【バーニングクリメイション】

Last-modified: 2022-09-03 (土) 03:43:29

ダイの大冒険

【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】に登場する【キルバーン】の最後の切り札。
キルバーンの血液が強い可燃性を持つ【魔界】のマグマと同じ成分であることを利用し、身体の一部を切り落として着火、大火球を作り出して敵に叩きつける大技。
 
バーニング(Burning)は燃えている、クリメイション(cremation)とは火葬という意味。
Burning cremationを直訳すると「燃えている火葬」なので、「馬から落馬」みたいな表現になってしまうのは内緒。
ゲームシリーズに登場する特技もえさかる かえんと変なところで通じる部分がある。
 
自分の身体を燃料にする異様さはともかく、原理としては「可燃物に火を付けて投げる」という、技と言えるかも怪しい単純極まりない攻撃。
しかし劇中で腕一本を犠牲に放った際は、対峙した【アバン】に回避も防御もできないと覚悟を決めさせるほどの巨大火球を作り上げてみせた。
「敵が罠に嵌まるのを楽しみたい。それ以外の殺しかたはバカらしい」と言って憚らないキルバーン唯一の、真っ向勝負で相手を倒すための技でもある。
物理的な負傷に対して不死身らしき謎の体質をもつキルバーンとはいえ、バーニングクリメイションは身体の一部を大きく失うのが前提になる。また奇襲的ではあるが「一方的な仕掛け罠」に使うこともできない、彼の普段の戦法や嗜好からかけ離れた性質の技。そんな奥の手を隠し持っていたのも正体の伏線か。
 
【ジャッジ】のイカサマで異空間に置き去りにし【メガンテ】まで食らわせたにも拘わらず、それに耐えた上に【リリルーラ】で追跡してきたアバン。手札のあらゆる罠を突破され追い詰められたキルバーンはついに恐怖を覚え、左腕を切り落として最後のカードであるこの技を構える。
技を前に回避も防御も不可能と覚悟を決めたアバンは巨大火球に真っ向から突撃するという無謀にも思える試みをするが、結果的にはその凄まじい業火の中をくぐり抜けて事無きを得、油断しきっていたキルバーン相手にそのまま必殺の一撃を決めて勝利を手にした。
ジャッジのメガンテやこの技を受けて生き延びたのも、【超魔生物】と化した【ハドラー】がアバンの手の中で散った際、彼の「高熱を遮る超魔生物細胞を含んだ遺灰」を浴び、その身を護られていたためであった。
とはいえ、バーニングクリメイションを突破するまでアバンはその事に気付いておらず、一か八かとはいえ耐え切って反撃できる可能性に賭けて火球を突っ切る決断をしていることから、加護がなくともギリギリ耐えられる勝算があったようだ。
確実に倒せると宣言したキルバーンに対して、アバンは「よく言う、生まれて初めて真剣勝負するような男が」とその自信を一笑に伏していて、結果的にハドラーとの因縁を含めてアバンの見切りと積み重ねが勝ることになった。
アバンから「慣れないことはするものではなかったな」と言われてしまった通り、真剣勝負の経験に乏しいキルバーンの見立ては甘かったのかもしれない。
この戦いを最後にハドラーの灰はアバンの体を離れているが、後にアバンは【バーン】【カイザーフェニックス】の直撃を受け、大ダメージを受けて瞳化したことで戦闘不能に陥っているものの、命を落とすことはなかった。アバンを確実に一撃で仕留められると豪語していたキルバーンは、この技を大魔王のメラゾーマ以上だと自負していたのだろうか。
 
甘い見立てと不運の結果、炎を潜り抜けたアバンが放った【アバンストラッシュ】に倒れ、さらに炎が全身を巡るマグマの血液に引火して自分の方が「火葬」のように燃え上がるキルバーン。
必死に消火を試みる【ピロロ】【ヒャド系】呪文はまるで通じなかったが、アバンはフェザーを一本投げただけで簡単に鎮火している。
「魔界の炎」を利用する【キル・トラップ】「◇の9」もフェザーを利用した【破邪の秘法】で処理していたが、経験済みの技から熱量やダメージを予想して正面突破が最適解だと見極めたのだとしたら、まさしく「慣れと場数の違い」が勝負を決めたと言えるだろう。
ピロロの泣き落としによって憎きアバンに助けられてしまったキルバーンは、全く懲りずにお礼と称して新たな罠を仕掛け直そうとするのだが…。

余談

この技を使う際、切断した左腕を掴んで立つキルバーン(と向かい合ったアバン)のコマがあるのだが、よく見ると切り落として掴まれている方も右腕になっている(形状的に左手の小指側が見えているとは言い難い)。
この前後のコマでは切断された腕はちゃんと左腕として描かれているため作画ミスと思われる。
文庫版や新装彩録版でも修正されていない。
 
左右とも同じ手になってしまう作画ミスは他の漫画やアニメでもたまに見られ、『ダイ』と同時期連載のジャンプ漫画における「妹の仇の『両手が右手の男』を追い詰めて見得を切ったら、よりによってそのコマで発言者が両方右手になっていた」作画ミスが有名である。