シナリオ/世界移動シナリオ-Shoot the Bullet編のイベント
RED & CHASER
- 射命丸 文とレミリア、若しくはフランドールを僚機にした回数が3回以上で発生
天使のコスチュームではなく、普通の制服姿である。
声を掛けられた姉妹は射命丸の方を見ると、
「ん? ああ……ちょっとこれが気になっただけ」
フロントの回転式補助ブースターの付属及び速度に合わせた対G構造の強化によって、
都市部での戦闘ではその名の通り「追い付ける者無し」と言われる機体である。
「えっと、子供の時に見たR戦闘機に少し似ているなってお姉さまと話してたの」
「子供の時に見たR戦闘機……ですか」
射命丸が首を傾げるとレミリアがくすくす笑う。
「もう昔の事よ。最早記憶も覚束ない」
彼女達が幼い頃には、確かサタニック・ラプソディーの自体解決を行ったR戦闘機が凱旋に市街を巡った筈だ。
それだろうかと思ったが、姉妹の口から出てきたのは意外な言葉だった。
「なんて事はない、パトロールスピナーよ」
「民営の警察でよく使われてるやつで……なんて名前だったっけ……」
「――R-11B "PEACE MAKER"ですね」
「……さらりと出たわね」
民営警察で使われているR戦闘機、といえば大抵R-11Bが当てはまる。
といってもまあ、すぐに答えが出た理由はそれだけではないのだが。
「け、警察だったの!?」
フランが驚きの顔を見せた。レミリアも目を丸くしてる。
「……恥ずかしながら、まあ」
素直な驚きを見て、なんだかむず痒くなる。
その時は忍者を雁字搦めにさせて整備班の逞しい兄貴達に突き出してやった……気がする。
なぜ曖昧な言い方なのかというと、あの後すぐに輝夜達と一緒に飲み会に行って酔いつぶれてしまい、
そのまま詳細を忘れてしまったからだ。
覚えていない=あまり重要ではない事柄というし、忍者もあの後何も言ってこなかったので、
結局、互いに大事に至らなかったとかそう言うことなのでしょう。やたらと青い顔してたのが気になるけど。
まあ、それはさて置いて。
顔を輝かせるフランに対し、射命丸は首を横に振った。
「いいえ。その一回きりで警察はやめてしまいました」
「「え……」」
驚愕を見せる姉妹。苦笑しながら射命丸は語った。
「デモンシード・クライシスって知ってます?」
「ええ……」
「……知らないわけがない」
僅かながら、今度は射命丸が驚いた。しかし素振りを見せずに
「……ま、R-11Bに乗っての初陣がよりにもよってそれだった訳なのですよ」
姉妹がとてとて驚愕した表情を浮かべた。
生きているからこそ、この場で彼女達に話せているのだが。
あの頃のR-11Bはフォースを装備しておらず(民営用なのだから当たり前といえば当たり前だが)
搭載されていた兵装もロックオン波動砲ではなく、ロックオンレーザーと呼ばれるものだった。
バイドに汚染された兵器にロックオンレーザーを叩き込み続けてました。
特に巨大な汚染体を破壊し終わるまでは、過程が頭に全く入ってませんが……。
――結局、担当したエリアで、生き残ったのは私だけでした」
あの時の自分がそれだった。
とにかく、生き残ることに必死だったのだ。
『高い生存能力が評価された』そうだがあまり嬉しくなかった。
自分は、警察に所属していた。あの時の自分は護ることが仕事だった。
しかし結果は――警察組織含め、被害は甚大だった。
自身の対処に必死で、冷静さを欠きすぎて、頭が真っ白になって、目茶苦茶のがむしゃらに動かしていて、
最短のルートを選ばなかった結果だと思う。
「たまに思うのですよ。あの時、自分は何か守れたのかな、なんて――」
そこまで言って思わず口を噤んだ。
「あ、ははは……すいません。長々と話してしまいました……。簡単に聞き流してくださいな」
姉妹の様子を窺うと、真剣な表情で自分の話を聞いていた。
(……?)
少し、尋常ではないと怪訝に思っていると、
「え?」
「バイド汚染を食い止められた。それだけでも、何かを守ったことになるんじゃないかしら」
「貴方の話を聞いて、少なくとも私達はそう思う」
「ええ。デモンシード・クライシスは凄惨だったけど……
バイド汚染を未然に食い止めたおかげで助かった人もいたわ」
まるで当時の事を知り得ているみたいな――
そこで、思わずハッとした。
「「っ?」」
自分でもそう思ったが、ここでもう一踏ん張りだ。
親睦というか、女子会的な!
オススメのラーメン屋があるんです! 素手で熱湯の中に手を突っ込んで麺をほぐす変わったラーメン屋!」
「……そうね。きっと話したい事あると思うわ。お互いに」
「ブランデー以外のお酒は飲めないけど、それでいいのなら」
思いがけない巡り合わせもあったものだと、久々にそう思った。