『マリナ 闘いの始まり』
戦いを知らぬ皇女が闘士になる決意をしたあの日から……
アザディスタンのガンダムファイト推進委員会の前で、弓と槍の卓越した技術で同国の候補に勝ち、代表選手になったマリナ・イスマイール。
その日から槍と弓は勿論、ファイターとしての格闘や身体能力を高める訓練を続け、他国には負けるが格闘家として十分な基礎能力を身に付けていった。
そんなある日、彼女自身の訓練と同時進行で行われていたMF製造が遂に完成した。
その名はガンダムファーラ。
彼女に合わせ、弓と槍による遠距離・中距離に長けた機体だ。
それを操縦するためのファイティングスーツ装着訓練が始まった。これに成功しなければファイターとしての闘いは始まらない。
「それでは皆さん、今から始めます。」
開発陣やマリナの秘書など、大勢の関係者が見守る中マリナはワイヤーでファーラの中に入っていった。
今の彼女はシンプルな白い訓練用の制服姿。上は長袖、下はズボンというオーソドックスな出で立ちだ。
「これがMFの中……ここが私の戦場なのね……」
一人が入るには広く、大勢が入るには狭い、そんなコクピットで拳を握りしめるマリナ……
天井と床に設置されたリング。
衣服を丁寧に脱ぎ、畳むとそれは収納ボックスに入れると、リングの中央に立ち祈るように手を握り目を閉じた。
全裸の彼女は生来の華奢で均整がとれた体型に加え、程よく引き締まっていた。
控えめな美乳はもう少し小さくなり、小振りな尻は上向きに、肉付きの薄い腹部は更に括れて縦に筋肉のラインが入っていた。
「モビルトレースシステム、起動。」
その声を認識したコンピューターによって、上のリングから清涼感ある彩りの布がマリナを包みながら降りてきた。
全身を圧迫する苦しみに捕らわれるマリナ。
「ぐっ、これは……」
柔らかい見た目に反して凄まじい力で拘束する布製スーツ。
胸も、胴も、尻も圧迫され身動きが容易に取れない。
「キ……、キツイ…………!!
でも、わ、私は、ファイターだから……!」
歯を食い縛りながら手足を力一杯動かせば布が伸びていく。しかし、中々千切れない。
ファイターならば誰もが通る道だが、非力な彼女にとっては尚更至難だった……
「……あれは……!」
その時、偶然目についたのは一本の鉄棒だった。
長さは彼女より頭一つ短い程。
どうやら作業員が最終点検で使ったものを置き忘れていたらしい。
「……あれを……!」
一旦屈んでそれを手にするマリナ。
床に立てたロッドを軸にすがるような体勢で全身を少しずつ回していくマリナ。
幸い体が他のファイターより柔軟な彼女はそれを頼りに全身に布を巻き込んでいった。
「い、いやぁぁぁ……!で、でも、ここを……乗りきれば……」
胸は尚も締め付けられ、小刻みにプルんと震える。
胴体にもグイグイと音を立てながら拘束する。
「ぐっ、このぉぉぉ……!は、早く、しないと……!!」
性器には恐ろしい程食い込み、痛みにも似た衝撃に腰が卑猥に震える。
アナルにはより深く侵入していく布。
女性特有の恥ずかしさを身に染ませて悲鳴のように声を上げる
「く、このぉぉぉ……!!」
これ以上ないくらいに布に包まれると、軸代わりに抱きついていたロッドから全身に力を込め、勢い良く離れた!!
「きゃああぁぁぁぁ…………!!」
ロッドはコクピットの隅に投げられ、布はブチブチと甚だしい音を響かせ破れていく。
「うぐっ……!」
自分もリング外に尻餅をついて、臀部を擦りながらリング内に戻るマリナ。
「…………これって……?」
全身の感覚がやけに軽やかだ。
身体にあの布が完全にフィットしている。
装着は成功
自分の手を見つめるマリナの動きをガンダムファーラもトレースしている。
見守る関係者からも歓声が上がっている。
「わ、私、ついに……!」
嬉しさで顔を綻ばせるマリナ。
スーツは胴体は雪のような純白、腕と下半身は彼女の正装宛らの青紫。
そして、股部分には濃い紫のV字型切れ込みが堂々と入っている。細い下腹部とスラリとした脚の境界線が強調された形になっている。
しかも、尻の真上からアナルにかけても同色の切れ込みが入っているので上向きの小さなヒップも目立つ。
普段のマリナにとっては恥ずかしいがそれを感じる暇もないくらい喜びに溢れていた。
あれから2週間、生身での戦闘訓練とスーツ装着・MFに乗っての戦闘訓練を繰返した結果、装着時間短縮を果たしたマリナは遂にサバイバルイレブンに臨むことになった。
しかも、筋力アップしたことでロッドに頼らずとも装着できるようになっていた。
誰もいないアザディスタンの砂漠に立つ二人のファイター。
一人はマリナ。相手はギリシャ代表ディノス・サマラス。直々にファイトを申し込んできた男だ。
日に焼けた肌、ギザギザの黒みがかった紅い長髪を縛っている。
搭乗機はガンダムアレキサンダー。
古代の王のような豪奢な外観の機体だ。
金色の王冠に、彫刻のように筋肉を象った白銀のボディ。
深紅のマントは滑らかかつ強靭な盾代わりになる。
右手には大剣を構えている。
両者示し合わせたようにワイヤーでコクピットに入り込む。
「とても威勢の良い人だったけど負けられない……!」
衣服を収納ボックスに入れ、全裸になる。
初のファイトで緊張しながらもリングの中央に立つ。
両手を握り締め、脚を内向きに開き、目を閉じる。
だがそれは最初の時のような、ただ祈るだけの姿とは違い、もっと強い意思を秘めたものだった。
ただ手を握っただけではなく、丁度あのロッド一本が入る程の余裕を設けている。
一言で言うと、見えないロッドを持っているかのようなポーズだった。
(ただ祈るだけじゃだめ、もっと自分を信じて、力を込めて……!!)
そんな思いからくるものだった。
上からくる布の圧迫に負けぬよう、全身の力を入れたり抜いたりを繰返す。
それでも、いつもの癖でアナルには常に力が入ってしまう。
やがて身体は布に包まれ、ギュ……と締め付けていく。
「や、やっぱり……キ、キツイ……!!
でも、負けない……ッ!!」
口を閉め歯を食い縛るマリナ。
見えないロッドを軸にまるでポールダンスをするような動きでゆっくり回転するマリナ。
小振りなヒップを突きだし、足元をメインに回り布を身体に巻き付けていく。
鍛えた甲斐があり、その衝撃にも耐えられ何とか動きを取れるようになった。
「このっ…………あつい……!」
腕をしなやかに動かし、これ以上ない程布が摩擦する。
擦れた熱に苦悶の色を滲ませるが、それに負けず腕を振るう。
ブチッ!バチッ…………!!
鼓膜に強い刺激を残すような音と共に布は千切れ、両腕にスーツが定着する。
「まだ、まだキツイ……キ、キツイ…………!!」
腰を突き出したまま上体を反らし、細いウエストを捻る。
強烈な摩擦に襲われながら程良くフィットしていく。
綺麗なお碗型の美乳が白いスーツに浮かび上がり、引き締まってより細くなった胴体も包まれていく。
最後の難関は局部……
性器とアナルを同時に締め付けられ、頬を赤らめながら苦悶する。
「う、うぐっ……!いやっ……!!」
脚を大きく開き、下腹部に力を入れて耐え抜く。
やがて程よくフィットしたのを見計らい、長い脚を片方ずつハイキックして、布を身体から切り離す。
ブチッ、ブチチッ……!!
「ふう…………!はあ、はあ……!!」
遂に皇女はファイターの衣を身に纏い敵を見据え、両者の声が重なり合う。
「ガンダムファイト!レディ……ゴー!!」
「皇女様の実力、見てみたかったんだ。楽しませてもらうぜ!!」
大剣を掲げ意気揚々と挑むディノス。
邪気のない好青年といった面持ちだ。
マリナは槍を斜め上に構えて走っていく。
「はあっ……!」
ぶつかる刃同士。
弾かれそうになったのはマリナの方だ。
痺れる腕に耐え、ぐらつきそうな足を踏みしめ、スライディングしながら相手の背後に回る。
「危ないところだったわ……!」
「すばしっこいな、こりゃ楽しめそうだ!」
「はあっ……!」
姿勢を屈めて突撃しようとするが、ヒラリと視界を軽やかに遮るアレキサンダーのマント。
貫こうにも柔らかいそれは刃を通さない。
「これは……一体……?」
「これは柔軟な繊維でできてるんだ!簡単には破れないぜ!」
そのまま大剣がファーラの胸を斬る。
真昼の砂漠に鋼の白い欠片が舞い散っていく。
「きゃぁぁぁ…………!」
倒れつつも得物は離さず持ちながら、相手のモーションの一つ一つに隙を探しながら槍を突き出す。
しかし、マントに守られていない場所にかすり傷を付けるのが精一杯で中々決め手が見つからない。
「駄目だわ、これじゃあ……」
「こうなったら……」
少し距離を置いて、槍を弓モードに変形させ大量の矢を放つ。
夥しい鋼の矢をマントで防ぐディノスのアレキサンダー。
マリナは自分の姿勢や方向を変えながら打ち続ける。
目を素早く動かし探しているのだ、マントに守られない箇所ができるのを……
「このっ……こんな機能があったなんて!」
しかし、胴体や頭部が防御されている以上どれも決定打にはならずディノスの突進を許してしまう。
「これで止めだ!!」
「こうなったら……!!」
マリナは諦めなかった。まっすぐ弓を構えた状態で立ち上がり、相手を見つめる。
迫る剣が触れる間際、紙一重でジャンプ。
雲一つない青空に舞うファーラ。
瞬時に相手を見下ろし、矢を乱れ打つ!!
「ぐっ、ぐわああぁぁぁ……!!」
土砂降りのようなそれらにマントによる防御モーションはできず、頭部を始めとした幾つかの箇所に傷ができる。
すぐに着地するファーラ。
「終わりよ!!」
咄嗟に槍に変形させた得物を振り上げ、アレキサンダーの頭部を攻撃。
そこを破壊され、砂の山に倒れていく。
数分後、コクピットから出てくるディノス。
頭を擦っているが鍛えているためかダメージはそれほどでもないらしい。
「いやあ、あんた強いな、想像以上だぜ。」
「いえ、私もかなり苦戦したんですよ?」
負けても屈託ない彼の態度に緊張が綻ぶマリナ。
「あなたにファイトの厳しさを教えてもらったんですから。」
そう言って皇女はこれからの闘いに希望を持ち、アザディスタンの空を見上げた。