東郷せんせいとビニールプールだよ~

Last-modified: 2017-08-13 (日) 10:57:56

「つめたくてきもち~♪」
子供用のビニールプールの中心に寝転がった友奈ちゃんが気持ち良さげな声を上げる。
自宅の倉庫を整理していた際にホコリを被っていたビニールプールを見つけ、せっかくだからと
引っ張り出して友奈ちゃんを招待したのだけれど、思いの外気に入ってもらえたようだ。
ビニールに描かれた猫のキャラクターも、久しぶりのお役目にどこか上機嫌なように見えた。

 

流石に大人の自分が入るにはサイズが小さすぎるけれども、こうして脚を水につけているだけでも大分涼しいものだ。
濡れてもいいようにと自身も水着に着替えた東郷は、ホースから流れる冷水をもて遊びながら一時の涼を取っていた。
すると、悪戯な笑みを浮かべた友奈ちゃんがススス…と近づいてくる。
「とうごうせんせ~…スキあり!!」
バシャン!友奈の放った第一射は正確に目標を捉え、東郷の胸部装甲に有効打を与えた。
流石に自宅とはいえ庭で水着になるのは…と上に着ていた白いシャツが濡れ、その奥に隠された最終兵器が顕になる。
「きゃっ!?…もう、友奈ちゃん!」
「うわああああ…、せんせ~やっぱりおおきい…」
いつもは衣服越しのためそこまで気にはならなかったけれど、やっぱり大きい。
白いシャツに浮かび上がった肌色と、朱に染まる先生の頬を見ているとなんだか凄くドキドキしてくる。
いけないことをしているような気分になった友奈は、熱くなった頬をプールに浸かって冷やした。

 

「ごめんねせんせ~…おこってる?」
おそるおそる様子をうかがうと、いつもの優しい微笑みが友奈を迎えてくれた。
「大丈夫、怒ったりしていないわ。け・れ・ど…」
友奈は気が付かなかった。割と本気で先生が恥ずかしがっていたことを。
友奈は知らなかった。割とこの先生は大人げない部分があることを。
「悪い友奈ちゃんにはお仕置き!!」
だから、逃げ遅れた。

 

「あはっあははははははははは!!!!!せんせぇやめっ!!ふひはははははっ!!ヒッひふあははあははああ!!」
バシャバシャと水を叩き抵抗するけれど、大人の腕力とリーチには敵わない。
だんだんと抵抗する力も弱まり、力なく東郷にもたれかかった友奈はついに白旗を揚げて降参の意を伝えた。
「…友奈ちゃん、もうしない?」
「し…しません。ゴメンナサイ…」
「ならよし。もう…すごく恥ずかしかったんだからね」
「えへへ…本当にごめんね、せんせ~とあそぶのたのしかったからつい…」
「友奈ちゃんったら」
狭いプールの中で二人くっついて、水の冷たさと友奈ちゃんの体温を感じながら。
東郷先生の夏の日は今日も過ぎていく。

 

「東郷…アンタ何してんの…?」
同僚の自宅へ届け物を持ってきた風は、目の前の状況を理解するために時間を要していた。
同僚が…東郷が友奈ちゃんと抱き合いながら子供用プールに浸かっている。
友奈ちゃんは潤んだ瞳で頬を紅潮させ、荒い息をしながらビショビショとなった東郷のシャツをギュッと握ってしなだれかかっていて…
「風先輩!?あの…これは、お仕置きで…」
「なんのプレイかしんないけど…その、程々にね」
頭が痛みだした風は、それ以上考えるのを止めそそくさとその場を離れた。
取材されたときになんて答えようかしら。「いや~いつかやるとはおもってたんですよ」かな…