ベッドの中の雪にぼだよ~

Last-modified: 2017-09-02 (土) 15:53:17

「ねえ」
乱れたベッドの中で問いかける。
「なんで私って夏凜のこと好きなんだろ」
人を好きになるのに理由なんている?昔そう言われた。
「……それあたしに聞く?」
聞き慣れた呆れた声が耳をくすぐる。顔を見なくてもその表情は何となくわかる。
「ふと思ったのよ。昔そんなこと言われて、納得できなかったことがあったの」
だって絶対に理由があるはずだ。一目惚れだって顔ってのがあるし、付き合いが長いなら話が合うしーとか。
まあ、いろいろ。
「そうねぇ……」
右からの視線を感じて、天井に向けていた目線をそちらに向ける。
顎に手を当てた夏凜が、神妙な顔でこちらを観察していた。
……。
……。
「うーん……そう言われるとなんでかしら?気づいたらっていうかっ!?」
なんだか愛おしくなって、その唇を塞いだ。
さっきまでの激しいものではなくて、あてるだけの、愛を確かめるそれ。
「急にどうしたのよ」
唇を離すと、困ったように笑う夏凜が見えた。
頭を撫でる細く、だけどしっかりした手が心地いい。
「んーん、ただわかっちゃったかも」
ただ夏凜を見ていたら、なんだかたまらなくなって。
気づいたら身体が勝手に動いていた。へんなの。
「わかったの?」
「そ。改めて考えてみたらわりとすぐだった」
私がくすくす笑うと「よかったわね」とか微妙にずれたことを言うのもなんだか愛おしい。
彼女の薄い……って言ったら怒られそうな胸に顔を押し付けて、んーと唸る。
「全く、困った甘えん坊さんね」
やさしく響くその声を聞くだけで、所謂幸せってのが胸一杯に広がっていく。
ラブソングってのも案外バカに出来ないなぁ、なんて。数ヶ月前の私には考えられない。
「んふふ」
最初は打算だったかもしれない。でも、今のこの気持ちにそんな言葉は付けたくないし、思ってもいない。
「ありがとね。好きよ、夏凜」
「……私も好きよ、雪花」
そうやって、寄り添って眠った。