリアは空中で互いの身体を激しくぶつけ合い、地面に落ちる。
尚も立ち上がろうとする二人を、神々はまるで意にも介していないかのように向き合った。

 
 

      ふたつのかたまりが出会うとき

 
 

「……オーディン……再び、裁きの時、満ちれり……汝に、審判を、くださん……」
「笑止!アレキサンダー、汝が鉄屑の骸、再び現象の世に晒すがよい」
対峙する、白き神と黒き神。

 

「シーズナイフ!」
「トラクタwwww」
危険を感じ、フリオニールと墨樽がそれぞれの術でブロントさんとレミリアを避難させた。
「畜生……畜生っ!」
「くっ……あいつら……!」
謙虚なナイトと最強最速の吸血鬼の力を持ってしても、審判の日の訪れを防ぐことはできなかった。
「もう無理よ、レミィ。私たちじゃ……」
「違う、何より許せないのは……」
レミリアが憎々しげに吐き捨てる。

 

「私たちのこと……眼中にも止めてなかった……」

 

「ⅩⅢ……ⅩⅡ……ⅩⅠ……」
「懐かしきや、審判の光。なれば、我も魔槍を馳走せん……」
アレキサンダーがカウントダウンを始めるのに対し、オーディンはその手に魔槍グングニルを出現させ、投げつける。同時にアレキサンダーが聖なる矢を放つ。
空中で魔の槍と聖なる矢が激突し、その余波だけで人間たちは大きく吹き飛ばされてしまう。
槍と矢は交差するように吹き飛び、オーディンは光の雨を浴び、アレキサンダーは槍の直撃を受け胴体を大きく仰け反らせ、重々しい音を立てつつ踏ん張った。

 
 

      ひとつのかたまりは黒きを感じ

 
 

「Ⅵ……Ⅴ……」

 
 

      ひとつのかたまりは白きを思い

 
 

オーディンの手元に、禍々しい瘴気を放つ剣が出現する。……無論、斬鉄剣である。
「Ⅱ……」
対するアレキサンダーは体勢を整え、発射口を大きく展開する。聖なる審判だ。

 
 

      大きな嵐が生まれる

 
 

白と黒。
ふたつの波動が互いに競い合い、その勢力を強めていく。
人間の入り込める隙間など、ない。

 
 

      嵐は天にのぼりはじめ
      ぶつかり砕け散るだろう

 
 

「Ⅰ……」
「……ダメ、よ。やめてぇえええーーーーっ!

 
 
 
 
 

気がつけば、どことも知れない世界に、コイシはいた。
「ここは……」
(ナシュメラ……)
「……お姉ちゃん?」

 

「……安心しなさい……愛するアトルガンを……神々の好きにはさせない……」

 

「……ねぇ、お姉ちゃん。なんて言ってるの?よく聞こえないよ……」

 

「もう一度……貴方の笑顔が……見たかった……」

 

「……ま、待って!」

 

「……さよなら」

 

「お姉ちゃん……お姉ちゃん!!」

 
 
 
 
 

「おねえ……ちゃん……」
コイシが再び気を失った時。
既に、神々は互いの武器を納めていた。
ゴルディオスの躯体から、白い靄のようなものが天へ昇っていった。あれが、アレキサンダーの本体なのだろうか。
「…………ナ……シュ……」
今度こそ……世界最強の兵器は、その活動を止めた。

 

「……何故、剣を納めた?」
オーディンの問いに、痛風は答えなかった。
「……余の騎士よ……我が神威に……背く…………とは……血迷うた……か」
そうして、オーディンも霞のように掻き消えた。
「……チッwコイシッ!てめぇにはまだ、やらなくちゃいけねぇことが山ほど残ってるんだ……ww死なせはしねぇ……」

 
 

痛風はコイシを抱きかかえ、魔笛の前に立ち、叫んだ。
「冥界の主オーディン!俺はてめぇの意に背いた!だが、俺は生きてる……なんでだ?俺は神威を知りてぇ……だからよ、コイシに、この仮初の命をくれてやる。てめぇに会いに、ヴァルハラへ行ってやるよ……」
痛風の手に暖かい光が現れ、それをコイシに当てる。
「……う……んっ……」
「コイシ……wよかった……ww」
コイシが、目を覚ました。あの光は、痛風に与えられた命の光だったのだ。

 

「コイシ、もっと話たいことがたくさんあったけどよwwもう俺にゃ時間がねぇんだわwwwwコイシには未来があるwwwwwいや、コイシだけじゃねぇwwww皇国の連中、イフラマドの連中、お前はみんなの未来を背負わないといけねぇんだwwwww」
「痛風……行かないで……!だったら、貴方も一緒に……」
「コイシは一人じゃないだろwwwww兵士も、国民も、傭兵も、みんないるんだからよwwwww」
「……うん、そうね……私に、全て……」

 

「まかせるがよい!」

 

コイシの言葉を聴いて安心したのか、痛風が力なく倒れかかり、それをコイシが支えた。
「へっwwwwその意気だ、コイシwwwwww……おw海が見えるぜwwwおもしれぇ、今度の舞台は冥界の海かwwww」

 

そして……痛風の身体は透けて消えて、完全にいなくなってしまった。

 
 
 

「…………みんな。わらわは、長らく皇宮を空けてしまった……。帰りましょう、アトルガンへ!」

大団円

「皇宮御用達傭兵会社ブーメラン・センチネル社長、臼姫様、御到着~!」
皇宮。
四国から訪れた数々のお偉方の集まる会場に、みながいた。
そう、この日は。

 

「……御静粛に。それでは、只今より、アトルガン皇国マジャーフ朝第16代聖皇ナシュメラ2世陛下の再戴冠式を執り行います。先ずは建国千年の古よりまします守護神アレキサンダー様に万謝の言寿をあげ、その……」
「儀典官!もうよい。堅苦しい儀式はやめじゃ。後は、わらわが直接話す」
「し、しかし、それでは御列席の賓客に対し……」
「よいと言うておる。わらわの戴冠式は2度目。此度はわらわの好きにさせよ」
「御意……聖皇陛下、おな~り~!」

 

みなの視線を真っ向から受けて立つように、コイシが姿を現す。賓客たちの間にどよめきが起こる。
だが、そんな声を気にもせず、コイシ……いや、ナシュメラが演説する。

 

「御列席のみなさま。
様々なことがありました……。
みなさまの中には、わらわを、そして我が国を快く思っていない方もおられましょう。
それでも、わらわの招待に応え、この戴冠式に御臨席下さったこと……心より謝意を表したいと思います。
本来、戴冠式は国を挙げて盛大に執り行うのが我が国のしきたり。
けれど……。
諸国の特使の方々に、わらわが再び戴冠することを認めていただきたいと思い、こうしてお集まりいただいた次第です。
中の国のみなさま。
此度の件では、我が国の挑発的行為により、大いに不安を覚えられたことと存じます。
また、墜とされた飛空艇に乗船されていた方々に対し、わらわは心より御冥福をお祈りしたく……。
…………」

 

ナシュメラの言葉が詰まる。
人を死なせてしまったことを、心から悲しんでいるから。
だから、アヤネは言わなくてはならないと思った。

 

「……御顔を上げてください、ナシュメラ様。あの攻撃で、エンディミオン号の乗員、そして乗船していたサンドリアの勇士が負傷いたしましたが……同乗していた騎士ブロントさんの応急手当が功を奏して、幸いにも全員一命を取り留めました」
「そうなの!?……ですか!では、ぜひ我が国の錬金術師をそちらに派遣させてください。再生治療に秀でた者が多数おります故……」
「ありがたくお受けしましょう」
ナシュメラが一瞬素に戻ってしまうくらい、ホッとしているのが皆にも分かった。

 

ライトニングが、わざと口調を強くして口を開く。
「……さて、ナシュメラ陛下。今後、我々四国との関係をどうされるおつもりか、御存念をお聞かせ願いたい」
「都合のよい提案であるとは存じますが……まずは、元の関係を修復させていただくのが最善と考えております」
「緩やかな相互不可侵……と?」
「はい……。我が国は、領内に有力な蛮族を多数抱え、その脅威に現在も晒され続けています。また、膠着状態が続いているとはいえ、未だ東方諸国との戦も続いており……休戦の目処すら立っておりません」
ランペールがナシュメラの言いたいことを察する。
「関係を深めると、それらの争いに我々を巻き込んでしまう……そう懸念されておられるのですな?」
「ええ、そのとおりです」

 
 

「あいや、悲観してはなりまぬぞ!」

 
 

突然、皇宮に音を立てて忍者が現れた。ヤグードの忍……ゲッショー殿だ。
「何卒、遅参の非礼をお許し下さりませ、なしめら様」
「ゲッショー!遠路、ごくろうでした」
「ありがたき幸せ……なしめら様が親書、確かに、我が東の国の姫にお渡し致し申した」

 

「ゲッショー^^♪最近見かけないと思ったら^^♪」
「然様。拙者、故あって故国に戻っており申した。社長殿、平に御容赦を」

 

「ゲッショー。それで、東の国の姫とは、拝謁できたのですか?……よい、ここにいる者すべてに関係することですから」
「御意。詳しくは返書を御覧いただきとうござるが、姫はかく申されました……」

 

「ここまでの戦になって、和議は至難でしょうね、と」

 

「……やはり、そうですか……」
「されど、斯様にも申されました」

 

「諸侯を口説いてみるわ、と……」

 

「!!」
「東方は封健の世。姫一人の独断では何事も決められませぬ。万事、月日を要するものでござる。其は失敬ながら、政情不安定な今の皇国も同じと存じ申すが?」
ゲッショーの報告は、少なからずひんがしの国との休戦の可能性を示唆していた。
しかし、ナシュメラとゲッショーに繋がりがあったとは意外だったが……そういえば臼姫社長とも関係があったんだった。
「……そうですね。今、勅命で停船命令を発すれば、東部方面軍は反乱を起こすかもしれません」
「及ばずながら月照、両国和議の為、この身を捧げる所存。これからも存分にお使いくだされ」
「……ありがとう、ゲッショー」

 

「なるほどな……東の国との関係改善には、すでに手を付けていたわけか」
「はい。もし、東方と和議成立の暁には、西方の皆様とも友好条約を結びたいとわらわは願っております」
「ですが、そのためには貴国はもう1つ大きな障害を抱えたままではございませんか?」
アヤネの言葉に、ナシュメラが沈む。
「……機関巨人のことですね。壊れてはいますが、確かに今もナイズル島に放置したままです」
「となると、その兵器を貴国が修理し、再び我が国の脅威として用いる保障はどこにもない。我々の監視の下、徹底的に破壊していただく他、方法はないと思うが、いかがか」
「そのとおりだと存じますが……」
「その巨人の残骸……ただの墓標ではありませんわね?」

 

「はい。機関巨人の中心部に、時空のひずみが検出されたのです」
「時空のひずみだと……?どういうことだ?」
「恐らく……その機関巨人、アストラルゲートと化していますわね」
アストラルゲート……聞きなれない言葉だ。
「貴国にあるハザルム試験場とやらに冥界の門が開いたと部下から聞きましたわ」
「ええ、オーディンはそこから現れました……」
「恐らくは、それと同種のもの。わたくしたちの住むこの世界と、神獣の住まうアストラル界を繋ぐ穴ですわ」

 

「……みなさま。どうか、しばらくの間、巨人の骸の破壊を待っていただけませんでしょうか?」
「冗談じゃない。そんな危険な代物があるのなら、なおさら残すなど……」
「よござんす!我がウィンダスは巨人の現状保管を承認いたしますわ!我が国の魔法技術の発展にも役立ちそうですし……魔笛にもとっても興味がございますからね」
「……ありがとうございます!」
「我が国も承認いたしましょう。元より、道理あればナシュメラ公に協力するつもりであった」
「ありがとうございます、ランペール様!」
カラババ、ランペールの快諾に対し、ライトニングとアヤネはあくまで慎重だった。
「私は巨人の件、持ち帰らせていただきます。大統領の判断を仰なくてはいけない。ですが、戴冠は承認しよう。大体、そのような大事、他国に仰ぐものではないしな」
「素直じゃありませんことね」
「我が国としては、将来、飛空艇が安心して航行できるよう、巨人を完璧に封印していただけることが条件です」
「もちろんです。ぜひ、みなさまの国のお力をお貸し下さい」

 
 

「コホン!え~それでは、そろそろ戴冠の儀に移らせていただきたく存じます。冠を授けられるのは……」
「もう、誰にお願いするか、わらわは決めてるの……わらわの腹心よ、お願いできますか?」
ナシュメラが顔を向けたのは、主人公だった。無論、快諾する。
「ありがとう……ユメミ!王冠をこれへ」
ナシュメラの召還を受け、皇宮にユメミが姿を現す。だが、その手には王冠はない。
「あのう、ユメミ殿?王冠はいかがされました?」
「申し訳ございません。純度の高いシンチレーターが必要になり、すべて溶かしてしまいました
【えっ!?】
「な、な、な、なんという!陛下の特赦の御恩も忘れ……事と次第では、ただでは……」
「こちらの歯車にどうしても必要だったんです。お許し下さい」
ユメミの傍らに座り込む、2体のオートマトン。
それは……見間違うはずもない……。

 

「……やれやれ。病み上がりだというのに、乱暴が過ぎるぞ……」
「……ああ……メネジン!」
「……フアアア、ヨクねタゾ!こいしヨ、ひさシブリダナ!」
「アヴゼン!!」

 

「最高の贈り物よ、ユメミ!2人とも元通りに……待って。今私は動かしてないのに、どうして……?」
「きニスルナ!」
「気になるわよ!」
「……こいつらは旧式タイプのオートマトン。からくり師の人形のような自立型じゃありません。だから、自動では話せなかった……はずなんですけど。記憶装置は最初からアルザダール遺跡で見つけた部品を再生した超一級のものを仕込んであったんですよ。修理を完了し、自立回路をつけたと途端、堰を切ったように話しはじめて」

 

「こいしヨ!オロオロスルト、ミットモナイゾ?」
「……お前は戴冠式を進めねばならないのだろう?手のかかる……」
メネジンの声に、懐かしいものが混じった気がした。
「……お姉ちゃん?」
「あはは……元の所有者サトリ様の記憶も残っているようですね」

 

「あのう……戴冠式……」
「そうね。わた……わらわの戴冠をお願いしている最中だった。見ての通り……わらわの王冠はアヴゼンとメネジンに生まれ変わりました。代わりに……貴方の心を、私の王冠として授けてくれますか?」
少し気恥ずかしいものを感じながらも歩み寄り、人差し指と親指で輪っかを作る。その見えない王冠を、ナシュメラの頭に被せた。
「ありがとう……ありがとう、みなさん!」

 
 

「わらわの最も頼りにする者……臼姫!」
「はは~」
聖皇ナシュメラを前に、臼姫が恭しく礼をする。
「新聖皇の名において、そなたの傭兵会社ブーメラン・センチネルを改めて公式に認可する」
「光栄に存じます」
「そして、さらに報奨金として、アトルガン白金貨1000枚を授ける」
「せん……!?」
ナシュメラの提示した金額を耳にして、臼姫が仰け反った。
「臼姫、貴方がいたからこそ、皇都は護られたのです」
「陛下……」
「あなたの育ててくれた傭兵が、どれほど私の支えになったか……感謝しています」

 

「最後に……ラグナロクを防げたのも、中の国との戦争を回避できたのも、主人公……すべてあなたの尽力の賜物です。私は、その多大なる功績に報いる術を知りません……せめて、我がマジャーブ家に伝わる家法をお渡しし、その大恩に報いたいと思います」

 
 

▼ナシュメラからの報酬(内1つ)
バルラーンリング
ウルタラムリング
ジャルザーンリング

 
 

「……私は聖皇として、学ぶべきことが余りに多く、仕事も山積みとなっています。もう、あなたと共に旅をする機会もないでしょう……あなたが、この国に来てくれて本当によかった……」
トコトコとアヴゼンが歩み寄り、主人公へ投げキッスをしてくれた。
「これからもアトルガンを護り、支えてください。そして、いつの日か……いえ、なんでもありません。さようなら……」
それだけ言って、ナシュメラはベールの奥へ戻ってしまった。

 

「え~、御列席のみなさま。英雄、臼姫と主人公に、どうか暖かい御声を!」
「フリオニールとパチュリーが世話になったな。見事な活躍だった」
「私も傭兵仲間として君と一緒に戦いたかった。いや、悔しいな。しかし、今は君の栄光を讃えよう!」
「シャントット様より伝言ですわ。これで終わったと思わないことね!何のことでございましょうね?オーホホホ!」
「主人公殿。同じ空の下を歩む者同士、また何時か、何処かで……」

 

ライトニング、ランペール、カラババ、ゲッショーの言葉を聴きながら、歩みを進める主人公に、メネジンが声色を変えて言った。
「……これからも、ナシュメラを支えてあげて。あの子は、この混迷する世に未来を灯す、このアトルガンの宝なのよ……」

永遠の戦い

皇宮から出てきた主人公を、アリスと墨樽、ブロントさんにレミリア、そしてリシュフィーとアミナフが迎えた。

 
 
 

待て待て待て待て待て!
後半二名!お前ら死んだはずじゃあ!?
「え?だって僕たち紳士淑女だし……」
なんだその理由は!納得できるか!
「不滅隊を舐めてもらっては困るわ」
セフィロスさんも何食わぬ顔で戴冠式に参加してたけど、あの人だけが特別じゃないのね!?

 

「ここからは真面目な話だけど……サトリ様亡き今だからこそ、僕たち不滅隊が奮起しなくちゃいけないんだ。サトリ様が愛した、この国を守るために……」
リシュフィー……。
「そう思ったら、死んでなんかいられないってね。それにほら、僕たち冥府の神様とは宿敵同士だし」
冥府……ああ、あの骸骨面の黒い神様か……。

 

「そうね。私は死なない自分の体に、これまでにないほど感謝してるわ」
レミリア……こっぴどくやられてたもんなぁ。
「思い出しただけでむかっ腹が立ってきたわ……」
「れいmりあが怒ると色々な人たちが迷惑して俺に泣きついてくるんでうs!止めてくだしあ!」
偉い人は大変だなぁ……。
「でも、良い事もある」
いいこと?
「修行する口実が出来た……」
……ブロントさん。
「臨時病棟ブロント開院だな……;;」

 

「機関巨人は現状維持か……また触る機会はないものかな……」
アリスは相変わらずのマイペースだな。
「特命全権大使サマと一緒だったからね。ま……おかげで貴方とも妙な縁ができたものね。またこんな楽しいことがあるなら、誘ってね」
楽しいって……図太いというかなんというか。

 

墨樽は、これからどうするんだ?
「そうだなwwwwwwイフラマド系の連中を集めて何かすっかなぁwwwwwwwホントは痛風の役目なんだろうがwwwwww俺は残されちまったからなwwwwww・えちょ めんどくせぇwwwwwwwミスwwwwwwリードはしねぇから安心しろよwwwwwww」
そうか……。
「ところでwwwwww臼姫が呼んでたぞwwwwwww・えちょ OSHIOKIですね分かりますwwwwwwww」
いやいや何のお仕置きだよ……でも、何の用だろう?

 
 

ブーメラン・センチネルに到着した主人公を、臼姫は上機嫌そうに迎えた。
「あら^^♪聖皇さまに褒められたからってちょっとばかり調子に乗ってるみたいね^^♪♪」
い、いあ、そんなことは……。

 

「けど、あなたのおかげで我が社が皇宮から多額の報奨金を頂戴した事実は私も認めなくちゃね^^♪」
社長……。
「うはwwwwww臼姫がデレたwwwwwww」
「明日は槍が降りますね」
茶化す内藤と鈴仙を睨みつけて黙らせると、臼姫はいつもとは違う雰囲気で切り出した。

 

「さて、と^^♪正式に聖皇さまに御目見えとなったことだし、あなたの傭兵ライフは、すでに有頂天になったと言っていいでしょうね^^♪そろそろウチを退社してセカンドライフを満喫したい!なーんて、本当はそう思ってるんじゃない?^^♪」
hai!
「即答!?ちょ、辞めないでよ、寂しいじゃないのー!」
「止しなさい、鈴仙^^♪」
「で、でも……」
そこで、一同はハッとなった。
臼姫の頬を流れるものを見たからだ。
「優秀な社員を失うことは残念だけど、貴方には自由に羽ばたける翼があるのよ。それを縛ることは誰にもできはしないの……」
「社長……」
「あれ?wwwwwホントにデレキタ?wwwwwww」

 

「うう、寂しいけど……貴方ならどこに行っても上手くやれるわよ」
「まwwwたwwwあwwwおwwwうwwwぜwww」
「た……たまには、ここに顔も出しなさいよね^^♪私だって、貴方の顔を見ないと……」
社長、まさか……。

 
 
 

「……って、んなわけないでしょ!」

 
 
 

【えっ!?】
「鈴仙!」
「は、はいっ!?」
「現在までに我が社の会計記帳に記載されている、主人公宛ての請求書を報告!」

 

「は、はいッ!主人公のッ!ナイズル島救援謝礼金はッ!

 

ブラックヘイロー1回、アトルガン黄金貨230枚で23回で……5290枚ッ!
ヘキサストライク1回、アトルガン黄金貨220枚で29回だから……6380枚ッ!
トゥルーストライク1回、アトルガン黄金貨175枚で37回……6475枚ッ!

 

あ、あの、臼姫社長。こんなにたくさんの技を使ってましたっけ?」
「うるさいわね^^♪みんなを見つけるまでに戦った分も含めてあるのよ^^♪いいわ、その他の小技は負けてあげる^^♪次っ!」

 

「ええと……シュトラッチ、2つ……アルザビコーヒー+、3杯……バルックサンド+、5つ……こ、これは!?」
「戦う前の腹ごしらえよ^^♪当然、必要経費よね?^^♪次っ!」

 

「…………」
もう既に泣きそうな主人公を、雨に打たれて震える子犬よりも可哀想なものを見る目の鈴仙。

 

「ワモーラクロス一反……エカルラートクロス一反……サファイヤ3個…………」
「私の服だって無傷じゃ済まなかったの^^♪クリーニング代よ、クリーニング代^^♪」

 

「……締めて、アトルガン黄金貨98000枚ッ!
さらにッ!これらに既に利子がついてるから、総計は…………きゃあぁぁあ!?私の口からはとても言えませんッ!」
「ちょwwwwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 

「……と、いうわけよ、傭兵長さん^^♪」
ガクガクブルブル
「あなたにはもうちょっと……いえ、かな~り……ブーメラン・センチネルで現役としてバリバリ働いてもらうしかなさそうね^^^^^^♪♪♪」
鬼ィィィ!!悪魔ァァァ!!!;;;;;;;;
「さあて、そうと決まれば休憩終了^^♪ボーっとしてないで、ダッシュで公務代理店に行ってきなさい^^♪なんたって貴方は、私の大事なモチゴマなんだからね^^♪」


  • イベントクリア後の影響
    ナシュメラが聖皇に返り咲く。
    イベントでは悲惨な目に会っているが、問題なくこれまで通り自由に行動できる。
    以後、鈴仙、内藤、アリス、墨樽、臼姫をPTに誘うことが出来る。