クロスデスティニー(X運命)◆UO9SM5XUx.氏 第005話

Last-modified: 2016-02-14 (日) 01:13:55

第五話 『もう戦争は終わったんだ!』
 
 
==========================

DXやアシュタロン、それにインパルスやザクといった機体が編隊を組み、ユニウスセブンへと向かっていく

「宇宙ってのは、こうも地上と違うのかよ・・・・。武器はハンマーなんてわけのわからないものだし・・・・
  いまさら文句言っても仕方ねぇけどよ」

ピッ。ぼやいているガロードのコクピットに、ミネルバから通信が入った

『ミネルバ所属のMS各機に通達。応急処置の終わったアビスが、
  作戦行動に参加します。協力体制を取ってください』

「アビスって・・・・オルバが捕まえたアレか・・・・」
ガロードがメインカメラを後方に向けると、確かにこちらへとやってくる水色の機体が見える
アビスはそのまま何事もないかのように編隊に加わった
同時に全MS用の回線で、アビスから通信が入る

『緊急時のため、デュランダル議長のはからいで戦闘に参加することとなった、アレックス・・・・
  いや、アスラン・ザラだ。ただ、建前として名前はアレックスとしてくれ。ミネルバ各機、よろしく頼む』

ふと、編隊の空気がざわついた気がした。ガロードは関心がないが、
アスランという人物はいろいろ艦内でうわさされていた人物である
彼の参戦は、いろいろと問題があるのかもしれなかった

やがてユニウスセブンが近づいてくる。間近でみるとかなり巨大で、これを本当に破壊できるのかと思うほどだ
ちらほらと見える閃光が、そこで行われている戦闘の激しさを物語っている

バシュゥゥン! バシュゥゥン!

「・・・・・・ッ!」
上から突如飛来したビーム砲を、DXはどうにか避ける
カメラをそちらに向けると、こちらへ向かってくる二機のガンダム、
カオス、ガイアの姿が見えた

『あいつら・・・! 俺のインパルスとオルバのアシュタロンであいつらの相手をする! 
  他の機体はユニウスセブンに先行してくれ!』

シンの通信が聞こえた。宇宙での戦闘に自信がない以上、
それに文句はつけられない

『ガロード。僕はあいつらの相手をするけど、おかしな考えは起こすんじゃないよ?
  そう・・・・お互いのためにね』
いきなりオルバから通信が入る
「俺がどうしようと勝手だろうが! さっさと行けよ!」

ドシュゥ!

アシュタロンとフォースインパルスが、スラスターを吹かしてカオス、ガイアに向かっていく
ガイアは修理したのか、ガロードが傷つけた痕跡はほとんどなくなっていた

DX、アビス、ザクなどはそのままユニウスセブンへと向かっていった

==========================

「オルバ! インパルスはガイアの相手をする! おまえはカオスを!」

アシュタロンとの通信を開き、シンは叫ぶ。シンにとってオルバは、
ほとんどわからない存在だった。エリートパイロットの証、赤服を着ているものの、
そこまで優秀な成績を残したのならば士官学校で名前ぐらいは聞くはずだった
だがオルバは降ってわいたようにミネルバにあらわれ、
インパルスと同時期に建造されたと言われるアシュタロンの専属パイロットとなっている
ただ、これまであまり積極的に戦おうとしないので、腕を見ておきたいという気分が
シンのどこかにあった

『フン・・・・わかったよ』
オルバは気乗りしないような声だったが、シンは無視してガイアに狙いを定める

「この泥棒野郎がぁぁー!」

フォースインパルスのライフル構え、乱射。ガイア、シールド、防ぐ。敵、ビームサーベルを抜く
インパルスもサーベルを抜き、構える。盾を前に押し出した体勢で、突撃
ガイア。斬りかかってくる。盾、防ぐ。同時に、サーベルを叩きつける
ガイア、同様に盾で防ぐ

『うぅぅ・・・・!』
MS同士が接触すると、なにかの拍子にパイロットの声が聞こえることがある
その声が、インパルスに伝わった

「ガイアに乗ってるのは女かよ・・・・でも、容赦は!!」

インパルスの胸部に備え付けられたバルカンを放つ
VPS装甲の相手にダメージは与えられないが、けん制にはなる

「容赦は、しないッ!」
ビームサーベル。狙うはガイアの胸部。

ガシャン!

ガイアは突如、犬の形態に変形してその攻撃を避けた

「ちぃ!」

シンは舌打ちして、インパルスの体勢を立て直した

==========================

最新鋭機であるカオスガンダムに乗り、また『特殊な措置』を施されることで
コーディネーターを上回るとも言われる能力を持ったパイロット、
スティングはたった一機のMSに劣勢を強いられていた

「アウルをやった、カニか! ・・・・・速いッ!」

敵のMS、アシュタロンは変形し、いきなり肉薄してくる

「ぐっ!」

反射的にカオスはビームを放ち、同時に変形しようとすることで間合いを取ろうとする
が、

ガシャアアン!

ガイアが横っ飛びに吹っ飛んだ。いつの間にか後ろに回ったアシュタロンが、
クローでガイアを殴りつけると同時にビームを発射したのだ
致命傷ではないが、右腕が吹っ飛んだ

それでもスティングは懸命にビームを放ち、防戦につとめた
アシュタロンはそれでもじわり、じわりとカオスにダメージを与えていく

「動きが・・・・! バカな、ついていけない・・・・! この俺が・・・!?」

『フッ・・・・コーディネーターとか、いろいろこの世界も人間をいじってるようだけど・・・・
  僕ら選ばれた人間と、君たちの差はこれぐらいあるということさ』

余裕なのか、カオスの通信回線にオルバの声が入ってくる
スティングは挑発に答える余裕はなく、黙ってカオスのビームサーベルを抜いた

==========================

「工作隊の半数がすでに撃破されただと・・・・ちぃっ! このままでは丸ごと落ちる!」
謎のMS部隊との戦闘を行っているジュール隊隊長のイザークは、
相手の数にもかかわらず、異様な劣勢に追い込まれていた

その原因は凄まじい機動で迫る黒いガンダム、ブリッツにあった
性能はイザークやディアッカの乗るザクに劣るはずだが、
ブリッツは、ジュール隊をたった一機で圧倒するほどの戦闘能力を見せていた

『ククク・・・ほらほらァ・・・どうしたんですか、イザーク、ディアッカ!
  前の戦争に比べて、動きが悪くなったんじゃないですか!』

通信から声が入ってくる。それは前大戦で共に戦った仲間であり、
悲劇的な最後を迎えたザフトのパイロット、ニコル・アマルフィだった

ニコルは優しく、穏やかな少年だった。趣味はピアノであり、休暇中にコンサートを開いたこともある
イザークは好戦的な性格であり、生前のニコルを軽く見ていたが、友情を感じていないわけではなかった
それに今では時折、ニコルの優しい性格も悪くなかったと、思うこともある
だがこの通信から聞こえる不愉快な声はなんだ
以前のニコルとは想像もできないほど、異常な言葉遣いだった

「ニコル・・・・・なぜ貴様が生きているッ! おまえはストライクにやられたはず・・・・ッ!」
『イザーク・・・・フフフ・・・死神と神様に同時に嫌われちゃったみたいでしてねぇ・・・・
  こうやって醜く無様に生きてるんですよぉぉぉ!』

いきなりイザーク機のサブモニターが切り替わり、ブリッツのコクピットが映し出される
そこにいたのは・・・・一言で言うなら、『ミイラ男』だった。ザフトの赤服を着ているが、
肌が露出しているはずの部分はすべて包帯で覆われている
顔まで包帯で覆われ、唯一露出している両目は、まるで人ではないもののように光っていた

「ニコル・・・・!? その姿は・・・・・」
『あははははは、ショックですかぁ? ショックですかぁ、イザァァァクゥゥゥゥゥッ!!!』

フォン・・・・ブリッツはいきなり姿を消すと、次の瞬間にはもうイザーク機の目の前に立って

ザシュゥ!

その両足をビームサーベルで斬り落とした

「ぐぉ・・・・!」
『どうですか、イザーク。ブリッツカスタムの性能は・・・・? 外装、武装に装甲はほとんど変わってませんけどね、
  出力を向上させ、ミラージュコロイドの欠点をいくらか解消しただけでこんなに強くなるんですよ・・・・
  以前のブリッツは姿を消すと大幅に行動が制限されましたけど、
  このブリッツカスタムのミラージュコロイドは、攻撃の直前まで姿を消せるんですよ・・・・。』

ドゥン、ドゥン!

止めを刺そうとしたブリッツに、ビームの雨が降り注ぐ

『ニコル! おまえ、正気か!? うちの隊長をやらせはしねぇッ!』
『うふぅ・・・うふふふっふふふふ、ディアッカ、あなたも遊んでくれるんですかぁ? 
  これでアスランがいれば、かつてのクルーゼ隊集合ですね。派手に同窓会といきましょうよぉぉぉ!!』

飛来したディアッカのザクを確認すると、ブリッツはまたしても姿を消した

ザシュゥ、ザシュゥ!

次の瞬間、ディアッカ機の背後に出現し、あっという間にその両腕を斬り落とす

ブォォォォォォン!!

瞬間、凄まじいうなりをあげて『なにか』がブリッツの鼻先をかすめていった
その正体が鉄球だとイザークが気づくのに、数瞬の時が必要だった

==========================

ルナやレイのザクは謎のジン部隊迎撃に向かい、DXとアビスは凄まじい動きを見せるブリッツに当たることになった

「くそ、外した!」

ガロードはDXのコクピットで痛恨の叫び声をあげる。
慣れないGハンマー、初めての宇宙戦ということを差し引いても、
必殺の間合いと距離で外したのだ
『ガロード、なにやってる! 武器のセーフティを解除するんだ!』

アスランが苛立ちと共に通信を入れてきた
「セーフティ?」
『Gハンマーにはブースターとビームが内臓されている! ブースターはある程度敵を自動で狙ってくれるし、
  フェイズシフト対策で鉄球部分を、ビームでシールドのように覆うこともできる!』
「そういうことは早く言えよなぁ!」
『セーフティ解除は、士官学校で教わることだろう! ・・・・・・来る!』
「わ、ちょ、待っ・・・・!」

ブリッツが姿を消した。一瞬、なにごとかとガロードは混乱する
『ガロード! ブリッツはミラージュコロイドという特殊兵装を装備している!
  MSを透明人間にする兵器だと考えればいい・・・・目に頼るなよ!
  避けるときは思いっきり逃げろ!』

アスランの声を受けたガロードは、
細かい機動は無視して、遮二無二DXのスラスターを吹かした

(くそ、なれない宇宙だってのに・・・・・!)

ヒュゥン! 肉薄してきたブリッツのサーベルが、DXの装甲をかすめる

(ユニウスセブンに半端な重力が残ってて・・・・戦いにくい・・・!)

『どうしたんですか、新型のパイロット! 動きが悪いですよぉ!』
なにを考えているのか、ブリッツのパイロットが戦闘中に通信を入れてくる
ガロードはその非常識な行動に、薄気味悪さを感じた

『ニコル・・! やっぱりおまえなのか! ニコル!』
アスランが会話に割り込んでくる
『フフ・・・アスラン。会いたかったですよ!』
『なぜ破砕作業の邪魔をする!? もう戦争は終わったんだ! こんなものを落として、平和を乱すことは無いッ!』
『そうですよねぇ、父親を裏切って、自分の身分まで捨てて、たくさんの人を殺して、不幸をばらまいてッ!
  それであなたが作り上げた平和ですからねぇッ!! 大切な大切なものでしょうよ!』

ガシュン、ガシィィィ!

ブリッツのサーベルと、アビスのビームランスが何度も何度もぶつかり合う

『ニコル・・・! なら、邪魔をするなッ! なにがあったか知らないが、おまえは生きてるんだろう!
  俺はそれだけでも・・・・ッ!』
『黙ってくださいよぉ、アスラン・ザラァ・・・! 貴様に・・・・貴様に僕の気持ちがわかるかぁ・・・・
  内臓のほとんどを取り替え、皮膚も髪の毛も焼けただれ、人ではない化け物に成り果てた、
  無様なミイラ男の怨念がぁぁぁぁッ!』
『なっ・・・・その姿・・・!?』
アスランの驚愕と時を同じくして、DXのサブモニタにもブリッツのコクピットが映し出される
怪談やホラー映画に出てくる、不気味なミイラ男そのものがMSの操縦を行っていた
『あの八つ裂きにしても飽き足らないキラ・ヤマトの攻撃から、かろうじて一命を取り留めたのはいいんですけどね・・・
  見てください、この姿。道行く人は異様の目で僕を見つめてきて、子供には化け物と石を投げられるんですよ・・・・。
  看護婦や医者でさえ、僕の姿に顔をしかめ、それでも日常生活を送ることすら一人でままならないッ!
  挙句の果てに生殖器まで失って、子供や女とも縁が無くなった・・・・・
  フフッ・・・・言語に尽くせない惨めさの中にいる僕の気持ちは・・・・・
  人に不幸をばらまくことで表現するしかないみたいですねぇ・・・・』
『ニコル・・・・八つ当たりでユニウスセブンを落とす気か! 
  そんなことはよせ! まるでラウ・ル・クルーゼの亡霊じゃないか!』
『クルーゼぇ!? たかが短命を宿命づけられたぐらいで世界を恨んだ男の怨念と、
  人でなくなるという闇の中で生きている僕の怨念、一緒にしないで欲しいですねぇ・・・ッ!』
『クッ・・・・!』

ガシャン、ガシャン、ガシャァァン!

ブリッツのビームサーベルは、ニコルの狂気に呼応するかのように、どんどん激しさを増していく
最新鋭機アビスに乗るアスランだったが、かろうじてスピアでそれを防ぐという無様さだった

『コーディネーターとか、ナチュラルとか、そういう差別がどれほど些細なものだったのか、
  この姿になってようやく理解できましたよ・・・・
  コーディネーターとナチュラルは同じ人間ですけど・・・化け物を人間は・・・・
  その姿だけで恐れ! 忌み! 嫌いますからねぇぇぇぇッ!』
『ニコル・・・やめろ! ニコルがそんなことを言うんじゃないッ!』
『裏切って殺して築いた平和、化け物から護ってみせてくださいよアスラァァンッ!!』
DXはどうにか攻撃の機会をうかがっていたが、かなりアビスとブリッツが接近しているので、
うかつに手を出せない。ましてや武器がなれないハンマーとあってはなおさらだ

『ガロード! ブリッツは俺が抑える! おまえは破砕作業を行え! 工作隊はほとんど壊滅してるんだ!』
「アスラン・・・・でも、あんたやられそうじゃねぇか!」
『ここは年上の意見に従えッ! ユニウスセブンをこのまま地球に落とす気かッ!!』
「—————ッ! わかったよッ!」

激戦を行うブリッツとアビスを無視して、ガロードは一番手近に設置してある大型ドリル、『メテオブレイカー』の横に向かう
「こいつは・・・・よし、電源を入れるだけでいいみたいだな」
DXを操作して、メテオブレイカーを起動させる。

ぎゅぉぉぉぉぉん・・・・

ドリルが起動し、地面を掘り進んでいった。しかしそれではまだ、ユニウスセブンにたいした変化は起きない 
作業がブリッツのおかげでほとんど進められておらず、
工作隊のMSはほとんど、『メテオブレイカー』のかたわらで無残な姿をさらしていた

「工作隊はほとんどやられたのかよ・・・・」
幸い、メテオブレイカーはいくつか生きている 
DXで全部それを操作するつもりで、やった方がいいとガロードは考えた
「邪魔だぁ!」

ガシャン! バキッ、ドカッ!!

不安定な岩場をGハンマーで砕き、
傾いたりしてきちんと設置されていない『メテオブレイカー』を安定させ、起動させる

(この武器も意外に悪くねぇや)

最初はバスターライフルなどに比べ、原始的な上に扱いづらい印象があったが、
セーフティを解除してブースターと鉄球のビームを展開させると、なかなかの使い勝手を見せてくれていた
二機目の『メテオブレイカー』を起動させ、次に行こうとしたとき、不意に物音が止んだ

ガロードが見上げると、アビスがその動きを止めていたのだった

==========================

「うかつだったな・・・・」
アビスの中でアスランは歯噛みした。両腕はホールドアップの体勢を取っており、
こめかみには銃が突きつけられている
「かっこいいやり方じゃないけどね。ハッ、これでバスの時間には間に合うかな!」
「潜入してたのか、アビスのパイロット。いつの間に脱走を・・・・」
アスランが横目で見る。そこには水色の髪の、少し容姿のおかしな少年がいた
オルバがいなければ、アビスのパイロットをやっているはずの男、アウルだった
「無茶な任務をやる以上、体に爆薬ぐらい埋め込んでおくもんさ。いろいろおまえらんとこも、
  混乱してたみたいだったし、アビスに隠れるのも難しくなかったぜ」
「普通の人間に耐えられることじゃないぞ、それは。体になにかされているな、おまえ」
「うるさい! さぁ、とっととコクピットから出てけよ、英雄さん!」
「・・・・・・。」
アスランは少しコクピットを確認した。通信はオンになっている
外部のMSには、今の状況が漏れているはずだ

『ククク、なにやら騒がしいみたいですけどねぇ・・・・。
  僕の知ったことではないのでね、とりあえず死んでもらいましょうか、アスランッ!』
心まで化け物となったニコルが、ブリッツのサーベルで一直線にコクピットを狙ってくる
「ちぃっ!」
アスランはアウルに構わず操縦桿をとった。
アビスは急制動し、コクピットへのサーベル直撃は避けられたものの、

ドジュウウ・・・・・

わき腹の部分を焼かれてしまう
「これぐらいの損害!」
「おい、動くなと言ってんだろうが!」
「なら、コクピットで一緒に死ねばよかったのか! うかつな動きを見せれば、ニコルにやられるぞ!
  おまえの要求は後だ! 今は静かにしていろ!」
アスランは叫んだものの、わき腹への一撃は動力系に損害を及ぼしているようで、
どんどんアビスの出力が下がっていっていく
『ひゃははははは、なぶり殺しもいいんですけどね!』
ブリッツがレーザーを放つ

ドゥン、ドゥン、ドゥン!

「うぁ・・・!」
そのすべてがアビスに命中し、ダメージはかなり深刻なものとなった
コクピットはぱちぱちとショートを始め、いくらかのモニタが死んでいく
『スケジュールがつかえているので、ここで終わってもらいましょう! 僕が助けたアナタの命を、
  僕が奪うというのも・・・・・・・!』

どごっ! ブリッツの左腕から、ワイヤーつきのクローが放たれ、アビスの肩に命中した

『乙というものでしょう!』

クローによって動けなくなったアビスに、ブリッツのビームサーベルが迫る!

ドドドドドドドドッ!

瞬間、ブリッツめがけてビームガトリングの嵐が飛んできた。
『アスラン、なにをやっているこのキョシヌケがぁ!』
「イザークッ!?」
弾丸の主は、両足を失っているイザークのザクから放たれたものだった
機動性を失ったザクは地面に転がり、かろうじて体勢を保っている状態で、両肩のガトリング砲を乱射している

『イザーク・・・・僕の楽しみを邪魔しないでくださいよぉぉぉッ!』
ブリッツが方向を転換し盾を展開すると、弾丸の雨の中をザクへ向かって突っ切っていく
「イザーク!」
アスランが叫んだ。イザークの死は必定と思われた

ドォォォォンッ!

しかし無力化したザクを破壊せんとしたブリッツの前方に、巨大な鉄球が叩き込まれる
地面をえぐったそれは、もうもうと土煙をあげていた

一機のMSが立ちふさがる。ガンダムダブルエックスだった