概要
1989年~1990年と1991年に地上波テレビで放映された、ドラゴンクエストシリーズ初のテレビアニメ。【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】の発売と同時期に行われたメディアミックス企画の一環。
主人公の勇者【アベル】とヒロインの聖女【ティアラ】を中心として展開される完全オリジナルストーリー。
本放送時のタイトルは単に『ドラゴンクエスト』。VHSソフトの発売後は『アベル伝説』という通称で呼ばれ、2006年のDVD化にあたって本項目名のとおり『ドラゴンクエスト~勇者アベル伝説~』と付けられた。
【タイトルロゴ】はDQ3をベースにしたもので、最後のTも剣型にはなっていない。アニメ本放送のオープニングで表示されたものには単語の切れ目に大勇者の剣が刺さっていたが、映像ソフトなどでは剣の意匠が省かれている。
製作は日本アドシステムズ(NAS)、アニメーション制作は【スタジオコメット】。監督は【りんたろう】。シリーズ構成(メインシナリオライター)は山田隆司。
ストーリー原案は【堀井雄二】、キャラクター原案は【鳥山明】が担当している。
【フジテレビ】系列で1989年12月2日から、毎週土曜日19時30分からの30分枠を使用し全国ネットで放映された。
【エニックス】が提供スポンサーとなっており、CMタイムにはDQ4や関連グッズ(【ドラゴンクエスト ダンジョン】【ドラゴンクエスト デスパレス】)のCMが放送された。
最高視聴率は12%。
当時のプロデューサーである大徳哲雄によると、ゲームのDQの世界をもっと広げてみようという発想がこの作品の発端であるが、原作がマンガではなくゲームであることから、製作には苦労が多かったという(【月刊Vジャンプ】2002年11月号)。
現在のところ、本アニメは後述するように他のいかなる作品とも繋がりは無く、2024年3月時点ではDQ関連ゲームとのコラボレーションの類も皆無である。
打ち切りと完結編の放送
本アニメは当初1年ほど続く予定だったが、32回(1990年9月22日)で打ち切られてしまった。
打ち切り前の最終回は「老婆が子供たちにお話を読み聞かせていた」というオチで終わり、最後の5分ほどでその後のストーリーの要約が語られる形となった。そこで語られたのはアベルとティアラを除いた仲間4人全員が戦死するという重い展開だった。
しかし海外への宣伝・販売のためや最終回への抗議から、打ち切りから約3カ月後、フジテレビ(関東地区)で1991年1月11日から4月5日まで、毎週金曜16時に完結編11話が放映された。
現在では公式にも打ち切り前を「第一部」、完結編を「第二部」と呼ぶ(近年では「第1期」「第2期」とも)。両者をあわせると全43話になる。
第二部は関東以外ではネット局ごとに異なる時期に放送しており、ラテ欄においては『ドラゴンクエストII』と表記される場合もあった。
ただしストーリーは第一部最終回で語られたものから一部改変されており、当初戦死する予定だった仲間のうち2人が犠牲を免れている。
映像ソフト・配信について
1991年にバンダイからVHSソフトが発売。全6巻の総集編には「勇者伝説」、全2巻の名場面集には「勇者ファイル」のサブタイトルを付けていた(いずれも「勇者」に「アベル」のルビを振っている)。しかし全話フル収録のVHSソフトは発売されなかった。
2006年にはネット上でのファンによる署名活動が功を奏してか、スーパービジョンより『ドラゴンクエスト~勇者アベル伝説~』のタイトルでDVD-BOXが発売されることとなった。
また、CS放送やケーブルテレビのアニメチャンネル・邦画チャンネルにて度々放送されている。放送実績のある局はカートゥーンネットワーク、アニメシアターX、アニマックス、ファミリー劇場など。
特にアメリカ発アニメチャンネルの日本版となるカートゥーンネットワークでは1997年開局時の初期番組として放送されていた。日本の視聴者向けにDQのネームバリューを狙ったのは想像に難くないだろう。
アニマックスでは2016年にリマスター版として放送された。フィルム素材からテレシネし直したHDリマスター版ではないようで、画質は従来素材と大差ないものの、激しい動きや点滅表現の軽減処理が施されている。
2013年にはモンパレの正式サービス開始記念としてGyaO!(現在はサービス終了)で無料配信され、DQ公式サイトにおいても告知がされた。
現在はU-NEXT、FOD、dアニメストア、Amazonプライムビデオなどの各種動画配信サービスによりスマホやパソコンからも視聴可能。なお配信版ではタイトル表記が『ドラゴンクエスト≪勇者アベル伝説≫』と微妙に変わっている。
地上波テレビでの本放送時は前述のとおり全43話だが、再放送・DVD・配信版では第二部1話の内容の大部分がカットされ、第一部最終回(32話)のラストの部分(前述)を第二部1話の一部(【アドニス】の登場シーン)に差し替えた形になっている。これにより全43話から全42話に減っており、オリジナルの第二部1話の内容の大部分が欠落した状態で見ることになる。
DVD-BOXではファンの要望により、本放送時の第一部最終回と第二部1話が特典ディスクとして収録された。
ゲームや他作品との関連
本作は、シリーズのナンバリング作品、後の各種外伝作品、他のメディアミックス作品のいずれとも繋がりの無い完全オリジナルの作品である。
スタッフクレジットには「マンガ連載 週刊少年ジャンプ(集英社刊)」と記載されたが、誌上で本アニメの紹介コーナーは組まれていたものの本作のコミック版は存在しないため、この「マンガ」が何を指すかは不明。
本アニメ放映期間中に発売されたジャンプでは、同じくDQシリーズの世界観をベースとし、堀井雄二が監修を務めていた【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】が連載されており、その欄外に本アニメの放映局一覧が記載されていた。しかしストーリーや舞台的な繋がりは全く無く、よくある漫画原作のアニメ化作品あるいはその逆のアニメ作品のコミカライズなどではない。
本作に限らず一般にファンタジーRPGを題材とした作品では冒険における初めて出会う雰囲気を重視する傾向があり、ゲームと漫画・アニメといったメディア展開それぞれにおいて微妙に設定や物語を変えてくることは多いものの、それでも同じタイトルである以上は主要キャラクターや最終目標といったストーリーの根幹については大きく変わらないのが普通である。
DQではCDシアターやゲームブックでその傾向があったが、一方でアニメと漫画においてキャラクターとストーリーをゲームから全て変えたうえ、相互の関連の無い全く異なる2つの物語を用意しており、最初から別物の派生作品としてそれぞれを展開しているような状況だった。
ただし全体的なストーリーの流れは異なるにせよ、本作については多くの地名やサブキャラクター名がゲームと共通であり、個々の話においてはゲーム本編のイベントに似た内容がたまに登場するなど、多少原典に近い内容になっている。
設定
「その血を飲んだ者に永遠の命を与える」「汚染された水を浄化する」「怒りによって世界を滅ぼす」という【伝説の竜】の復活がストーリーの核にあり、文字通りの「ドラゴンクエスト」なストーリーになっている。
作風はバトル中心というわけではなく、あくまで「『ドラゴンクエスト』というゲームのアニメ化」に拘った作品であり、ゲームでもお馴染みの買い物やお使いイベント、ダンジョンの仕掛け、言い伝えによる謎解き、そしてキャラの成長などを採り入れた作風となっている。
竜を復活させる能力を持つとされるヒロインの【ティアラ】が大魔王【バラモス】にさらわれ、主人公の勇者【アベル】が彼女を助けるために仲間たちとともに冒険するというのが前半の主な流れだが、主人公の成長のための修行という理由付けで、世界各地を冒険させて伝説の竜にまつわる【竜伝説】の謎を解かせるという設定になっている。
ただし竜の生き血で不老不死になることを企む魔王側の目的も同じく伝説の竜であり、行く先々でアベルたちとバラモス軍が衝突することとなる。
物語後半は心身ともに成長したアベルとティアラがそれぞれ世界を救う竜の復活に必要な【聖剣】と【聖杯】を探し、そして終盤には馴染みの故郷【アリアハン】こそが竜の眠る地であったというどんでん返しがあり、そこがそのまま最終決戦の場ともなる。
【ぱふぱふ】や【あぶないみずぎ】といったDQシリーズお馴染みのお色気要素や【デイジィ】の変装などといったユーモラスな要素、時にはアベルやティアラを巡るパーティ内の複雑な人間(+モンスター)関係の描写も交えつつ展開していくが、終盤になるにつれて魔王の侵攻が進み世界に深刻な影響が出たり、周辺人物に次々と犠牲者が出るなどシリアスな展開となっていく。
また、バラモスとその手下【ジキド】との内部対立や、黒幕の【ゾーマ】が絡んだバラモス自身のパワーアップなど、ゲームではあまり描写されることの無い敵側の情勢変化についても頻繁に触れられた。
そのほかにも、モンスターが宝石から産み出される設定によって「魔物を倒してゴールドを手に入れる」行為が無理なく説明されていたり、魔王軍は【死せる水】と呼ばれる汚染された水無しでは生きられない(綺麗な水が逆に害になる)とすることで、現実世界での公害問題を取り込みつつゲーム本編の「【せいすい】でダメージを与えられる」という特性を表現している。
世界・人物・アイテム
ストーリーや世界設定自体はオリジナルだが、地名・キャラクター名の多くには【アリアハン】【バラモス】【オルテガ】などDQ3の固有名詞、さらに開始当時未発売だったDQ4(1990年2月11日発売)からも【エスターク】【コナンベリー】などが採用されている。
【ルイーダ】【ドラン】のようにキャラクター名が地名に変化したり、【バハラタ】のようにその逆パターンであったりすることもあった。DQ4のキャラである【ミネア】と【マーニャ】はゲームからほぼそのままの姿で登場した。
なお当時オリジナルだった【ルドルフ】や【ソフィア】といった名前が後のDQ作品に登場していることもあるが、本アニメとの関連は無い。
本作の世界は、アベルたちの故郷でもあるアリアハンや【マイラ】【ストークの神殿】などがある中央大陸、その西に【モーラ】や【ナジミの塔】などがあるトフレ大陸、ドランの都や【ドムドーラ】があるテイル大陸がある。北には氷の大地【グリンラッド】、南には炎の大陸【レイアムランド】、そして中央大陸より東には【エスターク】のあるゾイック大陸、さらに作中では訪問しないトイラ大陸がある。
竜伝説にまつわる重要アイテムについては本作オリジナルのものが多いが、中盤までは【きんのカギ】【ラーのかがみ】【かわきのつぼ】といったDQ4までのゲームと同じものが多く登場する。
登場人物・地名などの一覧はこちらを参照。
呪文・技
呪文(魔法)についても主にDQ3のものが登場するが、DQ3の呪文の他にごくわずかながらオリジナル呪文もある。
詳しくはこちらを参照。
当時のDQは【特技】の概念がまだ無かった時代であり、DQをアニメで再現することを主軸においた本アニメにおいては、バトル漫画などに多く登場するような【必殺技】をオリジナルに創り出して登場させるようなことは行われていない。
その代わりか、モコモコのキメ技が自称【会心の一撃】だったり、アベルの武器として氷や稲妻といった特殊効果のある剣が選ばれていたりなど、剣を交えた戦闘シーンが単調にならないような工夫と見られる要素はある。他には【赤き珠】や【青き珠】による特殊能力が必殺技の代役を努めていると言えるところか。
必殺技の代わりになりそうな強力な勇者専用呪文や各種上級呪文であれば当時から存在したが、本作のパーティには呪文使いが【ヤナック】しかおらず、必殺技のような呪文描写はほとんど見られなかった。
モンスター
モンスターの多くはDQ1~DQ3出身のものだが、後半になるとDQ4のモンスターも登場するようになった。ゲーム側では没モンスターとなっていた【リザードマン】や【スパイダー】らしきモンスターが登場することもあった。
ただし細部がゲームからアレンジされていることも多く、【ガーゴイル】の武器が剣ではなく骨形の棍棒だったり、【ドラゴンライダー】の騎士が【アンデッドマン】だったりする。【大目玉】のように全く異なる外見で登場するものもあった。
モンスターのサイズは序盤の【おおありくい】をはじめ巨大化しているケースが多く、巨大化した【だいおうイカ】は今見るとDQ11のものを思わせる演出である。
後半にはゲーム側での【ラスボス】や大ボスと同じ姿のモンスターが、各大陸を支配する幹部級モンスターとして登場している。
ちなみに本作のバラモスはDQ5の【ライオネック】系に近い容姿をしており、よく「カバ」と揶揄されるDQ3のバラモスと区別して「リアルバラモス」と呼ばれることも多い。
文字
作中には碑文や地図・アイテムなどに独特の形の文字(古代文字)が使われている。この文字は現実のラテン文字や数字に割り当てられており、解読することができる。
内容は作中で読まれる文章のとおりであることもあるが、時には物語と関係ない雑談であったり、意味のない単なる文字の羅列だったりすることもある。
例えば14話の【海峡の門】の石碑はカットごとに内容が変わり、DQ4の【ほのおのツメ】の場所や、【週刊少年ジャンプ】関連の話題(当時連載していた作品名『聖闘士星矢』が確認できる)になっている。
特筆すべきは第一部最終回で、「DQ4をレベル35でクリアした」という報告やゲーム『桃太郎伝説』の話題に加えて、「ほんとにこれで終わりなの?ひどい!!!」という制作陣の本音のようなことが書かれている。
演出
第一部のオープニングでは主題歌が使われず、オリジナル曲に続いてテンポの速い【ロトファンファーレ】が流れるのみという短いもの。当時の30分枠アニメで歌詞のない曲のみのOPは珍しかった。OPの後は提供クレジットを挟んですぐにあらすじ・本編に移行した。
第一部では各話のタイトルは存在したが番組内では表示せず、ロトファンファーレ(OPよりもテンポの遅いもの)をBGMに「Level ◯」(一見Lebelにも見えるがこれはCloister Blackフォントの都合上)という形式で話数のみが表示された。各話のタイトルは新聞や雑誌でのみ確認できた。
第3話まではアイキャッチが無く、第4話~第14話のCM前後にはアイキャッチ相当の演出として、ファミコンのコントローラが表示され「PAUSE」が発動/解除されるという、ゲーム原作であることを意識させる演出がされた。
第15話からスライムの【チチ】と【カカ】が映るアイキャッチが導入。ただしロゴが通常の英字バージョンであったり、英字ロゴの輪郭を保ちつつ「ドラゴンクエスト」と日本語のカタカナに置き換えたロゴだったりした。
第一部終盤の第27話(エンディングテーマ変更時)から第二部までは大勇者装備を身に纏った【アベル】とその仲間たちを映したものが使われた。
ただしDVDや配信ではアイキャッチはカットされている。
第一部の各話終了時(最終回を除く)にはパーティキャラ(【ティアラ】も含む)のうち1人の強さが、ゲームのステータス画面を模した形でイラストとともに表示された。
この画面に表示される数値はゲームの仕様を鑑みると無理や矛盾が見られるため、ファンの間ではよくネタや論議の的にされる。
次回予告では次回のストーリーで訪れる場所が地図で示され、その場所(27話以降はアイテムや人物も混ざる)のイメージが映されるという形式。ナレーションはアベルの声で行われ、「ドラクエするぜ!」は名言となった。他にDQ4の作戦からとった「ガンガンいくぜ!」という決め台詞もあった。
第14話放送時まではDQ3の冒険者の登録所(【ルイーダの酒場】2階)を90度回転させたようなマップを、紙に描いて切り取った形のアベル一行が歩いていき(よく見るとモコモコとヤナックが一瞬だけ乾杯している)、「次に行く場所を見てみたい?」のメッセージに対して「絶対見る」の選択肢が選ばれ、エンカウントエフェクトに続いて次回の舞台が表示されるというものだった。
第15話放送時以降は広く開いたチチの口に「ドラゴンクエスト」と表示した後、アベル一行が地図を眺めているシーンから次回の紹介に移るというパターンになった。
第二部では他のアニメ同様に主題歌付きのオープニングとなった。
冒頭で各話タイトルも表示され、次回予告はサブタイトルのみ表示するシンプルなものとされた。
音楽
第一部主題歌
- 第26話までのエンディング:徳永英明【夢を信じて】
(30話と最終回の挿入歌としても使われた) - 第27話以降のエンディング:カブキロックス「虹の都」
※エンドロールの背景はこれまでのストーリーに登場したキャラクターやアイテムの総集編だが、第一部未登場のアドニスも含まれていた。
第二部主題歌
- オープニング:古谷徹「未来をめざして」
- エンディング:勝生真沙子「虹のBRAND NEW DAY」
挿入歌
- 勝生真沙子「Tiffany's Whisper」
(7話で登場人物の【ティファニー】が歌う【モーラ】の都の歌) - 勝生真沙子【Long Way Home】
(ティアラが歌うシーンや彼女に関連したシーンで使われる)
第一部のED曲は、どちらも【アポロン音楽工業】所属アーティストが担当している。第二部のOP曲は【アベル】役の古谷徹が、ED曲は【ティアラ】役の勝生真沙子が歌っている。作詞・作曲・編曲はOPとEDで共通。
BGMはアニメオリジナル曲と、【すぎやまこういち】によるDQ3までのゲームの楽曲の一部も使用された。オリジナル曲はミッキー吉野と外山和彦(KAZZ TOYAMA名義)が担当。後半では『序曲』の一部のフレーズを繰り返し演奏する形のアレンジ曲もあった。
第一部放映期間中に「ドラゴンクエスト 組曲ドラゴン伝説」としてサウンドトラックが発売されているが、こちらにはミッキー吉野のBGMのみ収録されている。原作BGMのアレンジは未収録であり、OP曲『Introduction』のラストのロトファンファーレも異なるフレーズに差し替えられている。
楽曲一覧はこちらを参照。
声の出演
キャラ名 | 声優 |
---|---|
【アベル】 | 古谷徹/佐藤智恵(少年時代) |
【ティアラ】 | 勝生真沙子 |
【モコモコ】 | 桜井敏治 |
【ヤナック】 | キートン山田 |
【デイジィ】 | 三田ゆう子 |
【ドドンガ】 | 郷里大輔 |
【チチ】 | 青羽美代子 |
【カカ】 | 嶋方淳子 |
【ザナック】 | 大竹宏/龍田直樹 |
【オルテガ】 | 掛川裕彦/内海賢二 |
【トビー】(アドニス) | 堀川亮(現:堀川りょう) |
【イワン】 | 佐藤正治 |
【マルチナ】 | 川浪葉子/篠原恵美 |
【パブロ】 | 宮内幸平 |
【ヨギ】 | 田の中勇 |
【アリアハン王】 | 阪脩 |
アリアハン王妃 | 篠原恵美 |
勇者(3話) | 屋良有作 |
レーベの村の村長 | 槐柳二 |
【ミグ】 | 渡辺菜生子 |
【バスパ】 | 石森達幸 |
【フランク】(密輸団) | 佐藤浩之 |
モーラの女王 | 池田昌子 |
ルイーダの村の長老 | あずさ欣平 |
【ジェニー】 | 伊藤美紀 |
【ポポタ】 | 江森浩子 |
【サーラ】 | 中友子 |
【ピエール3世】 | 小村哲生 |
【バハラタ】 | 鈴置洋孝 |
【フランク】(ドラン王国) | 林延年 |
【ジャック】 | 真地勇志 |
【ミネア】 | 江森浩子(老人姿)/長畑由美(若い姿) |
【マーニャ】 | 吉田奈穂 |
【ソフィア】 | 武藤礼子 |
【ユリカ】 | 鷹森淑乃 |
【フレア族の青年】 | 真地勇志 |
【ハンナ】 | 長畑由美 |
【カンナ】 | 小島悠里 |
【ミーコ】 | 鈴木富子 |
アベルの母 | 寺瀬めぐみ |
モコモコ母ちゃん | 山本圭子 |
【バラモス】 | 渡部猛 |
【ムーア】 | 柴田秀勝 |
【ジキド】 | 森功至 |
【ジャーク】 | 西村知道 |
【ルドルフ】 | 青野武/岸野幸正 |
【マギャン】 | 田中亮一 |
【シーザーオライオン】 | 小村哲夫 |
【ハーゴン】 | 真地勇志/永井一郎 |
【大魔道】 | 里内信夫 |
男の子(第一部最終回) | 冬馬由美 |
女の子(第一部最終回) | 久川綾 |
ナレーション | 小川真司 |
(協力 青二プロ)
評価
放映当時は剣を主体としたファンタジー作品としては剣技の必殺技が無い地味めなアクションシーン、光弾を飛ばすだけのショボい呪文の演出などで不評が集まり、アニメ誌などでは自分でキャラクターを動かしているわけでもないのにRPG的なイベントを見せられても退屈と酷評された。
さらに同時間に強力な裏番組として低年齢層向けアニメや長寿のクイズ番組などが放映されていたこともあり、一旦はあえなく打ち切りの憂き目に遭った。
上述の視聴率も最上位のアニメが25%前後にもなる時代と考えれば、土曜夜のゴールデンタイムかつドラクエブランドを使用していながらいかに低いか分かるはず。
だが、この作品は初めて訪れた場所の情報や施設、イベントやアイテムなどに対する驚きなど、未知の世界を冒険している雰囲気を重視している。
また、DQ4発売直前という事で本編DQがまだ良く言えば古きよき勧善懲悪、悪く言えば甘い英雄の幻想に浸れる世界観で構成されていたのに倣い、本アニメは終始ほぼ純然としたヒーローとしての活躍を一貫しており、徹底的に「純然たる冒険活劇的な作風」を追求した作品と言える。
前述の地味と評されたアクションシーンも、確かに呪文のエフェクトを後のゲームと比べればSFC初期のDQ5にすら劣ると言わざるをえないが、放映当時のDQはハードがまだファミコン(とMSX系)で、呪文の演出も画面がフラッシュするのみにすぎない時代であり、それをプレイヤーの想像する戦闘シーンらしくしようとした結果と言える。
何しろ本アニメ以前でDQの戦闘を動きのある表現で描いた作品は【ドラゴンクエスト ファンタジアビデオ】(1988年)ぐらいしかなかったのである。
作品の評価は現在でも賛否両論分かれるが、放映終了から15年経ってからのDVD化や、女戦士【デイジィ】が今なおDQの二次創作で顔を並べる人気であることといい、なんだかんだ根強いファンを獲得しているのは確かである。
本作に限ったことではないが、結局は作品に対して「何を」求めて見るかで評価は違ってくると言えるだろう。
ゲーム本編への影響
スタッフが意識してのことかどうかは不明だが、以降のDQゲーム作品にはこのアニメを連想させる設定がコンスタントに盛り込まれていたりする。
例えば
- DQ6の【デスタムーア】の略称「ムーア」、同じくDQ6の【ムドー】の容姿は、バラモス側近の【ムーア】を連想させる(2chのDQ6本スレでもたまにネタにされる)。
また同作の【テリー】は、【トビー(アベル伝説)】と設定や容姿がそっくりである。 - DQ8では最初の仲間【ヤンガス】が同じく最初の仲間【モコモコ】と似た体型であり、アイテム【ドクロのかぶと】はモコモコの兜と酷似している。
- DQ10ではVer.4より、宝石を媒体にした生命体である「魔法生物」が登場。敵対する個体も多く、この点は【宝石モンスター】を思わせる。
- DQ11は、主人公と彼に想いを寄せる幼なじみの女性【エマ】の誕生日と年齢が同じで、物語本編はその誕生日から始まる。この点は年齢こそ1つ違うものの【アベル】と【ティアラ】の関係と同じである。
などが挙げられる。
また、伝統的に主人公が名前を持たないドラゴンクエストシリーズにおいて、本作の主人公アベルの名は「主人公はドラクエっぽい名前にしたいけど、これといって思いつかない」というプレイヤーの助け舟になり、放映以来多くの勇者アベル(あへ゛る)たちが生まれることとなった。
制作側もDQ5をリメイクして以降は【主人公(DQ5)】の公式名をアベルとしている。彼は勇者ではないが容姿が似ており、ゲームにアニメの名前が逆輸入されたと言えるだろう。
余談
DQ9発売直後の2009年8月から千葉テレビで再放送が行われた際に、珍事が発生した。
千葉テレビでは番宣CMを製作して他のアニメ放送時に流すなど積極的にこのアニメを宣伝していたが、なぜか6話までを放送した後、突如打ち切りになってしまったのだ。
ホームページ上では「放送権利の問題で急遽放映できなくなりました」との説明がなされているが、詳細は今もって不明である。
なお、フジテレビ本放送時には「らんま1/2」の時間移動後に「アベル伝説」が始まったのだが、この時の千葉テレビでは「アベル伝説」打ち切り後の枠で「らんま」を開始と、さらなる珍事が起こっている。
ちなみに両作ともフジテレビ放送時は土曜ゴールデンから金曜夕方に移動しており、「アベル伝説」第二部が16時から、「らんま」が同日17時30分からの編成となっていた。さらにカートゥーンネットワークでは開局初期番組としてこの2作が同時期に放送されていたこともある。