フィクションです

Last-modified: 2008-11-23 (日) 12:45:32

懲りずにやってきました。
まぁ、何も言わないで…(;一_一)
 
 
今回は燕玲です。
場所は適当です。中国とかかな・・・
 
「ハァァアア!!」
渾身の力をこめ、双剣をふるう。
「ガァア…」
ドスンと、重たい音をたて、トラの巨体が地に倒れる。
「ハァハァ、私の力を舐めないでよね」
息を整えながら辺りを見回し、近くで戦っているはずの仲間の姿を探す。
「あれ?」
しかし、周りには森が広がるばかりで仲間の姿はない。
どうやら、トラの相手をしているうちにはぐれてしまったらしい。
「ちょと、こんな所ではぐれるなんて冗談じゃないわよ」
さっきの戦いで体力も消耗している。
「はやいとこみんなのところに戻らないと」
とは言っても、当てになるものが何もない。
「ん?今のは…」
微かに音が聞こえる。
「考えてても仕方ないわ」
そう言い放つと、音の聞こえた方へと歩き出した。
 
一時間ぐらい歩いただろうか。
段々と木々もまばらになってきている。
「ハァハァ…」
ここに来るまでに数匹の獣に襲われ、さらに体力を消耗している。
後2・3回なら襲われても何とかなるだろう。
森の終わりも近いようだし、なんとかなるかもしれない。
そう思い、歩みを進める。
「あと…少しで…」
この森から抜け出せる。
そのことが、無意識に周りへの警戒を緩めていた。
「ォイ、テメェ」
「ッ!」
横合いからかけられた声にとっさに身構える。
「誰よ、アンタ」
そこには腰から剣を下げた男が一人。
「へへ、やっと見つけたぜ。野郎ども、こっちだ」
男が周りに叫ぶと、その声に応えるように周りの木々の陰から男たちが姿を現す。
(クッ。疲れていたとはいえ、これだけの気配に気づかないなんて)
十人ほどの男たちに取り囲まれてしまった。
それぞれが、剣や斧を持ち、下卑た笑いを浮かべている。
「あんた達の相手してる暇なんて無いのよ」
「へ、そっちには無くてもこっちにはあるのさ」
最初に声をかけてきた男が前に進み出る。
どうやら、こいつがリーダー格らしい。
「何よ、そこまで言うなら言ってみなさいよ」
「お前の親父を攫った海賊団を覚えてるか?」
忘れるわけがない。
(あの時、アイツに会わなければお父様は……)
「それがどうしたっていうのよ」
「俺たちはな、その海賊団の生き残りだよ!」
男は顔を歪め
「大変だったんだぜぇ、あの後。船長は捕まっちまうし、追手はかかるはでよぉ」
「で、その元海賊さん達が私に何の用だって言うのよ。まぁ、大体想像はつくけど」
「俺たちは、そのお返しがしてやりたくてな。こうして探してたワケだ」
見回せば、男たちはそれぞれに持った獲物を構える。
「フンっ。あんた達のお返しなんて受ける気はないわ。さっさたと帰ったら」
背にさした双剣の柄に手をかけて言い放つ。
「ッハ、そういうわけにはいかねぇんだよ!」
そう男が言った瞬間、周りを取り囲んでいた男たちが襲いかかる。
「うおおぉぉぉ!」
雄叫びを上げ、手にした刃を振りかぶる。
「はぁ、仕方ないわね」
背の双剣の柄に手をかけ、抜き放つ。
右の剣を左腰に、左の剣を後ろに下げる。
さらに、左足を大きく後ろに下げ、体を屈め全身に力を込める。
体の中にある魔力を練り、剣の先までめぐらせる。
「死ねやぁぁあ!」
刃が振り下ろされる。
「ハァァァァ!」
雄叫びとともに、全身に込めた力を解放する。
引き絞られた体は、バネ仕掛けのようにその体を回転させる。
「正義の舞い!」
溢れ出す魔力が炎を生み、手にした双剣に絡みつく。
斬撃と炎が周囲にまき散らされる。
「ぐぁぁあああ!」
男たちは勢いを止めることができず、そのまま突っ込んでいく。
結果、ある者は斬撃に晒され、またある者は炎をその身に受け吹き飛ばされる。
「ぐっ・・・」
十人近くいた男たちは、今の一撃でほとんどが地に伏すこととなった。
「手加減はしてあげたわ。これに懲りたらこんなバカなことはやめることね」
双剣を振り、汚れを払う。そこに、
「お見事お見事」
手をたたきながら一人の男が現れる。
背に巨大な槍を背負った男は、悠々と歩いてくる。
「ふ、副船長……」
地に伏した男達の一人がそんなつぶやきをもらす。
「はぁ、情けねぇなお前ら。女ひとり捕まえられねぇのかよ」
まったくと、呆れたように溜息をつく。
「あんたがソイツらの親玉って分けね」
「あぁ、今はな。ホントは副船長なんだがな。うわっ、こいつなんて伸びてやがる。ホン
 ト情けねぇ」
こちらには見向きもせず、一人一人男たちの様子を確認していく。
「あれだけの事をやって死人は無か。こいつらじゃ捕まえられんわけだ」
「スイマセン…副船長……」
「ったくよぉ、しょうがねぇ部下どもだぜ」
はぁ、と大きく溜息をつきこちらを向く。
「まぁ、そういうことだ。理由はこいつらから聞いただろ」
「ええ、聞いたわ」
「そうか。じゃあ話は早いな」
男が背の槍を引き抜く。
槍は、男の身長の1.5倍近い長さを誇り、穂先は突(ラ)撃(ン)槍(ス)をそのまま取り付けたような形をし
ている。
持ち上げる事すら難しく、扱うには相当の修練が必要なその槍は
「巨戦槍…」
「ほぉ、知ってるのか。この槍の名を」
「えぇ。大陸で扱うことができるのは数人と聞いてるわ。まさかこんな所で出会えるとは
ね。光栄だわ」
「ハッ、褒めても何もでねぇよ」
こちらの皮肉に軽く答え、無造作に槍を一振りする。
ただそれだけで空気が震えるのを感じる。
「まぁ、理由なんてどうでもいいからよ…」
槍を構え、男は告げる。
「さぁ、仕合おうか」
次の瞬間、男の立つ地面が爆ぜた。
 
 
続く…
 
え?続くのかって?
その内……ね。