バイパー1_02話

Last-modified: 2008-11-12 (水) 23:03:33

それから数日がたった、新しいナンバーズ、チンクが目覚め、インパルスも少し馴染み始めて来た頃(相変わらずドゥーエに弄られているが)
トーレが不意にインパルスに頼みごとをして来た

 

「模擬戦?」

 

「はい、私たちは目覚めてから日も浅い、ドクターから貴方のことを聞かされましたが、正直実感が湧かないのです」

 

「何に、だ」

 

「兄さんの力にです」

 

(なるほど、確かにそれはそうだな)

 

確かにと、自分は彼女らに何も見せてはいない、精々顔見せぐらいをしただけで自分は部屋に籠りきり
バグの消去を急いでいた、見たところトーレは冷静そうだが、瞳の奥には疑念の光が宿っていた

 

(俺が役に立つか、立たないか、か)

 

「いいよ、やろう、お前たちにも少しくらいは俺がどんなことができるか知ってもらわないとな」

 

そして、現在にいたる―
研究所のドーム状の施設にてトーレとチンクはインパルスを待っていた

 

「いいの?あんな事言って・・・・」

 

「構わないだろう、兄になると言われてもドクターや私たちの役に立たないような物が必要か?」

 

「それはそうだけど、一応兄にあたるんだし・・・・」

 

「博士から彼のデータを頂いている、全てでは無いが閲覧しておいたほうがいいだろう」

 

「えっ、私も模擬戦するの?」

 

「当り前だろう、ドゥーエ姉さんとは違って私たちは戦闘が主だ、彼と組んで任務に当たることも多いのだから、知っておいたほうがいい」

 

インパルス―ZGMF-X56S
素体状態を基本形とし、フォース・ソード・ブラスト・カオス・アビス・ガイアのユナイトデバイスを使用

 

フォース、高機動戦闘を可能と空戦、地上問わず高い機動力を生かした縦横無尽の活躍が可能

 

ソード、大剣エクスカリバーを使用し、格闘戦に特化した状態、エクスカリバーは連結・分離が可能で相手が魔道師、戦艦を問わず攻撃可能

 

ブラスト、重攻撃形態、高出力の砲撃を可能とした対要塞、対軍装備

 

ユナイトデバイス・・・・アームドタイプやインテリジェントとは大きく異なり、インテリジェントやアームドタイプのデバイスが
本人を強化し、魔法などの補助、雑務まで行えるのに対し、このユナイトデバイスは文字どおり「合体」するデバイスである
基本的に自らの意志などは持っておらず、純粋に兵器としての側面が強い
このデバイスは文字通り体と合体し、その性質まで一変させてしまうことが最大の特徴である、更に特に身体的な問題を
必要とせず、たとえリンカーコアを持たなくとも魔力を増幅させ魔法の行使が可能とする
だが、人体を変質させるのは危険極まりなく、拒否反応をおこして死亡するもの、デバイスに肉体を奪い取られ
デバイスの支配下におかれたり、暴走するものが後を絶たなかったことから、自然と廃れていった模様
だが、機械生命であるインパルスなどの「機動戦士」には何の問題もなく使用が可能であると推定される

 

以下現在調査中・・・・・

 

ジェイル・スカリエッティ

 

「これは・・・・なんとも恐るべき能力だな」

 

「ユナイトデバイス・・・・・ISと大きく異なる力・・・」

 

「悪いな・・・・またせた」

 

不意に声がして、二人が振り向くと、そこにはインパルスが居た、だがその格好はいままでとちがっていた

 

白い全身鎧のようなバリアジャケット、各所に青・黄・赤の色が配され
背中には大型の機械的な翼、頭はスッポリ兜の用に覆われ、額からアンテナ、特徴的な鋭いツインアイ
まるで兵器のような姿をして、そこに居た、いや正しくはこれが彼の「本来の姿である」

 

「うん?二人でかかってくるつもりか?」

 

「ええ、博士の纏めた貴方のデータを拝見させてもらいました、本来はトーレ一人のはずでしたけど、私も興味が出てきました」
そうチンクが言うと
「そうか、まぁ一人も二人も同じことだ」

 

そんな物言いにトーレとチンクが少しムッとした表情をする
これではまるでこちらが弱いような言い方ではないか

 

(いくら長生きしてるからって、すこし生意気ね、叩きのめすくらいでいかなきゃね)

 

「じゃあさっそく始めるか・・・・かかって来い」

 

「ドクター・・・・・インパルス達が・・・」

 

「うん?ああ、あれか、別にかまわないだろう、ここいらで力を見せてもらわなきゃ起こした意味がない」

 

「わかりました、念のため記録用のカメラを回しておきます」

 

「うん、わかった、さーて、君はどれ程の力を持ってるのかねえインパルス?」

 

「おおおおお!」
トーレが早速ISライドインパルスを発動し懐に飛び込まんとする、それを彼は大きく地面を蹴り距離をとる
チンクはまだ様子見だ、彼女のISランブルデトネイターは破壊力があるが、相手に接触できなければ意味がない

 

(早い・・・・!)

 

インパルスを追いかけながら思ったがかなりのスピードだ、ドーム状の広い空間を生かしインパルスは逃げ回っている

 

「どうしたのですか!逃げ回るばかりじゃ勝てませんよ!」
トーレが挑発する、だが
「・・・・・・・」
インパルスは涼しい顔

 

(この程度に引っかからないか・・・・だが)
「チンク!」

 

そういうや否や、チンクはナイフをインパルスに向け投げ、彼の逃げ道をふさぐ

 

「・・・・・!」

 

「追いつきましたよ」

 

(なるほど、しっかり追い詰めていたか)

 

ようやく様子見を止めたのか、背中から魔力サーベル、ヴァジュラを抜き放ち、トーレを見据える

 

「行きます、チンクは手を出すな!」
チンクはただ頷き、トーレは叫び声と共に、インパルスに切りかかった!
「おおおおおお!」

 

「ほう、見事な剣さばきじゃないか」

 

「わかるものなのですか?」

 

「わかるさ、トーレの攻撃を全て捌いているのだからね」

 

「くっ!」
トーレは焦っていた、さっきから何度となく切りかかっているのに一発も入れられていない
全て捌かれてしまっている、しかも相手は片手、こっちは両手だ

 

「どうした?そんなものか?」
薄く笑みを浮かべながらトーレを挑発する
「くっ、このぉっ!」
トーレがインパルスブレードを振り上げた途端
「そんな大ぶりで!!」

 

「グハッ!?」
腹に一撃蹴りを食らわされ大きく吹き飛んでしまうトーレ

 

「ふぅ、やれやれ・・・・・仕方ない・・・・決めるか、チェンジ、ソード!!」

 

するとインパルスの体はまばゆい光に包まれチンクは思わず目を瞑ってしまう、目をあけるとそこには

 

白い全身よりは真っ赤になり、機械翼は消え、背中に巨大な剣を二本背負い
型に尖った装備、今までと大きく印象の異なるインパルスがそこにいた

 

「これが、おれの形態の一つ、ソードだ、こいつはエクスカリバー・・・・おれの愛刀さ、次の一撃は、割と本気だ。」

 

「耐えて見せろよ?」

 

「!!」

 

ようやく体制を立て直し、インパルスを見れば、こちらに突撃してくるのがわかる
だが、内心ほくそ笑む、確かに防御はかなりのものだが、いくら早くとも直線の動き

 

「そこだ!!」
カウンターを決めるべく一気にブレードを振る、トーレは確信した、当たったと、だが
「え・・・・?」

 

当たった、確かに当たった、だが、まったく刃が通らない、切れないどころではない、切れる気配すらしない

 

「うおおおおお!」
「しまっ・・・・」

 

その動揺を見逃すはずもなく、エクスカリバーを振りかぶるインパルス
トーレは思った、「ああ、これは切られてしまった」、思わず目を瞑る
だが、痛みはやってこない

 

「・・・・?」

 

「おれの勝ちだな・・・・・」

 

目を開ければ、エクスカリバーを自分の首元に当てているインパルスが見えた、どこか
勝ち誇るような笑みを浮かべながら

 

「参りました・・・・しかし、一体どうして・・・・?」

 

「これがおれの、いや、機動戦士に備わった能力、フェイズシフトだ、ジャケット表面を変質し
ありとあらゆる攻撃から身を守るものだ、見たところそのブレードは熱が無い、ソード形態
は衝撃に特に強いからな、だから切れなかった」

 

「やられてしまいましたね・・・・お手上げです」

 

「なぁに、初見の相手にしか効かない技だ、それに、熱量が高いと破損してしまう、それにいけないのは
お前の戦い方だ、トーレ、これが実践なら迷わず剣を振りぬいていたぞ、チンクと2対1でかかれば合格
だったのにな」

 

「はい、有難うございました!兄さん!」

 

「どうするチンク、やるか?」

 

「はい、トーレには勝てたようですけど、私にはそうはいきませんよ!」

 

言うや否やインパルスに向けてナイフを投げつける、簡単に回避されるが
壁に刺さったナイフは爆裂する

 

ナイフを回避しつつ分析は忘れない

 

(なるほど、エネルギーを金属に込めて・・・・爆弾化の能力?いやもっと危険か・・・おれも触れられれば
爆するか・・・・・小さい体のくせしてなかなかエゲツない能力を持っているな)

 

「これが私のIS、ランブルデトネイターです!その体でも直撃すればただじゃ済まないはずです!」

 

(駄目だ、当たれば衝撃に強くとも中身がダメになりかねん・・・・こうなれば)
「チェンジ・・・・・・アビス!」

 

再び光に包まれるインパルス、だがチンクはそれに構わずナイフを光に向けて投げつける
爆発音、衝撃・・・・・手ごたえアリ!

 

「・・・・・・やりすぎましたかね」
おもわず気が抜けてしまうチンク、だが
「いいや、まだだ」

 

「!」

 

突如として巨大なランスが彼女に向け突き出される、チンクはこれを回避するも
煙の中から突撃してきたインパルスに体当たりされ倒されてしまう

 

「痛・・・また変身!?」

 

「これこそアビスインパルス、おれの形態の一つさ、深海にだってもぐれる耐圧柔軟シールドだ、そんなんじゃ破れないぜ」

 

「ま、こんなところかな・・・・そら、手を出しな」

 

「あ・・・・・・」

 

チンクが起きるのを手伝おうとインパルスは手をだす、ここで初めてチンクは彼の
目を凝視した、綺麗な紅い瞳、吸い込まれてしまいそうな赤い眼、思わず顔が赤くなる

 

「うん?どうした」

 

「な、なんでもありません」

 

「今日は此処までにしておこう、トーレもチンクもそれでいいな」

 

「「はい」」

 

「ふうむ・・・・ユナイトデバイス・・・・か、便利なものだ」

 

「ご機嫌ですねドクター」

 

「そりゃそうさ・・・・これからあの体を解析しまくれるんだ、楽しいだろうなぁ・・・・きっと」

 

「じゃあ部屋にもどりま・・・きゃっ!」
チンクが部屋に向けて歩き出そうとすると、床に刺さっていたナイフに躓いてしまう
「チン・・・・うわっ!」
インパルスが思わず手を伸ばすが何故かもう一本刺さっていたナイフに躓いてしまう
そしてそのままもんどりうって転んでしまう二人

 

「チンク!兄さん大丈・・・・」

 

ギャグ漫画のような煙がはれて二人に駆け寄るトーレだったがそこで見たものは

 

「あ、ああん///」

 

「ムギュ・・・・・・」

 

どう見てもオッ○イの上に手を乗せチンクに覆いかぶさっているインパルスと、何故か
嬉しそうなチンクの姿だった

 

「・・・・・・・・フム・・・・分解したくなったよ、インパルス」

 

「ドクターから赤い気が!?」