人造機動獣キャオス、人造黒狼怪獣ガイヤン、人造潜水獣アビュス、空間認識兵器エグザス登場
世界の要人が集まるミネルバ進宙式の日。三体の人造怪獣が覚醒し生物研究所を破壊した!怒りのまま変身したシンだが・・・
─ミネルバディレクションルーム─
「遅くなってすまない!戦況は!?」
遅れてやってきたタリアがメイリンに戦況報告を促す。
「怪獣は生物研究エリアから兵器工廠エリアへと真っ直ぐに向かっています!」
「その先には格納庫が・・・奴らめ、こちらの戦力を先に潰そうというのか・・・」
タリアの後からやってきた苦々しげにデュランダルが呟く。
「あれっ、デュランダル総監は何故ここに?」
「今の司令室は進宙式のおかげでまとも機能できん。こちらの方が上手く現状を把握できると思ってな」
「アッー!!ウ、ウ、ウ・・・」
メイリンの横で情報分析にあたっていたアーサーが突然叫びだす。驚きのあまり口がパクパク動いている。
「びっくりさせないでよアーサー!何?もし下品なことだったら・・・」
「艦長、ウルトラマンです!ウルトラマンインパルスが現れました!」
アーサーの代わりにメイリンが答える。同時にモニターに映し出される紅い巨人の姿。
「インパルス、それがこのウルトラマンの名前かね・・・ふむ、火星で見たのとは違う色だ・・・まさか」
「あの巨人もタイプチェンジができるということかしら・・・?」
─アーモリー・ワン兵器工廠エリア─
工廠エリアの前に立ち塞がり、怪獣達と対峙するウルトラマンインパルス。その瞳は怒りに燃えている。
(うおおおー!)
「デヤアアー!」
シンの叫びと共に、インパルスが突進する。その前に漆黒の狼が躍り出た。ピンクの服を着た少女、ステラ操るガイヤンだ。
「てやあー!」
「グオオオーン!」
吼えたけりインパルスに飛び掛るガイヤン。しかしインパルスは怯まず真正面から受け止める。
「クッ!ヤアーッ!」
インパルスを噛み砕こうとするガイヤンの顎と頭を掴むとそのまま後方へ投げ飛ばし瓦礫の上に叩きつける。
「なんてパワーだよ!スティング!」
「ああわかってる!なら絡め手でいくまでだ!いけキャオス!」
キャオスはスティングの命令で飛び上がると、背部の機動兵装ポッドからファイヤーフライミサイルを連射する。
「アウル!奴が避けたところを叩k・・・・・・!?」
(そんなものっ!食らうかあー!!)
「ハアッ!」
左腕から円形のシールドを発生させ、全ての攻撃を防ぐインパルス。しかし間髪いれずにアビュスが飛び込んでくる!
「今度こそ串刺しにしてやるよ!」
ビームランスを振り下ろし、インパルスのウルトラバリヤーを破る。既に避ける暇はない。
「もらったあ!」
(!!)
この時は、アウルだけでなく、シン自身駄目だと思ったことだろう。だが・・・
「ウルトラメタモルフォーゼ!」
次の瞬間、アビュスのビーム刃はインパルスの目の前で止まっていた。
いや、性格にはインパルスの両手から発する光の剣に止められていた、と言うべきだろう。
「「「Σ(゚д゚;) 喋った!?」」」
─ミネルバ─
「ウルトラマンが剣を・・・メイリン!」
「ハイ!・・・これはストライクの使っていたシュベルトゲベールと同じ、光エネルギーを収束したもののようです」
以前のデータと照合し、インパルスの光の剣を分析するメイリン。デュランダルは顎に手を当てながらモニターを見つめている。
「それが二振りか・・・パワーも以前見た時よりも上がっているようだな・・・さしずめソードインパルスといったところか」
「じゃああの剣はエクスカリバーですかね」
(まさかこれがこのまま名称になるんじゃないでしょうね・・・特にギル、そのまんま過ぎるわ・・・)
─兵器工廠エリア─
「~~、ヘアアッ!」
身長の半分以上もあるエクスカリバーでビームランスごとアビュスを押し飛ばすインパルス。
なんとかキャオスが受け止めるも、インパルスは追撃しようと双剣を振り上げる。
(とどめだー!)
「ステラ!」
「わかった・・・!ガイヤン!」
「グガアーッ!」
起き上がったガイヤンがインパルスの後ろから襲い掛かる。背中に装備されたグリフォンビームブレイドが煌く!
「テイッ!」
振り向きざまにガイヤンと切り結ぶ。しかし勢いのついたガイヤンがインパルスを押し倒す。
「いいぞステラ!そのままかみ殺せ!」
スティングの言葉に頷き、ガイヤンに命令するステラ。鋭い牙がズラリと並ぶガイヤンの口が大きく開かれた。
(ヤバイ!このままじゃ・・・そうだ、こいつらはさっきの三人組に操られていた。それなら!)
「ハッ!」
ガイヤンの下敷きとなったインパルスのカラータイマーが突如として光り輝いた。カラータイマーフラッシュだ。
「ま、眩しい・・・!」
太陽のような閃光に顔を伏せるステラ。と同時にガイヤンの動きが止まる。その隙を逃さずインパルスはガイヤンを蹴り飛ばす。
「グッ・・・!」
大きく宙を舞い、再び瓦礫の上に倒れるガイヤン。
(お次は・・・これだ!)
「デアッ!」
素早く起き上がると両腕に力を込め、エクスカリバーをブーメランのようにガイヤンへと投げつける。
「くっ!キャオス!」
ガイヤンを助けようとキャオスが間に割り込み、ビームクロウでエクスカリバーを弾き飛ばす。が、弾ききれず逆に倒れこんでしまう。
「なんてパワーなんだよアイツ・・・ん?スティング、ネオから通信だ!」
『何遊んでる。そろそろ時間切れだ、撤退しろ』
「けどよネオ!ウルトラマンが!」
『どうせそいつはあと1分程度しか動けん!俺が援護してやるから退け!・・・命令だぞ』
その直後、インパルスのカラータイマーが点滅を始める。
─コロニー防衛艦ガーティー・ルー格納庫─
「フフ、これは使えそうだな・・・イアン!私が合図すると同時にローエングリンを撃て!それから三体を収容する!」
「了解しました・・・」
虚ろな眼をしたイアン教授が答える。いや、既に彼は教授ではない。この艦の艦長なのだ・・・
─アーモリーワン兵器格納庫─
「ようやくついたわね!メイリン、怪獣はどうなってる?」
愛機に乗り込みながら通信を開くルナマリア。そこに切羽詰った妹の声が飛び込んできた。
『大変だよお姉ちゃん!ウルトラマンが来てくれたんだけど、もう限界みたい!カラータイマーが点滅しちゃってる!』
「なんですって!?」
「よし、急いで出撃するぞ!用意はいいな!?」
「こっちはオーケーだぜ」
「待って、まだシンが来てないわ!通信しても繋がらないし・・・」
「ウルトラマンが来てくれたんだ、アイツだってもう大丈夫さ」
「ハイネ、そうは言っても・・・そうだ、携帯に電話してみる!・・・・・・5559-13-0000」
自分の携帯を取り出し、シンケーの番号を押すルナ。レイが何か怒っているがお構いなしだ。
『はーい、シンでーす。でもごめんなさい、今シンはお話できません。後で連絡しますので・・・』
「・・・シンは置いてきましょ・・・」
「「そうだな・・・」」
大事な戦闘の前に、激しくテンションダウンした三人だった・・・
─兵器工廠エリア─
(くそっ・・・ま、また力が抜けていく)
ガクリと膝をつくウルトラマンインパルス。それと同時に、体の端から徐々に色が変わっていく。
(駄目だ、今色が変わってしまったらこいつらに対抗できない!うおおお!)
全身に力を込めて立ち上がると、両腕に再び力を集中する。しかし出てきたのは小刀サイズの光の刃だった。
(くっ、やっぱりもうあの剣を出せるほどの力は無いのか・・・)
歯噛みしたい思いのシンだが、スティングたちはそのようなことを知る由も無い。
「まだ動けるのかよ!駄目だ、撤退するぞ。ステラ!」
「こいつ・・・!」
「ネオの命令だぞ!早くしろっての!」
「・・・わかった・・・」
二人の言葉にしぶしぶ従うステラ。そして三人はそれぞれの怪獣を一箇所に集めた。
(何する気だ・・・うわっ!?)
インパルスが身構えた次の瞬間、コロニーの天井が破れ、外壁の欠片が次々と降ってきた。ガーティー・ルーからの砲撃だ。
「あばよ!次に会う時は必ず仕留めてやるぜ!」
捨て台詞を吐きながら自分の怪獣に乗るスティング達。すると怪獣達はコロニーに開いた穴に向かって飛び上がった。
(逃がすもんかーっ!)
両手の光のナイフを握り締めると、後を追って飛び立つインパルス。しかし遅い。これでは追いつく前にコロニーを脱出されてしまう。
「テアッ!」
輝く刃を投げつけ足止めを図る。しかしその刃は怪獣に当たる寸前、どこからか放たれたビームに弾かれた。
「!?」
思わずビームの飛んできた方向を見やるが、そこには何もいない。一体何者が?しかしその疑問がとかれる前にインパルスを痛みが襲った。
「グアッ!・・・・・・ツッ!」
突如、背後からの攻撃を受けるインパルス。後ろに回られた気配は無かったはずだ。更に、振り向いたところに横からビームが飛んできた。
「フフフ、どうやら空中戦は苦手のようだねえ・・・子猫ちゃん♪」
「!」
ウルトラマンの常人離れした聴覚が、その何者かの声を捉えた。声質から、男に間違いないだろう。
急いで声のした方向へ顔を向ける。そこには、紫色をした流線型のボディがあった。
「お、見つかっちゃったかあ・・・しょうがない、そろそろ消えてもらうぜ!」
そう言うが早いか、その機体を小さくしたような物体が機体を囲むように現れた。
(有線式ガンバレル!?)
シンはあれに見覚えがあった。OMNIで使われているメビウス・ゼロである。しかしメビウス・ゼロは黄土色で樽型のはずだ。
「このエグザスの最初の獲物となれっ!」
男がそう叫ぶと、ガンバレルはインパルスを取り囲み、一斉にビームを浴びせかけた。
(うわああー!)
避けきれずバリヤーを張ろうとするも、全方位からの攻撃にはなす術が無い。トドメに2連装リニアガンの直撃を受け、落下していくインパルス。
「グッバイ、子猫ちゃん」
地上に叩き落されたインパルスに最後の一撃を見舞おうとガンバレルを集結させ、照準を定める。そして発射ボタンに指をかけた、その瞬間。
「!?」
インパルスのカラータイマーから発せられた強烈な光が男の眼を焼く。本日二度目のカラータイマーフラッシュだ。
「くっ、モニターが!おのれ!」
眩しさに顔をしかめながらも引き金を引く男。しかし、照準を定めたところにはもはやインパルスはおらず、ビームは空しく地面に突き刺さった。
「・・・・・・まあいい。目的は達した。帰還するとしようか・・・・・・むっ!?」
男が後ろ髪を引かれながらも機首をコロニーの穴へ向けようとしたその時。
「やらせん!」
レイの乗るザフトイーグルP(ファントム)から発射されたボルキャノン砲がその行く手を阻んだ。イーグルG(ガナー)、B(ブレイズ)も後に続く。
「くっ、次から次へと・・・!」
─兵器工廠エリア跡─
「うう・・・はっ!」
瓦礫の上でシンは目覚めた。力を使い果たして消えたのはいいものの、ビームによって生じた爆風で吹き飛ばされてしまったのだ。
「まずい、アイツは・・・あっ!」
上を見ると三機のザフトイーグルが先程の紫色の機体─エグザス─を相手に空中戦を繰り広げていた。
丁度ハイネの乗るイーグルBがガンバレルのビームブレードの一撃を受けて空中分解しているところだ。
「お、俺も戦わないと!」
痛みの残る体を引き摺り格納庫へ向かって走り出すシン。同じ頃、インパルスの消えた地点をおとずれた者達がいた・・・
「アスラン、もうやめろ!こんなことをしてどうするつもりだ!」
「カガリ、君だってわかってるはずだ。もしアイツがキラと同じだとしたら・・・」
先程シンがあった二人である。どうやら何かを探しに来たようだ。
「それはわかってるが・・・やはり危険だ!さっきみたいに下手糞なパイロットが堕ちて来たらどうする!」
「俺は危ないから来ないでくれといったのに無理言ってついてきたのは君じゃないか・・・ん?これは・・・」
不意にアスランが屈みこんだ。やはり気になるのかカガリも覗き込む。
「なあ、アスラン・・・これ、ケータイだよな?」
「ああ、ケータイだ。しかも女の子のみたいだ・・・」
恐る恐るケータイを開くアスラン。すると録音された女子の声がケータイから聞こえてきた。
『はーい、マユでーす。でもごめんなさい。今マユはお話できません。後で連絡しますのでお名前を発信音の後に・・・』
「・・・もしかして、あのウルトラマンは・・・」
「・・・・・・」
─ミネルバ─
「さっきの砲撃はどの艦からのものなの!?」
「ブルーコスモス所属のガーティ・ルーのローエングリンのようです!どうやら呼びかけにも応えず、あっ!」
「どうしたね!?」
痺れを切らしたデュランダルがタリアを差し置いてメイリンに叫ぶ。
「ガーティ・ルーが同じくコロニー防衛艦のナスカ級2隻を撃沈!さらに港湾部へ攻撃を開始!」
「なんだと!?これでは港が使えなくなる!」
「先程ガーティ・ルーは三体の怪獣を収容している・・・一体どういうつもりなの・・・?」
頭に手をやり事態を整理しようとしているタリア。そこへデュランダルが声をかけた。
「・・・タリア」
「なに、ギルバート?」
「ミネルバを発進させろ・・・!」
「「「!!」」」