小ネタ

Last-modified: 2020-12-28 (月) 13:12:08

CMのお時間その1

あぶない!町に影会座の魔の手が!!
DXラウンズドライバーで君も変身だ!ガション!キュイィィィンッ!!
こぶしをたたきつけてパワーチャージ!!
5つのフォルムにフォームチェンジだ!!

DXラウンズドライバー!!(定価¥5,690)
DXラウンズセイバーガンも登場!

ぷりてぃ・アクティ小説版 第14話『いっつも一言足りないよね(1)』

「でさー、マクリアスが竜鉄がもう3杯は欲しいって!」
「ジョッキでですか?」
「樽よッ!」

私が羊のための餌を混ぜている横で、ヨーが愚痴をこぼしている。

「信じられる?そんなに竜鉄が見つかるわけないじゃない!アクティからもなんか言ってよ!」
「えー、でもマクリアスさん、言い出したら聞かないですよ?」
「じゃあウチに見つけてこいって言うわけ!?」

ウカ族生まれのヨーのことだ。竜鉄を探させたら大の男よりも役に立つだろう。
発掘もお手の物だし、何より『魔力を見る眼力』に優れている。
少し掘り進んだところから辺りを眺めれば、水の魔力の反応を追うのはそう難しいことではない。
人工(にんく)を用立てて暇そうなドゥアンを揃えて行けば、樽の3杯も揃うかも。

「ヨーのこと、信頼してるんですよ。マクリアスさんは」

私がそう言うと、ヨーはぶすくれて近くの椅子に座り込んだ。
そのまま、自慢のおさげをくるくると指でいじり、鼻の下をかいて遊び始めた。
彼女の尻尾も苛立たしげに床を叩いており、牧羊犬のジャルズがそれを目で追っている。

マクリアスさんも、ちゃんとヨーに伝えてあげればいいのに。
信頼してるとか、お前なしじゃ困るとか、そもそもヨーの能力をアテにした上で仕事をしているとか、色々言い方はあるだろう。
それをどうせ「竜鉄を3杯。樽で。頼む。」くらいの語調で送り出したに違いない。
剣ばかり鍛えていると、人との喋り方を忘れてしまうのかしら?

「ったく、山を掘る身にもなれっての。」
「でも竜鉄を樽で3杯なんて、とんでもない量ですね。何に使うんですか?」
「それがさあ、トリキュミアスのための新しい剣を作るんだって。」
「あー。ついに。」
「でもそんなの建前だよ。竜鉄を鍛える理由が欲しいだけさ。樽3杯の竜鉄を使うような剣なんて、トリキュミアスにしか使えないだろ。」
「そもそも、巨人の使う剣を使いますから。トリキュミアスってば。」
「あー、それでマクリアスもトリキュミアス相手の仕事はしやすいのか。ヴァーナの武器は小さすぎて苦労するって文句言ってたぜ。」
「……へぇ~~~~。」

へえ~~~~、文句言うんだ。あの人。
鍛冶の巨人として他者を一切よせつけない存在だが、ヨーには心を許しているらしい。
そうか、そうなんだ……。

「全く、しょうがないなあ。」
「えっ、いきなりなんだよアクティ。」
「人を集めなきゃでしょ?ちょうどこの『深い縦穴の街』も落ち着いてきたところですし、暇なドゥアンくらい探せば見つかります!」
「手伝ってくれんの!?」

こういうときのヨーは素直だ。目を輝かせて喜んでいる。
いつもこんくらい素直だと分かりやすいのに、なんて言うと猫族(アウリク)の彼女は怒るだろう。

「まぁまぁ、そういうことですね~。」
「よっ!この運だけ女!」
「そろそろマクリアスさんのところにはテコ入れが必要だと思ってたんですよ。」
「何の話!?」
「いいんですよ、ヨーはそのまんまの貴方でいて。私、これでもお世話好きなんですから。」
「ウチは羊じゃないよアクティ。」
「知ってます。」

混ぜ終えた餌をザーッと餌箱に流し込み、前垂れをはたいて私は立ち上がった。
ヨーとマクリアスさんは互いに惹かれあってはいるのだろう。徐々に距離感も近づいてきている。
ただ、物事には速度の概念というものがあるのだ。
例え距離感が徐々に近づいてきているとして、二人が一緒にいられる時間には限りがある。
気付いたときにはもう終わり、なんてのは見たくない。
なので、私はお節介にも二人の関係の速度を速めることにした。

腕まくりをし、鼻から息を大きく吸う。
なんだかやる気に満ちてきた!
私はヨーに振り向き、腕に力こぶ(3歳児の練ったネレイ団子ほどの大きさ)をつくって見せながら言い放った。

「このアクティちゃんに任せなさい!勝手に解決してあげる!」

実験記録1「ラーナの堪忍袋検定」

冒険者「ラーナ」の怒りの感情を記録したものである。
なお、怒りの度合いをレベル1~5までで記録するものとする
レベル1「」
反応「」

レベル2「」
反応「」

レベル3「」
反応「」

レベル4「」
「」

レベル5「」
反応「」

ギガント・スレイヤー ギルギット発行版 『クリスマス・オブ・ザ・デッド・イン・ダンゴ』

(あらすじ:ブリアレオースとの死闘に辛くも勝利したトリキュミアス。死に際にブリアレオースが残した「アクティの行方が知りたくば、コロセオ・バー『ハッキン』のスタフティ=サンと会え」という言葉を、彼は聞き逃さなかった。

 

コットスの襲撃を受け行方不明となったアクティの無事を確かめられなければ、友マクリアスに顔向けができない。トリキュミアスは傷の癒えない身体を押して、コロセオ・バー『ハッキン』へと向かう。)

 

オルゴン・ストリート、PM8。

 

ネオクルヴィオンにおけるコロセオ興業を一手に引き受ける区画、それがオルゴン・ストリートである。

 

タイヨウ・ソングを長期に渡りドープすることにより異常体質を手にし、コロセオで血みどろの殺し合いをすることを宿命づけられた者たち。それがケントシである。

 

タイヨウ・ソングは遺伝子異常を誘発する深刻なリスクがある。しかし残念ながらこの巨人支配社会において、効率と言う概念は人権よりも優先される。ネオクルヴィオン郊外のジャングルには遺伝子異常の果てに知性を失い、野生化した凶暴なケントシが獣のように暮らしている。

 

オルゴンでしのぎを削るケントシ達は、その手のルーザーたちとは一線を画す存在だ。力は権力を、金を、セックスを欲しいままにする。中央リーグ『ゴテン』のリングに上がれるのは僅か64人。勝ち続けることでその地位を手にしたケントシは、貴族同然の暮らしをしている。

 

オルゴン・ストリートに軒を連ねるコロセオ・バーは、興行中は連日連夜血に飢えた観客でごった返す。ネレイ・ダンゴとエレファント肉に舌鼓を打ちながら、巨大スクリーンに映されるコロセオ・ファイトに歓声を上げるのだ。

 

コロセオ・バー『ハッキン』はオルゴン・ストリートの中でも一番の老舗を標榜している。改築を繰り返した巨大な店構えは、誇り高く木彫りされた「おコロセオ」の名に恥じない。複数のカウンターを擁した一階のホール、ストリートを一望する二階のバルコニー席。

 

酔漢でごった返す一階ホールへ、今、入り口の両開きのドアを開けて入ってきたものがいる。目深にかぶったハンチング帽、草色のトレンチコート。むろん、その姿へ関心を向けるものなどいない。

 

トレンチコートの男は巨大スクリーンの脇を通り、第二カウンターへ歩いて行った。立ち飲みの客達でごった返すホールであったが、男は避けるそぶりすら見せず、なおかつ、誰ともぶつかることなく、スムーズに前進する。

 

男はカウンターでライテイ・カクテルをシェイクするバーテンに声をかけた。「スタフティ=サンは?」初老のバーテンは無関心な目をトレンチコートの男に向ける。「今、裏でタバコ吸っとるよ。もうすぐ休憩の交代だから、ここで待ってな。ご注文は」「スイシャを」「スイシャね」

 

バーテンはスイシャ・サケをカウンターに置いた。スイシャの口にはカボスが挿してある。男はトークンをバーテンに手渡した。

 

そのとき、店内の照明が落ち、巨大スクリーンがネオンサインとともに点灯した。ネオンサインは「おコロセオ」「ケントシ」「サイクロン」といった言葉である。「本日のクライマクスです」フェアリ合成音声が告げると、ホールが歓声で沸き立った。

 

スクリーンに大写しになった巨人はナンバー4ランカーのゴテン・ケントシ、アナベルである。その身長は10フィートはあろうか?筋肉と脂肪で膨れ上がった巨大な身体、そして鉄仮面が写ると、人々が狂ったように叫び出した。「アナベル!」「サイクロン・トリガー!」

 

黒光りする肉体は、鉄仮面とトゥガを除けば一糸まとわぬ裸体である。胸板の「デンセツ」というタトゥーが禍々しい。これほどの巨体を作り上げるために、どれほどのタイヨウ・ソングをドープしてきたのであろうか?鉄仮面の呼吸孔から真っ白い蒸気が噴き出す。アナベルが睨みつける花道にライトが点る。

 

「ハッキン」の店内が水を打ったように静まり返った。花道をリングへ向かってゆっくりと歩いてくる人影。その背格好は常人の身長の範囲だ。6フィートといったところである。しかし、トゥガひとつの肉体から滲み出す燃え上がる鋼のような質量感はスクリーン越しにも伝わってくる。

 

「畜生、あんなカラダで勝ちまくりやがって」誰かが憎々しげに毒づいた。そう、このケントシらしからぬ男こそがナンバー1ランカー、すなわちオウサマ。目下102連勝中のおそるべき男「ヨンセイ」であった。

 

リングの真上へ、鎖で吊られた鉄の棍棒が降りてくる。今回の試合のアチーブメント・ウェポンだ。試合中にあの武器を手にすれば、大きく有利を得ることができる。「両者、準備して!」ジャッジの音声が会場に響き渡る。

 

アナベルは前傾姿勢をとった。試合開始と同時に、その巨体によるタックルをぶつけるつもりなのだ。呼吸孔から蒸気が吹き上がり、肩の筋肉がわなないた。そのさまはまさに鋼鉄の機関車である。

 

「ハジメテ!」ジャッジが叫んだ。アナベルがヨンセイにタックルをしかけた。並の人間が受ければ全身が粉砕骨折して即死に至ることは明白な攻撃だ。しかし、おお、なんということか。ヨンセイは前に突き出した両手で、アナベルの巨体を真っ向から受け止めて見せた。

 

「ああっ…」スクリーンを見守る観衆からため息が漏れる。ケントシ最大巨体を持つアナベルの突進ですら動かせないヨンセイは、まさに規格外の存在であった。ヨンセイの背中の筋肉が盛り上がり、少しずつアナベルの圧迫を押し戻し始めた。

 

決着がついたのは、ヨンセイが押し戻したと見えた、そのわずか一秒後であった。アナベルの体が空中でキリモミ回転をしながら真上に吹き飛んだ。そして空中のアチーブメント・ウェポンを支える鎖とケージに叩きつけられ、ずたずたに裂けた巨体は無残な肉塊となりはてた。

 

「キマリテ、ストライクバック。勝者ヨンセイ」ジャッジの声が、静まり返った会場、そしてスクリーンを見守る「ハッキン」の人々の間に響き渡った。

 

スクリーンが中継からコマーシャルに切り替わった。「剣はかっこいいが今にもまろびでる。」マクリア・インダストリの寸劇コマーシャルの明るい音楽が流れるが、人々はオツヤ・リチュアルのように静まり返っていた。103連勝、ヨンセイ。コロセオの破壊者。誰も彼に勝てはしない。棄権せねば、死あるのみ……。

 

「あれじゃ、誰もコロセオを見なくなっちまう。そう思わないか?お客さん」いつのまにか奥から出て来ていたスキンヘッドのバーテンダーが、トレンチコートの男に声をかけた。「あいつは強すぎるよ。まるで……」カウンターから身を乗り出す。声をひそめる。「まるでギガントだ」

 

「クリスマス・オブ・ザ・デッド・イン・ダンゴ」セクション1終わり。セクション2へ続く。