クロスデスティニー(X運命)◆UO9SM5XUx.氏 第133話

Last-modified: 2016-02-28 (日) 00:54:01

第133話 『最後まで、迷惑をおかけしました』
 
 
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コロニー落としという戦法が、強力無比なのは認めざるを得なかった。
しかし、弱点もある。
中でも大きいのは、1度軌道を変更してしまえば簡単に修正できず、作戦そのもののが無に帰ることである。
だから、正確に目標へ着弾させることは難しく、落とすということだけでも困難である。

アスランはヤタガラスのブリッジに映る、宙図を見つめた。
大半のコロニー落とし部隊は寝返り、コロニーの進路を変更するか、停止させている。
ただ、第三波、第五波、第十波の部隊がいまだ健在だった。
特に、第三波と第五波は連続していて、ジョージ・グレンみずから指揮を執っている。

「核ミサイル、発射」

アスランは、号令を下した。
大西洋連邦秘蔵の、核装備ウインダム隊。
ユニウス条約違反の塊がごときMSだが、この非常時にあれこれ言ってはいられない。
それに、条約はとっくに無力化していた。

核ミサイルの雨が、ゆるゆると発射されていく。ミサイルが放つ推進剤の帯が、流星のようだった。
おおよそ、50発は撃っている。

「虐殺者には、なりたくないものですな」

イアンが、言ってくる。

「そうだな。ただ、手を汚す覚悟は出来ている」

それに、この核攻撃で死ぬ人間の数はたかが知れている。
コロニー落としに比べて、という話だが。

モニタを見上げた。核ミサイルが、第十波の部隊が護るコロニーに降り注いでいく。
何発かは途上で迎撃されたが、そのすべてを防ぐことはできず、やがてコロニーへと着弾する。
そうすれば後は、堰を切ったように爆発が始まった。

「コロニーの破砕確認! 軌道は変更され、また仮に降り注いでも大気圏で燃え尽きる規模です」

メイリンの報告。笑みは、出てこない。
後は第三波、第五波を迎撃すれば、戦闘は終わる。

「待ってください、大気圏から打ち上げられてくる熱源多数……これは、艦隊です!
 それも相当規模の……」

報告にブリッジがざわつく。しかし、アスランは冷静だった。

『こちら、ユーラシア連邦司令……である。我々は同盟軍への参加を希望する』
『同じく東アジア共和国、同盟への参加を……』

懇切丁寧で、礼にかなった通信が送られてきた。
同時に、アスランの胸に空々しい物が走ってきた。
ユーラシア連邦、東アジア共和国。どちらも大西洋連邦と並べてうたわれる大国である。
その二国が、4者同盟への参画を申し出てくる。

すぐに通信を、アメノミハシラに繋いだ。

『アスラン』
「代表、これは」
『わかってる、言わないでくれよ。君の指揮下に入るという条件は、呑ませてある。
 それに、確かに僕らは彼らにも、同盟への参加を要請していた』
「人はここまで破廉恥になれるんですか」
『……そうだ、ね』

アスランの胸を、空々しいものが吹き抜けていく。
やり場のない、怒りさえ感じた。
俺たちがこの勝利を掴むために、どれほどの血河を渡ってきたと思っているのだ。
それを、大国は大国であるという理由だけで、露骨な勝ち馬を狙ってきている。

ユーラシアと東アジアの大艦隊が、次々と打ち上げられ、同盟軍に合流してくる。
素早い展開だった。これまで、ビーム一発たりともザフトに打ち込みはせず、傍観していたというのに。

「もう、なにもしなくても勝てますよ。指揮など関係ない」
『……』
「なんですか、これは。シンとガロードは引き上げさせます。
 サザビーネグザスは、なぶり殺しにします」
『怒らないでくれ』
「……申し訳ありません。少し、興奮してしまいました」
『最後まで、しっかりと戦おうよアスラン。僕らには、戦後が待っている』
「はい」

通信を、それで切った。
確かにユウナへ当たるのは筋違いだった。

「ガロードとシンを引き上げさせろ、ジャミル・ニートもだ」
「あ、はい。命令を送っておきます」

志願があったので、サザビーネグザスを倒すためにシンたちを先行させた。
ガロードはあまり出したくなかったが、例によって暴走する危険があったし、
核ミサイルという対抗法も出来たので、狙撃に専念させるという条件で一緒に出させた。
しかし、ステラとルナマリアはなすすべもなくやられ、ハイネも撤退している。

もう、MS単機でどうこうできる状態ではないが、サザビーネグザスはやたらと強かった。
それに第三波、第五波には核攻撃をかけられない。
ニュートロンスタンピーダーという、対核攻撃迎撃用の兵装を装備した戦艦が、出てきているからだ。

とはいえ、この物量ならサテライトキャノン無くとも、通常攻撃で軌道を変えることはできる。

艦長席を、立った。

「どちらへ?」
「ジャスティスで出撃する」
「司令自ら、そうせねばならない状態では無いと思いますが」
「混成軍だ」

そう言えば、イアンには伝わるはずだった。
意志の統一されていない軍なら、総司令みずから出て、士気を高めてやった方がいい。
それに、もう指揮が必要な段階は通り過ぎていた。

後は第三波と第五波しか残っていなかった。そこを叩けば、戦闘は終わりなのである。
ユーラシアと、東アジアのMS隊が出撃していく。
総勢で、いくらぐらいになるのだろう。1000か、2000か。
それだけのMSで、100に満たないであろう軍を叩くのである。

出撃する本当の理由は、これ以上人間のバカバカしさに付き合いたくないからだった。
こうでもしないと、東アジアやユーラシアの将軍に向かって、暴言の1つや2つ言ってしまいそうだった。

「ニコル……出てこい」

MSデッキに向かいながら、うつむき加減につぶやく。

「この戦争が、腐りきってしまう前に」

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痛みが、世界を塗り潰していく。
目に映る色はただ赤く。
きっとこの目は、血だまりのようになっていくのだろう。
続ければ、目も見えなくなって行くに違いない。

もう1度だけ、世界をこの意識下に。
あの絶望から、自分の手をすり抜けた最強を、もう1度だけ。

「ビームシールド、スクリーミングニンバス、常時展開。
 もってくれよ、ビームサーベル」

ドムの防御兵装をすべて展開する。
右手には、ビームサーベル。
眼前には、ザフト最後の主力軍。

鈍重に身体を固め、剣一本で斬り込む。ジャミルはそのつもりだった。

絶対に、サザビーネグザスを討つ。
それだけを念じた。ひたすらに強く想う。
もう2度と、コロニー落としという悪夢を繰り返さぬために。
そして、いびつで世界を狂わすCEのNTを倒すために。
なぜルチルが彼を護っているのか、それは1度忘れる。

きっと、意識は無くなるだろう。
そして痛みと狂気に身を任せるだけの獣になる。
それでも命の使いどころを、間違えたくなかった。

フリーデンのクルーは、自分が居なくともそれぞれに身を立てられるはずだ。
誰も彼も、AWを生き抜いて来た人間だった。

備え付けの痛み止めを、パイロットスーツ越しに打った。
こんなものはただの気休めだと思いながら、注射器を捨てた。

ジャミル・ニートは最強だった。

歯を食い縛る。念じる。
心の奥底に封じ込めた自分を。がんじがらめにかけたカギを、乱暴に食い破っていく。
痛み。脳が焼き付く。心臓が暴れる。苦痛。やめろと、本能が叫ぶ。
思い出せ、あの情景を。コロニーが流れ落ちるあの姿を。
もう一度おまえが、必要なのだ。

「—————ッ!」

餓狼にも似た、雄叫びをあげた。
痛み、苦しみ。まともに喰らえば、気が狂うほど甘い甘い果実。
甘さはただ全身を突き抜け、液体になってジャミル・ニートを覆い尽くす。
感じる。世界、宇宙、すべて。
俺は、この世界の中で世界を滅ぼした。

『敵機、ドムトルーパー!』
『たった一機で斬り込むつもりか!』

雑魚が、うごめいてくる。
まるで羽虫のようだ。ひらひら、ひらひら。
いいのか。そんなにも柔らかそうな横腹を見せて。
狼に、食い破られてしまうぞ。

『ああーッ!』
『う、動きが読め……!?』

羽虫を、切り払う。戻ってくる。戻ってきた。
宇宙へ。世界を、ねじ伏せる。

止まらなかった。襲い来る羽虫を、払い続ける。
弱い。弱い。
立ち止まる。憎悪を向ける。眼前に広がる、巨大な塊。
俺は、これがために苦しまねばならなかった。

おまえのせいだ。
見ろ、この目から流れる血を。耳からこぼれる血を。
脳が焼け付いていく痛みを。
すべて、おまえが地球にキスをしたがために、俺はこの絶望を背負わなければならなくなった。

二度目は、無い。

羽虫が、次々とまとわりついてくる。ビームサーベルで払い、払った。
真紅を、視界に捉える。光をまとっていた。
調子づくな。その程度の光で。

道は、開いた。手を伸ばせば届く距離に、真紅がある。
あれを倒せば、すべてが終わる。しかし、羽虫がまとわりつく。

まぁ、いい。羽虫は殺せばいい。倒し続ければ、いつか尽きる。
斬り続けた。視界は赤い。血涙は、それでもまだ尽きない。

やめてください。

聞き覚えのある、少女の声だった。誰だったかは、忘れた。

下がって、ジャミル!

ティファ、君にはわからないことだ。
私のような人間にとって、これは出来すぎたことなのだ。
誰もが、過ちは取り返せないというのに、二度目を与えられたということは。

キラは、私などよりはるか高みに行った。ラクスの命は、どうにかなった。
後はコロニー落としさえ防げれば、私の過ちが少しだけ、本当に少しだけだが、救われる。

戦後、15年。無様にさすらい続けたことが、今は報われる。

ドムが手にしていたビームサーベルが、はじけ飛んだ。
酷使し続けたせいで、柄の部分が耐えられなくなっていたのか。

しかし、道は開いた。眼前に、真紅が居る。

ドムのこぶしを、握りしめた。

「貴様に引導を渡す、15年前の最強としてッ!」
『愚かな、武装の無いMSでなにが出来るか!』

サザビーが、退きつつライフルを放つ。
ビームシールドを前面に押し出し、突っ切る。
爆音。背中のバーニアが、破壊される。ファンネルが、背中に取り付いていた。

サザビーネグザスまで、あと少し。手を伸ばせば、届く。
ドムを自爆させれば、いくらあの重装甲でも。

指。凍り付いていく。意識が、遠のきそうになる。
流れ落ちる血が、少なくなる。視界の赤が、やがて白黒に近い物へ変わっていく。

「教官」

ルチル・リリアントの幻影が、いる。私の知らない、女の顔ですね。

仕方のない子。

そうですね。
最後まで、迷惑をおかけしました。

指が、凍り付く。動かなくなる。
MS戦では最後まで、負けはしなかった。
しかしもう、意味のないことだった。

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「ジャミ、ル……」

ドムが、サザビーネグザスのビームを受けて爆発した。
最初にガロードが思ったのは、嘘だろう、という言葉だった。
きっと、どこかへ脱出したに違いない。

ジャミルは鬼神になった。ザフト軍本隊を、一人で切り開いて行ったのだ。
だから自分もシンも、無傷で中央部まで斬り込む事が出来た。

『ガロード!』
「う…クソッタレ!」

シンのゲキで、立ち直る。誰かの死に、動揺している場合では無い。

『DX、ならびにアカツキ、撤退してください! すでに大勢はこちらに傾きました!
 撤退してください!』

メイリンが、先ほどから懸命に呼びかけてきていた。

「悪ィな、メイリン。どうしても譲れねぇことはあるんだ」
『ああ、俺たちがサザビーネグザスを、ジョージ・グレンを討つ!』

言いながら、ヤタガラスからの通信を切った。
他国の大軍が、アメノミハシラに集結していることは知っている。
しかし、そんな腐った人間の都合が、腹立たしかった。

全霊を傾けて、戦い続けてきた。
サテライトキャノンが、この戦争の引き金を引いたのならば。
俺たちの手で、終局を迎えるのが道理だ。

『生き残ったMSは、コロニー内部へ向かえ。
 外壁を、盾にする』

ジョージの命令を受け、ザフトがコロニーの内側へ入っていく。
それを見逃す暇は無かった。
すぐさま、ハイパービームソードを引き抜いて斬りかかった。

「ぶっ殺しに来たぜ、ジョージ・グレン!」
『まだ来るか、しつこい……!』
『何度だって来てやるさ、例え殺されたって!』

アカツキと挟み込んで、両側から斬りかかる。
サザビーネグザスは、シールドでDXの攻撃を受け、そのまま身体をこちらにぶつけて来た。
ただの、体当たり。しかし、派手に吹き飛ばされる。

「DXの出力以上かよ!」
『当たり前だ、このフレームは君たちガンダムを倒すために造られたのだからな』
「なに?」
『宇宙革命軍の亡霊だ、ガンダムXを倒すために造られたフレームだよこれは!』

サザビーネグザスが、ビームを放ってくる。盾をとっさに前へ出すと、消し飛んだ。

『だからなんだっていうんだ!』

アカツキが、踏み込んでくる。その周囲を、いつの間にかファンネルが覆っていた。

「やべぇ!」

ビームライフルを、闇雲に放つ。
アカツキの周囲に停滞していたファンネルは、なんとまるで意志があるかのようにそれを避けた。
そうしながら、実弾の雨をアカツキに見舞う。
さすがにシンは自力で避けていたが、軽い被弾は無数にあった。

化け物め。NT能力を十全に使いこなしている分、キラよりタチが悪い。
それに、なんのかんのとキラは人殺しを好まなかったが、この男の攻撃は殺気にまみれている。

「シン!」
『くっ……』

とっさに、アカツキと合流して背中合わせになった。
この方が、ファンネルをかわしやすい。

ザフトのMSは、なぜかサザビーを放り出してコロニー内部に向かっている。
護衛しなくていいのか。それとも……

Lシステムを使う気か。
なんらかの予兆が見えれば、全力でこの場から脱出しなければならない。

しかし、無数のファンネルが周囲を舞っている。そして、サザビーネグザスが居る。
これを突破して、逃げ切ることが出来るのか。

考えながら、ビームを放ちつつファンネルを牽制する。
当たらない。カリスのビットより、ずっと精度は上だ。ティファがレジェンドに乗っていた頃と、同じぐらいか。

「おい……どうするシン?」
『ファンネルをリロードするまで待つ。引っ込めたら、一気に斬り込むぞ』
「……Lシステムが来るぜ」
『まだだ、あいつはそこまで追い込まれちゃいない』
「チッ、ここまで強ェとはな」

せめてアスランが居れば、互角に持ち込めたか。
ブレストランチャーの範囲射撃で、ファンネルを散らす。
乱れた陣形を突き、前へ出た。すぐにサザビーが、前へ出てくる。
あの、強烈なビームが放たれてきた。とっさに、後退する。
するとまた、アカツキと背中を合わせるハメになる。

手の平で、踊らされている。強い。桁外れ。

「クソ、なんでだよ……なんでだ! どうしてコロニーを落とす!」

これほど強くありながら。ハモニカ砲をばらまきながら、叫ぶ

『世界を変える必要があるからだよ、ガロード・ラン
 コズミック・イラではない君にはわからないことかな』
「俺が異世界の人間だって知っているのか!?」
『異世界ではない、君たちの世界と我らの世界は繋がっている……時という壁があるだけだ』
『俺とガロードの世界が……?』

ファンネルの壁。厚い。しのぎ、続ける。
ビームはシンが、実弾はDXが。ダメージは無効化できないが、耐える。

『君たちは未来から来た、というだけのことだ。異世界などではない』
「はっ、そうかよ!
 でも、今も昔もバカって奴は変わらねぇな、人を殺しゃあ世界が救われると思ってやがる!」
『無理矢理にでも、統一せねばならないのだ、この世界は。
 人間が、人間を滅ぼしてしまう前に……例えわずかでも、種を残すためにな』
『種を残す……?』
『人類は、必ず外敵と遭遇する。宇宙クジラこそがその証明だった
 それに対抗するためには、人類は次のステップへ、そしてまた次のステップへ行かねばならん
 しかし、今の人間たちを見てみろ、人類の進化をどういう風に扱っている?
 私欲が、この世界の進化を殺し続けてきたのだ』
「コーディネイターのことか!」

まだ、ファンネルのエネルギー、残弾は尽きない。
ハモニカ砲を、シールド代わりにしてしのぐ。しかしいつまでももちはしない。

『だから私は決めたのだ、この世界から私欲を抹殺すると……!』
『ふざけるな、人間は欲望があったから進化できた!』
『私欲と欲望は別だ、シン・アスカ!
 欲望を向上心にすり替えられる者たちが世界を満たしていけば、人類は無限に進化していける……!』
「わけわからねぇ! いい加減にしろてめぇ、どこにその外敵ってやつがいるんだよ!
 たかが、クジラの化石を発見したぐらいで、人間ぶっ殺して回る理由はねぇ!」
『見えないのならば、それでもいい……もとより君たちに理解を求めてはいない!』

ファンネルが、吸い込まれるようにサザビーの肩へ収納されていく。
やっと来た、好機。お互いに言葉は必要無い。
一気に、前へ出ようとする。

「んなッ!?」
『読み違えたな、浅薄な!』

サザビーネグザス。なんと、さっきと同じ量のファンネルを間髪入れず出してくる。
さっきまで展開していたのは、全弾の半分に過ぎなかった……!?

「だからどうしたこの野郎ッ!」

勢いを、殺すべきではない。被弾覚悟で突っ込む。
わずかでも攻撃を軽減させるため、ディバイダーを前に出した。

「シン、俺の後ろに回れッ!」
『……』
「サザビーが届く範囲まで、てめぇを無傷で送ってやる!」

近接戦闘ならば、シンの方が強い。こうなると盾は、DXの役目だ

ファンネルが、次々とビームを放つ。
2発受けたところで、ディバイダーが消し飛んだ。
1撃、当たる。装甲のダメージ。もってくれ。信じている。

『それは賢いやり方じゃない……!』

なにか、声が降ってきた。
次の瞬間、次々とビーム砲に撃墜されるファンネルが見えた。
とっさに、顔をあげる。

『ジョージ・グレン、あなたを倒す……。
 この僕の、滅ぼすための力をすべて注いで……ッ!』

狙撃体勢のジン・デルタ。武器を、ビームマシンガンに構え直している。

『この声、キラ・ヤマトか……?』
「オイシイとこもらいに来たか、この野郎!」

腹立たしさがまるで無いわけじゃないが、この状況ではありがたかった。

『ファンネルは僕が無効化する! 君たちは、本体を……!』

ジンが、突っ込んできた。同時に舞っているファンネルを、次々と撃ち落とす。

『うるさい、あんたに指図されるいわれは無い!』
「でも、味方ならこれほど頼もしいのもねぇな!」
『それは認める……けど! ああ、いい! 文句は後だ!』

アカツキ、DX、並んでサザビーへと肉薄する。勝った。そういう状態だった。

『誰かを、忘れちゃいませんかぁ……?』

狂気。身震い。

「デスティニー……!」

ミラージュコロイド、現出するもう1つの、翼を持ったMS。サザビーネグザスの、前に立っていた。