ウルトラマンデスティニー_第05話

Last-modified: 2007-11-17 (土) 03:49:08

人造機動獣キャオス、空間認識兵器エグザス登場





三体の怪獣を圧倒したインパルス。しかしネオの乗るエグザスに敗北を喫する。その頃デュランダルはミネルバを発進させようとしていた。

─ミネルバ・ディレクションルーム―

「ギルバート、貴方今なんて言ったの?」

驚いたタリアが聞き返す。さっきから「総監」が抜けてるが気付いていない。

「ミネルバを発進させる。今すぐにだ」

「工工工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚;) ェェェ」

迷いなく言い放つデュランダル。それを聞いたアーサーのびっくりメーターが限界突破する。

「ギルバート!」

「理由は二つある。一つは、港湾部が破壊されたことにより追撃するための船が出せない可能性があること。

 あの艦は元々ジブリール護衛の艦だ。半端な武装と速度では追いつけん。そして二つ目。それは・・・」

「それは?」

「さっきの騒動でこのコロニーからしばらく出れなくなるだろう。とすれば私はその間ジブリールにネチネチと責められねばならん。

 ただでさえこちらが管理していた怪獣が暴れだしたのだ。奴に唾を飛ばされて怒鳴られるのは勘弁したい」

「・・・あの~、それって高飛びというのでは?」

「・・・アーサー君。アラスカのオフィスは涼しいよ。非常に」

「ガクガク*1ブルブルわ、私が悪うございましたm(__)m」

「脅しだ・・・」

恐怖に震えるメイリンとアーサー。この男は笑顔でさようならと言えるやつなのだ。

「・・・わかったわ。確かに進宙式のためにほとんどのクルーは既に乗艦している。あとはシン達を呼び戻しましょう。連絡を取って」

「ハイ!・・・・・・艦長、ハイネ隊員がさっき撃墜されたまま行方不明です!」

「馬鹿者が・・・!」







─兵器工廠エリア上空─



「くそ、なんだコイツは!」

仮面を被った男は今までにない焦りを感じていた。原因は目の前の白い戦闘機、ザフトイーグルPだ。

「ちっ!当たらん・・・」

最初に突っ込んできた黄色い機体は秒殺できたものの、この白い機体は違った。まるでこちらの考えを読んでいるかのように攻撃をすり抜ける。

ウルトラマンとの連戦で集中力が途切れているのだろうか。確かにそうかもしれない。しかし男を悩ませているのはもっと別のものだ。

「なんだこの感じは・・・!?誰なんだこの敵は!」







─兵器工廠エリア跡─



「マユ・アスカか・・・キラみたいな名前だな」

「オーブ出身じゃないのかその子も。それより早くここから離れよう・・・ん」

「どうし・・・なんだこの音・・・」

二人して、耳を澄ませる。すると近くの瓦礫の中から金髪の何かが現れた。

「うわーっ、幽霊かコイツ!アスラン!除霊しろ!」

「ウウ・・・み、ミネルバに・・・」

そう言うとバタりと倒れる何か。アスランが恐る恐る近づいてみる。と、

「その声、その眼!ミゲル!?ミゲルじゃないか!」

「知っているのかアスラン!?」

「ああコイツは俺の友達だった奴だ!七年前ヘリオポリスで一緒にサバゲーしてた時ブーメランが後頭部に当たって死んだはずなのに!」

金髪を抱きかかえながら突然昔語りを始めるアスラン。そこまで聞いてないよと思うカガリだが幽霊でないことにひとまず安心する。

「人間だったんだな・・・ん、この服さっきの奴と同じものだな・・・もしかしてさっき墜落してきた奴か」

「この服はミネルバ隊の・・・そうか、ミネルバに連れてって欲しいんだなミゲル!」

「た、頼むぜ・・・ガクッ」

「よし、任せろ!カガリ、君は帰れ!」

ミゲル(注:ハイネです)を背負いミネルバに向かって走り出すアスラン。しかしカガリもついてくる。

「待て!私がついてた方が何かと便利だ。連れて行け!」

こうなってしまっては何を言っても通じない。アスランはため息をついて走り続けた。







─兵器工廠エリア上空─



「むっ、そこか!」

背後からのビームを、宙返りして避けると同時にボルキャノン砲を撃ちガンバレルを撃破する。これで二つ目だ。

「すごーい・・・」

そばではルナがレイの戦いぶりを傍観している。彼女のザフトイーグルGでは機動力が乏しいためこのような空中戦には加われない。

しかし加わる必要もなさそうだ。それほどまでにレイ樹の動きは冴え渡っていた。

『ルナー!』

聞きなれた声。見ると後ろからザフトイーグルW(ウォーリア)が飛んできた。

「シン!無事だったんだ」

「ああ!勿論さ。でも俺が来る必要もなかったみたいだな・・・」

レイとエグザスの戦いを見ながら呟く。と、その時ミネルバから通信が入った。

『直ちに帰艦してください!ミネルバが発進します!』

「なんだって!?どういうことだよメイリン!」

『言ったとおりです。今ミネルバが発進するので帰艦してください』

「けどアイツがまだ・・・あ!」

突如としてガンバレルがレイ機に突進してきた。迎え撃とうとするレイだが、彼がトリガーを引く寸前、ガンバレルが爆発した。

「ガンバレルを自爆させた!?見てシン!」

見ると、エグザスがコロニー外へ爆発を尻目に飛んでいく。レイ機が追いすがるが最高速の遅いイーグルPでは追いつけない。

「くそっ・・・・・・仕方ない、帰艦するぞ」

毒づきながら命令するレイ。シンたちも渋々それに従う。諦める訳ではない。今は逃がしたとしても、いずれ捕らえるために退くのだ・・・







─ミネルバ・ディレクションルーム─



「三機とも着艦完了しました!」

「あとはハイネ隊員だけですね」

「・・・艦長!今ハイネ隊員が戻ってきたとの報告が!」

「あれだけの爆発で生きているなんて・・・」

「ともかく、これで発進できるな。タリア!」

「了解!発進準備進めろ!ネオ・マキシマエンジン始動!!」

「「・・・ラジャー!!」」







─ミネルバ・艦内通路─



「な?私を連れてきてよかったろ」

ハイネを医務室へ送り届けたあと、外の通路ではカガリがご機嫌そうにアスランと話していた。

「ああ・・・緊急事態とか言って入れてくれなかったからな。助かったよ」

「さっきの兵士は『ハイネ隊員!』とか言ってたけどな・・・よし、じゃあ帰るか!」

「いやミゲルを置いて行くのは・・・」

アスランが未練たらしく医務室を見やる。とそこに見るからに慌てているザフト兵がやってきた。

「あっまだいたいのか、アンタ!・・・とカガリ参謀。早くこの艦から出て行ってください!」

「何?どういうことだ」

あまりの慌てぶりにワケがわからずカガリが聞き返す。

「さっきは言い忘れたましたけど、デュランダル総監の命令でミネルバが発進するらしいんですよ!だからこんなところにいちゃ・・・」

そこまで言いかけたとき、艦が激しく揺れ始めた。思わずアスランにしがみつくカガリ。

「ああ・・・遅かったか・・・OTL」

頭を抱える兵士にカガリが話しかけた。

「おい、今デュランダル総監と言ったな?ということは総監がこの艦に乗ってるのか」

「え?あ、ハイ。おそらく艦長と共にディレクションルームにいるかと・・・」

「よし、あないしろ」

「ハい?」

「私達をそこへ連れて行けと言っているのだ」

あまりのことに開いた口が塞がらない兵士。しかしすでにここまでやったのだ、もう減給は確定だろう。諦め半分で彼は頷いた。







─ディレクションルーム─



「レイ・ザ・バレル、ただいま帰還しました」

ディレクションルームのドアが開き、入ってきたレイが帰還報告をする。ルナマリアもそれに続く。

「二人とも無事で何よりだわ。あら、シンはどうしたの?」

「あいつは怪我をしていたので先に医務室へ行きました」

「そう。ハイネ隊員も今医務室にいるわ。命に別状はないそうよ」

タリアがそこまで言った時、レイの後ろでドアの開く音がして、赤い前髪の兵士が入ってきた。

「どうしたヴィーノ。俺達の機体に問題でもあったか?」

「い、いやそうじゃなくて、デュランダル総監に会いたいって人が」

おづおづと話すヴィーノ。その後ろからカガリ(とアスラン)が顔をのぞかせる。

「姫!?何故ここに!」

流石のデュランダルもこれには驚かずにはいられない。横ではタリアも同じく眼を丸くしている。

「あ、ハイネ隊員は彼らが連れて来てくれたんd」

「そんなことよりデュランダル総監!これはどういうことですか!」

「姫・・・今奴らを追えるのはこの艦しかないのです。コロニー外の高速艦は撃沈されています」

「む・・・ではこの艦は」

「これより怪獣を収容したガーティー・ルー追撃任務に移ることになります」

「で、ではどうして総監がこれに乗っているのですか?もしやジブリールの追求から逃れるためなどではないでしょうね」

(な、なんて勘が鋭いんだこの小娘は・・・こんな時だけ・・・)

舌打ちしたい気分のデュランダル。その時三度ドアが開き、頭に包帯を巻いたシンがディレクションルームへ入ってきた。

「シン・アスカ、ただいま帰還しまし・・・あっ!お前らは俺を怒鳴りつけた奴じゃないか!」

カガリの姿を見つけると叫ぶシン。カガリもムッとして怒鳴り返す。

「お前はさっきの!まさかとは思ったがお前のような奴がミネルバ隊員だとはな!」

「なんだと!お前何様のつもり・・・」

今にも喧嘩を始めそうな二人をアスランとヴィーノが慌てて止めにかかる。

「落ち着けカガリ!ここは怒る場所じゃない!」

「シン、お前知らないのか?あの人はOMNIの参謀、カガリ・ユラ・アスハだぞ!・・・俺も言われるまで気付かなかったけど」

「マジかよ!?じゃ、じゃあ一緒にいるあいつも・・・ん?」

カガリを止めようと必死なアスラン。そのポケットからはみ出したストラップをシンは見逃さなかった。

「あーっ!そ、それ!」

「ん?ど、どうし・・・あっ、おい!」

神速の如きスピードでアスランのポケットからマユケーを奪うシン。それを見たヴィーノはシンにスリの素質を感じた。

「なんでアンタがこれを持ってるんだよ!」

「これはウルトラマンのいた場所で見つけたんだ。それは君のものなのか?・・・見たところ女物だが」

女物と聞き、そうだ、と言いかけた口をつぐむシン。今そんなことを言えば変態扱いは必至だろう。

「お、俺の妹のものだよ!オーブに住んでる!」

「オーブに?なら何故アーモリーワンにそれがあるんだ」

「それは・・・こ、こないだ俺に会いにやって来たんだ!二日前に!」

カガリとアスランを除く全員が「おいおい」と言いたげな表情だ。シンのシスコンぶりを知る者にとっては見え透いた嘘にしか聞こえない。

「それで、今妹さんはどこにいるんだ?」

「(ま、まさかコイツ・・・ストーカー!?マユに会う気じゃないだろうな!?それだけは阻止しなくては!)・・・知らないな!」

「・・・そうか。変なことを聞いてすまなかったな」

(納得したのかあんなので!?)

「わ、わかればいいよわかれば・・・それから、これ拾ってくれてありがとな。今度妹に会ったら返しておくよ」

しどろもどろになりながらもアスランが納得してくれたことにほっと胸を撫で下ろすシン。しかし・・・

「一段落ついたようだな。では姫、アーモリーワンにお帰りください。レイに送らせましょう」

「いや、いい。私は一刻も早くオーブに帰りたいのだ。適当なコロニーについたらおろしてくれればいい」

「・・・し、しかしここはきk」

「OMNIの総監が乗っておられるのだ。まさか危険なことはないだろう」

悪びれもせず言い張るカガリ。見かねてアスランが説得にかかるが・・・

「(ひそひそ)カガリ・・・!君だって危険なことぐらいわかるだろう」

「(ひそひそ)だがアスラン。ウルトラマンに変身できる者ならコロニーから出ることなど容易い。それならオーブへ先回りした方がいい。

 ・・・というわけだ。私もこの艦に乗せてくれ。この連れも一緒だ」

「カガリ・・・」

「やむをえん・・・タリア、部屋を都合してくれ・・・」

「・・・わかったわ」







─コロニー外─



「・・・これは・・・!」

アーモリーワン外へ出たミネルバ。その眼前にあったものは味方艦の残骸だけだった。無事な艦は一つもない。

「おかしいわね・・・ガーティー・ルーが撃破した船はもっと少なかったはずよ」

「一体何が・・・」

レイが呟いた、その時だった。

「艦長!敵影です!」

「なんですって!?」

「どうやら残骸に隠れていたようです!その数二機!・・・これは、ウルトラマンを撃墜した機体と・・・キャオス!?」

「まさか!敵自ら挑んでくるとは!?」



「迂闊だな!子猫ちゃん!」

「ネオ!あいつら倒しちまっていいんだよな?」

キャオスの頭部にあるコクピットからスティングが嬉しそうに言う。

「ああ。思いきりやってやれ!」

「へへ・・・堕ちろーっ!」

「さっきの礼だ!受け取れっ!」







─シンの自室─



「うわあっ!」

見事なまでの不意打ちを受け、激しい衝撃が船体に走る。

「くそっ!こうなったら・・・・・・・・・!?」

マユケーを取り出し変身しようとするシン。しかし、ディスプレイからは光が消えていた・・・

「そっそんな・・・!どうしたらいいんだ・・・」

力を使い果たしたのか?それとも自分が負けたからなのか?そんなことを考えているうち、二度目の砲撃でミネルバが揺れる。

今、シンに新たなる試練が訪れようとしていた・・・!



ウルトラマンに変身できず、苦戦を強いられるシン!

その時、インパルスの新たな力が!?





*1 *2
*2 ;゚Д゚