想定外の事象

Last-modified: 2024-04-23 (火) 10:30:09

2020年6月9日のDeNA対巨人(横浜スタジアム)の練習試合中に起きた采配に対する、スポーツナビ公式の反応。


経緯

この日のDeNA先発は濱口遥大。練習試合なのでDH制が採用されていたが、シーズン中を想定してDHなしでのプレーボールとなった。
濱口は予定通りの5回を投げた後降板し、代打に楠本泰史が送られる。その後アレックス・ラミレス監督は代打の楠本をそのままDHに配置。つまり試合途中からDHが復活したのである。

これに対し試合速報を行うスポーツナビ公式は本来あり得ないDH復活にシステム上対応が出来ず、試合速報を中止。この際に表示された「DeNAvs巨人は想定外の事象が発生したため速報を中止しました」という文面がネタにされるようになった。
最終的にシステムが正常に動作していた日刊スポーツの速報サイトへリンクすることで事なきを得ている。


解説

一度放棄したDHを試合中に再度復活、というのは通常の試合ならば当然ルール違反であるが、練習試合ならば(両軍申し合わせの上で)認められている*1。また、スポナビの一球速報も「練習試合のためシステム上対応できない事象があり、速報を中止します」と断りを入れている。
今回は例年ならばスポナビの試合速報で配信されない練習試合が、新型コロナウイルスの影響で公式戦が遅れた関係で配信されたことが原因で起きたのであった。


速報画像

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転送が行われたニッカンのページ。
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類似例

翌10日の同カード*2では、今度は巨人がこの変則采配を敢行。巨人はこの日先発の鍬原拓也を9番に据えたが、その鍬原が3回までに6点を失うと、4回の第2打席に代打・重信慎之介を送り、そのままDHに守備変更させた。
今度はスポナビも実況を継続したが、「DeNA vs 巨人で特別ルール適用のため、一部表示が実際の試合と異なっています。ご了承ください」と注釈された。その後、表記に関しては「途中でDH制が採用された試合は、オーダー等の表示が実際と異なります。ご了承ください。」と言う形に変更されている。

また、2021年のMLBオールスターゲームでは大谷翔平の「リアル二刀流」を実現させるために投手兼指名打者として出場する特別ルール*3が導入されたが、スポナビの実況では、大谷は「1番・投手」で先発出場、1イニングを投げ終えた後は守備変更でDHに変わると言う表現を行った。

非公式戦の特別ルール

その他の公式戦ではまずお目にかかれない、もしくはルール違反となるが紅白戦・練習試合・フェニックスリーグで実際に起こったことのある事例に以下のようなものがある。

  • 守備に就いていた野手をDHに変更。
  • 後攻のチームが最終回の表を終えてリードしていても裏の攻撃をプレイ、もしくはサヨナラを決めた後も3アウトを取られるまで試合を続行。
  • ランナーがいる状態でイニング開始*4
  • 点差があるのに延長イニング*5
  • ホームチームがサヨナラ負け*6*7*8*9
  • 途中交代でベンチに下がった選手が再び出場。
  • メンバー表の交換後にスタメン野手の打順を変更*10
  • 球団スタッフが出場。
  • DHを入れず、かつ投手も打席に立たせず1番から8番までの野手で打順を回す*13
  • DH2人体制で10人で打者一巡。
  • 3アウトが成立していないのに攻守交代*14
  • 相手チームの選手を借りる*15
  • 代走を送られた選手がその後も試合に出続ける一方、代走に送られた選手が別の打順に入る*16*17
  • 代打に送られた選手が代打の代走として出場*18
  • 試合に参加するチームが3チーム*19
  • DHありの試合で野手が打順から外れる。
  • 6アウト制を採用。*20

関連項目



Tag: 報道機関 横浜 巨人 ルール


*1 試合の勝敗よりも育成・状態の確認を目的とした紅白戦や練習試合ではそれなりに見掛ける光景であり、したがってDH復活自体も決して前代未聞の采配というわけではない。
*2 東京ドームで開催されたが、先攻で攻撃を行いたい巨人側の意向で攻守を入れ替えて行った。
*3 翌2022年から公式ルールとして導入。2023年からは日本の野球やWBCなどでも適用されている。
*4 ただし、国際試合や高校野球等のアマチュアの試合では延長戦においてタイブレークとしてランナーを置いた状態からイニング開始となるケースが多数見られる。2020年シーズンよりMLB公式戦でも延長タイブレークが採用されている。
*5 2022年11月6日の侍ジャパン対巨人戦で発生。9回終了時に8-4で侍ジャパンが勝利したが、「WBCで採用されるタイブレークの練習」として延長10回が行われた。結果は4-2で侍ジャパンの勝利。なお2023年2月25日のソフトバンク戦、2023年3月3日の中日戦でも同様に行った。
*6 6月4日のDeNA対楽天戦(横浜)で発生。6月の練習試合をホームで戦わない楽天の要望に応じ攻守入れ替えを行った。DeNAは6日の日本ハム戦においても同様に攻守を入れ替えている。
*7 二軍ではあるが、2020年7月上旬まで西武は本拠地である西武第二球場(現CAR3219フィールド)が改修工事のため使用不可能となり、開幕からそれまでのホームゲームを相手球団の本拠地で開催した(サヨナラ勝利は7月9日の楽天戦(ウェルファムフーズ森林どりスタジアム泉)で発生)。
*8 2021年8月8日のエキシビションマッチ・DeNA対オリックス戦(京セラドーム)で発生。DeNAの本拠地は東京五輪で使用中のため使えず、この日だけ攻守を入れ替えて開催された。
*9 1994年7月19日に当時の本拠地キングドームの屋根が崩落したことを受け、シアトル・マリナーズは7月22日から8月12日のMLBストライキ突入までのホームゲーム15試合を対戦相手の本拠地で行った。
*10 2021年2月16日の日本ハム対中日戦(北谷)で発生。中日の打順は当初1番根尾昂・2番岡林勇希と発表されていたが、試合開始寸前にこの両者が入れ替えられた。
*11 白組でショートを守っている「前田」が大和のことであれば、まだ登録名がフルネームであった2006年のものである可能性が高い。
*12 画像内の「球団スタッフ」の正体については打撃投手やブルペンキャッチャー説(当然野球がそれなりにできる人である)や当時阪神球団に派遣されていた独立リーグの選手説がある。更にこの紅白戦はDH抜きの打者8人の試合である。
*13 2021年2月16日の西武の紅白戦で発生。出入国規制で外国人選手が来日できず、なおかつ故障者が相次いだ影響で白組に至っては野手8人すら確保できず、1番から7番のみで打順を回した上、左翼手に前年で引退し打撃投手に転身していた國場翼を起用する羽目になった。
*14 2021年2月25日の広島の紅白戦で発生。先発・薮田和樹が初回から8失点の大炎上を喫し、まだ1アウトしか取れていないにも関わらず攻守交代を命じられた。
*15 2021年2月27日のオリックス対楽天二軍練習試合で発生。楽天側の野手不足からオリックス育成選手の古長拓が楽天の二塁手として出場。
*16 2021年3月17日の教育リーグ・巨人対DeNA戦で発生。巨人の「2番・捕手」で出場していた炭谷銀仁朗が中前安打で出場すると代走に山瀬慎之助を送られたが、その後は指名打者としてラインナップに残る。一方で山瀬は指名打者としてスタメン出場していた石川慎吾の入っていた3番に捕手として入った。
*17 なお余談ではあるが、ソフトボールには2死となった時点で塁上に投手・捕手が走者として出ていた場合、塁上にいない野手で最後に打順の回ってくる者(2死無走者から9番投手が出塁した場合8番打者)を代走に送ることのできる「テンポラリーランナー」というルールがある。チェンジになったあとは代走として出た野手、代走を送られた投手・捕手とも継続して出場が可能である。
*18 2021年3月18日の教育リーグ・DeNA対ヤクルト戦で発生。9回表に山下幸輝の代打として伊藤光が送られ、ヒットを放つが1塁に向かう際に足を負傷。到達後にプレー続行不能となったため、代打を出された山下が代走として戻った。
*19 東京五輪開催による公式戦中断期間中の2021年7月21日に巨人が実施。巨人の野手を元木軍、二岡軍、阿部軍の3チームに分け、7イニング制で先攻・元木軍、中攻・二岡軍、後攻・阿部軍とする変則的な紅白戦を実施した。結果は2-5-1で二岡軍の勝利。
*20 2023年10月10日のDeNA対ENEOSの練習試合で発生。前日の練習試合が雨天中止となったため、DeNAの実戦機会をできるだけ増やすため6回からENEOSの攻撃時のみ6アウトチェンジのルールで試合が行われた。