【グランバニア大臣】

Last-modified: 2023-06-06 (火) 20:28:29

DQ5

【グランバニア】【大臣】
英語版ではJeevesという固有の名前が付いている。
 
数年前に【国王】に即位した【オジロン】の優柔な人柄を利用して実質的に国の実権を握り、「あれではどっちが王様かわからない」と兵士がぼやくほど威勢を張っていた。
また、先代国王である【パパス】が旅に出た頃から大臣の地位についており、パパスが不在になってから増長し傲慢な態度をとり始めたことが住民の話として聞ける。
パパスの息子である主人公が国に帰還しオジロンが王位を譲ると言い出したときは自身の権力に影響すると考えたのか露骨に嫌がる態度を見せる。夜には城内に入らせないなど、態度だけでなく実際の行動からも主人公への嫌悪感があることが読み取れる。
 
その際、魔物の巣窟となっていることを知っていながらも国のしきたりとして主人公を【試練の洞窟】に挑戦させ、【カンダタ】を刺客に雇って抹殺を図った。
それが失敗すると今度は即位式の手筈を買ってでた際に、宴で振舞われる酒に眠り薬を混ぜ住民を眠らせ、魔物たちを手引きするなど、主人公の妻が誘拐される事件にも関わり暗躍する。
しかし結局のところ彼は魔物にいいように利用されていただけでしかなく、あっさり裏切られることとなってしまう。
【デモンズタワー】で瀕死となって打ち捨てられていた彼は主人公に発見され、最期の瞬間には自分の行動を悔いて主人公に謝罪して死亡した。
 
主人公が8年間石化してしまったことの間接的な元凶にもなっている。
ちなみに10年間ドレイにされた元凶は【ラインハット太后】であり、どちらも魔物ではなく権力に囚われた人間(しかも王に近しい人)が元凶となっているのはなんとも皮肉な話である。
 
「王族の暗殺」という目的はラインハット太后と同じだが、「人間のゴロツキ」にピンポイントでヘンリーの誘拐を依頼したらそのバックに魔物がいただけの彼女に対し、彼は明確に魔物とわかる相手に依頼している。
しかも、大臣本人がそれを知っていたかは不明だが、その魔物の親玉は先王パパスの仇一味である【ジャミ】であった。
上述の通り国の守りを一時的な機能不全にまで落として国内に魔物軍の介入を招いており、外患誘致そのものである。
死ぬ間際に自身ではなく国の運命の心配をするなど愛国心が窺える台詞もあるものの、結局は自分の権力を優先していたと言えるだろう。
また、主人公が現れたときに急遽魔物とコンタクトを取ったとは考えづらく、主人公がグランバニアに現れる以前からデモンズタワーの魔物と交流していた可能性すらある。
また作中での【ドリス】【サンチョ】、兵士や国民の台詞からは彼への否定的な評価がうかがえ、主人公の妻がさらわれた時もある国民は大臣の犯行を疑うなど人望はかなり低い。
【男の子】も大臣は悪人と教わったようだが、主人公から死んだことを聞かされると流石に「かわいそう」と同情する。
 
上述の通りパパス不在の間の20年程度政治を取り仕切っていたと考えられ、オジロンが全幅の信頼を置いていたことや、不人気ではあっても悪政を敷いていたわけではないことから、無能、冷酷な人物ではないことは伺えるが、自身の権力を保持するために魔物の力を借りてまで主人公を排除することにこだわり続けた挙句、殺されてしまった事実が彼の器量の限界や欲の深さも示している。
大臣は魔物を上手に利用していたつもりだったのかもしれないが、ジャミら魔物共は一介の大臣の手に負えるような存在ではないことに気づかなかった。
彼は己の不明と器量の小ささをその命で思い知らされたのである。
 
なお、主人公に刺客を差し向けて直接的に殺害を企てたのはわかりやすい行動だった一方、妻の誘拐の方は疑問が残る。
主人公は護衛共々薬で熟睡しており完全に無防備だったのにそれを放置し、お付きの者も含めて普通に起きていた妻の方だけを誘拐するのは回りくどい上に非効率としか言えない。
また、「即位式の準備をする」と言った直後から行方を眩まし、大臣という重要な立場でありながら即位式や直後の宴にも姿を見せないなど、内政的にも露骨に疑われる行動を取っている。
このあたりの不可解な行動については、どこまで大臣の意図に沿っていたのかは不明。
ちなみにジャミは王妃を誘拐して主人公を誘きだし、これを始末した上で自身が大臣になりすまして国を牛耳るという筋書きを描いていた模様。
しかし上記の謎行動で疑われている可能性が高い大臣に成り代わるのはかなり無理のある作戦である。
さすがに不自然すぎるからか、リメイク版では主人公になりすますという妥当な作戦に変更された。
その場合には口封じと同時にすべての責任を大臣に押し付けて国が安全になったと思い込ませようとしたのだろう。
また、主人公を城内で直接殺害してしまってはなりすますも何もなくなってしまうので、直接殺さずに回りくどいことをしておびき出した作戦にも一応の筋が通るようになった。
 
ちなみにリメイク版で宝物庫に封印されていた【モンスターチェス】【パピン】ら兵士たちに与えたのも彼であり、兵士たちは仕事に支障をきたすほどハマっていた。
一見すると即位式の日の宴の警備を手薄にするために渡したと思われがちだが、戻ってきてから宴までの短時間で流行らせるのはまず不可能だし、そもそも主人公が即位どころか国に帰ってくる以前から兵士にこれを与えており、即位式前に主人公が回収することも可能なので明らかに別の目的である。
この事からも大臣がこの時点で魔物と通じていたことが示唆される。
 
総じて同情の余地は薄いが、彼の行動による死者はいない。その点だけは幸いだったと言えるだろう。
 
彼が死亡した後は、【オジロン】がグランバニア大臣に就任する。

小説版

同じ役目をベビーシッターの役目を負うフリをしてやってきた【ジャミ配下の女たち】が担う。
大臣はというと、即位式の際に長たらしいスピーチをするだけの存在にとどまっている。
ちなみにこのスピーチをしていたのは第四大臣なので、他に最低3人は大臣がいる事になる。

CDシアター

こちらは原作に近い設定付けがなされており、本人が登場。
CVはクレジットされていないが、他作品での声質や演技の傾向から【マーリン】を演じた佐藤正治の兼任と思われる。
ゲームよりも態度に棘があり、国王であるオジロンに対しても強い物言いで意見をしたり、試練の洞窟での一件についても『ラインハットあたりがやりそうな事ですな』と他国に責をなすりつけ主人公リュカを憤慨させたりしている。
先王とその召使いが慣れ親しんだ村を滅ぼしたので疑われても致し方ないかも知れないが、彼はラインハットの悪政の真相を知ってて言ったのか、本当に真相を知らなかったのは不明。
しかし、オジロンもそんな彼の手腕に甘えている節があり、彼の振る舞いを諫める事が出来ず言いくるめられてしまっている。
こちらではリュカの戴冠式に出席しており、リュカに戴冠の儀酒を渡している。そして宴が始まってから姿を消している。
暫くは適当に酌の相手でもして、皆の酔いが回ってきた頃を見計らって姿を消したのだろう。
 
そしてゲーム通り皆を眠らせビアンカを拉致させデモンズタワーで死亡する。しかし、今際の際にリュカにグランバニアを狙う魔物に自国を襲わせないようやむなく結託していた事を告げる。ゲーム本編とは違い情状酌量の余地のある結託理由と言えるだろう。

天空物語

彼が死亡し、ゲーム本編の主人公たちが石化してから6年が経った頃の話になっている。
その中で天空物語の主人公であるテンたちは因縁のデモンズタワーを登り、既に白骨化した大臣の遺体と対面することになる。
しかし、両親が行方不明になり、自分たちが親に会えなくなった元凶でありながらも、ずっと野晒しだった遺体は埋葬され、テンとソラからは花を手向けてもらえた。
ゲーム本編よりは少しだけ救われたかもしれない。