園友だよ~

Last-modified: 2017-07-28 (金) 01:05:14

「園ちゃん……だめだよ。やめようよ……」
「だめだよ、ゆーゆ~」
園ちゃんは抵抗する私の腕を力尽くで押さえつけると、器用に服を脱がしていく。
鼻歌まで歌うほど上機嫌な園ちゃんとは対照的に、私はこれから自分がされることを想像して思わず涙まで浮かべてしまう。
「ね、ねえ。私達、女の子同士なんだよ?」
「うん、そうだね。それで?」
「っ……そ、それに、ほら、まだ中学生だし。こういうことはまだ」
「年なんて関係ないよ~。私はゆーゆが好き。だからゆーゆとこういうことがしたい。それだけなんよ~」
「そ、そんな……」
なんとか園ちゃんに思い止まってもらおうと言葉を重ねるけど、園ちゃんの手が止まることない。
そしてついに、私の上半身が完全にさらけ出されてしまった。
「わぁ~、可愛いよ、ゆーゆ。ここも綺麗なピンク色で、見とれちゃうな~」
「っ」
あまりの恥ずかしさに、自分でもわかるほど私の顔は真っ赤になった。
「もう、そんなに照れなくてもいいのに。裸くらい、お泊まりのときに見られてるよね?」
そう言われても、友達との裸の付き合いと、今の状況ではあまりに違いすぎるというものだ。
それに一緒に風呂に入ることはあっても、ここまで至近距離でじっくりと見つめられることなどない。
園ちゃんや夏凜ちゃんはもちろん、東郷さんにだって。
「こ、こういうことは、本当に好きな人と──!」
頭の中に東郷さんの顔が浮かんで、私は無意識にそう叫んでいた。
私のスカートを下ろしていた園ちゃんの手が止まる。
やっとわかってくれたかと、私は園ちゃんの顔を見上げて──そこで凍りついた。
園ちゃんの顔は、さっきまでの楽しそうな様子を一切なくした無表情だった。
「そ、園ちゃん……?」
「…………ゆーゆ、今、わっしーのこと考えてたでしょ?」
自分の思考を見抜かれ、今度は私が固まる。
私の図星をついた園ちゃんは、その勢いのまま続ける。
「今、私がわっしーだったら、って考えたんだよね? 自分の身体をまさぐってるこの手が、わっしーの手だったら良かったのに、ってそう思ったんでしょ?」
「そ、そんなこと」
「中学生だからとか女の子同士だからとか言っておいて、わっしーが相手だったらゆーゆは喜んでたんでしょ? ゆーゆはえっちな子だね~」
「ち、違うよ……私は……」
もう何も考えることはできなかった。
園ちゃんの支配に抗っていた身体にも、既に力は入っていない。
園ちゃんの言った通りだった。
もしも、今私に馬乗りになっているのが東郷さんだったら。
もしも、私の身体を綺麗だと褒めてくれたのが東郷さんだったら。
そう考えただけで、私の身体にはどうしようもないほどの快感が駆け巡っていた。
さんざん園ちゃんに理屈を説いていながら、結局私も園ちゃんと一緒だったのだ。
自分のことを信じて、親友と呼んでくれている相手に、劣情を催していたのだ。
「……いいんだよ、ゆーゆ。今はわっしーのことを考えても。いつか私のことしか考えられないようにしてあげるから」
私が動かなくなったことを諦めと取ったのか、園ちゃんはスカートを脱がすのを再開した。
さっきまでと違い、あっさりと脱がしてしまうと、最後に残った下着にも手をかける。
「だからね、今だけは……私のこと、わっしーだと思っていいんだよ、『友奈ちゃん』」
その言葉で、私は小さく残っていた理性を手放した。
私の想いを、普通ではないこの想いを、私の親友が受け入れてくれることはないのだ。
それならいっそ……。
「うん……きて、『東郷さん』」
ただただこれからの期待だけを胸に抱いて、私は彼女を受け入れた。