【ホルス】

Last-modified: 2021-08-02 (月) 06:43:28

DQ6

【ホルストック】【王子】【ホルテン】の息子。
年齢は15才で、【チャモロ】と同い年である。
容姿は茶髪の坊っちゃん刈りで、【Vジャンプブックス】では【かねこ統】によるイラストが描かれた。
ゲーム上では、同年齢のチャモロと比較してもかなりちびっこく、子供っぽい印象を受ける。
どちらかといえばチャモロも小柄な体型ではあるのだが、それよりも小さい。
小柄な体型ゆえか、【樽】の中に入ることもできる。
名前はエジプト神話におけるオシリスと【イシス】の息子且つ【セト】の甥である隼の顔をした天空と太陽の神と同じだが、その母親や叔父とは違い、砂漠には関連していない。
 
この国では王家の者は慣わしとして洗礼の儀式を受けることになっているのだが、ホルスは臆病者であり、城の評判も弱虫・稽古のサボり・城の兵士と夜更かし・スケベと良いものではなく、理解者も母親と地下にいる老人のみである。
主人公たちはホルテン王から彼を【洗礼のほこら】に連れて行くよう頼まれるのだが、出かける前もほこらの中でも何度も逃げ、それをいちいち探さなくてはならず、プレイヤーのストレスを溜めさせてくれる。そのせいなのか公式ガイドブック上巻ではイラついた表情の主人公達に壁際まで追い詰められるイラストまで載っている。
リメイク版ではバーバラにも「より大変」などと言われてしまうハメに…まったくだ。

  1. まず最初は城の地下通路の樽の中に隠れる。
  2. 王から洗礼に送り出された後、城を出る前に逃げ出し、地下通路の先の崖っぷちに立っている。
  3. 洗礼のほこらに入ると、最初の階段を降りる直前に素早く脱走し、【ホルコッタ】の村の家に隠れる。
  4. 【しれんその1】を倒すとフロア内の主人公たちから離れた場所に逃げている。
  5. 【しれんその2】を倒すと、またしてもフロア内の主人公たちから離れた場所に逃げている。

しかし【しれんその3】からは逃げ出さなくなる。
試練の最後では「どうしても滝に入らなければダメ?」と神父に聞き「ダメ」と言われるとついに覚悟を決め、意地を見せて滝に打たれ、洗礼を完遂する。
そして、ホルテンから王位を譲り受けようとするシーンではこれを一時的に断る。
人の上に立つ身分になることの本当の意味をも、彼は、試練を通して知ったのである。
試練突破後に話しかけると「オレは りっぱな王に なれると 思うか?」と尋ねてくるが、 ここで「はい」と答えても「いいえ」と答えても成長を感じさせてくれることだろう。
 
ヘタレではあるが、年下の子供と遊んであげたりと、将来を期待させる姿から、叩かれることは少ない。口は悪いが縁のある老人には遠回しで捻くれた言動ながら気に掛けるなど、敬老精神も強い。
主人公たちがあまりにもしつこく彼を連れて行こうとする姿を、彼は「諦めなければいつか成功する」という結論を出せるぐらいに的確な観察をしており、他人の長所を自分のものにしようとする殊勝な心を持っていることもわかる。
いざ成長してみると、調理のおばさんにはつまみ食いをしなくなった事で逆に寂しがられたり、スカートをしょっちゅうめくられて困っていた少女が、めくられなくなった事でむしろ自分の事を嫌いになったのかと心配していたりと、それまでの彼も何だかんだで愛されていた事がうかがえる。
ダイの大冒険の【ポップ】のように人間の成長そのものを描いたキャラともいえよう。
 
割と魅力的なキャラではあるのだが、本筋にさほど深く関与しないためか、小説版やゲームブック版ではイベントが丸ごとカットされたため未登場。
漫画版ではボッツとバーバラと伴って試練に挑んでいる姿が1コマで登場という扱い。セリフも無し。CDシアターでは主人公ウイルの独白(ナレーション)で「ホルストックの国では、ワガママ王子ホルスを助け…」と語られるだけ。
と、なんとも勿体無い扱いである。

リメイク版

外見は金髪になっている。ゲーム上のグラフィック的には以前よりも更に幼く見えるようになった。もはや10歳ぐらいにしか見えない。
英語版での名前はHoward(NES版DW1の【よしりーん】と同じ)。ホルコッタの村人には"Howard, the coward"(臆病者ハワード)と洒落で呼ぶ者もいる。
 
SFC版では「『し』つこい」という言葉を「『ひ』つこい」と言う浪速っ子のような口癖があったが、リメイク版では「しつこい」に変更されている。誤植だったのだろうか?
また同行中のパーティー内会話では、他のキャラにツッコまれたりからかわれたりする→ホルスがリアクションを返す、という形で参加する。
中でも【バーバラ】からは終始からかわれっ放しであり、年の近い姉弟のようでたいへん微笑ましい。
仲間たちからの印象は最初はやはりヘタレ扱いだが、試練が進むに連れて次第に男として認められていく。
 
ちなみに、リメイク版では主人公たちが特に意味もなく樽を破壊する無法者になったため、樽に隠れている王子を見つけるイベントの会話内容が少し変わっている。

チャゴスとの比較

後のDQ8でも似たようなイベントが存在し、同作で連れて行くことになる【チャゴス】王子も「試練を受けるのが嫌で隠れる」「戦闘が怖くて逃げる&隠れる」「弱いくせに偉そうな態度を取る」など、ホルスと類似した点を多く持つ。
ホルスは上記のように5度も逃げ出しその度に探しに行かなければならず、プレイヤー側の手間がかかり、この点では、1度探すだけで良いチャゴスに劣る。
だがホルスは試練を終えた後の落ち着いた言動だけでなく、試練の最中にも徐々に逃げる距離が短くなっていく。
そして、しれんその3ではついに逃げ出さず(まぁ戦わずに観戦しただけだったが)、最後の滝の修行は自ら受ける等、確かな成長描写がある分チャゴスほど評価は低くない。
そもそもホルスの場合、逃げ隠れは主に怯えからくるものであって、自身に悪意は無い。
態度も偉そうではあるが他人を見下したり貶したりは基本的にしておらず、これも悪意は無い。
それに、洞窟の試練はムドーを倒した主人公一行でも力押しでは苦戦しかねない強敵ばかりであり、作中において相対的にはアルゴリザードよりも格段に強い。
これはチャゴスにも言えた事でもあるがホルスでなくとも恐怖を感じるレベルだ。
また滝の修行に挑もうと腹を括ったときは怯えがなくなった故に潔かったし、なにより滝の修行の最中に自分から逃げたりせず完遂し、最後は自力で試練を果たした。
その後の態度も、未熟さこそあるが王族らしい風格を垣間見せてくれる。
 
ひきかえチャゴスの振る舞いは、典型的な上流意識からの驕りや悪意に満ちたもの。
開口一番に主人公達を身分の低い輩と見下すわ、馬と化していた姫君が嫌がろうが無理矢理跨り、それを庇う父王にまで罵声を放つわと、プレイヤーにとってはただひたすら不愉快なだけ。
戦闘を最後まで主人公任せだったのはホルスと同じだが、アルゴリザードはホルスの試練に比べれば比較的簡単で、チャゴスほどのしぶとさがあれば充分な武器さえあれば自分一人で倒せるレベル。
その後も「(主人公たちが)試練を完遂したのに、もっと大きな成果(宝石)を欲しがる」「最後には金でもっと大きな宝石を買ってそれを堂々と自分の実績として公然に晒す」と、目先の見栄の為に更なる愚行を重ねて最終的にプレイヤーの努力を不要な物にしてしまい、プレイヤーや主人公達は勿論、父親にすら失望された。 
臆病者と卑怯者は似て非なるものと言えよう。