【チャゴス】

Last-modified: 2024-03-10 (日) 05:00:58

DQ8

【サザンビーク】の現国王【クラビウス】のひとり息子にして次期国王筆頭。つまりサザンビークの【王子】…なのだが、DQシリーズでも屈指のワガママ放題な人間。
王妃を亡くしたクラビウスによって甘やかされすぎたために現在の醜悪な人柄に育ってしまったようだが、それにしたって酷いアリサマだ。
 
性格としては、傲慢・下衆・卑怯…と嫌われ要素のバーゲンセール、容姿もチビ・デブ・ブサイクの三拍子がそろった、まさに「憎まれ役」の金字塔のような人物。主人公と比較すると身長は頭一つほど低いが、腹囲は3倍ぐらいありそうである。
父のクラビウスやその兄のエルトリオとは似ても似つかない容姿なので母親似なのかもしれない。
 
ちなみに海外版での名前はCharmles(チャームルス)。
だが城の人々からは影でCharm-less(チャーム・レス)、つまり「魅力なし」とうまいアダ名で呼ばれている。これは、いわゆる「白馬の王子様」のような童話における理想の男性像で「シンデレラ」などにも登場する"Prince Charming"のアンチテーゼでもある。
当の本人はフランス語風に「シャーム・レイ」と洒落た発音をしているが、ただの笑い種でしかない。
 
【トロデーン王国】の王女【ミーティア】は彼の許嫁である。
ふたりの婚約の経緯については、こちらを参照。
生後まもなく結婚相手が決められたことについて【ゼシカ】が尋ねたところ、幼いころはチャゴスも疑問に思ったことがあるそうな。
が、最近では「労せずして美人と名高いミーティア姫と結婚できるんだから、むしろありがたい」くらいにしか考えていないらしい。この件に関しては彼もミーティアと同じ境遇として、ポジティブに考えるのは良いとしても理由が「相手が美人と評判だから」で、しかも労せずと表現してしまう辺りに王族として意識が足りなさ過ぎる。ミーティアの方がどう考えているかは本編をプレイしていれば分かるが、肝心の相手の認識がこれでは……
なお【ククール】から「噂ばかりで本当は美人じゃなかったらどうするんだ」とのツッコミを受けた際にはひどく動揺している。
 
印象においてはDQシリーズでも屈指の憎まれ役であり、初見のプレイヤーから多くの憎悪を集めたことは想像に難くない。
主人公たちと敵対することこそないが、とにかくこちらを最悪な気分にしてくれるという意味ではDQ7の【レブレサック】(現代)の村長といい勝負である(もっとも、村長の場合、彼の立場から考えると言い訳の余地くらいはある)。
問題児王子はもはやドラクエのシリーズ恒例と化しているが、それぞれに問題を抱えつつも確かに誉める点があったりやがて立派に成長するのがほとんどであり、こいつほど美点のない奴はいない。
 
これだけでも相当気が滅入るだろうが、こんな奴が【主人公(DQ8)】とはいとこの関係ということが後々に判明する。
その事実に、度量の大きさでは他に並ぶものがないと言われるミーティアもさすがに閉口してしまい、自分を襲ってきて自爆した山賊を助けるぐらいに「人柄のよい青年」とされている主人公ですら、自身の出生が明らかになった際にショックを受けていた様子。
 
そんな彼の趣味は【ベルガラック】【カジノ】への通いつめ。
もちろん王様が許可するわけもないのでこっそり城を脱走して行っているのだが、趣味と言うよりストレス解消や現実逃避の意味合いが強く、本人なりに鬱屈した日々を送っている模様。
クラビウスの台詞から、家臣達や国民に陰口を叩かれていることもわかっているようだ。
ならばなおさら悔い改めるべきだと思うが…まあそれができないから彼なのだろう。
 
それにしても、モンスターが徘徊する中、どうやってベルガラックに行っているのか。【キメラのつばさ】【かぜのぼうし】でも使っているのか、人でも雇っているのか、あるいは後述の素早さと体力で全逃げ作戦で乗りきっているのか。
ともあれそのギャンブル好きのせいで、魔法の鏡を求めてサザンビークまでやってきたギャリングの刺客たちが、カジノ関係者であるゆえに門前払いされるというとばっちりを受ける事もあった。
挙句の果てには、ある市民から「下町のダメ親父みたい」とまで言われていたりする。仮にも主人公たちと同年代だというのに酷い言われようである。
 
また、自室には【ぱふぱふ】に関する本がある。
この年頃の青少年としては別におかしいことではないのだが、こいつの場合はその性格や本編での色ボケぶりから「気色悪い変態」という印象を抱くプレイヤーも多いはず。これが「普段真面目でイケメンな王子」とかなら印象が異なっていただろうが……。
 
まあエンディングの展開の都合上とことんまでに嫌われ者になる前提なので、美点皆無のダメ人間にされたのも仕方ないのかもしれない。

初登場

初めて訪れたサザンビーク城内では、「王者の儀式」について問題が起こっている。
「王者の儀式」とは、次代のサザンビーク王となる者が必ず通過しなければならないという重要な儀式であり、その内容は「【王家の山】へ行って【アルゴリザード】を倒し、【アルゴンハート】を手に入れてくる」というもの。王族にとっては、王位継承権を得ると同時に、結婚相手に贈る指輪の石を取るための行事でもあるらしい。
 
しかしこのアルゴリザードというのは、巨大なトカゲのような姿をした魔物。
チャゴスは大のトカゲ嫌いであるため、このアルゴリザードと戦う儀式を激しく拒んでおり、一室に立てこもる、タルに隠れて城を脱出しようとするなどの悪あがきを繰り返していたのだった。
 
ちなみにこいつがそこまでのトカゲ嫌いになった理由は、5歳の誕生日のときベッドに大量のトカゲを仕込まれていたせいらしい。そりゃ無理もない。
身分制度が存在している世界において、仮にも一国の王位継承権筆頭者であるこいつにこのような嫌がらせができてしまうというのは色々と問題に思えるが、もしかしたら当時から既に捻じ曲がった性格になっており、この程度の仕打ちを受けるくらいには疎まれていたのかもしれない。
なお、トカゲ嫌いになった理由を聞いた【ゼシカ】からは「誕生日プレゼントだったとか?」とコメントをされている。
 
儀式に呼び出されたチャゴスは玉座の間に連れてこられる最中に逃走、城の一室に立て籠る。立て籠っている部屋の入り口に行っても、「もしドアを破ったりしたらこの場で舌を噛み切る」と言われ、中に入ることができない。
臆病なこいつのことだから間違いなくただのハッタリだろうし、仮に本気だとしても後述のステータス的にその程度じゃどうってことないだろと言いたいところだが、ここで波風を起こす訳にもいかないので穏当な解決法を探すしかない。
城の魔法使いから「大きなトカゲを見た」という情報を聞けるので、トーポに壁の穴へ入ってもらい、彼のいる部屋の天井にいるトカゲを階下に落とせばたまりかねて部屋から飛び出してくる。
 
アルゴリザードは相応に強敵であり、しかもトカゲが大の苦手とくれば怯えるのは仕方ないだろう。…が、紆余曲折の果てにようやく玉座の間に連れてきても、主人公たちを見るや「身分の低そうなやから」といきなり見下される横暴なご挨拶がなされる。
父のクラビウスが王としての威厳を守るためにとっている尊大さと、チャゴスが取っている他人を安易に見下す下卑た態度は全く違う物であり、それらの区別がついていないのは、王族以前に人として重大な欠点である。また、その父が紹介した人物を即座に貶すのは父の顔に泥を塗る行為でもある。
 
本来なら一人で果たすべき試練に特別処遇で護衛をつけると言われても難色を示すチャゴスだったが、試練をこなした暁に結婚するミーティアはそこの女子に勝るとも劣らない【ぼん!きゅっ!ぼーん!】(3DS版では気合いの入ったボイス付き)だと聞いて鼻の下を伸ばしたところをそのまま試練に強制出発させられる。かくしてドラクエ史上最悪の護衛の旅が始まるのであった……。
 
なお、チャゴスが同行している間は【闇の遺跡】【ルーラ】しようとしても不思議なちからでかきけされ、強引に船で上陸しても闇の遺跡の手前でチャゴスに王家の山クリア前だから引き返せと言われ、王家の山クリア後に向かうと使えないやつだなと罵られてしまう。
これに限ってはチャゴスの言い分が正解であり、逆らおうとするだけ時間の無駄かつ精神衛生上よろしくないので、寄り道はしない方がいい。

王家の山

主人公の後ろについてくるので会話することもできる。まあ喋りたくもないプレイヤーも多かろうが、最初に遭遇するアルゴリザードに何度か逃げられているとその度にチャゴスの台詞が変化し、こんな奴だが意外にも面倒見が良いところが見られる。最後には人の話を聞かないやつだと呆れられてしまうが……。
バリエーション豊かなので、嫌でなければ一度は最後まで聞いてみるのもいいかも。…嫌でなければ、だが。
 
アルゴリザードや【アルゴングレート】との戦闘に限りNPCとして参戦するのだが、その際に見せるファイティングポーズは中々に独特なもので、これを見て気分を害するか、腹筋にダメージを負うかは人によるだろう。
アルゴングレートの攻撃を食らってもビクともしない強靭な肉体と、パーティの誰よりも早く逃げ出す【メタルキング】のごとき素早さを併せ持つが、武器と性格が災いし戦闘力へと発展しない。
一応戦闘に参加しリザードを倒して完了、と思いきやせっかく手に入れたアルゴンハートを「思ってたより小さい」「これでは誰も認めてくれない」などとのたまってあっさり投げ捨て、更に大きいものを見つけようと他の個体に狙いを変え、ゼシカを呆れさせている。宝石の本来の用途と、継承者の証としての一番のポイントが「苦労してつかみ取ったという事実そのもの」だということを理解していないようだ。
 
ちなみにイベント中は【ククール】に「トカゲが苦手だっていうが一太刀くらい浴びせる勇気はあるんだろうな?」と言われているが、その際に「腐っても王族だ。一太刀浴びせるくらいは(ry」みたいなことをのたまう。
「一太刀」の行どおり、確かに1ターン目のみ攻撃に加わってくれる。しかし呪文特技は一切使えず、通常攻撃のみで0か1ダメージだけしか浴びせられない上に、基本的には2ターン目で勝手に頭を抱えて逃げ出す。この逃走モーションは中々に見もの。
まれに味方の代わりに敵に狙われてくれることもあるが、なぜか主人公パーティとは別グループなので全体攻撃も一人で食らってくれる。正直これが彼の存在にありがたみを感じられる数少ない瞬間だろう。ケツを押さえながらバタバタする姿には「いいぞ、もっとやれ!」と敵を応援せずにはいられない。

ここまでなら、他作品でもいないことはないレベルであり、彼の動きのコミカルさと相俟って(1ターン目にアルゴリザードの攻撃を引きつけたりした場合は更に)、ドラクエ屈指の憎まれ役とまでは扱われていなかっただろう。しかし、コイツがその真価を発揮(?)するのはここからである。
 
一日中アルゴリザードを狩り続けるもチャゴスが満足する成果が得られなかったため、一行は山で野宿をするのだが……
翌朝になると嫌がるミーティアにムリヤリ乗ったあげく振り落とされて逆ギレ、躾と称して彼女を鞭で打とうとし、娘を庇って自ら鞭を受けるというトロデに躊躇なくそれを実行しようとする。
 
トロデは醜い怪物の風貌で(街に入って騒ぎになったこともある)、ミーティアに至ってはどう見たって完全に馬の姿であった(ふしぎの泉のイベント後に話しかけるとパーティメンバーですらも本当に姫なのかと疑っていたことが判明する)ゆえ、特にサザンビーク相手だと国家威信に拘わるとしてその正体は明かしていなかった。故に事情を説明されていないチャゴスが二人が自分の許嫁とその父親だとわからなかったのは仕方ない。
だが、人を乗せられないと言われた馬に強引に乗馬しようとしたのを叩き落とされたのは完全な自業自得であり、その非を省みないどころか逆恨みを募らせミーティアや彼女を庇ったトロデに暴力を振るおうとしたのは流石に横暴である。
 
劇中屈指の腹立たしい一幕だが、最後の土壇場でミーティアとの結婚を阻止する選択に繋がると思えば、こうしてチャゴスの腐りようを目の当たりにできたのは、ある意味王者の儀式における最大の成果だったかもしれない。

試練後

主人公らがアルゴングレートを倒して【大アルゴンハート】を手に入れるとようやく満足してくれて狩りは終了、サザンビークに帰還したご一行。
時間帯が夜だった場合には宿代を自分の伝で無料にするほどご機嫌な彼なのだが、そんな些細な恩など吹き飛ばして余りある愚行に出る。
儀式の完了報告をすっぽかして町のバザーへ繰り出したと思えば、なんと闇商人から巨大なアルゴンハートを購入してのけるのだ。
それを目撃した主人公達に悪びれることもなく「僕はこれを持って城へ帰る」「皆の称賛を浴びる僕の姿を見たければ城に来るがいい」などと抜かし、主人公達が苦労して手に入れた大アルゴンハートは「もういらない」と、あっさり突き返してしまう。
どうせ金を使うなら口止めを兼ねた謝礼として主人公達に寄越すべきだとか、せめて試練達成の準備金に充てろと言いたくなるところだが、最早潔さすら感じさせるほど恩知らずな行動の前にはその手の文句すら出ず、仲間たちも唖然。

「ああ もうサイテーでがす。 最後は 金のちからで解決でがすか。」(ヤンガス)

「私 信じられないわ。 最後の最後で チャゴス王子が あんなことをするなんて。
王家の山まで行って アルゴリザードと 戦った私たちって いったい なんなの……。」(ゼシカ)

チャゴスはこの行為により、「協力者がいたものの王家の儀式を完遂した」という、唯一得られるはずだった評価点すらも自ら捨て去ることとなった。
クラビウスは息子の帰還を待ちわび毎日城のテラスからずっと町をスコープで眺めていたのだが、そのせいで闇商人に関する一部始終を見てしまった。その時の彼が人生屈指であろう失意の表情を浮かべた瞬間の心情は察するに余りある。

一方、ククールはというと

「ふぅー よかったぜ。
チャゴス王子に あの商人の 口封じをしろとか 命令されなくてよ。
口封じなんて なんぼなんでも 後味悪すぎるしよ……たとえ命令されたって こればっかりは 従う気はなかったけどな。」

…と、別な方向の心配をしていた。
もしチャゴスが冷酷で用意周到な人間だったら、商人どころか彼等の命まで危ぶまれていたかもしれない…。

その後は、臣下達の前であたかも自分の手柄と言わんばかりに購入した大アルゴンハートを見せる。
不正を知るクラビウスはこの場面にて、

「チャゴスよ。これは お前が 倒したリザードから 得たものであると 神にちかえるだろうな?」

「仮に 協力者が居たとしても お前が戦って これを手に入れたのなら わしは お前のちからを認めるだろう。

だが それ以外の方法で 手に入れたのなら わしはお前を認めん。今いちど 問う。戦って得たのだな?」

と逃げ道を用意し念を押した上で二度質問する。
チャゴスはほぼ人任せとはいえ確かに試練を果たしていたので、父の質問の意味を察して全てを素直に白状していれば周囲の人望や信頼をつなぎ止める事はできただろうし、自らが生まれ変わる切っ掛けにすることもできただろう。(儀式で手に入れた大アルゴンハートは主人公達に押し付けてはいたが、父と取引をしていたのでこの時点ならまだ取り返しはついた。)
 
しかしチャゴスは少し焦った様子を見せるも質問に「は はい。その通りです!」と返す始末。
目先の見栄と自己保身に呑まれたその浅はかさに、クラビウスから眼前で(仕草だけとはいえ)落胆されてしまう。一縷の望みをかけた親心すらたやすく裏切られての動きは小さなものだったが、見ている側としては非常に痛ましい。
クラビウスは失望しつつも嘘を指摘せずその場からうなだれて離れていく。
 
父や並居る臣下を前にして真実を言い出せなくなってしまった……とかだったならば、引き返しようのない状況であったためにまだ同情の余地はある(DQ11の【ファーリス】がこの動機で見栄を張っていた)。
だが、クラビウスから提示された条件での儀式は完了しており、充分な成果を報告することが出来た上で、それを放棄して更なる見栄の為に不正を犯したとあっては、到底正当化できるものではない。
しかも落胆する父の様子などお構いなしにその後もチャゴスは闇商人から買い取った大アルゴンハートを自力で入手したと偽り、臣下や来客に見せびらかし自慢し続けていた。
全うなプライドないし良心の欠片があれば、金で買い付けたアルゴンハートを「戦って勝ち得た」と言い張り、堂々と見せびらかす真似など、とてもではないができたものではない。
つまり上記の場面では、周囲の目を気にして本当の事を言い出せなかったわけではなく、ただただ自分をよく見せる為に嘘をついていただけだったのだ。不正行為に何の後ろめたさも感じていなかったことや、儀式をほぼ肩代わりさせた上に散々に振り回した主人公一行に対して一片の申し訳なさも覚えていなかったことはまだ予想の範囲内でも、護衛に任せきりだったとはいえ間違いなく戦いには出向いた自分自身をも平気で裏切った様は、批難の言葉にも困るだろう。
そもそも、アルゴンハートを持ってきたのに「アルゴリザードと戦ったのか」などと、今さらにも程がある質問をされたことに引っかかりを感じていない時点で愚昧である。人並みの知恵があれば、「城の人間に目撃されたか主人公達に密告されたかで、闇商人から大アルゴンハートを買ったことがバレているのではないか?」と勘付きそうなものなのだが…。
 
クラビウスはその後主人公達を問い詰め真実を知ることになる。そしてあまりにも未熟で浅はかな行いをしたチャゴスを「王位を継ぐどころか嫁をめとることすらまだまだ早い」と評したのだった。
というか、この国辱と言っても過言ではない振る舞いが正せないうちは、王族として人前に出すことすらとんでもない。
一方チャゴスは父の視線がおかしいと感じつつも自分の不正がバレているとは夢にも思っていないようだ。
 
なおヤツの同伴者扱い&自身も協力者がいたとはいえ、きちんと王家の儀式を完遂した(アルゴングレートを倒して入手した大アルゴンハートをクラビウスに提出した)主人公は、後々この事実が役に立つこととなった。

戦闘能力

上記の戦闘に参加するにあたり、コイツにも内部ステータスが存在する。
アルゴリザードにすら0か1ダメージしか与えられないのでどうせそれ以外も大したことないように思えるが、あの伯父の一族だけあって実は意外なほど頑強に設定されている。
 
データ解析によると、ステータスは攻撃力63・守備力130と、見た目に反して意外に高い数値。
装備している【せいなるナイフ】の攻撃力(14と仮定)を差し引いても力は49で、主人公と比較するとLv18に相当する怪力であり、長年城の兵士をしてきた主人公の初期値の6倍もある。
守備力は【きぞくのふく】程度の軽装でこの数値なので素の身の守りだけで100前後と推定される。これはパーティメンバーのLv50台後半~Lv60に相当。
すばやさに至っては255とメタルキングと並ぶ数値で、パーティで最も素早いゼシカのLv90以上に匹敵する。
守備力はともかく、あの肥満体のどこから目にも留まらぬ瞬速をひねり出しているのだろうか…
地味にゴリラ並みの力でもあるので力士のように服とぜい肉の下は筋肉の塊なのだろうか。
 
さらに驚くべきはHPであり、なんと20000もある。
全モンスター中トップの【深緑の巨竜】(8200)の2.5倍にも迫る驚異的な数値(DQ7以降に登場するステータスが閲覧できないタイプの【NPC戦闘員】には珍しくないが)。
本人の気質を考えれば、努力の賜物ではなく、確実に天性の才であろう。
腐っても王族と自称しているが、確かにとても一般人の領域ではない。
【竜神の道】を単騎で踏破寸前まで進んだ伯父といい、この一族はいったい何者なのだろうか……。
似たような能力値に【サンドバッグくん】がいる。
 
どうやらステータス異常も完全無効のようで、【おどかす】を利用して戦闘を引き伸ばしてみても、アルゴリザードの【もうどくのきり】【おたけび】をちっとも食らわない。
特に苦手なトカゲの雄叫びに全く腰を抜かさないのはかなり意外である。
城の兵士から【はぐれメタル】呼ばわりされるだけのことはあるというべきか。そんな硬さと耐性があるなら逃げずに最後まで戦うこともできただろうに。
すぐに逃げ出すから「はぐれメタル」なのかもしれないが、こいつに本物のはぐれメタルのようにわざわざ探し求めたくなるような魅力やメリットはあるまい。
 
チャゴスがどこまで性能の良い武器を装備できるのかは不明だが、武器さえしっかりしておけばアルゴリザードおよびアルゴングレートにも、その高いHPにものを言わせて粘った末にきっと勝利できたことだろう。
理論上ははがねのつるぎ程度でアルゴングレートとタイマンを張っても約150ターンで殴り倒せるので、アルゴングレートの強化攻撃を200発以上耐えられる彼が普通に戦えばまず間違いなく勝てる。
 
逆に、彼に現在以上の武器が装備できないならアルゴリザードにすら勝つのは無理。
アルゴリザードのHPは472だが、対するチャゴスは呪文特技は一切使えず、唯一の攻撃手段である通常攻撃も会心が出ない上に精々1ダメージしか通らないからだ。
ミス無く1ダメージずつ与えられたとしても最低472ターンかかるし、実際には攻撃力が低すぎて半分近い確率でミスになるので、およそ900ターン以上はかかる計算になる。
対してチャゴスの被ダメージは平均で50。20000のHPも、400ターンで削り切られてしまう。アルゴリザードが500ターン以上もうどくのきりやおたけびをして無駄行動しない限りは倒せない。
もっとも、王家のツテや財力で【超万能ぐすり】【せかいじゅのしずく】等の強力な回復アイテムをいくつか用意するとか、武器攻撃の代わりにダメージソースとなる道具を確保すれば充分に勝ち目が出てくる。
仮に後者の手段を取る場合、手頃な価格(1300G)で市販されている【まどうしのつえ】でも威力11~22、最低値のダメージで計算してもアルゴリザードを倒すまで僅か43ターン(HP1390のアルゴングレートでも127ターン)、回復無しでも余裕でごり押しできる。
打つ手なしというわけでもないのだ。
 
ただ、このデータはチャゴスの人となり等を度外視しても、人間離れしすぎている(特にHPに至っては上述の通りで、「魔物離れ」の領域)。
そもそもまともに戦わせるようには組まれていないので、彼のパラメーターはほとんど意味のない設定に過ぎない。すぐ逃げ出す都合上HPや守備力も敵の攻撃2、3回分耐えられる程度あれば充分だし(いっそ毎回一太刀入れた後でカウンターを受けて気絶でもすれば可愛げもあったか)、どうせ0か1ダメージしか与えられないのだから攻撃力も63だろうと0だろうと変わらない。なぜこんな能力に設定されたのかは謎である(絶妙に役に立たないハイスペック、というのを狙ったのだろうか?)。

仮にこれらの数値が『生まれ持った才能』だとしても、それを鍛練して更に高みを目指す心意気や誰かのために役立てる気などは毛頭もなく、王家の権力や財力を利用してでも足りないところを補って困難を乗り越えるといった気概もないので完全に宝の持ち腐れであり、「やればできる奴」ではなく「なにもせずに腐らせる奴」でしかない。
むしろ本人にやる気があり、まともに持ってる物を活用して工夫すれば自力でどうにかできたという事実は、上記のイベントで振り回された主人公一行(とプレイヤー)の徒労感を一層際立たせることだろう……
 
ちなみにアルゴリザードやアルゴングレートを1ターンで倒した、あるいは【チーム呼び】や猛毒+【おどかす】でチャゴスが逃げる前に倒した場合は、ちゃんと勝利ポーズが見られる。
さらに瀕死モーションまでしっかり用意されており、死亡させた場合は途中で逃げ出す都合上モンスター同様消えて無くなる。
気になる人は動画サイトなどで見てみると良いだろう。

エンディング

かねてからの婚約どおりにミーティアと結婚することになる。
当然と言えば当然だが「王者の儀式」のときから全く成長しておらず、ミーティアに対してはキザな台詞を吐く一方、ミーティアの護衛で訪れた主人公一行のことは相変わらず下賎な者扱いして盛大に罵ってのけた。
その態度には日頃温厚な【ヤンガス】が面と向かって皮肉をぶちまけ、逆に随所で頻繁に皮肉を喋ってきた【ククール】に至ってはもはやお得意の皮肉も出ないのか、宿屋で拳を机に叩きつけ激昂するなど、仲間達もついに堪忍袋の緒が切れた様子を見せる。
 
特にククールは結婚式前夜に「姫の幸せを守るのも近衛隊長の仕事だと思うんだがな」(アルゴンリングを所持している場合は「それをクラビウス王に見せてみたらどうだ」)、式の当日に「お前が何かするつもりなら力を貸すぜ」などと言い放ち、主人公をけしかけたほど。
遠回しな皮肉ではなくストレートに実力行使を提案してくることから、その憤りの深さがひしひしと感じ取れよう。
彼の場合はクソな男に振り回されて地獄を見た女性を身近に知っている分、特に思うところがあるのだろう。
 
実は儀式が済んだ後にチャゴスの部屋に行くと、

「ありがたく思えよ。 お前たちのような 平民ふぜいが
王族の結婚式に 出席できるんだからな。」

と、「(本当は嫌だが)自分の結婚式に主人公達を招待してやる」と言わんばかりの台詞を聞くことができた。
傲慢な口ぶりながら、儀式の一件で本人なりに恩義を感じていたと受け取れなくもない言葉だったのだが、いざその時が来てみれば、自分が言い出した約束すらあっさりと反故にしてのけており、実際には微塵も恩義を感じていなかったようだ(アルゴンハートは結局買った物を提出したので、わざわざ王家の山まで出向く手間など必要なかった=主人公達は何の役にも立ってないので借りも恩もない、くらいに考えているのかもしれない)。コイツらしいと言えばコイツらしい。
 
筆舌に尽くしがたい恩知らずなのは確かだが、同時に自分が見下している相手に最大の弱みを握られているのをわかっていない愚鈍さも晒している。
もし主人公達がそれを周囲にバラしたら、こいつはもう回復不可能なほどに信頼を失うのだ。もちろんアルゴンハートを購入したゴロツキにも秘密を握られているわけだが、あちらはウィンウィンの共犯関係にあり、チャゴスを陥れる動機はない。
まして主人公は単なる旅人同然であった以前と異なり、トロデーン国の近衛隊長という、普通に考えれば叩き上げであるが爵位を賜って社交界に関わりだす地位にまでのし上がっている。成り上がりの末席だろうとここまでくると他国の王族でももはや無碍に扱える立場ではないし、それを知らないにしても婚前の姫の護衛が一介の兵士であるはずがないことぐらいは理解できよう。
それに加えて主人公は暗黒神を討ち倒して世界を救った英雄であり、各国の有力者にも面識や恩があるのに対して、自国ですら信用の無い彼が「そいつの言ってることはデタラメだ!」と揉み消そうとしてもどちらが信じてもらえるかはお察しである(こいつなら「王族の自分が嘘だと言えば通じる」とでも思っていそうだが)。
さらに、王子と家臣がトラブル起こせば出てくるであろうクラビウス・トロデの両国王がチャゴスの不正の事実を知っているし、もっと言えばサザンビーク側の一部の家臣にも不正は知れており、トロデに至っては怒りまで買っている。
もはや誰一人として庇護してくれる者もない完全な四面楚歌だとも知らず偉ぶっていると思うと、ククールのような【冷たい笑み】が浮かぶ。
 
最後の最後までダメ人間を貫いたチャゴスだが、因果応報とはよく言ったもの。
2種類あるエンディングではいずれも手厳しい目に遭い、とうとう年貢の納め時を迎えた。

 

  1. ミーティアに逃げられたうえ、父直々に「王者の儀式」の不正を叱責される。
  2. 衛兵たちに取り押さえられ、主人公にミーティアを奪われてしまう。

 
特に1のエンディングでは、逃げることを決心したミーティアに

「あんな王子と 結婚するくらいなら お馬さんのままのほうが よかったくらい!」

とまで言われてしまう始末。
本気で人間の姿に戻りたがっていたミーティアをしてここまで言わしめるのも、ある意味あっぱれである。
 
この婚儀を決めたトロデですら、

「やはり チャゴス王子なんぞに かわいいミーティアを やれんわい。
もはや 国のメンツなぞ どうでもいいわい。だからお前は ミーティアを連れて 逃げてくれ!」 

と言ってミーティアの逃亡を幇助する始末。
トロデはさらりと言ってのけたが、「国のメンツ」とは社会の中でその国が生き延びるために最も必要で、失えば国を滅ぼしかねないステータスのため、国王である彼が「どうでもいい」などと切り捨てていい代物では到底ない。また、王族間の結婚を蹴り飛ばすような真似をすれば国際問題は確実で、戦争の引き金にすらなり得る。
しかしそんな爆弾発言すら躊躇なく口にできてしまえるほど、王家の山での仕打ちが腹に据えかねていたのだろう。
まあ、チャゴスからの仕打ちを抜きにしても儀式の不正は双方の国王が知っている訳だし、チャゴスの素行不良に至っては臣下や国民にまで知れ渡っているので、トロデーンが一方的に非を咎められることはなさそうだが。
むしろ民衆の間では「リスクを犯してまで愛する子を守った」という具合で、美談として広まるかもしれない。
 
2のエンディングでは、チャゴスの寝室に行くと

「……ぐふへへ ミーティア。 大丈夫 大丈夫だよ……ぐうぐう。」

という寝言を聞ける。
おそらくは結婚初夜の夢でも見てるのだろうが、何がどう転ぼうとコイツの夢が現実のものとなることは永遠にない。

仮にミーティアと彼自身(とクラビウス王)のためにも、結婚式までに褒めるところが一つくらいできていて欲しい、と王家の山でのイベントの後に願っていたプレイヤーがいたとしても、流石にこの様を見せつけられては見限るだろう。

3DS版

CV:宮田幸季(後の【邪神ニズゼルファ】【ナラジア】役)
彼のナイスな演技によって見事なまでにこいつの腹立たしさが引き立っている。
トーポでトカゲを落とす前に穴を覗き込むと視れるシーンが最初のボイス付きシーンなのだが、恐らく多くの人はそちらには気付かずにトカゲ落下後が初めて声を聴く場面になるだろう。非常に長く尾を引くその悲鳴は一見ならぬ一聴の価値あり。
 
NPC戦闘員時の自慢?のHPと素早さは新たに追加された裏ボスに抜かれてしまったが、3DS版ではひっそりと彼のタフネスぶりに強化が加えられており、
『現在HPが最大HPの半分以下の場合、ターンの最後に999【自動回復】という処理がひっそりと追加されている。
PS2版では守備力390(この時点ではレベル99のヤンガスかククールにこの時点で手に入る最高の防具を揃え、かつ道中で拾えるまもりの種を全て投与してようやく達成できる数値)のキャラを用意し、ひたすら『にげる』か『おどかす』を繰り返せば、チャゴスは逃走の暇も与えられず、こちらのキャラより先にチャゴスが被ダメージが積み重ねなり倒れる……というシーンが見れたが、
3DS版では上記の自動回復により、与ダメージが高くて90程度のアルゴングレートでは回復量を上回る事が出来ずに、いくら戦闘を長引かせようが絶対に倒れないように強化(?)されている。
この回復処理を上回るには1ターンで1000以上のダメージを与える必要が有るが、本作の敵モンスターでそれが可能なのは、【永遠の巨竜】のテンションため通常攻撃・追憶ボスの痛恨連発・エスタークの【必殺の一撃】くらい。
これらの連中も実際には行動ローテや乱数の問題で毎ターンこの行動を取る事は実質的に不可能である為、
理論上は追憶ボス・エスターク相手でも回復処理を盾に1ダメージの積み重ねで勝ててしまう……という事になる(ラプソーンや白銀の巨竜等・回復技持ち相手には決着のつかない泥試合化するので不可)。
 
新たに追加された「ゼシカルート真ED」では、更に因果応報な結果となる。
婚儀に参列した招待客の前でクラビウス王直々に婚約破棄発表となる上、王家の儀式の不正も暴露される。
なお、この婚儀はクラビウス王の甥である【主人公】と、【ゼシカ】のものとして執り行われることとなる。参列した招待客たちも置いてけぼりの急激な展開だが気にしてはいけない。
そして父は

「おまえが 嫁をめとるなど 十年早いわ!

と一喝。
というかこんなザマでは嫁取り以前に王子としての肩書を背負うことすらおこがましい。
例え主人公がミーティアと結ばれなかったとしても、心底悔い改めない限りチャゴスとミーティアが結婚できる日は百万年たとうが来るまい。
 
ちなみにゼシカルート真EDでは、結婚を破談にしてもらったミーティアが主人公に感謝を告げる一幕があるが、その一部始終を自らが目の当たりにするという報いも受けている。
さらに英語版のこのシーンでは、ゼシカが「ミーティア姫の結婚が無くなったから代わりに自分の結婚式をやる」という話を最初「姫の代わりに自分がチャゴスと結婚させられる」と勘違いして「それなら死んだ方がマシだと伝えた」という風に、やはり本人の前で語っている。
ミーティアとゼシカ、2人がかりの痛恨の一撃はさすがにヒドい気もするが、2人ともチャゴスの醜態を間近で見ているので……。
 
【写真クエスト】の被写体にもなっているのだが、その題名が「世紀のダメ王子」。
【フォート】の依頼文も何とか表現を取り繕おうと苦心しているのがありありと窺える。
イベントの関係でなかなか写真を撮る場面に恵まれず、闇商人から特大アルゴンハートを買い取る場面が初のシャッターチャンスのように思われるが、クラビウス王に話しかけるまでは自分の部屋にちゃんといるので、そこで写真を撮ることが可能。
ちなみにスタンプの数は最高の3つ。いくら高貴な身分とはいえ、何でこんなヤツが……。

総評

本作では彼以外にも【ハワード】【ニノ】など、初登場時点では人間のクズのような一面を見せるキャラクターがいるが、どちらも紆余曲折を経て改心し、主人公らに協力してくれる。
だが、チャゴスは彼らと違って初登場からエンディングまで全く改心・成長描写がない。
巨悪となって敵対する【マルチェロ】【ドルマゲス】ですら、最初から悪だったわけでなく、彼らなりに強いコンプレックスを抱え、苦悩し努力した結果、悪い方向に向かってしまった。加えて3DS版では、マルチェロにはいくらか名誉を挽回するイベントが用意され、ドルマゲスも劣等感や師匠とのすれ違いに苦しんでいた経緯が明かされるなど、多少は同情できる部分があると思わせるイベントが追加された。
ところが、チャゴスにはそうした背景も追加要素も一切ない。同様に「救いようのないダメなやつ」といえば、ある意味チャゴス以上に気持ち悪く他人を苦しめていたという【ドニの領主】がいるが、彼は作中で既に死んでいるため、プレイヤーがその行為を実感することはない。
 
ドラクエシリーズでは性格に難のある、あるいはダメ王子は恒例化している節がある。
【ヘンリー】も最初は問題児という印象が強かったが、それは実母を亡くし多忙な実父に構ってもらえなかったことや継母に冷遇されたことへの欲求不満からの言動及び行動であり、主人公と共に奴隷生活を過ごした後は自分を救うために命を落とした【パパス】に対しても謝罪の言葉を述べるなど素直で誠実な人柄へと成長を見せている。
また、【ホルス】【ファーリス】は未熟な王子に代わって試練の代行を行うことになる点ではチャゴスと同じである。
しかし、ホルスはチャゴス同様試練ボスとの戦いを終える度逃げるが単純に臆病であるがゆえ(更に試練ボスは魔王を打倒している主人公パーティから見ても充分に厄介な強さ)であり、最終的には試練をやり遂げ、父に「(協力者がいないと試練を克服できなかった自分は)王位に就くのはまだ早い」と自らの未熟さを自覚してはっきりと意思を示し、主人公達に感謝の意を示した。元々、臆病でいたずら好きの点を除けば彼の人格を慕う人物もちらほらいる。
ファーリスが嘘とごまかしを重ねていたのは親からの過保護な期待と国民を裏切りたくないという一心ゆえであり、未熟なために抜け出せずにいたがその現状に満足していたわけではなかった。【シルビア】の激励によって奮起し、未熟ながらも立ち上がる意思を示して見せた。
それを期に真面目に鍛練に励み、最終的には危険物の真下で寝転がったりする胆力まで身に着け、兵士のことを考えて増強作戦を練ったりもするなど、DQ11では一番の成長を見せたキャラクターと言ってもいいくらいである。
このように三者共に主人公との付き合いによってはっきり成長したため、「主人公達の戦いを無下にする不正行為を一貫して働き続け」「エンディングまで全く成長していない」チャゴスの酷さが際立つ。
 
これはひとえに、チャゴスがエンディングを綺麗にまとめるのに必要な憎まれ役であるため。
こいつが擁護の余地が一切ない下衆だったおかげで「王族の結婚式をぶち壊す(通常END)」「結婚式で花嫁を奪ってその場で結婚する(ミーティア結婚END)」「主催者そっちのけで他人同士の結婚式を決行する(ゼシカ結婚END)」というそれぞれの展開が周りに認められる良展開となるのである。
もしもチャゴスがまともな人間だったり儀式を通して少しでも成長したりしていたら、トロデとミーティアが結婚を拒絶することや、主人公達が式をぶち壊しにすることはなかっただろうし、儀式で不正を犯していなかったらクラビウスが主人公の出自を知らされたところで考えを改める可能性もなかったことだろう。そうなると、上記のような展開が成立しなくなる。
別の人との結婚式の場面で花嫁を主人公にかっさらわれるという展開はラブストーリー物の定番の一つではあるが、その相手の面目を完膚なきまでに潰すことになるので、しばしば勝手すぎるとの批判の声が起こりがちである。
本作のエンディングの締めもそうした類型にのっとったものであるが、ぶっちゃけてしまえばチャゴスを同情の余地のない悪役とすることで、そういった問題を解消しているのだろう。
 
なお、DQ10では【シラナミ】という、チャゴス同様に花嫁を奪われる悪役が登場している。
ちなみにシラナミには後にストーリーがあり、そこである程度改心している。

余談

サザンビーク城内にはクラビウスとチャゴスの立派な肖像画がある。画風が似通っているのでおそらく同じ画家が手掛けたものと思われるが、クラビウスがかなり忠実に描かれているのに対し、チャゴスの方は本物とは似ても似つかないやたらスマートなイケメンに描かれている。共通点は髪型と服装ぐらい。
痩せれば見た目だけはかっこよくなれる可能性もあるが、現在のアリサマを見る限りは捏造以外の何物でもない。
「DQ8のあるきかた」では「チャゴスの心根を象徴するモノ」とし、これが撤去されない限りチャゴスは王位を継げないと評している。
 
3DS版ではこの肖像画も写真クエストのお題になっている。
依頼文曰く、高名な画家の描いた素晴らしい出来栄えの絵とのこと。
確かに絵自体は素晴らしいのだが、それがモデル本人とかけ離れた虚像に過ぎないというのは、何とも空しいものがある。
実際のチャゴスを見たら、極端に美化して描かせたことが露見して余計な顰蹙や冷笑を買うか、逆に本人と気づかず「誰だこのデブは」となるのがオチだろう。絵に描いた餅とはまさにこのこと。
なお、前出の「DQ8のあるきかた」では、複雑な表情を浮かべながら肖像画を手掛ける画家の姿も描かれている。
「高名な画家」はその表情にどんな気持ちを込めつつ、この絵を描いたのだろうか……。
 
ちなみに王侯貴族などの肖像画が本人より美化して描かれること自体は別に珍しい話ではない。
戦国武将を例に取れば、伊達政宗は隻眼がコンプレックスであったため肖像画には両目を入れるようにと言い残し(眼帯はせず常に両目とも見せていたらしいが)、豊臣秀吉はヒゲが薄く大名の威厳に欠けることを気にしてわざわざ付けヒゲをしていた(もちろんヒゲは地毛として描かせた)とされる。
王室たるもの求心力が必要なので、イメージアップのためにも少々の美化はそれなりに有効だが、チャゴスの場合はもはや別人レベルで美化しすぎてしまっており逆効果である。
「あえて似つかわしくないほど美化された絵を飾ることで絵に相応しい人物になろうとする」といった殊勝な心がけでもあるなら別だが、不正を犯してまで見栄を張る程に虚栄心が強い点を鑑みれば、描かせた絵で満足して終わっていることは論を俟たないだろう。

DQ11(PS4版)・DQ11S

真エンディングにおける【ドラゴンクエストシリーズ】名場面集の映像の中でまさかの登場。
降ってきたトカゲに驚いて逃げ出すシーンが使われている。

トレジャーズ

お宝として【チャゴス王子の像】【ある王子の肖像画】が登場。

ライバルズ

2019年8月発売の第8弾パック「一獲千金!カジノパラダイス」にて、僧侶専用レジェンドレアとして登場。ちなみに同期にはセラフィがいる。
ボイスは3DS版と同じく宮田幸季。イラストはトカゲのあのシーン。

コスト2 2/2 冒険者
召喚時 GET(1)
BET 速攻を得る
このユニットが相手の攻撃対象になったとき手札に戻る

GETとは今弾における新要素の「【コイン】」を手札に加えることであり、こいつにコインを使う(BET)ことで低コストながら優秀なスタッツの速攻ができ火力増強に役立つ。見た目によらず非常に素早い事やカジノに入り浸るチャゴスらしい要素といえよう。
さらに発表当初は「絶対に倒せなさそう」「体力は20000か?」などと言われたが、攻撃対象になると戦闘が発生する代わりに絶叫しながら逃走して手札に戻ってしまうという形で逃げ足の速さと「倒せない」をも再現した。【スライム】【犬】にすらビビって逃げる。これを上手く使えば手札のコインをさらに増やすこともできる。
ただし自分から攻撃した場合の反撃、特技などのダメージは普通に食らうので死なないわけではない。
 
認めたくはないが一応味方側の人間であるため冒険者に分類される。とはいえこれはかなりの強み。冒険者のシナジーを意識するデッキであればほぼ必須。
 
総じて原作リスペクト度が高い上にボイス以外は地味ながらも優秀な効果が揃い、原作のダメ人間から一転して速攻にコイン稼ぎにと働き者で、様々なデッキに組み込まれている。