イベント/黒竜殺し

Last-modified: 2012-10-29 (月) 23:04:08

シナリオ/世界移動シナリオ-中世聖騎士編のイベント。


黒竜殺し

  • サンドリアに所属、「ドラゴン殺し」をクリアし、名声が一定以上で受領可能。

拝命

黒竜カラミット。

 

ネ・ジツ大陸の外部から飛来したと言われる、単眼の黒竜だ。
橙色に妖しく輝く瞳を額に持ち、眼から放たれる光は浴びた者に致命の呪を掛けると言う。
多くの年月を経たであろう、古び、しかし朽ちぬ、禍き鱗を持つ巨竜。

 

ここ最近になり、北方領土とサンドリア領の境目の近辺でその巨影がチラついている。

 

バストゥークやウィンダスでは、外来からやってきた巨大なHNMの見解が強いだろう。

 

しかしサンドリアに住まう民にとって、黒竜という異名は過敏に響く。
かつて不死龍ヴリトラがサンドリア王都を蹂躙した、史上に残る大事件「黒龍の大火」。
同じ黒き竜の出現がその再来になるのではないかという、憂いがあったのだ。
事実、カラミットの凶暴性を明らかにする逸話がサンドリア内外でも聞えるようになってきた。
……些細なことから奴の怒りに触れ、村一つが黒炎に焼かれて滅びたらしい。

 

そして、サンドリア王家は遂に決断を下す。

 

災厄の名を持つ古き竜。黒竜カラミットの討伐。

 

若き騎士に、その使命を与えたのだ。

 
 
 

……まあ、自分の事なのだが。

 

確かに過去にドラゴン退治の命を果たしたことはある。
しかし今度の相手は、あの時のドラゴンとは比べ物にならない巨躯を誇る真龍にも引けを取らない。
……恐らく、想像以上の死闘になるだろう。
これまでにない緊張があった。
しかし大役を任されたという栄誉への喜びもあった。
騎士にとって、竜狩りが如何に誉れであるか。その達成感も既に経験していた。
蛮勇か豪胆か。何れにせよ討伐の日には、武者震いが止まらないことだろう。

 
 

黄昏

空は黄昏に染まっていた。

 

黄昏はこの世とあの世を分かつ境目だという。
ひんがしの国では戌の刻――逢魔刻と言うそうだ。
魔が逢う時間。あの世とこの世が交錯する、寂しい時間だ。
黒竜討伐に向かうに、不吉なように思えた。

 

「……空を眺めて一体何を語っているんだお前は」
カラミット討伐の為にチョコボに乗りながら彼の竜が目撃された地へ向かう最中。
暇つぶしに脳内ポエムを吐きだしていると無愛想なガンブレード使いから冷静な突っ込みをいれられた。

 

……当然ながら、実際に命を受けたのは自分だけではなかった。いえ、別に自分が力不足と言うことではなく。
流石にたった一人にカラミット討伐を命ずるほどサンドリア王家も無謀ではないのだ。

 

「それ言ってきたからら俺はどうなるのか理解不能状態なんだが」
今度は吸血鬼退治に一人+相棒で向かった経験のある騎士が突っ込みを入れてきた。
……いや、あんたはランペール王の次にリーサルウェポン的な存在ですから。

 

「で、そのカラミットはブロントさんを投入しなくちゃいけないくらい面倒な相手なの?」
「ああ、噂では腕利きのモンスターハンター達を悉く屠ったと言う。厄介だが、断言せざるを得ない」
空を泳ぐ真紅の悪魔の疑問に紫プラモではない方の竜騎士が返答を返した。
そのカラミットというドラゴンは、想像以上に厄介な相手らしい。

 

ここで、この討伐部隊の顔ぶれを再度確認することとする。

 
 
王立騎士団・副団長カイン・ハイウインド
王立騎士団所属スコール
神殿騎士団・団長カナコ・B・ヤサカ
近衛騎士団所属オルステッド
ブルーゲイル・ハイウインド
セシル・ハーヴィ
サンドリアの英雄ブロントさん
スカーレットデビルレミリア・スカーレット
 
 

何れもサンドリアの精鋭戦力をぶち込んだ編成である。……どいつもこいつもエース・オブ・エースだ。
被害が大きくなるより先に早急かつ確実に潰す魂胆である。マジで殺しにかかっているといってもいいだろう。

 

「サンドリア王都に住む人にとって、あの黒竜はトラウマみたいな存在らしいからね。
 最近でも、夢で見る人がいるみたいだ」
そうセシルが解説を入れた。曖昧な言い方なのは彼がサンドリア出身ではなく、伝聞でそのことを聞き覚えたからだろう。

 

「ええ、人的被害はあまり出なかったけど……あの時は王都が滅茶苦茶になったわ。
 民家も大分燃えてしまって、孤児院や残った修道院に押し掛けてくる人がいたわね……」
(……)
カナコが言うには、当時ヴリトラの襲来自体が青天の霹靂の出来事の様で、戦況は混乱の極みにあった。
騎士たちの奮戦も虚しく、そのような結果となってしまったようだ。

 

「ふーん……夢に見るってことはブロントさんもそうなの?」
「どうやって俺がV虎をこわいって証拠だよ? 俺ベヒんもスもワンパンで倒すし」
「……ふふっ。わかったわかった、そう言うことにしてあげましょうか」
惚気るなお前ら。

 

「……そろそろ、カラミットが確認された渓谷に入る。少し任務に集中しよう」
オルステッドの言葉を皮切りに、皆が真剣な表情を浮かべた。

災厄

件の黒竜 カラミットがよく確認されるという渓谷に辿り着いた。

 

噂通り、黒竜が跋扈しているからかそれとも空一色の黄昏が理由か。
渓谷は心なしか荒涼としている気配を漂わせている。

 

まず視界に入ったのは、渓谷周辺にあったと思われる集落の跡だった。
おそらく集落の建て物は木造か。それらが焼き尽くされ、黒い煤を地面に残していた。
跡形もなく焼き払われているが、気のせいか跡から異臭が漂って――
「カラミットの仕業なのか……?」
「胸がつっかえる様な酷い匂いだ。建て物を焼いただけじゃ、こんな悪臭は出ない」
レミリアの言葉に思わず顔をゆがめた。
「そもそも……この渓谷周辺から生物の気配自体がしない
「逃げたのか、それとも……」
「……どの道、ヤツがこの場所にいることに間違いは無いようだな」
「俺はこれで辛味ットが嫌いになったな……あまりにもヒキョウすぎるでしょう」

 

その場を離れ、探索を続けることにした。
確かに渓谷一帯はあまりにも静かだった。この時間帯、虫の鳴き声くらい聞えて来そうなものなのに。
代わりに風がざわざわと木々を不気味に揺らしていた。

 

どれくらい渓谷を進んだろうか……。
突然、強風が吹き込んできた。
いや……

 

「みんな! 上だ、気をつけろ!」

 

ブルーゲイルが叫んだ直後。
足元が急に暗くなったと思うと、血も凍るようなおぞましい音が鼓膜を叩いてきた。
全身の血がささくれ立つ様な不快な感触に苛まれながら、その場から飛び退く。
その直前に、頭部を高熱が撫でた気がした。
そして、涙目のまま上を見上げると――

 

黄昏の空に黒い影が蠢いていた。

 
 

klm.jpg

 
 

年輪を刻み、複数に重なったように巨躯を覆う黒曜石の如き鱗。
悪魔を思わせる禍々しい翼。
眼に当たるモノは頭部の側面には見当たらず、
その額には宝石の様な物体が橙色に妖しく輝いていた。
いや……噂通りなら、額に輝いている物体こそが眼なのだろう。

 

同じ黒竜である不死龍ヴリトラは、血の通わない冷たさを漂わせていた。
不死の龍として、死の世界を支配する者の威容。
それは迂闊に触れさえなければ犯す事のない冷血な、しかし他者に無関心な死の匂いだ。

 

だがこいつは違う。
この黒い竜からは近づく者を片端から薙ぎ払う獰猛さが気配として発散されていた。
何に荒れ狂っているのか、息まく鼻息すら破壊欲に漲っている。
額にて爛々と輝く橙の瞳からは光が線を描き、残滓として尾を引く。
翼の羽ばたきの度に、空気が悲鳴を上げ、台風の様な爆風を巻き起こす。

 

災厄だ。

 

黄昏を背に、大気を切り裂きながら、荒々しく空を飛翔する災厄の化身。
間違いなかった。こいつこそがカラミットだ。

 

「うるさい黙れ気が散る」
「こいつがカラミット……!」
「随分とご機嫌斜めの様ね」
「行けるか、吸血鬼」
「ふん、少しデカいだけの蝙蝠に遅れを取るものか」
盛大な自虐が聞えた気がする。

 

自身の縄張りに侵入者を認めた黒竜は、彼らの真上を悠々と滞空しながら空気を吸い込んだ。
そして、真下に向けて漆黒の火炎を吐きだす。
高熱を纏いながら、カラミットが吐き出した黒炎が地面を舐める。
騎士達はバックステッポで高熱を回避すると、各々が迎撃の構え。

 

「まずは……」
「叩き落とす!」

 

攻性の神聖魔法、紅魔の魔槍。紫電の槍。
それらが一斉に炸裂した。

 

命中した魔力が爆炎のように弾けた。
そして、

 

「おいィ? 嘘だろ……っ」
「効いていないッ!?」

 

確かに命中した。それにも関わらず、カラミットはほとんど無傷だった。
漆黒の体躯に大きな外傷は一切見当たらず、被弾部位には煙が濛々と上がっているだけだった。
驚愕する一行に対し、カラミットが憤怒の咆哮をあげた。

 

そして、額の瞳が妖しく光り――

 
 

「避けろッ!」

 
 

橙の閃光が場を包みこんだ。

 
 

光が収まるが早いか、カラミットが上空を飛翔する。
速い。……まるで戦闘機のようだ。

 

「戦斗……? なんだい、それ」
……いや、なんでもない。

 

カラミットは高速航行を行いながら火炎を吐くことを繰り返す。
それを交わしながら、ふとレミリアが弱弱しく呟いた。
「……あいつの瞳に睨まれると……死に易くなるんだっけ?」

 

そして溜息をつきながら、

 

「……さっき、睨まれたわよね」
皆が顔色を変えた。
片手で脇腹を押え、もう片方で真紅の槍を力なく取り回す。

 

「私達、全員……アレの呪いを貰ったんじゃない?」

 

言われると、此方を撫でてくる炎が先程に比べて異様に熱く感じる。
回避の度に地面に打ち付ける度、不自然な激痛が走る。

 

「「「……」」」

 

退く気はなかった。引き返すことすら死力を以て望まなければ到底叶わないだろう。
死への恐怖もある。しかしそれ以上に高揚があった。
万物の霊長と対峙する、激情が武者震いとして全身を伝う。
蛮勇と言われようが、無謀と笑われようが……

 

騎士にとって、竜狩り以上の誉れはないのだ。

 

そしてそれは……皆も同じだろう。
死の宣告を叩きつけられた状況にあっても、皆の顔に焦りなど一切無かった。

 

「……面倒なことになったが……」
「死と隣り合わせなのはいつもの事だからな」
「竜に背を向けるなど、竜騎士の恥。……このまま押し通るさ」

 

ブロントさんとレミリアが前に出る。
カラミットがブレスを吐きだし、ブロントさんが盾を突き出し防いだ。
それと同時にレミリアが空中を一回転しながら勢いよく魔槍を投げつけるが、
カラミットは体を絶妙にくねらせ、躱す。

 

「汚いな流石カラミットきたない」
「私とブロントさんが囮になって、奴の死線を釘付けにする。
 ……その間にあの忌々しい蝙蝠モドキを地べたに叩き落とせ」

 

「……方法はどうする? 自慢の槍を当てても通じないようだが」
スコールの言葉に、レミリアが楽しそうに笑う。
お前達が思いつく限りの全ての方法を叩きこみゃいい。そうすれば嫌でも鱗に罅が入るだろうよ。
 ……その為の時間は稼いでやる」

 

カナコが前にでた。
「では、私はサポートに回りましょう」
「おいィ?」
「癒し手がいなくては、盾役が成り立たないでしょう?
 呪いなぞ気にせず、存分に盾技を披露なさいな、ノーブルテザー卿」
「……「」確かになと感心するがどこもおかしくないな。あとでワインを奢ってやろう」
「ロランベリーでお願いするわね」
「バンパイアジュース飲みなさいよバンパイアジュース」

 

軽口を叩きながら、三人はカラミットと対峙する。
付近を見れば、既に仲間達は散開している。

死線

カラミットが上空から火炎を吐き、首を振り回し、首を突きあげる様に巨体をぶつけ、
レミリアが火炎を躱し、首を飛び越え、
ブロントさんが巨体の一撃を盾で弾き、足を踏みしめ、防ぐ。
呪いのよって防御の度に著しい勢いで摺り切れる生命力を、カナコがケアルで癒し、戦線へ繋ぎ止める。

 

激しい攻防を繰り広げる両者。
瞬きする余裕もなく、一切の隙も許されない。だがそれはカラミットも同様だった。
何れの攻撃も回避され、防御される。それの繰り返しに熱くなっているのか、最早周りが見えていない。
汗を頬に流しながらレミリアはその事を確認すると、口端を上げた。

 

「ありったけの魔力、くれてやる!」

 

レミリアの宣言と同時に光鎖が幾重も走り、場を結界の様に形作る。
そして、鎖から鎖を渡り歩くように飛びながら、
レミリアはカラミットと同じ高度に走る鎖に一瞬で着地する。丁度カラミットと向かい合う様に。
カラミットが単眼を不気味に輝かせる。
レミリアはカラミットの鼻先に顔を近づけると、可笑しそうに嘲笑った。

 

ばーか

 

そして、そのまま空に身を投げた。
挑発されたことを理解したのか、カラミットが怒号をあげる。
呆れた様な顔でブロントさんがリンクパールを通じてレミリアに語りかける。
≪……レミィの挑発スキルはAといったところかな≫
「アレの沸点が低い事が幸いしたってところ? 一応、挑発の仕方はブロントさん参考にしたんだけどね」
≪ほ、ほう?
 ………………。
 oi miss みうs 俺はあんなガキっぽくないぞ紀伊てんのかおい≫

 

そんな彼を、子供っぽいなあと微笑ましく思いつつ、加速する。
(あしば)は作っておいた。
 あとは――他の連中があいつを何とかするでしょう」

 

背後ではカラミットが翼を広げ、鎖を無理やり破壊しながらレミリアを追おうとしている。

 
 
 

なぜ、あの時カラミットに攻撃が通用しなかったのか?
プリン族が物理攻撃を弾くように、魔法による攻撃を無効化する敵も当然存在するだろう。

 

だが、あの時は明らかに物理的な攻撃も含まれていた。
そしてカラミットはそれすらも無効化にした。
それは一体何故かも考えればなんとなくわかる。あれはカラミット自身が有する属性への耐性なのだろう。
それならば雷属性である物理攻撃、紫電の槍(ライトニングスピア)を無効化したことも納得がいく。
ならば――

 

「マルチジャンクション!」

 

自身が扱える全ての属性を片端から叩き込んで、どれが不適で、どれが適性なのかを確かめればいい。
全てのジャンクションを発動させながら、スコールはガンブレードを持つ手を握る。
そして、レミリアが作りだした鎖を勢いよく駆けあがり、跳躍。
半ば鎖の結界に絡め取られているカラミットの背へと着地した。

 

「――笑わせるな」

 

1、2、3、4、5、6、7、8、9――
目にも止まらない滅多切りの乱舞が刺々しい背を切り裂く。
しかし、

 

(手応えを感じない……)

 

ガンブレードから通じる手応えは、まるで大理石の床にナイフを突き立てている様な感覚だった。
つまり――

 

堪らずカラミットが暴れると同時にスコールは後方に飛び、そのまま離れる。
並行するようにセシルが闇属性の一撃を胴体に、オルステッドがブライオンの斬撃を黒竜の尾に叩き込むが――
胴体への攻撃は通じず、しかし尾だけは半ば断たれ血を撒き散らす。

 

最早確定的に明らかだった。

 

スコールは皆に聞こえる様に叫んだ。

 

「――こいつに属性攻撃は通用しない!」

 

カラミットには魔法も、属性攻撃も一切通用しない。
通じる攻撃は純粋な物理攻撃のみ、と。

 
 
 

怒りを通し越し、憤激するカラミット。
その両翼に、両側からアンゴンの一投が叩き込まれる。
そしてアンゴンの一撃は――翼の付け根と胴体を縫い止めるように突き刺さっていた。
堪らず、黒竜が地に墜ちる。

 
 
 

作戦の指示を行いつつリンクシェルでタイミングを指示したが……どうやら上手くいったようだ。

 

額で汗かく主人公の前には、土煙りの中でもがくカラミットの姿があった。
地に這い蹲りながらも、カラミットは咆哮をあげながら両翼を大きく広げた。
ぶちぶちと肉を裂く痛ましい音をあげ、血を噴き出し、アンゴンが胴体から引き抜かれる。
しかし、
「……その傷じゃあ、まともに飛べないな」

 

翼の付け根にはアンゴンが未だ突き刺さっている。
少なくとも、吸血鬼とドッグファイトなんてできないだろう。

 

気が付けば、不自然な激痛も収まっていた。
思わず手を抓っていると、皆も似たような反応をしているようだ。

 

「……ようやく、追い詰めるところまで来た。
 『サンドリア・竜狩りツアー』もこれで終わりの最後って訳か」

 

誰も彼も肩で息をしている状態だ。だが、それはカラミットも同じこと。
地に這い蹲って尚、禍々しい威容は健在だが――心置きなく戦える。

 
 
  • 黒竜カラミット戦
    Kalameet
    勝利条件:黒竜カラミットの撃破
    敗北条件:主人公の戦闘不能
    備考:敵フェイズ開始時、3ターン毎にカラミットは正面に対して「災厄の瞳」を使用する
     
    カラミットとの大規模戦闘。マップ最奥に佇むカラミットを中心にスケルトン族が1体5ユニット、屍犬族が1体3ユニット。計9体の敵と戦闘になる。
    カラミットは1ターン目から積極的に進撃を開始する。カラミットの移動力は非常に高く、雑魚よりも先に此方に攻撃を仕掛けてくる。また雑魚自体あまり強くないので、状況に依ってはスル―してもいい。
     
    カラミットは直線範囲と範囲の二種類の効果範囲を持つ「黒炎」、物理攻撃の「突進」や「薙ぎ払い」で攻撃を行う。
    どれも高威力だが、プロテスやシェルをかけておくとだいぶ軽減される。
    たまに飛翔状態になって強烈な攻撃を行うこともある。激突効果がある技を叩き込み、なるべく地面に落そう。
    また、カラミット戦で最も注意したいのは正面横3マス内にいるキャラの被ダメを3ターンの間、2倍にする「災厄の瞳」。
    これを喰らってしまうと、ブロントさんでもかなり危うい。なるべく離れるか、正面に立たないように。
    またHPをある程度削ると、戦闘パートでも使ってくることがあるため油断ならない。*1
 
 

カラミットが断末魔の咆哮をあげ、地に崩れ落ちた。
地響きと共に土煙りが舞い上がる。
最早、身動き一つしない。……黒竜の最期だ。

 

竜狩りを達成したのだ。

 

PTは、自分達が成したその余韻に暫く浸っていた。

栄光

余韻もだいぶ薄れてきたところでカラミットの遺骸を調べる。
魔法の一切を防いだそのぶ厚い鱗は、驚くべき事に黒曜石でできていた。
竜属の鱗が鎧よりも硬く鋭い事は知られている。しかし石の鱗を持つ竜など聞いたことがないが……
ネ・ジツ大陸外部からやってきた存在なら、自分達が知らない種類の竜属として一応の納得はいく。
……両断したカラミットの尾が巨剣に変じたのには流石に面喰らってしまったが。

 

そして今度は、ドロップ品について何事か会話していた。

 

「ほうトゲトゲがついていてグラットンぽいな。見るからにダークパワーが宿っていそうでああこれは高確率で高確率な破壊力を誇る至高の逸品に違いないと思った(予感)」
「ねえ、ブロントさん。これ両手剣よ?」
「【両手剣】【いりません】」
「……あ、うん。両手剣じゃ盾装備できないしねぇ……」
「ははは……相変わらずだな」

 

「でも、今度は久々にくたびれた……暫くは休みたいわね」
そう言ってレミリアが溜息をつきながらお腹をさする。
疲労に満ちていたが、お腹を見るその表情はどこか愛おしそうだった。
それを見て、オルステッド、カナコ、ブルーゲイル、カイン、スコール、セシルの順に、得心した様な顔を見せた。
「……成程、な」
「次の世代が楽しみね」
「祝福するにはまだ早いが、嬉しい事である^^」
「なあセシル。ローザとはどうなんだ?」
「……それが、最近冷たいんだ。よく矢を頭に撃たれるし……」
(……アイドルにかまけてれば冷たくもなるだろう)

 

そんな中、一人ブロントさんだけが頭を捻っていた。
「……レミィ」
「え?」
「もすかして気分でも悪いのか?」
「……」

 

「…………鈍感、朴念仁、鉄巨人」
「おいィ!?」

 
 
 

任務を果たし、互いに労う騎士達。
遠目からそれを見ていると、ふとカラミットの傍に光る物を見つけた。
カラミットのドロップ品だろうか?
顔を近づけつつ、拾ってみると――それは指輪だった。
禍々しい装飾に、不吉な光を放つ橙色の宝石が当て嵌まられている。
丁度、カラミットのあの額の瞳と同じ――

 

……食い入るように指輪を見つめていると、皆に呼び掛けられた。
サンドリア王家に連絡して、カラミットの遺骸を運ばなくてはならない。

 

主人公は皆に見つからないように指輪を懐に隠した。
何故かはわからないが、これは表に出すべきではない。裏世界にひっそりと隠すべき代物だ。そう感じたのだ。

 
 
 

  • 報酬
    両手剣「黒竜の大剣」
    カラミットの尾から生まれた黒曜石の大剣。
    古竜の一部から生まれたこの大剣は刀身に神秘の力を秘めており、
    力を解き放った際にカラミットのブレスとして放たれる。
     
    指装備「災厄の指輪」
    カラミットの遺骸の傍に落ちていた指輪。カラミットの瞳の魔力が凝縮されている。
    装備すると、装備者の被ダメージが倍になる。それ以外に効果はない……。
     
    素材「龍の血」×15
    〃  「龍の心臓」

*1 なお、戦闘パートでの効果範囲は単体のみとなる。