【おつかれさまでした。りせっとぼたんを おしながら でんげんを きってください。】

Last-modified: 2024-04-07 (日) 17:24:08

概要

FC版DQ3におけるシステムメッセージの一つ。
セーブを行った後、「まだ冒険を続けるか?」という問いに「いいえ」と答えると、画面が暗転しBGMがフェードアウトした後、真っ暗で音の無い画面の中にこれが表示される。
DQ4でも似たようなメッセージが使われるが微妙に異なる。
DQ3では以下の通り。

おつかれさまでした。
りせっとぼたんを おしながら
でんげんを きってください。

りせっとをおさずに でんげんをきると
ぼうけんのしょが きえてしまう
ばあいがあります!!

DQ4では以下の通り。

おつかれさまでした。
りせっとぼたんをおしながら でんげんを
おきりください。

りせっとをおさずに でんげんをきると
ぼうけんのしょが きえばあいがあります

DQ3では若干きつめの警告、DQ4は静かな忠告といったところだろうか。あるいは王様と神父の性格の違いか。
この一手間を怠ると、最悪の場合、忠告通り天罰が下ることになるので、細心の注意が必要。
 
DQ3でこのメッセージが登場して以降、バッテリーバックアップの普及に伴い、他のFCソフトでも同様のメッセージが表示されるようになっていった。
そんなありふれたシステムメッセージなのだが、実はここから当時のゲーム開発の様々な事情が読み取れる。
 
なおローカライズにあたってバッテリーバックアップを採用したNES版DW2では

In that case, return
when thou can, for
Hargon does not sleep.

(意訳:では、いつでも戻ってきなさい。【ハーゴン】は眠ることないのだから。)
というメッセージが表示される。

なぜ「りせっとぼたん」がひらがななのか?

FC時代の作品ではメモリの関係から使用できるカタカナが制限されており、「リセット」を全てカタカナで書けるほどの容量は確保できなかった。
そう、実はFC版DQ4までは、ゲーム内にカタカナの「セ」が無かったのである。厳密にはカタカナの「リ」も無いが、これはひらがなの「り」と共用になっている。
 
かといって「りせットボタン」という中途半端な形にするのは不格好なので、あえて全部ひらがなにしたのだ。
SFCになったDQ5以降はほぼ全てのカタカナが使えるようになったが、そもそもこのメッセージが無くなってしまった。

なぜりせっとぼたんを押さなければならないのか?

FC版3・4で採用されているバッテリーバックアップとは、ソフト側に電池=バッテリーを付けてデータを保存=バックアップできるようにする機能である。
言うなれば完全にソフト側の後付け機能であり、ハードであるFC自体は一切関与していない。
それどころか、FCはそもそもハードの設計段階でソフト側にデータを保存する機能を想定していない。
データ保存を考慮していないFCはソフトの保護もまた考慮しておらず、ソフトと本体が直接繋がっている。
そのため、ただ電源を切ると回路の電流・電圧が低下し、CPUが誤作動を起こす可能性が生まれるのだ。
CPUの誤作動はバックアップされたデータにも間違った信号を送る可能性があり、データ破損へと繋がる。
 
しかしリセットを押している間はCPUの動作は停止するので、誤作動の可能性は大幅に減る。
DQ以外でもバッテリーバックアップを搭載したFCソフトなら同じことが言える。タイトルによっては逆にリセットを押さずに電源を切るよう指定されている例外が稀にあるものの、特に指定されていないのであればリセットを押しながら電源を切るほうが無難であろう。
 
ちなみにリセットを押さないまま電源を切ってセーブデータが破損した場合、さらなる誤作動を起こす危険を避けるため、異常を見つけた時点でデータを自ら消去するプログラムが実装されているソフトが主流である。
つまり、破損したセーブデータは跡形もなく消える(自動で消される)場合がほとんどとなる。
ドラクエにおいては、そのデータ消去の動作の際に独特のメッセージが出ることで有名になった。
【おきのどくですが ぼうけんのしょ○は きえてしまいました】の裏側ではこんなことが行われていたのだ。

なぜSFCのDQ5以降はこのメッセージが無くなったのか?

SFCはFCと違い、最初からバッテリーバックアップを想定して設計され保護回路が存在するので、そのまま電源を切って構わない。
逆に、リセットを押しながらだと保護回路が働かない可能性があり、却って消えやすくなる。
 
FCで遊ぶことに慣れた人はこの変化に若干の戸惑いを覚えたであろうことは想像に難くない。
SFC版DQ5の【取扱説明書】には「正しい冒険の終わり方」という項目があり、リセットボタンを押そうとする主人公にビアンカが「だめよ!押しちゃ…」と注意するイラスト付きで、「リセットボタンを押さず、電源を切る」とわざわざ書かれているほどである(同様の理由で、背表紙には「電源を入れたままACアダブターを抜いてはいけない」という注意書きもある)。
DQ6の取説でも同様に、バーバラが困った顔をして「リセットボタンは絶対に押さないように!!」と書かれた看板を掲げているイラストがある。
 
しかし、こうしてFCとSFCではハードが仕様変更されたにもかかわらず、SFC初期には「リセットボタンを押しながら~」と警告するソフトも存在した。これはソフトハウスの勉強不足と誹られても仕方ないことだろう。
 
その後の作品においては、SFC版のDQ5とDQ1・2ではこうしたメッセージはなく(神父or王様のセリフで暗転)、メッセージが復活したSFC版DQ6からは長らく「おつかれさまでした。このまま電源をお切りください。」で統一されていた。
【すれちがい通信】機能の拡張によって、ゲームは終了させても3DS本体の電源は切らないままにしておくことがよくある3DS版DQ7・DQ11も「電源をお切りください」とのことである。
例外は以下。

  • 電源の切り方(「このまま電源をお切りください」というメッセージ)が表示されずに暗転する作品(GB版DQ1・2、GBC版DQ3、トルネコ2、DQ11S)
  • 暗転に入る選択肢すらない作品(GB版DQM1・DQM2、スラもり3)
  • メッセージが大きく異なっている作品
    • トルネコ1では「このままスイッチを切って下さい。」という独自のメッセージである。
    • Wii移植版のDQ1・2・3では別のメッセージが用いられている。
    • DQ9では神父のガラが悪いと、メッセージが荒々しくなる。

GB版DQM1・DQM2では使われていないが、DQM1の内部データには「おつかれさまでした。このまま でんげんを きってください。」という没メッセージがある(DQM1で実際に使われているメッセージは「ぼうけんのしょに きろくしました。でんげんを きってください」であり、スタッフロール後にセーブすると表示される)。
 
GB版DQ1・2、GBC版DQ3、Wiiに移植されたDQ3、DQ11、トルネコ1、トルネコ3では、ゲーム本体でリセットをしなくても暗転後にタイトル画面に復帰出来る。例えば3DS版DQ11では「おつかれさまでした。このまま電源をお切りください。Aボタンを押すとタイトルへ戻ります。」と、ソフトウェア側で終了処理をする。