チクロー

Last-modified: 2024-01-23 (火) 23:12:18

イチローの蔑称(別称)。イチック、イッチック、チックローとも呼ばれる。


概要

2012年7月23日、イチローがトレードによってシアトル・マリナーズからニューヨーク・ヤンキースへ移籍することとなった。弱小球団であるマリナーズから大正義軍団であるヤンキースに移籍してわずか数分で「マリナーズを出る喜び」を感じたのか、移籍直後の記者会見における「一番勝ってないチームから一番勝ってるチームへ」と言う発言に始まり、移籍後のイチローによるコメントや行動が、ヤンキースを持ちあげ、それと同時に11年半もプレーしたマリナーズを批判するようにも取れるコメントを多く発信するようになる。

畜生発言はこの時だけに留まらず、特に年末のNHKの特番でのイチローの一連の発言は今までにない強烈な表現があり、マリナーズに対する嫌悪の声が多く聞かれた。

これら一連の発言から、横浜ベイスターズから福岡ソフトバンクホークスへ移籍した内川聖一が「畜一」と言われるようになったのと同じ要領で、「(当時)ヤンキースの(に所属していた)」イチローをチクローと呼ぶようになった。

これらの発言に対して、周囲では内川同様「事実を指摘しただけで畜生呼ばわりになってしまうマリナーズに問題があるのではないか*1」と言う声や、「ホモの魔の手から逃れたかったのでは」という声も存在した。


なおイチローの発言にフォローを入れると、当時の低迷したマリナーズはそれまで在籍したベテラン選手をあっさり放出したせいでチーム内でのまとめ役がいなくなってしまい、イチローのプレーに不満を持つ選手が出てくるようになったという。それと同時に地元新聞でもチーム内で数少ない結果を残していた選手であったにもかかわらずイチローを批判する記事が多くなっていった。イチロー自身もチーム内外の不穏な空気や理不尽な扱い、自身が現地では「外国人」という立ち位置から相当嫌気が差しており、一時はメジャーでのプレーを断念して日本球界復帰すら考えたと語るほどで、暗黒全盛期ベイスをも超えるチーム状況だったことは想像に難くない*2

 

後にイチローはマーリンズを経由してマリナーズに復帰。結果が伴わない中でも母国日本で最後を迎えられるようにしてもらったマリナーズに対し感謝の意を述べている。

畜生発言・行動の一覧

  • 一番勝ってないチームから一番勝ってるチームへ
  • ようやくメジャーにたどり着き、しかも『イチロー選手と同じチームだけを希望します』と言い2億円の大幅年俸減まで受け入れてやってきた川崎宗則を見捨てる*3
  • よりにもよって長年自身の安打数をカウントしてくれた「イチメーターの人」がアンチヤンキースにも関わらず*4ヤンキースに移籍し、一時イチメーターの人を絶望させる*5
  • ヤンキースの雰囲気は理想的
  • 「シアトルでの3つ目*6、ふと時計を見た瞬間があったんですよね。12時40分開始だったんですけど、4時になっていたという。全然(長さを)感じなかった。そこで“ああ(これだな)”と思いましたね。勝つっていうことに集中していることは大きいんじゃないですかね。明確なその目標がある」
  • (マリナーズ時代は)全部敵だったのが、全部味方。180度というか540度違う感じ。背負う物の違いを感じられるようになりたい
  • プレーの中で捨てられるものがない
  • 特にこの球場(ヤンキースタジアム)では“野球がちょっと違うな”という感じがする。それはこのチームがずっと背負ってきた宿命がそうさせるのだと思う
  • 「一つの成功が物凄く喜びを生むし、一つの失敗が物凄く精神的にこたえる」
  • このチームにいるとその瞬間に集中するので余計なことを考えない
  • (ヤンキースは)やらないといけないことがはっきりしている。その分かりやすさがいいですね
  • 「ここにいたら打てばそうなる。機会が多いもんね。常に優勝を目指しているチームでは打点の重みが違うというのもあるし、気分は悪くない」
  • 「このチームはね、(自分が)出れば当然チャンスになるし、出なくても前にランナーがいるし、忙しいチームですよね。打順なんてあってないようなものと言うか、どこからでも打てるもんね。単純に打てる選手が多い。打つ能力が高い」
  • 「シアトルでスターだったかなんて、僕には判らない。みんながそう言ってくれるのは嬉しいし、光栄だと思う。だけど僕がここを気に入っているって言うのは、そういったこととは違って、僕はここのスターたちに、物凄い興味があるから。ここにいるのは本当に楽しいんだ。僕は彼らが、何をどうやってするのかが本当に知りたい。そういったことは、僕にはほんとうに楽しい」
  • 「最初の数日を過ごしてから、みんなが大人で経験を積んできているって僕は実感した。それは僕にとってやりやすいし、ストレスも少なくなる」
  • 「勝つこともですが、いいプレーを見たいという人がいっぱいいる。そういうのをビンビン感じるので(こっちも)いろんなことをやりたいと思う」
  • 「とりあえず今日は勝つことだった。ここというポイントで(全員が)集中しているのが分かる。だれかが何かを言ってそうなるのではなく、空気で感じる」
  • (優勝争いの重圧は)そりゃあ、普通にある。(マリナーズ時代は)反対側からいつも見ていたが想像通り
  • 「いやー、本当にしびれますよ。(こういう状況でプレイできて)勝ちたいという気持ちがまた強く生まれてくる。本当に幸せですよね、野球人として」
  • 「優勝争いの渦中だからって思い詰める必要はない。この独特の雰囲気が、自然に集中力を高めてくれる。
    今まで(マリナーズで)感じていたのとは全く違う」
  • (ダブルヘッダーで8打数7安打した試合で)「いやもう、今日が終わっちゃったから残念ですよね。もう明日のことを考えなきゃいけない。ニューヨークのファンは本当に特別な瞬間を与えてくれている。イチロー、イチローって名前を呼んでくれる。あれはすごいエネルギーになる
  • (その翌日ソロホームランと逆転タイムリー二塁打を打ち)「久しぶりのこの感覚。これが野球ですよ
  • 毎日負けられない状況でゲームをできるのは本当に幸せなこと
  • 「どのゲームもだんだん大事になってくる。『大きい』という表現では安すぎる。(自分が)知らない、経験がない世界だから、そりゃ、面白いよね。見たことのないもの、そこに身を置くってやっぱりいいもんですよね」
  • 「今日、特別なことをしたわけではない。別に昨日までと何も変わらない。集中するために何かこう自分でアプローチする。ペナントレースに参加できていないチームというのはそれが自然にはできない」
  • 「今は特別な時間なんだ。ジーターや、ヤンキースのメンバーとプレーできることは特別な経験なんだ。年老いた時に、過去を振り返って、「ヤンキースの一員になれたのは本当に凄い経験だった」と言うだろうね。
    死ぬ前に今のことを思い出して、これがどれだけ特別な時間だったか思い出すと思う。
    死が近づいてきたらそんなふうになる、と考えているよ。」
  • (ヤンキースのプレーオフ進出が決定し)「僕はメールに『ありがとう』とは返さなかった。そこがこのチームにいる証しですかね。マリナーズにいたらそうならない」「(地区優勝するために)どうしたって負けられない」
  • (地区優勝を決め)「この時点で冷静になっている自分がいる。こうなっている自分を見ると、ようやくヤンキースの一員になったのかなと今、思っています
  • 「ただ、シンプルな目標、勝つということにフォーカスしているのは間違いない。
  • 「プレーのリアクションが大きいから楽しいですよ。ビンビン感じる」
  • 「(前夜にプレーオフ進出が決まったことに)ここまで厳しかったことは間違いないので、その事実はいいニュースとして捉えました。ただまあ、このチームでは『だから?』という感じにもなる。(きょうの試合にどんな気持ちで臨んだか)勝たなきゃいけない。どうしたって負けられないですからね」
  • (マリナーズ時代のプレーオフについて)「昔のことすぎて忘れちゃいましたね。だって、犯罪も10年たちゃあ、時効になるケースも多いですから。特にいいことは(記憶から)なくなっちゃうでしょ
  • (11年ぶりにプレーオフの舞台でプレーし)「(マリナーズで出た時は)自分たちは先をイメージできない状態でプレーしていた。このチームでは全体としてはっきりと先を見据えている」
  • ここでしか味わえないものは確実に存在するということ。ただ、これまでシアトルでは孤独を感じる時間がすごく多かったんですが、そこで自分なりに戦ってきたことは確実に自分の力になっていたと思った
  • 「短い時間でしたが、この場所にはいろんなもの、いろんな時間を与えてもらった」(下記二つとともに、タイガースにリーグ優勝決定シリーズで敗北してのコメント。)
  • 「最後はこういう形で負けてしまいましたが、本来(自分が)持っている気持ちを思い出させてもらった」
  • 悔しい気持ちしかない。ただ、こういう気持ちは久しく味わったことがない
  • (NHKの年末特番においてヤンキースに対し)「初めてチームへの忠誠心が芽生えた
  • (同特番でマリナーズのマスコミに対し)「あんな奴らに潰される訳にはいかない
  • (同じくマリナーズに対し)「こんなところでぺしゃんこになる訳にはいかない」
  • (同じくマリナーズに対し)「味方のユニフォームなのに敵みたいだ
  • 「ニューヨークにきた時、ファンがとても暖かく僕を歓迎してくれた。それが僕の、野球に対するエネルギーになって、僕を助けてくれた。だけどヤンキースファンっていうのは、試合の楽しみ方を見ていると、とても洗練されていると感じる。彼らは表面のことだけではなく、中身を見ている。プレー内容に注目しているんだ」
  • 「初めてヤンキースにきた時、ここはすごくシンプルな目標を持っていて、その目標にみんなのエネルギーが向かっているって思った。みんなが持っている野球に対するその姿勢を僕は好ましく思ったし、楽しんだ」
  • 「試合後も、勝ちや負けに対する試合後の捉え方も、彼らはすごく上手くコントロールしていた」
  • 「それは、僕がクラブハウスやチームに求めていたもので、それが現実に存在するなんて知らなかった。クラブハウスってこうであるべきだと思うような、理想的なクラブハウスを見つけることを諦めかけていたけど、去年見つけることができた。それがここだったんだ」
  • 「幸せです。こういうのを幸せっていうんです」
  • 「自分が思い描いてた選手としてこうあるべき。チームとしてこうあるべき。というものが諦めていたことの一つなんですよね。僕の中で。それが目の前にあるんです。」
  • 「何もしなくてもそういう価値観を共有できる選手がそこにいる。こんな幸せなことはない。」


マリナーズを出る喜び

SEA打率.261 4HR 28打点 15盗塁 (95試合)
NYY打率.322 5HR 27打点 14盗塁 (67試合)*7


関連項目


*1 この頃のマリナーズはトレードや大型契約で獲得した選手が悉く死刑囚化、放出した選手が移籍先で大活躍する事例が多発。ドラフトでも低迷続きの恩恵で有望株を獲得できるチャンスがありながら指名した選手が戦力にならず、指名を見送った選手が他球団で主力として活躍するなど散々な有様だった。これらは当時のマリナーズのGMでメジャー最低GMにも選出されたビル・バベシに原因があるのではないかと言われていた。
*2 何しろ第1次イチロー在籍時代の11年間でプレーオフに進出出来たのが2001年の1度だけ、そして次にプレーオフに進出したのがイチロー引退後の2022年という暗黒っぷりである。
*3 ただし迷った中の一要素。
*4 一般的にマリナーズファンはヤンキース嫌いで知られている。
*5 移籍が発表された試合でイチメーターにお別れのサインをした模様。またシーズン終了後にマリナーズ時代に使用していたスパイク、バットに手紙を添えて送った模様。なお、イチメーターの人曰く「逝きかけた」とのこと。
*6 イチローはシアトルでのマリナーズとヤンキースの3連戦の2試合目の終了後に移籍、3試合目がヤンキースのユニフォームを着ての最初の試合だった。
*7 更にこれに「セーフコ*8を出る喜び」が加わると、打率.359・5本塁打に跳ね上がる(ヤンキースタジアムのみの打率)。
*8 マリナーズの本拠地、セーフコ・フィールド。2018年からT-モバイル・パーク。