あとがき-HAPPY WEDDING-

Last-modified: 2018-12-03 (月) 22:00:37

 1年戦争外伝、-HAPPY WEDDING- あとがき

 

 ここまで見てくれた方、たまたまここだけ見てくれている方どうも。
まぁどっちにしろ極少数だとは思いますが(笑)
一年戦争外伝、ハッピーウエディング、いかがだったでしょうか。

 

 いやー難産でした、何せプロローグ書いた時点で決まっていたのは大筋と
主人公のキャラクターだけという見切り発車にも程がある有様でしたから。
そもそも主人公の名前すら決まってないとかどうしようかと・・・

 

 しかしプロローグを書いた以上決めなければなりません。日本人の熱血少年と
妖精のようなイメージのヒロイン、作品の顔としてテキトーな名を付けるわけには行きません。

 

 ニュータイプの彼女を持つ熱血少年、ということでガンダムXにあやかって
ガロード・ラン君から文字を頂戴して主人公の苗字を「ランドウ」に、名前の方は
一本気で道を外さない、という感情をこめて「トオル」にしました。
 ヒロインはというと、妖精のイメージということで、昔のパソコンゲーム「ザナドゥ」に
登場する妖精「ナーレッド」を苗字に当てました。名前はなかなか決まらなかったのですが
小説版MS IGLOOのあとがきで、「モニク・キャデラック」の名が車のキャデラックから来ていると
いうことで、日本車の名前「セリカ」を付けてみました(作者の愛車でもあります)。
「天空」という意味を持つ名前が上手く作品にハマってくれて良かった良かった。

 

 しかしまぁシャリア・ブル以外ほとんどガンダムキャラが登場しないというSS、
これでいいのかと色々試行錯誤ありました。いっそ脇キャラを片っ端からガンダム各作品の
登場キャラにしようとかいう暴挙まで考える始末、さすがに作品キャラ崩壊はマズいので
それはやめときました。
代わりにフラナガンとかニュータイプとかワッパとか、なるべく一年戦争ネタを盛り込むことで
ガンダム小説として最低限ハズさないように土俵際を回り込んできました。

 

 さて、上記の通り、最初に決まっていたのは大筋だけ、つまり
「シドニーとアイランド・イフィッシュで遠距離恋愛するカップルが、『その時』どうしたか」
だけでしたから、二人の物語や馴れ初め、進展はすべて後付けで考えていかなければなりません。
ラブコメですよ、ボーイミーツガールですよ、そんなこっ恥ずかしいものを私に書けと?ええ私よ・・・

 

 やってみると何とかなるもんですね。実は私は成人してからはあまりアニメを見なかったんですが、
最近子供の影響でアニメをまた見るようになったんです。娘ですから恋愛ものも結構あり
そんな経験もいろいろ生かされています。

 

 前作「顎朽ちるまで」「ビルドファイターズsideB」もそうでしたが、私のSSは話ごとに
2つのタイプに分かれています。
 ひとつは「コレが書きたいから物語を書いている」といった話の根幹部分、もう一つは
そこに至るまでのつなぎの部分、つまり後から肉付けしていくお話です。
 しかし実際書いてみると、書きたかったことは文章力が追い付かず思ったより面白くならなかったり
逆に後付けの部分のほうが次から次へとアイデアが出て面白くなったりするんです、不思議ですねぇ。

 

 本作は大半が後付けですから、二人の恋愛事情なんかはほとんどが思い付きです。
そんな中に自分の経験と、上記のアニメで見た恋愛観なんかをエッセンスとして作品に織り交ぜて行きました。
特に8話の神父さんのお話は、実際に自分の結婚式のリハーサルで神父さんにして頂いたお話になっています。

 

 逆に、先に決まっている根幹部分は、言い換えればクライマックスやエンディングといった部分なので
その部分を先に妄想することで「早くそこまで書きたい」という思いがモチベーションになっています。
私の拙いSSの数々ですが、この執筆スタイルがあったからこそ3作もの完結作品を書ききれたともいえます。

 

 さて、前作「顎朽ちるまで」との若干のリンクが見える作品ですが、実はこれも後付けです。
シャリアが見た「復讐」としての結婚式と、ジャックが見た「幸せのバトン」としての結婚式、
この明暗を最終話とエピローグに使い分けることで、作品の光と影を上手く表せたことは一番の僥倖でした。
事実上、一番うまく機能した「後付け」だと思っています。
もしお暇なら、本作を読んだ後もう一度「顎朽ちるまで」を読破して頂ければ、トオル達と暮らしたジャックと
それを失ってからのジャックの人生を対比できるかと思います。ほら、秋の夜長は目の前ですよ。

 

 本作にはいくつか「ぼかして」いる表現もあります。読破いただいた方には是非、結婚式に招待された
それぞれのジオン将兵たちがアレを見てどんな感想を持ったか、色々妄想して頂きたいものです。
あと、トオル君とセリカちゃんが肉体関係を持ったか、というのは永久の謎ですのであしからず(笑)
ちなみに、最後のジャックの告白が失敗したという未来は、どの並行世界にも存在しませんのでご安心を。

 

 本作で「二人には幸せになってほしかった」というコメントを頂きましたが、敵わず申し訳ない。
ただ「顎」のあとがきでも書いた通り、「完璧な主人公が最初から最後まで王道を走ってハッピーエンド」
みたいな作品は私には不向きです。ゴールに滅びがあるからこそ、ニュータイプと熱血漢を
主人公にすえる事が出来たし、コロニー落としと言う状況下、特殊能力のひとつもないと
そもそもお話にならないですから。
 常々から主人公補正にアンチテーゼを持ってる私ですから、二人の結末はまず死という不幸があり
その中でどれだけ幸せを拾えるか、という条件でこそその能力を発揮して貰いました。
ヒドい作者だな全く(苦笑)

 

トオル君セリカちゃんお疲れ様でした、あの世でも幸せに。
読んで頂いた皆様にご多幸あらんことを。

 

from 三流FLASH職人

 
 

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