友鷲 お出かけだよ~

Last-modified: 2017-09-08 (金) 18:55:47

「友奈さん、次はあちらを見に行きませんか?」
そう言って私の手を引くのは、小学生時代の東郷さんである須美ちゃん。
今日は勇者部の活動の一環で二人で買い出しに来たのだけれど、なんだか須美ちゃんがいつもより元気でこちらまで嬉しくなってしまう。
「須美ちゃん、今日はご機嫌だね!何か良いことあったの?」
「ご機嫌だなんて…私はしゃいでなどいません!これはあくまで勇者部の活動の一環として…」
そう照れ隠しする姿もまた可愛らしい。東郷さんにこういう風な質問をしたらとても素直に気持ちを投げ返してくれるので
こんな風に照れ隠しで返されるのはなんだか新鮮だ。
それに、勇者部の活動なんて言ってはいるけれど、明らかに今日の須美ちゃんはめかしこんでいた。
洗いたての良い香りがするお洋服に、先日と比べてほんのちょっとだけ短く綺麗に切り揃えられた髪。
柔らかそうな唇には薄めのリップが引かれており、真っ白な彼女の肌に良く映えていた。
何より目を引くのはいつもの須美ちゃんなら絶対に選ばないであろう大胆な服。
胸のアンダーの部分を飾り紐で引き絞り、小学生とはとても思えないサイズのそれをより強調していた。
何故そうまで気合いが入っているのか、それは今日の自分とのお出かけの為。
自分のためにそこまでしてくれたことがとても嬉しかった。
「でも…こうしていると東郷さんの気持ちも少しわかる…かも」
「須美ちゃん、どうかした?」
「!?…いえ、なんでもありませんっ」
聞こえないフリ、少し意地悪だったかな。
瞬間湯沸かし器のようにボッと音を立てて染まる頬を見つめながら、手を引く彼女の細い指を握り返す。
ひとつひとつの反応が初々しくて…もっともっと須美ちゃんの可愛いところを見せてもらいたくなる。だから…
「ねえ、須美ちゃん。ちょっとだけ寄り道しようか?」
「っ!!…でも、みんなから頼まれたお使いもありますし」
「大丈夫だよ、時間はまだあるから…だから、ね?」
指を絡めて、じっと彼女の瞳を覗き込む。
期待に揺れる瞳の奥の須美ちゃんに、静かに語りかける。
「もっと須美ちゃんと一緒にいたいな、ダメ…かな?」
「ぁう…そ、そうですね…少しだけなら…」
期待通りの返事を引き出せた事に満足し、今までとは逆に手を引いて、目的地とは別の方向へと須美ちゃんを誘う。
今日のデートは楽しくなりそうだ。
さて、まずは何処へ行こうかな。