東銀IVだよ~

Last-modified: 2017-07-18 (火) 00:45:09

「なあ、須美、こんな感じか~」
「いいわ。もっとよ、そのまま足を広げていって……」
「なかなか……難しい体勢になってきたなー。確かにこれは体に効きそうだ」
東郷の部屋では今二人の少女が鍛錬に励んでいる。
鍛錬は東郷発案のものでバランスボール(友奈から借りた)を用いての体幹を鍛える為の重心コントロールである。
フォワードには体の使い方が肝。そのことに重点的に置いたトレーニングである。
東郷も銀への指摘をするためにビデオを回している。
これは目視での確認の為に行う極めて重要なことだ。
「なあ、須美ー。これってやっぱ水着で行う必要ないんじゃないか?」
銀の格好は小学校指定の水着であった。 
「駄目よ。服で着ていたら体の筋肉の使い方が隠れてしまうわ」
「妥協も必要だと思うんだけどなあ」
さすがの銀もこの体勢は少し恥ずかしい。
今の銀の体勢は両足を肩よりも開いてバランスボールに背中から乗り掛かり万歳をしている。
東郷からは恥丘が開けて見えていて、さらに銀のまだ未成熟な胸も隠すものなく見えている。
さらに言えばこの部屋は東郷の「クーラーばかりだと体を壊してしまうわ」という熱い信念のもとかなり熱くなってしまっている。
銀の髪は汗でべっとりとついてしまって、デリケードゾーン付近も蒸れて色が濃くなってしまっている。
この維持を東郷が見ているだけならまだしもビデオを回しているのである。
しかしこれは極めて効率ある訓練であるため仕方ない事なのである。
「さあ、次はボールの上にうつ伏せになって前方への重心制御よ」
銀は言われるがままボールの上にうつ伏せになる。
その時東郷の奇声が聞こえてきたような気がしたが些細のことだ。
先ほどから銀が体勢を変えるたびに聞こえるのだ慣れたものだ。
「おお。この体勢はなんか楽だぞ、須美。こんなのもやれるな」
銀は余裕を見せるべく東郷に対してお尻をフリフリと横に動かした。
銀の汗ばんだ点々と色濃くなっている水着のお尻が動く。
「おおぅ! ……さすが銀ね!」
東郷は立上り手拍手をして絶賛した。
その言葉に銀も嬉しくなってしまう。
小学生の須美は中々手放しに褒めてくれないので正直楽しくなってしまう。
「(大きな須美の優しさが須美にも一割くらいあればー)」
この特訓も実はみんなへは内緒特訓なのだ。
最近、中学生組に力の壁を感じていたため銀としては正直在り難かったのだ。
確かに体のさばき方にまだまだ先が思っていたのも銀は感じていた。
それに何より銀は東郷を気に入っている。
須美と言うだけでなく年上で綺麗で面白いお姉さん。
千景や珠子とは違ったお姉さん。
さらにそこにそれが須美の未来の姿なのだ。気に入るに決まっている。
「よーし。さあ大きな須美さんよお。どんどん教えてくれよ!」
「……銀、あなたの思い、確かに受け取ったわ。次は――」
この世界のことを考えれば許されないかもしれない。
しかし、そのささやかな時流の中で彼女たちは内緒にも花を咲かしていた。
余談だがこの後東郷の部屋には隠し棚ができた。