暴れん坊将軍

Last-modified: 2024-05-11 (土) 16:22:38

登録日:2011-05-11 (水) 07:09:59
更新日:2024-05-11 (土) 16:22:38
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アニヲタ…
余 の 顔 を 見 忘 れ た か !

『暴れん坊将軍』とは、1978年から2002年まで東映製作・テレビ朝日系で放映された時代劇のテレビシリーズである。
『マツケンサンバ』でも知られる松平健氏のライフワークにして、一世一代の代表作でもある。

●目次

【概要】

天下の大将軍・徳川吉宗公が正体を隠して市井の人々と触れあいつつ、闇で蠢く悪を懲らしめ世直しをしていく痛快娯楽時代劇である。
テレビシリーズが12シーズン、単発スペシャル含めて放送された回数は832回と、同一主演俳優の作品では大川橋蔵版の『銭形平次』(フジテレビ)に次ぐ二位を誇る。
ただし、基本的な設定だけは軸として一貫しているが、流れが続いているシリーズもあれば、完全にリセットして仕切り直しているシリーズもある。

ナレーションは一貫して若山弦蔵が担当。第1作目だけは『吉宗評判記』というサブタイトルが付属していた。

まれに下半身の元気があり余ってる男性の通称にもなる。

また、本作品とは縁もゆかりもないが、X JAPAN?ToshI?がライブ中のMCで観客に向かってよく「てめぇら!!暴れん坊将軍で行けオルアァ!!!」と叫ぶ。
……果たして『暴れん坊将軍で行く』と言うのはどういうことなのかね?

音楽は菊池俊輔が担当。メインテーマ曲は「ああ人生に涙あり」(『水戸黄門?』)や「殺しのテーマ」(『必殺』シリーズ)と並ぶ知名度を誇り、テレビ時代劇を見たことなくてもこの曲を知っているという人も多いことだろう。
また、大阪近鉄バファローズのチャンステーマとして用いられていたことでも有名で、他球団の応援団がこれに追随したことでチャンテが定着した、いわば始祖ともいえる存在である。2001年の「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームラン」の時の打席で流れていたのもこれ。
他のテレビ朝日の東映作品同様電波を問わず頻繁に再放送が行われており、そこでハマった人も多く、今なおグッズが発売されるなど高い人気を誇る。

【基本ストーリー】

基本的な話の流れは黄金パターンが確立されており、

  1. 巷を騒がせる悪事を聞きつけ、吉宗がその深刻さを憂慮する
  2. 吉宗がゲストと交流(襲われている所を助ける事が多い)
  3. 事態が急展開
  4. 怒り心頭の吉宗が敵の本拠地へ突入(ゲストが死んだりするとここで松平健が歌う楽曲の流れる豪華版となる)
  5. スマッシュブラザーズ開始(後述)
  6. エピローグ(基本的にはハッピーエンド?だが、まれにもの哀しいビターエンド?もある)
    原則的にこのような流れで物語が展開する。

吉宗は町に降りる際に「徳田新之助」の偽名?を用いる*1
事件解決後、被害者周辺から「上様とは知らず大変なご無礼を…どうかお許し下され」と懇願され、「俺は徳田新之助、それで構わん」などと返すのがお約束。ただしテレビスペシャルなどは江戸城が占拠されるためこの限りではない。

【殺陣】

クライマックスにおける殺陣は、松平健の力強く流れるように美しい剣技が冴え渡り、壮快でカタルシス抜群な血湧き肉躍る最大の見せ場。ここでも基本パターンが確立されている。

  1. 親玉の前に吉宗登場。主な登場パターンは以下の通り
    1. 事が進んで調子づく親玉の振舞いを、エコーつきの台詞で咎めながら出現
      (「その悪事、許すわけにはいかぬな」「その宴、この世の名残りの宴と知るがよい」など)
    2. 悪役がゲストを斬ろうとしている所に扇子(白地に「正義」の字を記したもの)を投げつけて乱入
    3. 画面外から悪事の証拠品をブン投げる(例:偽小判、手下、着火した爆弾(もちろん火薬抜き))
  2. 突然の来襲に驚く親玉を、吉宗が「余の顔を見忘れたか!」と一喝して平伏させる*2
  3. 親玉は一度は平伏するも結局反逆し、手下を呼び寄せて吉宗を襲わせる(後述)
  4. 吉宗が抜いた刀を肩の高さで構え、「カチャッ」と音を鳴らしながら刀を返すのを合図に殺陣開始。この際、ハバキ部分に刻まれた三つ葉葵の家紋がアップになる
  5. 例のテーマをバックに吉宗が手下どもをなぎ倒す。数人倒す→ゆっくり歩いて親玉に迫る→また数人倒す、を繰り返し親玉を追い詰めていく。
  6. 10~15人ほど倒した所で「カーン!」の効果音と共に吉宗が親玉を睨みつけるアップが入る。
    御庭番の2人が助勢に入るのもこの前後。手下の筆頭格もこの辺りで処理される
  7. 最後は親玉自ら吉宗に斬りかかるも叩きのめされ、吉宗の「成敗!」の合図で御庭番に斬られる
  8. 吉宗が音を鳴らしながら納刀し、遠くを厳しく見つめるカットを以って殺陣終了
    基本は吉宗と御庭番2人の合計3名だけで大勢の敵を蹴散らしていくが、時には大岡や山田朝右衛門など助っ人が加わる事も。大岡は「このお方をどなたと心得る!」と敵に啖呵を切る場面も見られたが、中の人が格さんと同じ人だった時は印籠を出す?んじゃないかと思った人もいたとか。
    また、高位の武士の親玉が最後の最後に咄嗟に切腹しようとしたところに「切腹ならん!成敗!」と名誉を認めず斬らせたり、
    他にも仇討ちを志す被害者の遺族がゲストの場合は、刀を叩き落された悪玉を隅に追いつめた後遺族に止めを任せることもあった。この場合、最後の「成敗!」がゲストに止めを促す台詞に差し変わる(「〇〇、本懐を!」など)。
    ちなみによく知られるお約束のパターンになったのは「暴れん坊将軍Ⅱ」からで、最初のシリーズ「吉宗評判記」では悪党を懲らしめてからその首領格を江戸城に呼び出し、そこであの若侍は実は上様だったと分かり御沙汰を申し渡す「東山の金さん」に近い方式が多かった。中には殺陣シーンなしだったり、将軍である事を相手が知らぬまま敵の頭領と騎馬戦(スタントマンなし!)で一騎打ちなど、イレギュラーな展開もあった。

【悪人の反逆】

ほとんどの場合、吉宗が正体を明かしたら悪人たちは一旦はひれ伏すものの、断罪の意志(「この場にて潔く腹を切れい!」、「天に代わって成敗してくれる!」など)を突きつけられると最終的には往生際が悪く牙を剥いてくる。これまたいろいろなパターンがある。

  • すっとぼけ型:「上様がこのような所に来られるはずがない!」「恐れ多くも上様の名を騙る不届き者じゃー!!」
  • 反逆型:「上様!お手向い致しますぞ」「ふっふっふ……飛んで火に入る夏の虫よのう」「吉宗、ここで死ねばただの人ぞ!!」
  • 自暴自棄型:「もはやこれまで…」「そこまでバレているならば、悪党らしく死に花を咲かせてくれるわ!!」
    あの最強死亡フラグ「ものども、であえ!であえー!このものは上様の~~」な発言も連発する。
  • スペシャルだと正体明かされてもなお余裕な態度の奴もいる。
  • 特番では吉宗のライバルである尾張藩藩主・徳川宗春の勢力が敵として登場することがあり、「吉宗の首を我が殿、宗春公に差し出せ!」と殺る気満々で襲ってくる。
  • 一度だけ上方の商人が「これは好都合や!この世をもっと面白おかしくするために、将軍はんにも替わってもらいまひょか!!」と言った事がある。
    吉宗がこうした悪人の悪あがきに反応することは基本的になく、さっさと刀を抜いて無双モードに移行することが多いが、構える前に一言呟く場合もまれにある。
    (例:「愚か者!」、「どこまでも腐りきった奴らめ」、「俺の命は天下の命、三つ葉葵の風が吹くってな。貴様ら如き悪党に、渡す訳にはいかんのだ!」)

【成敗】

実は吉宗や越前は峰打ちを行っており、実際に人を斬っているのは御庭番だけである。
これは「上様の刀が汚れる」「上様に斬られたらかえって名誉になってしまうから」などの理由によるもの。親玉の成敗を御庭番にさせているのもこのせい。
しかし、何の罪もない善人が犠牲になっていたり、どうしても許し難い外道に対しては吉宗自身が直々に成敗を下すケースも存在する。
また、上記のように被害者の遺族らにとどめを刺させるケースも存在する。

  • 御庭番が殉職して、マジギレして殺戮マシーン化したことも。
  • 徳田としての自分の養父になるはずだった人物が落命した際も、怒りと哀しみで殺戮マシーン化した。
    社会的地位のある親玉の成敗に関しては、公には病死や不慮の事故死として処理され、お家断絶か後任の者が家督を継いでいる。
    気絶させるだけに留まった手下は越前が召し捕っているという設定。
    決着をつけた後、もしゲストがその場に立ち会っていれば土下座をして非礼を詫び、それに対して吉宗は笑って語りかける事で一件落着である。

【登場人物】

◆徳川吉宗

演:松平健
誰もが知ってる江戸幕府八代将軍。
強く優しく正義感に溢れ、女心にやや疎いのも含めて、まさにヒーローとしての理想型。
市井に溶け込む際は、『め組に居候している貧乏旗本の三男坊”徳田新之助”』を名乗っている。新之助は史実の吉宗の幼名であり、三男坊で家督とほぼ無縁な「はず」だったのも史実。幼少期は手が付けられないほどの「暴れん坊」で有名だったというのも本当。
何度か敵に捕まって拷問されているが、一晩中痛めつけられても呻き声一つあげない強靱な心身の持ち主。
アホみたいに強いが、将軍様の剣術指南役やシリーズ最終話の吉宗と不思議のダンジョンのラスボスである佐渡奉行など、吉宗以上の剣士もいることはいる。
天然ジゴロであり、本人にその気はなくてもハートを射止めた相手は数知れず。命を狙ってきた女暗殺者も陥落させた他、御庭番のくノ一とフラグを立てたことも。
初期は大体め組でちやほやされるが、後期になると快活なおばんにいいようにこき使われたりもした。
シリーズ中、本人が見初めたのは第8作目でヒロインとして描かれた鶴姫だけ(だが、演者が結婚を機に引退したため、設定自体がなかったことにされた)。
まあ史実に合わせて子供とか出していたら、「長男をどう描くか」という問題が発生したかもしれないからしょうがないね。
人間関係には極めて恵まれている一方で家族愛・親子愛と縁遠い幼少期を過ごしていた(これは史実でもある)せいか、徳田としての自分に養子縁組の話が持ち上がった際は養父候補となった旗本と心を通わせ、「父上」と呼び慕うまでになったことも。
銀幕デビュー作品で、何故か仮面ライダーオーズと時空を越えて共闘する。?
もちろん「成敗!」も言った。

そしてゲーム『仮面ライダー バトライド・ウォー2』にもゲスト出演。まさかのゲームデビューである。
声はもちろん松平健氏本人でオーズや「鎧武者」がモチーフとなる仮面ライダー鎧武ら歴代の平成ライダーと競演を果たした。
さらに一部ステージのみではあるがプレイアブルキャラクターとして使用可能となっており、本作では生身の人間でありながら仮面ライダーに匹敵する実力を持つという凄まじい設定。(レベルは最初からカンスト)
全並行世界の支配を目論む超巨大組織の大ショッカーが脅威と感じて直接抹殺に乗り出すというとんでもないことになっているが、彼らの末路は言うまでもない。
というか、映画では実現しなかったガラとの直接対決までやってのける。
恐ろしい。

◆じい

歴代の顔ぶれ

  • 加納五郎左衛門忠房:有島一郎(第1・2シリーズ)
  • 田之倉孫兵衛:船越英二(第3~7シリーズ)
  • 宍戸官兵衛:高島忠夫(第8・9シリーズ)
  • 有馬彦右衛門:名古屋章(第9~12シリーズ)
  • 横川勘十郎:神山繁(2004年新春スペシャル)
  • 加納五郎左衛門:伊東四朗(2008年スペシャル)

御側御用取次。モデルは史実で吉宗が創設した同名の役職だが、キャラ名は「加納」「有馬」と実在人物の名字を数度借りた以外はドラマオリジナルとなっている。
吉宗とのコミカルなやり取りは毎度の名物で、この存在なくして暴れん坊将軍は成立しない。
度々姿を眩ます吉宗に頭を悩ませたり、ことごとく見合いを進めたり、“ご隠居”として自分も町に繰り出して町人の文化にはしゃいだりする、愛すべきお爺ちゃん。
口やかましく窘めるが吉宗との絆は深く、吉宗が瀕死の重傷を負った時は、嵐の中で行水しながら回復を願い続けたことも。
キャストが替わるごとに役名も変わっているが、いずれも性格や人物像の設定は大部分が共通している。
吉宗の生母とフラグを立てて、誰得色恋沙汰と思いきや微笑ましい展開をしていた爺ちゃんもいる。
その婆さん尼だけどな!

◆大岡越前守忠相

演:横内正(第1~7シリーズ)→田村亮(第8~12シリーズ・2004年新春スペシャル)→大和田伸也(2008年スペシャル)
ご存じ”大岡裁き”の南町奉行で、本作のレギュラー版終了後にテレ朝でも彼が主演のドラマが作られるくらい人気の人物。
本作でもその暖かみのある裁量で町民から絶大な支持を得ており、吉宗の最も信頼する懐刀。吉宗からは「忠相」と下の名前で呼ばれる。
吉宗の失踪癖にも寛容だが、真面目さゆえにじいから愚痴をこぼされると困り果てる。

幾度となく失脚を狙う奸計で切腹寸前に追いやられているが、そのたびに吉宗と共に切り抜け、また奉行の立場を活かして吉宗の窮地を幾度となく救った。
史実でも目安箱や小石川療養所設立など吉宗の時代に活躍しており、史実では晩年大名になった。
TBSで作られた彼主役の時代劇ドラマ『大岡越前』では吉宗の方がいろいろ無理言って困らせており、後にNHKで制作された同名作品でも似たり寄ったりの演出のため、こっちに慣れてると結構新鮮。まぁ自然な流れか。
なお、2代目を演じた田村亮はフジテレビで放送された時代劇ドラマ『乾いて候』でも大岡越前を演じていた。

◆御庭番

歴代の顔ぶれ
第1シリーズ
薮田助八:宮内洋?(第1~87話)→大月半蔵:和崎俊哉(第88~207話)
おその:夏樹陽子
第2シリーズ
木葉才蔵:荒木茂 さぎり:朝加真由美
第3シリーズ
倉地左源太:三ツ木清隆(第1~57話)→才三:五代高之(第57~129話)
疾風:菅野玲子(第1~76話)→梢:高島礼子(第77~129話)
第4・5シリーズ
才三:五代高之 茜:入江まゆ子
第6・7シリーズ
速水佐平次:若松俊秀(第6シリーズ)桐原佐助:池谷太郎(第7シリーズ)
小雪:安藤晃子
第8~12シリーズ
十文字隼人:大森貴人
あやめ:大竹一重(第8シリーズ)皐月:東風平千香(第9シリーズ)
渚:山口香緒里(第10シリーズ)あざみ:松永香織(第11・12シリーズ)
2004年新春スペシャル
五郎太:篠塚勝 楓:村井美樹
2008年スペシャル
佐助:松田悟志 蛍:松永京子

吉宗の側に控える男女一組で構成された密偵。
忍びの性質上あまり表に出る事はないが、それだけにスポットが当たった回は濃いドラマが描かれる。
将軍の側近なら当然だが非常に優秀な人材が揃っており、吉宗が悪を打ち倒せるのも彼らの尽力あってこそ。
基本的にシリーズごとに入れ替わるが、宮内洋演じる薮田助八など、吉宗を庇って殉職者が出る形で交代したケースもあった。
大概人質を取られて鉄砲で蜂の巣にされて殉職する。
くの一が度々負傷したり捕えられるイベントは起こったが、恐らく色んな年齢層の愚息さんが暴れん坊になって待ちわびたイベントだろう。
また男性の御庭番は同じ東映ということもあり特撮出身者がキャスティングされることが多い(宮内洋?荒木茂?、五代高之、若松俊秀、松田悟志)。
後期でメインを担当した大森貴人は吉宗の中の人の付き人であり、名実ともに御庭番にふさわしい役だったと言えよう。
くの一には若き日の高島礼子がレギュラー出演していたことで知られる。

◆辰五郎

演:北島三郎→堺正章(2008年スペシャル)
町火消し”め組”を率いる頭で、江戸っ子全開の粋な親分。おまち(岐邑美沙子)という妹がいる。
徳田新之助の正体を初期から(レギュラーとしては)知っている数少ない存在で、吉宗とは確固たる信頼関係で結ばれた協力者にして親友。
初期の頃は、クライマックスで吉宗さえ取り逃がした悪党と対峙し、たった一人で叩きのめし引っ捕らえるという強さが描かれていたりもした。
レギュラー版の演者の本業は歌手であり、番組のテーマ曲も担当*3
そのためスケジュールの都合から理由で登場しない*4回も多かった。
シリーズ後期では後継者に頭の座を譲り、自身は町火消しの肝煎→総元締めへと昇進したり引退したりしているが、全作に渡って登場していた。
後任としては、第8~10シリーズで2代目頭の長次郎(山本譲二)、第11・12シリーズ及び2004新春スペシャルで3代目頭の栄五郎(松村雄基)が登場している。

◆め組の姐さん

歴代の顔ぶれ
辰五郎の妻・おさい:春川ますみ(第1~2シリーズ)→浅茅陽子(第3~5シリーズ)→坂口良子(第6~7シリーズ)→岡本麗(2008年スペシャル)
長次郎の妻・おぶん:生稲晃子(第8~10シリーズ)
栄五郎の妹・お杏:いしのようこ(第11・12シリーズ・2004新春スペシャル)

荒くれ者の多いめ組を取り仕切る肝っ玉の据わった女性。特におさいは前述の通り辰五郎が欠席することが多かったため、回によっては親分の代わりに表舞台に出ることも多かった。
新之助の正体を知らないせいか時折幕府(=将軍)の悪口を言うこともあり、その時は辰五郎をひやひやさせる。
おぶんは第7シリーズから登場しており、その時は岡っ引きの父の後を継いで目明しと魚屋を兼業する「女一心太助」と称された男勝りのキャラクターで、第8シリーズで長次郎と結婚し姐さんのポジションとなった。また長次郎が頭を務めた第8~10シリーズは小頭が不在で、おぶんが実質上の小頭を兼ねていた。
お杏は宮大工だった夫・房吉(湯江健幸)と死別しており(第11シリーズの第7・8話で、数々の不正を働いていた材木商と勘定奉行による口封じの謀殺だったことが判明)、女手一つで娘のもも(内堀美咲)を育てている。

◆め組の小頭

歴代の顔ぶれ
源三(初代小頭):園田裕久(第1・2シリーズ)
半次郎(2代目小頭):佐藤B作(第3シリーズ)
紋次郎(3代目小頭):渡辺篤史(第4シリーズ)
安次郎(4代目小頭):小野ヤスシ(第5シリーズ)
卯之吉(5代目小頭):三遊亭楽太郎(現:6代目三遊亭円楽)(第6・7シリーズ)
峰次(6代目小頭):中野英雄(第11・12シリーズ)
半次郎:梨本謙次郎(2008スペシャル)

”め組”のサブリーダー。シリーズによっては設定されないこともあった。

基本的に(特に中期以降)作中のコメディリリーフ役を担っているが、いずれも主役の回が必ず存在する。その内容は基本的に、「自身のミスでめ組に重大なトラブルが発生する→責任を取ってめ組を辞めることを示唆する→吉宗や周囲に諭されて立ち直る」というものだった*5

第6・7シリーズで小頭の卯之吉を演じたのはご存じ「笑点」の腹黒の人。彼の出演するシリーズは、キャストが落語家なのを踏まえてか「風呂敷」「芝浜」「品川心中」などの落語の噺を基にしたエピソードがいくつか見られた。第7シリーズでは桂歌丸が父親の治助役としてゲスト出演したこともあり、二人で「お前のような腹黒い奴」「クソジジイ」などと大喜利の罵倒合戦を彷彿とさせる親子喧嘩を繰り広げる場面もあった。お二方、ここはテレ朝ですよ。
また、とある回ではゲストキャラから武士の階級制度について説明を受けたときには、「私にはそういう難しいことはよくわからないんですが……」と返すシーンも。

源三は温厚かつ真面目で責任感が強い一本気な性格。周囲からは「源さん」、若い衆からは「兄貴」と呼ばれ慕われている。母親と仁兵衛長屋で暮らしていたが、後に死別する。第2シリーズの第66話で高崎の町火消しの頭に栄転し、その後は第1シリーズから居候として登場していた元因幡藩のお抱え力士で骨接ぎ医の龍虎(龍虎)が小頭的なポジションになり、若い衆からは「親方」と呼ばれていた。龍虎はその後第5シリーズでは駿府の火消しの組頭になったことが判明しており、第33話でゲスト出演している。また第1シリーズの初期は二人小頭制で源三の他に新吉(和崎俊哉)という小頭がいたが、第21話で火付盗賊改方の才賀源四郎(川辺久造)に殺されている。
半次郎は若い衆からは「兄貴」と呼ばれており、お調子者の酒豪だが、根は真面目で責任感が強い。やや金にがめつい(第24話)が、愛した女を負傷しながらも守ろうとしたり(第29話)、借金を苦に自殺しようとした父娘に金を与えたり(第43話)と、妹のお葉(伊藤つかさ)想いな人情家で男気があるが、どういう訳か女に縁がなく、恋が実ったためしがない。
紋次郎は幼い頃に父親と死別しており、渡世人や大工をしていた時期がある(第9話)。真面目で正義感が強いが、女に騙されやすいなどやや抜けた所がある。また、過去に錠前屋に勤めていた時の友人とのいざこざから、饅頭が大の苦手(第18話)。
卯之吉は酒と女にだらしのないお調子者だが根は心優しく、話術と演技力に長けており、変装や小芝居でしばしば事件解決に貢献している。
峰次は喧嘩っ早いが情に厚い性格。お杏に惚れ込んでいて新之助との三角関係を展開しており、またお杏の娘・ももに「お父つぁん」と呼ばれたくて涙ぐましい努力を重ねていた。
 
●シリーズのサブキャラ一覧

【余談】

史実の徳川吉宗は貨幣や米価の調整に奔走したため、”米将軍”と呼ばれていた*6
だが、この作品があまりにもポピュラーだったせいで「吉宗は( )将軍と呼ばれた」という穴埋め問題『暴れん坊』と回答してしまう受験生が続出したという逸話が記されている。
また、ハワイのキクテレビでも、本番組を英語字幕スーパーつきで放送したため、現地のロコたちも松平を『Syogun-Yoshimune』と呼んでいるとか。

1995年、NHKが本番組に対抗すべく大河ドラマ?『八代将軍吉宗』を放送した。こちらは西田敏行氏を吉宗役に起用し、吉宗の生涯を孫に至るまで忠実に描いた『将軍家のホームドラマ』をコンセプトとして制作したが、吉宗=マツケンのイメージを覆す事はできなかった。
ただし、本番組が当時土曜夜8時の放送に対しこちらは日曜夜8時の放送だったため、時代劇マニアは週末に二つの吉宗を見て比較するのが定番となった。

第9シリーズ19話のサブタイトルは「江戸壊滅の危機! すい星激突の恐怖」。彗星が激突したら江戸壊滅どころか地球壊滅なんですが……。
なお、史実の江戸時代でも吉宗の死後の1817年、八王子に隕石?が落下した記録が残っている。

松平健の代表楽曲である『マツケンサンバⅡ』は本作の舞台版のエンディングで使用されていたもの。当初は公演会場内でしか発売されないインディーズ作品であったが、2003年に当時の妻である大地真央との離婚騒動を追っかけていたワイドショーのスタッフから話題となり*7、一気に知名度が上昇。翌2004年にメジャーシングルとして発売され、一大ブームを巻き起こした。
作曲を担当した宮川彬良(宮川泰の実子)は、本作のヒットで「やっと自分の代表作品が出来てほっとした」とも語っている。

関東地区では2015年から平日の朝4時に「おはよう!時代劇」のレーベル名*8で本番組の再放送を実施しており、時刻と天気予報(サイドパネル)表示が行われている。今やキー局唯一の時代劇再放送枠なせいか視聴者は意外と多く、時間帯によっては視聴率トップになることもあるとか。

追記・修正を絶やしてはならぬと、Wikiに籠もり続ける吉宗であった


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*1 実在した吉宗も過去に「得田新之助」と名乗っていた時期があり、それが元ネタだと思われる。漢字はわざと変えているが、ちゃんと史実を調べた上で設定されているのがうかがえる。
*2 吉宗を始めとする名前が『家』で始まらない徳川将軍は普通の大名として生活していた経験が有るので、当時の大名仲間やその側近達は当然面識があるし、庶民も参加し得る愛好会や勉強会に出席した事もあるので広く顔が知られている。
*3 前期はエンディング、後期はオープニングテーマ曲をそれぞれ担当していた。
*4 本編内では上方に出かけているなどと補足されることが見られた。
*5 他にキャラごとにいくつかバリエーションがあり、卯之吉の場合は「死神に取り憑かれた」と思いこんだ親友を助けるための芝居のせいで「死神を退治する力がある」と周囲に思いこまれ、材木商の跡取りの暗殺を謀る悪党に邪魔者として命を狙われるという、落語「死神」をベースとした話もあった。また安次郎の場合は、深川の長屋で起こった殺人事件の容疑をかけられて北町奉行所に逮捕され、無実を信じる吉宗が彼を救うべく奔走する話があった。
*6 他にも「公事方御定書」の制定という大事業を成したことから「法律将軍」、将軍に就任したての若いころ、江戸城で自ら火の見櫓の上に立ち火事の様子を眺めたことがあるという伝説から「火事将軍」、米で酒を造らせて米価を安定させようとしたことから「酒将軍」などの綽名もあるが、「米将軍」ほど有名ではない。
*7 それ以前にも変わった曲としてTBSラジオの「コサキンdeワァオ」で紹介されたこともあったが、ブレイクには至らなかった。
*8 他の東映製作時代劇も放送されるため。