なんか変だな

Last-modified: 2024-04-20 (土) 08:02:59

北海道新聞に掲載された元札幌ドーム社長・長沼修氏のコラムのタイトル。
掲載当初は「何か変だな」と漢字表記だったが、後に出した同氏のエッセイ集のタイトルは「なんか変だな」と平仮名表記になっている為、どちらでも正解と言える。
現在では「札幌ドーム≒なんか変だな」と皮肉る意味でのインターネットミームと化している。


経緯

札幌ドームは札幌市が建設・所有する、野球サッカー兼用のドームであり、第三セクターの株式会社札幌ドームが管理を行っている。

本拠地にしていた日本ハムは2016年より、札幌ドームの賃借料について争い*1、札幌市と協議を重ねるも、紆余曲折の事情*2から交渉決裂。すると今度は札幌市と隣接する北広島市との間で新球場建設の誘致合戦が繰り広げられるに至った。


なんか変だな

その最中、2017年6月23日付の北海道新聞朝刊に掲載されているエッセイ「朝の食卓」に、以下の記事が掲載された。
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見ての通り、当事者中の当事者である元札幌ドーム社長の言い分のみを掲載という、極めて一方的な内容となっている。
しかも、

  • 全ての準備を日本ハムが行っている事実を(単に知らなかった可能性もあるが)当然の如く記載していない
  • コンクリートに薄い人工芝を敷いただけのグラウンド*3やファウルゾーンの広さ*4、防球ネットの不備*5等構造上の問題点が再三指摘されていたにもかかわらず「野球を楽しめないほどの欠陥があるようには思えない」と断言。
  • 「傾斜が急な階段*6も、北広島や真駒内公園*7へ行くよりはマシ」という、利用客感情を度外視した斜め上すぎる擁護*8
  • 最後の最後に、実態のない市民の声に転嫁する姑息さ*9
  • そもそものきっかけとなった使用料問題への言及は一切なし。

以上の点から(北海道新聞が行政寄りの情報機関であることを考慮しても)論ずるに値しない内容と言え、なんJでも拡散されるやいなや憤りや疑問の声が噴出。記事の内容に同調する向きはまったくと言ってよいほど見られなかった。

エスコンフィールドへの移転

札幌市との交渉を重ねるも関係は改善されず、結局球団は2018年に札幌ドームからの撤退を決定。札幌市も引き止め交渉に乗り出すが無事失敗し、隣の北広島市と結んだ日ハムは約600億円を投じて北広島市のきたひろしま総合運動公園内に「北海道ボールパーク Fビレッジ」と、その中核となる新球場「エスコンフィールド北海道」の移転建設を行う運びとなった。
この新球場はファイターズと日本ハムが親会社となることで重い使用料負担から解放される他、「内外野天然芝」「グラウンドに近い客席」「親会社経営の飲食店*10」など先述した構造上の問題点を見事にクリアしている。
一方、ホーム裏のファウルゾーンを日本の公認野球規則に定められた18.288m(60フィート)より狭い15m(約49フィート)で設計していたことが完成直前になって一時問題視されていた。これは日ハム側が球場の設計を依頼したアメリカの企業がアメリカのファウルゾーンの規則(60ft以上が推奨(recommended)*11)と日本のそれ(60ft以上が必要)が異なっていたことに気づかず、アメリカの規則に則って設計を行ったために発生した問題であるが、協議を経て開業前までに解決された*12
このように移転までにはさまざまな紆余曲折があったものの、2023年3月14日のオープン戦(対西武)で無事にこけら落としが行われた。

その後の札幌ドーム

これにより札幌市は、札幌ドームの一番の収入源となっていた日本ハムの観客動員を失うこととなり*13、以降なんJ・なんGでは札幌ドーム側に不都合な出来事や記事が出るたびにこの「なんか変だな」発言が蒸し返されている。

その後は

等、半分以上は自らネタを量産している。

また、STV札幌テレビ放送の動画に寄せられた視聴者の意見もあまりの温度差からセットでネタにされることも多い。
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そのため現在では経営難を打開するためにネットでは「とっとと取り壊せ*21」「毎日下水道展*22をやれ」といった意見が飛び交っている。

余談

2021年シーズンの日本ハムは一時期ホームでの勝率が凄まじく低かったのだが、6月13日に栗山英樹監督(当時)は「本拠地で負けるには実は理由がある。」と意味深な発言をしている。

日本ハム 東京五輪前最後の札幌ドームの試合で敗戦 今季は本拠で6勝18敗4分けの借金12
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2021/06/13/kiji/20210613s00001173642000c.html

 指揮官は本拠で大きく負け越す理由について「本拠地で負けるには実は理由がある。でも、それは言いたくない。そのことは把握している」とだけ話すにとどめた。ここから約2カ月札幌ドームを離れることになるが、東京五輪後の再開戦となる8月20日からの楽天3連戦では改善策に期待したいところだ。

なお最終的にはビジター勝率よりやや低い程度に収束している。

札幌市と市長も変だな

  • 四者協議で秋元克広札幌市長は、札幌ドームの野球専用化を提案してコンサドーレ札幌を見捨てるような発言をする。
  • 新球場建設が決まると札幌市は、日本ハムが求める面積(20ha)に全く足りない北海道大学の敷地(約10ha)や八紘学園の敷地(約13ha)を勝手に候補地に上げて断られる。
  • ならばと真駒内公園案を上げるも近隣住民から苦情の嵐にあう。
  • 挙句、札幌ドーム主催のモニター座談会(「ファイターズ新球場建設について」参照)で、「(シャウエッセンの販売もできてないと言う声に対して)シャウエッセンのほか業務用食材としても仕入れさせていただいています*23」、「球場と球団の運営が別なのは東京ドームと神宮球場も同じ*24」、「人工芝はナゴヤドームと同じ仕様を採用しており、札幌だけが特別に劣悪な環境ではない*25」と的外れで見苦しい言い訳をし出す。
  • 後任の札幌ドーム社長が就任早々「セ・リーグ興行を検討」と言い出す。
  • そして北広島移転が決定すると、「セ・リーグの主催試合などができるだけ多くできないか交渉したい」と言い出し、北海道文化放送の音頭でヤクルトが槍玉に上がる*26*27

など、所謂「もう遅い系なろう小説」のお手本のような醜態の数々を全国に晒すことになってしまった。また、秋元市長は2023年4月の札幌市長選挙で再選を果たしているので*28、少なくとも2027年5月1日まで現在の体制が続くとみられる。

あいつまだ札幌ドーム知らねぇな

上沢直之が杉谷拳士との対談で「札幌ドームは打球が速い」、ヘッスラで血だらけになったルーキーに対して「あいつまだ札幌ドーム知らねぇな」とペラペラ人工芝をネタにしている。
該当部分は10:50~

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関連項目



Tag: 日ハム 絶許 報道機関 球場


*1 使用料は1試合につき770万円(税別)+後述の追加料金であり、その総額は賃借料や運営コストで年間20億円弱(公式資料) 。2004年の札幌ドーム移転当初、日本ハム側は観客を最大2万人程度と予想し、超えた際に追加料金(1席につき385円)を払うという札幌ドーム使用料を定めた市の条例に沿った契約にしていたのだが、観客増により大きな負担となった。東京ドーム時代よりも安価ではあるが日ハムサイドからは使用料値下げの要望をするも、札幌市サイドは消費税増税分の転嫁として料金を値上げした(日ハムだけではなくコンサドーレその他イベントも同様)。加えてスポンサー費やグッズ売り上げの一部を札幌ドーム側に支払う形式のため、なんJでは観客が入れば入る程日本ハム球団が損をする奴隷契約と揶揄されていた。
*2 日本ハム側は指定管理者を希望したが、札幌ドームを同じく本拠地とするJリーグの北海道コンサドーレ札幌がいるために実現しなかった。またボールパーク構想も札幌市側の「札幌ドームは公共施設」という扱いや、札幌ドームそのものが国有地払い下げの市街化調整区域に建造されているために厳しい制約が多いことからこれも実現できなかった。利用料減免についても、札幌ドームには利用料金減免補てん補助金制度があるのだが日本ハム側が財務諸表の提出を拒んだために適用されなかった。
*3 巻取り式のため。芝の構造はナゴヤドームなど他の球場でも使われていた(改修済み)ものであり、特段札幌ドームだけが異常という訳ではないのだがナゴヤドーム共々選手からの評判は良いとは言えず、度々の張り替えでも構造の変更までは至れず日ハム撤退の遠因となった。特に外野手がこのグラウンドコンディションの影響を受けやすく、中田翔はこれが原因で膝を壊してしまい、外野手から一塁手への転向を余儀なくされている。2021年9月11日のソフトバンク戦では近藤健介が打球を追った際にフェンスにぶつかった勢いで後頭部からグラウンドに身体を強打し負傷退場、脳震盪特例措置で登録抹消に至っているなど、なんJでは猫屋敷からくり同様蔑称として「殺ド」呼びされる事が多かった。
*4 札幌ドームはサッカー・野球兼用のドームであり、それぞれの競技を行う際に球場内の設備を撤去もしくは移動する必要がある。そのためファウルゾーンを狭くするための客席の増設や、いわゆるホームランテラスのような外野フェンス際の客席設置を行うことが厳しい構造になっている。また、その弊害としてホームとバックネットとの距離が18.3m~19mのところを24.5mと最長距離(次点は横浜スタジアムの23.8m)だった為、いざワイルドピッチパスボールを起こすと進塁・失点に繋がりやすかった。
*5 これによりファウルボールが直撃して失明した観客がいた
*6 札幌ドームの外野スタンドはサッカー観戦を前提にFIFAの基準で作られているため。
*7 札幌市南区に位置する公園。後に移転先の候補として市から提案されたが、近隣住民からの強い反対にあい頓挫した。
*8 一応補足すると、札幌ドームは最寄の福住駅まで札幌駅や大通・すすきのなど中心街から地下鉄1本で行くことが可能で、中心街へのアクセスなら北広島より近いのは事実である。ただ、球場内の移動と球場までのアクセスとは別の問題である。
*9 何故か新ドームを必要としているのは札幌市民ということになっているが、必要としているのはあくまで日本ハム側である。
*10 ただし札幌ドーム時代より購入できる飲食物の価格が値上がりしている一方、飲食物の球場内への持ち込みが禁じられている。同じく値上がりした入場料やアクセスの煩雑さを含め今度は観客サイドの負担が重くなる結果となっている。
*11 なお、他の球場の寸法に関する規則上で「必要」と訳されている箇所には“required”のような「必要」を意味する表現はない。
*12 問題が表面化した当初より「アメリカの規則の誤訳ではないか」と指摘されており、規則が使用球場の実情にそぐわないアマ球界側から改正が提案された。プロ側は当初2023年・2024年オフに球場を規則に沿う形で改修することを前提として使用を認めることを12球団間で合意していたが、その後日本ハム側がNPB側に野球振興協力金(事実上の罰金)を支払う形で永続的な使用が認められ、結局23年オフに日本のファウルゾーンの規約がアメリカと同じ表現に変更された。
*13 エスコンフィールド開業以降公式試合で札幌ドーム開催試合が設定された事はなく、2023年においては日本ハムのオープン戦ホーム試合で3月4日~5日の対楽天戦、2024年においても3月2日~3日の対阪神戦で使用されたのみ。
*14 一例を挙げると、2023年2月から6月末までの上半期の稼働可能日数173日(休館日7日)のうち、稼働日は僅か22日。
*15 開会式・閉会式として利用予定であった。
*16 北海道は広大かつ周辺地域の人口が少ない為集客が難しいと言う関係上、3万人規模の集客力が高いハードルであることもあり、5大ドームツアーの箔付け以外の需要は薄く、たいてい真駒内セキスイハイムか北海きたえーる(双方キャパシティ1万人)を使うのが通常である。キャパを埋められる頼みの綱であった嵐(2008年~ 2019年開催。2020年活動休止)や関ジャニ∞(現:SUPER EIGHT。2011年および2013年~2019年開催)と言った旧ジャニーズ系ですらコロナ禍も影響して2020年以降開催していない。
*17 ドーム内を暗幕で仕切り1万~2万人規模のコンサートやイベントに対応できるようにしたが建設時点での予約はゼロ、2023年内での利用実績はわずか2件(さらにその2回もラグビーW杯のパブリックビューイングと高校生の吹奏楽パフォーマンス大会といずれも市・ドーム側主導のイベントである)。2024年は『SAPPORO MUSIC EXPERIENCE2024』で本格的に利用され、出演者にも好評だったことから今後の利用に期待されている。
*18 2024年9月頃閉店予定。ただし、閉店はイトーヨーカドー側が北海道・東北地方からの撤退および一部の関東地方の店舗の整理などの構造改革に踏み切ったことによるもので、日本ハムの本拠地移転とは直接的な関係はない。
*19 NPB球団の本拠地ですらZOZOマリンスタジアムが3.1億、マツダスタジアムが2.2億程度、地方球場ではほっともっとフィールドが3400万、サッカー場でも都内かつ3つのクラブが本拠地とする味の素スタジアムが2.1億とこの条件を上回るものは存在しない。さらに札幌ドームのネーミングライツ売却は過去にも2度行われたが5億×5年契約、名称に○○札幌ドームをつけなければならない等の悪条件だったため応募は0件であった。
*20 2024年3月10日に行われたJ1リーグ 浦和レッズvs北海道コンサドーレ札幌では、サッカー用の天然芝が明らかに荒れた状態になっており、浦和の2選手が負傷交代したほか足を攣った選手も複数現れた。これは2月の気温が10度以上まで上昇(札幌としては観測史上初)した際に雪が解けて芝が露出した後に再度降雪・低温になり、芝の育成と除雪のスケジュールに大きな狂いが生じたことが原因である。
*21 先述の通り札幌ドームは市街化調整区域内に多目的施設の建造を条件に国有地を払い下げられたため、仮に取り壊したとしても民間への譲渡や商業施設・住宅建設等への転用は不可能である。
*22 地方公共団体を対象とした下水道関連の展示会で、日ハム撤退後の2023年8/1~8/4の4日間に札幌ドームで開催された。そのニッチさから札幌ドームで開催されるイベントの中では一際目を引いたため有名となった。2023年は4日間で約3万人を動員している歴とした大型のイベントである。なお、現実的には大都市持ち回りのイベントのため次回の札幌ドームでの開催は未定。
*23 言うまでもなく本旨は“日本ハムの直売による”シャウエッセンの販売であり、実際にこれが実現するのはエスコンフィールド移転後である。
*24 そもそも東京ドームは後楽園球場を運営していた後楽園スタヂアム時代から物販・運営等にまで介入される事はなかったし、2020年に三井不動産傘下となった際に2割の譲渡を受けて以来読売グループも株を保有している。そして槍玉にあげられた、現在唯一の本拠地間借り球団である明治神宮球場に関しても宗教法人明治神宮に納入しているのは使用権のみであり、物販権で介入されてはいない。
*25 2018年当時は札幌ドームと共にショートパイルターフ式巻き取り人工芝であったが、2022年より6代目となる固定のロングパイル式に改装。なおナゴヤドームのそれはゴムパッドも底に敷いて対策していたので全くの別物である。
*26 平成29年度第20回定例市長記者会見記録「札幌ドームについて(2)」を参照されたし。この当時ヤクルトは神宮球場の老朽化による建て替えが議論されており、この期間中の誘致を進言されていた。
*27 なおNPB各球団には日本プロフェッショナル野球協約第38条に基づく地域保護権が認められており、札幌ドームに限らず道内で日本ハム以外の球団が主催試合を行うためには日本ハムの許諾が必要であるが、この事は秋元も認識していたようである。ちなみに日本ハムが札幌ドームに本拠地を置いた2004年以降も巨人・ヤクルト・横浜が札幌ドームで主催試合を行っていたが数年でいずれも撤退している。
*28 与党だけではなく、国政では野党である立憲民主党なども支援を行っていることや、対立候補が共産党や泡沫候補ということもあり、結果として秋元の当選を許してしまう形となっている。
*29 先述の通り行政の御用マスコミぶりではあるが球団の北海道移転時にグランドパートナーという形で出資していることから姉妹紙の道新スポーツと並びファイターズの大本営という側面もある。