銀→東だよ~

Last-modified: 2017-07-20 (木) 01:52:20

「なあどうして大きな須美はこんな優しいんだ?」
「時は人を成長をさせるものよ」
まただ。
また誤魔化した目を須美で嘘を言ってくる。
そんなのに誤魔化されないのに。大好きな親友なのに。

大きい須美は須美の未来の姿だ。
あの須美がこんなきれいなお姉さんになるなんて思いもしなかった。
しかし話していると分かる。アタシの知っている須美にどこか面影があるのを。
でも、この須美は私を、私たちを見ると時折悲しい目をする。
園子さんも悲しい顔をしているけどなんか割り切っている感じを出してる。
園子さんも気にならないというと嘘になるんだけどでもこっちの須美はもっと気になる。
大橋のほうを見て陰っている顔が気になる。
壁を遠いで見て何か気持ちを押さえつけているのも気になる。
私たちを見て儚く微笑んでいるのも気になる。
友奈さんとかと会話してるのも気になる。
そして何より。

私を壊れ物を扱うみたいに優しく触れ合ってくれるのも気になる。

理由は分からないけど優しくしてくれるのは嬉しい。
気になること多いけど、こうして手を取ってくれるのが嬉しい。
勉強もかみ砕いて教えてくれるのが嬉しい。
ぼたもちの差し入れをいつもしてくれるのが嬉しい。

なあ気づいているんだぞ大きい須美。
だから訳を教えてくれよ。
「まあ、銀からプレゼントなんて珍しい。それもお花なんて」
「オイオイ、気の回しっぷりの銀さんならこのくらい朝飯前よ!」
渡したのは確かに柄じゃない花束。
でも、園子さんに相談したら少し寂しそうな眼をしてこれを教えてくれた。
いい花言葉でだからと。
そして、アタシが行く道はきっと苦難があるよとも。
上等だと思った。そのくらいがきっと丁度いいに決まっている。

「ありがとう、銀。きれいなパンジーの花束嬉しいわ」

その少し陰った顔を明るくしたいから。そんな満面な笑みで笑いかけて欲しいから。
この思いは何なのかわからないけど枯らしたくないそう思えたから。
須美覚悟しろよ?