帝国

Last-modified: 2016-03-21 (月) 19:34:49

帝国の3300年以前の歴史および、以降の動向まとめ。政治的特徴など。

名声(Reputation)と名誉(Honour)

 23世紀半ばにアケルナル(Achenar)星系のコロニー化計画を主導したマーリン・デュバル(Marlin Duval)によって創設された星間国家である。「帝国」は、古代ローマと極めてよく似た「パトロヌス(Patronus)=主人 - クリエンテス(Clientes)=従者)」という主従制度に基いている。Achenar 6dをその首都とする帝国の社会構造は皇帝(Emperor)を頂点として厳格に階層化されている。階級(特に下層階級)の壁を超えることができるのは財力(Wealth)と影響力(Influence)そして主人による後援体制を有する者のみである。帝国における社会的評価は地位と名誉で決まり、これらは大変重んじられる。そのため一方では財力の誇示が社会的に容認されている。というのも、従者への待遇の良し悪しは主人の名誉に関わることであり、最下層階級の従者つまり奴隷(Slaves)はその主人の財力として数えられるためである。負債を抱え込むことは全くの不名誉とみなされる。そのため、もしもそれが残された唯一の選択肢ならば、奴隷として自らの身を売ってでも負債を返そうとするのが名誉ある帝国市民とされる。

 帝国では法がその文面通りに施行されることはまずない。皇帝が定めた法を施行する責任を負うのが元老院(Senate)である。がしかし、元老院がその法によって裁かれることはない。特権階級である元老院議員(Senators)は法の執行を直接命令することもでき、自らに帰属する従者ならば殺すことさえ可能である。ただし、時によって(滅多にないが)彼等の行為が目に余るようであれば、皇帝の名において拘束されることもある。

 元老院の中には、帝国の名の下に(他国の)星系を我がものにしようと考える好戦的な議員もいる。その目的は略奪であるが、(その分前に与ろうと考える従者が少なからず集まることから)このような議員には結果的にかなりの支持が集まる。また、元老院の中には奴隷制は容認できないとして事ある毎に非難を繰り返す議員もいる。ただし、これは奴隷への処遇が帝国社会の価値観である名誉にかかわるという話であり、所有物としての奴隷の存在が合法化されているのはおかしいという話ではない。

 帝国では、むしろ違法とみなされることは殆どない。多くの事柄は社会的にひんしゅくを買うだけに留まる。麻薬(narcotics)の過剰摂取でさえその範疇を出ない。

 (※Elite:Dangerous Newsletter #22「名声(Reputation)と名誉(Honour)」より抜粋訳・一部意訳)

帝国元老院(Imperial Senate)

※以下はhttps://forums.frontier.co.uk/showthread.php?t=225156の抜粋翻訳です

  • 元老院のしくみ
    皇帝と全ての元老院議員には同じく元老院の座(議席)が与えられるが、全員が一堂に会することは滅多にない。議長/宰相(Chancellor)は、一般の元老院議員よりも権限が付与されており、元老院におけるあらゆる議会の進行役を務める。元老院議員は皇帝によって任命される。全ての元老院議員は法的に公平であり、建前上はその立場に有利・不利の区別はない。しかし、現実には元老院内では派閥が形成され、それぞれの派閥はその中でより強力な或いは重要な立場にある元老院議員の意向に従っている。一方で、元老院議員は法的に平等な立場を与えられていない。というのも、その日議論された各問題は最終的に投票によって決議されるが、各元老院議員に与えられている議決権(投票権)は、その議員を支持する帝国市民の総数(言い換えると、平民階級を擁するクリエンテス階級の数、引いてはそのクリエンテス階級を擁するパトロヌス階級の数)が反映されるからである。翻って、元老院議員は最も有力なパトロヌスの影響を免れないということになる。もし仮にパトロヌスが気まぐれを起こして別の議員の支持に回れば、そのパトロヌス自身の支持母体がそっくりそのまま別の議員に移るため、議会への影響力が大きく様変わりしてしまうのである。パトロヌスからすれば自身が擁するクリエンテスの意見・要望を(そしてそのクリエンテスが擁する市民の意見・要望を)、その元老院議員がきちんと汲み取って議会に対して影響力を振えるかどうかが問題なのである(さもなくばパトロヌス自身も支持基盤を失って危うい立場に立たされる)。元老院議員は自らの取組みが不評を買えばすぐさま支持者を失う。がしかし、支持者達の生活に直結する税率や医療政策を決定するのはやはり元老院なのである。よって、元老院議員は自らを後援してくれるようなパトロヌスをあの手この手で買収し、彼等と協同しながら議会を動かしていくのである。最も影響力を持つ元老院議員ともなると、その議決権は通常の議員の百倍以上にも及ぶため、往々にして元老院はわずか数名の有力議員によって牛耳られることとなる。一方で、帝国社会では名誉が重んじられ、元老院議員は帝国社会の代表者であり体現者でなければならない。元老院議員にはあらゆる意見に丁寧に耳を傾ける態度が求められる。その意見に賛成するか反対するかはまた別問題であり、その意思表示は投票によって示せばよい。
  • 元老院はどこに置かれているのか?どのような名前の建物或いは都市に置かれているのか?
    元老院議員の議席は、帝国の首都:カピトル(Capitol=アケルナル6dの呼び名)の宮殿のすぐそばに建てられた元老院議事堂(Senate House=セナート・ハウス)の建物の中に物理的に用意されている。元老院の議会は古来ずっとこの議事堂で開かれているが、現実には議員の大半は議会のたびに元老院を訪れるわけではなく、各自それぞれの星系からホログラム映像を通じて元老院の議席に「仮想的に」座り、議会に参加するという仕組みになっている。尤も、帝国には古くから様々な式典や行事:新皇帝の即位式や建国記念日(1月2日)などが数多く存在する。これらの式典に議員本人が物理的に出席することが“正当かつ礼節を尽くした”とみなされる。加えて、艶やかな衣装を身にまとった側近達を引連れて出席すれば式典に大いに花を添えることになり、帝国市民からの支持を獲得できることとなる。
  • 元老院議員の任期はどれくらいか?
    一般的には終身制であり、死亡するか本人が引退を選ぶまでその任期は続く。時として不人気の元老院議員はパトロヌスから交代申立を受ける場合があり、交代を余儀なくされた場合はその時点で任期は終了する。
  • 元老院議員の選出・任命のしくみ
    いわゆる選挙という仕組みは存在しない。元老院議員はパトロヌス階級グループの、或いはそのパトロヌスの庇護下にあるクリエンテス階級グループの、引いてはそのクリエンテスが擁する平民階級グループ全体の意見代表者である。代表選出は公開で行われる。全ての帝国市民は誰がどの元老院議員(もしくはパトロヌスやクリエンテス)を支持しているのか、その支持数はどれくらいなのかが判るようになっている。法令によって元老院議員の数は1000人に定められている。これは1000年前の初代皇帝時代から変わっていない。仮に非常に人気のあるパトロヌスがいたとしよう。その一方で全く人気のない元老院議員がいたとする。このパトロヌスが現職議員よりも多くの市民の支持を得ているという確信があるならば、この元老院議員に代わって自ら議員になる申立(交代/階級昇格申立)ができる。申立をされた方の元老院議員は7日のあいだ支持獲得の機会が与えられる。7日が過ぎると最終選考が行われ、申立を行った方のパトロヌスがより多くの支持を獲得していた場合は交代して彼が元老院議員となる。もしも支持が獲得できなかった場合は向こう1年間、再申立ができない。同様に一旦議員職を退いた場合も向こう一年間は申立ができない。申立の際には申立料が必要になる(10億crを皇帝=宮廷に納める)。これは無意味な申立乱立を避けるためであり、議員に任命されたら全額返済される。
  • 元老院議員の退職
    元老院議員が死亡した場合或いは退職を願い出る場合は、通常は当事者が後継者を選んで元老院の議席を譲る。ほとんどの元老院議員は現職期間中に後継者を選んで自らの側近として働かせ、後援者の中でも影響力のあるパトロヌスに彼を紹介し、親交を深め、人間関係を強固にすることで貴重な人脈を引き継がせる。これらのことから、実際には前述のような交代申立等の対立問題が生じるようなことは滅多にない。とは言え、元老院の開会時期が迫ってくると一つの議席を巡って複数の申立が行われるような場合もある。たとえば、何らかの事件・事故に巻き込まれて元老院議員とその後継者である側近が同時に死亡してしまったというような事態が時々起るからである。このような場合の解決の早道としては、宮廷がその選挙を主導し、最も支持票の多かった人物が元老院議員の座を獲得する。
    元老院において物議を醸すような問題が持ち上がると、どの議員を後援するか或いは誰が交代申立をするかで必ずと言っていいほどパトロヌス階級の大量再編が突発的に起こる。元老院では日常茶飯事ともいえる現象であり、言い換えると元老院の議会システムはかなり流動的な性質を持っているとも言える。
  • 特権階級としての元老院議員
    法の上に立つ機関に属する元老院議員は法の拘束を受けない。同様の理屈で「上位の誰かに向けて交代を申立てる」という権利はない。申立の権利があるのはあくまでもパトロヌス階級、クリエンテス階級、平民階級である。さらに奴隷、平民の子供、異国籍の者など、帝国市民権を持っていない者には帝国市民権の獲得申立の権利が保障されている。彼等は申立が認められれば帝国市民の権利が与えられる。なお、平民の子供がどうやって市民権を得るのかと言えば、特に正式の手続きがあるわけではないのが現実である。帝国社会では伝統的に、子供がある年齢に達したら成人式を簡単に祝う。成人の年齢は21歳と定められており、成人を迎えた平民の子供は自動的に帝国市民権が与えられるのである。
  • 元老院と皇室の関係
    元老院議員の議席が与えられる皇帝は別として、皇室或いは皇族は政治とは切離された存在である。騎士(Knights)や皇姫(Princes)など様々な爵位が存在するが、いずれも政治的権限はほとんど付与されていない。それ故、ほとんどの皇族は親しい間柄にある元老院議員を支持したり影響力を及ぼすことで間接的に政治に関わっているが、皇族が元老院議員になってはいけないという法律はないため、その気になれば皇族でも元老院議員になれる。
  • 全ての帝国属星系に元老院議員の選出権は認められているのか?
    全ての帝国属星系に元老院で発言権を持つ代表者(=元老院議員)がそれぞれ存在するわけではない。各星系は効果的かつ間接的な方法で元老院に対して働きかける。クリエンテスは自らが擁する全ての平民階級の意見代表者であり、パトロヌスは自らが擁する全てのクリエンテスの意見代表者であり、元老院議員は自らを後援する全てのパトロヌスの意見代表者である。つまり元老院議員は自らの勢力基盤の代表を務めるということになる(その勢力基盤を形作っているのが数多くの帝国属の星系や特定の利益団体ということであり、一般的にはそれらの領主或いは指導者の立場にあるパトロヌス階級ということになる。その数はおよそ数百に及ぶ)。そのため元老院議員の議会における発言力の大きさ=議決権はどれだけ多くのパトロヌスの支持を集めているかによる。支持者の数に決まりはない。仮にある星系にたった一人で暮らす帝国市民(平民階級)がいたとしたら、建前上は彼はその星系の代表者として元老院に対して何らかの意見を述べる立場にあるだろう。しかし実際にはそうではない。彼の上位にあるクリエンテス階級或いはパトロヌス階級を介して意見を述べることになる。帝国属の小規模派閥勢力はたとえその規模が比較的大きい場合でもパトロヌス階級によって率いられるのが常である。元老院議員自らが特定の派閥勢力を率いるということはまずない。
  • 元老院議員は特定の階級階層或いは特定の小規模勢力から専ら選出されるのか?
    元老院議員の中にはもちろん軍閥出身者もいれば事業で成功を収めた者もいる。パトロヌス階級だけに認められているわけでもないし、独裁制(Dictatorship)を敷いている小規模勢力の指導者でないとなれないということでもない。ただ、帝国社会におけるパトロヌス階級の位置付けや議員交代申立に莫大な費用が掛かることからすれば、必然的にごく限られた上流階層が独占することになり、しかも世襲制が重要な意味合いを持つということになる。
  • 元老院議員の職務
    元老院議員の役割を端的に言えば、後援者たるパトロヌス達の代表者として彼等の意見に沿うように元老院の議会を進めることである。一方で、元老院議員はその他様々な役割を兼務できるし、逆に周囲から様々な役割を任されることになる。たとえば、艦隊提督や宰相(元老院最高議長)、議院総務(皇帝や最高議長が欠席の場合に議会進行を務める)などである(※見方を変えれば元老院議員の中で最も数多くの役割を兼務する存在が皇帝であるとも言える)。元老院議員が個人収入を得ることに何ら制限はなく、議員となるような人物は一般的に一つ或いは複数の会社のオーナーであるか或いは多くの場合は個人大株主である。元老院議員は自らの利益のために政治活動する権利(政治活動を通じて自らに利益誘導する権利)が完全に認められている。これは、彼らの後援者たるパトロヌス階級もおよそ似たり寄ったりである。ただ、元老院議員がパトロヌス階級と決定的に異なる点は、元老院は法の上に立つ機関であり、元老院議員は法の拘束を受けないという点である。彼等を裁けるのは皇帝ただ一人だけである。それ故、元老院議員同士が相争うという話は帝国社会の歴史全般を通じて決して珍しいことではない。