リリカルクロスSEEDStrikerS_第02話

Last-modified: 2008-06-11 (水) 18:33:21

「その後なんだっけ?はやてが自分の部隊を作りたいって言ったのは」
「うん」
キラはそのことも思い出しながらアリシアに語っていった。

 

「なるほど、それではやては自分の部隊を持ちたいわけだね」
「うん、もっと早く行動して被害を最小限に抑えたいんよ」
キラは朝食時にはやてやなのは、フェイトから部隊についての考えを聞かされていた。
「それでな、キラ君にも協力してほしいんや」
「キラくんは今は首都航空隊のところで働いてるんだよね?」
「うん、一度相談しないといけないかな」
「それやったら私も一緒に行くよ、キラ君。リインフォースもアリシアちゃんもおるしな」
キラははやての言葉に頷いた。はやてもいれば簡単に話が進んでいきそうだと思ったからだ。
「とりあえずは今日はゆっくり休日を楽しもうか?はやては休みなんでしょ?」
「うん、昨日頑張ったおかげで休むように言われたからな」
「それじゃあ、久しぶりに4人で買い物に行こうよ」
「いいね、それ」
そんな会話で弾む中、キラは昨日のガジェットと自分を見ていた人影が気になっていた。
(今回の事件、やっぱりレリックが関わっていた。でも、何であんな場所に?)
そして、何より自分を見ていた人影が気になる。
(何かが動き出そうとしているのか?・・・・・気のせいならいいんだけど)
そんなことを考えていると・・・・・・。
「キラ君、聞いとる?」
「え?」
気が付くと3人がキラのほうを睨んでいた。
考え事をしている所為で会話を無視していたようだ。
「ご、ごめん、聞いてなかった」
「もう、キラくんは今日の買い物は荷物持ちです」
「・・・・・・いつも持たされてる気がするんだけどね」
「にゃはは、バレちゃったか」
そんな会話をしながら笑っていながらキラは先ほどのことを忘れることにした。

 

「と、まぁ、そんな経緯があって八神二佐は新部隊設立のために奔走」
「4年ほど掛かってやっとスタートが切れた、というわけや」
フェイトとはやてはキラと同じ話をティアナとスバルにしていた。
一番最後の部分は省いていたが・・・・・。
「部隊名は時空管理局本局遺失物管理部機動六課」
リインⅡが嬉しそうに部隊名を上げる。
「登録は陸士部隊。フォワード陣は陸戦魔導師が主体で特定遺失物の捜査と保守管理が主な任務や」
「遺失物・・・・・ロストロギア」
「そう、でも広域捜査は一課から五課までが担当するからウチは対策専門」
「そうですか」
「早い話は特定のロストロギアを・・・・・」
(ティア、ティア!)
(何よ?)
(ロストロギアって何だっけ?)
(うっさい。話し中よ、後にして)
「はい」
ティアナははやての問いに答え、スバルはティアナに怒られ肩を落としていた。
そして、ティアナたちになのはとリインⅡから試験の結果が渡された。結果は不合格だったが、再試験を受けられることとなった。
次の試験の時はしっかりと合格するだろう、そんな確信があった。

 

「さて、じゃあ隊に帰ろうかな」
「私、車で来てるから中央まで送ってくよ。用事もあるから」
なのはとフェイトははやてと別れ、歩き始めた。
「ほんと?ありがとう。用事ってキラくんとアリシアちゃんだっけ?」
「うん、今日やっと帰ってくるんだって」
「キラくんに試験の映像リアルタイムで送ってくれって頼まれたときはびっくりしたよ」
なのはは苦笑いをしながらキラに頼まれたことを思い出していた。
「それだけ気になるんだよ。あの2人が・・・・」
フェイトは少しだけ暗い顔をしてしまう。そんなフェイトになのははにっこりと笑いかけた。
「キラくんのこと知ってもらうには一番良いし、良いんじゃないかな?」
「うん、そうだね。ところでなのは体調は平気?」
心配そうに次はなのはのことを聞いてくるフェイトになのはは笑って答える。
「にゃはは、平気平気、全然問題なし」
「だったら、良いんだけど・・・・・」
「心配性だな、フェイトちゃんは私の頑丈さ知ってるでしょ」
「知ってるけど心配はするよ、友達だからね」
そう言ってくれるフェイトになのはは心から感謝していた。
「ほんとに平気だから心配しないで」
「うん」
そう言ってフェイトは頷きながらも溜め息を付いてしまう。
「どうしたの?フェイトちゃん」
「うん、キラにも同じようなこと聞いて同じように返されちゃったから」
キラにもこの前会った時になのはと同じ質問をしていた。8年前のファントム事件のことがまだ頭にあるからだ。
キラ自身はSEEDを極力使わないでいるため負担をかけないように努力している。
アリシアが言うにはキラがSEEDを使う状況なんてほとんどないし、ガジェットとも普通に戦えていると教えてもらっている。
「でも、キラくんは自分のこと分かってるようで分かってないからね~」
なのはも苦笑いをしながらもフェイトに答える。
「とりあえずアリシアもいるからちょくちょく教えてもらってるんだ」
「そ、そこまでするんだ」
「そうでないと心配なんだ。なのはもキラも」
「フェイトちゃん」
そこまで心配してもらえて、なのははフェイトが親友で本当に良かったと感じた。
「よし!私もキラくんやアリシアちゃんと会ってから隊に戻るよ」
「いいの?」
「うん、時間は十分貰ってるからキラくんに私も釘を刺しておくよ」
その言葉にフェイトは笑って頷いていた。

 

4日後、機動六課発足の日。
「このお部屋もやっと隊長室らしくなったですね~」
「そやね、リインのデスクも丁度えぇのが見つかって良かったな~」
「えへへ、リインにぴったりサイズですぅ」
その時、部屋の呼び出し音が鳴る。
「はい、どうぞ」
「「「失礼します」」」
はやての返事を聞き、扉が開くと制服に着替えたなのは、フェイト、キラの姿があった。
「あ、お着替え終了やな」
「3人とも素敵です」
「ありがとう、リイン」
はやてはデスクから立ち、3人の近くに向かい懐かしそうに制服を見る。
「なのはちゃんとフェイトちゃんと同じ制服は中学校以来やし、キラ君は小学校以来やな。なんや懐かしい」
「さすがに中学校までは通っていられないよ」
キラは苦笑いをしながら答えた。キラは小学校を卒業と同時に管理局の方で仕事を始めていた。
本当はファントム事件が終わり、小学校を中退しようと思ったが、なのはたちに反対され、小学校は卒業した。
「まぁ、なのはちゃんは飛んだり跳ねたりしやすい教導隊制服でいるほうが多くなるかもしれへんけど」
「事務仕事とか公式の場ではこっちってことで」
「それでは・・・・」
フェイトの言葉にキラとなのはは頷く。そして、堂の入った敬礼をする3人。
「本日ただいまより高町なのは一等空尉」
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官」
「キラ・ヤマト一等空尉、以上三名機動六課に出向となります」
「どうぞ、よろしくお願いします」
それを聞いてはやてはにっこりと笑いながらそれに答える。
「はい、よろしくお願いします」
すると、また部屋の呼び出し音が鳴り、はやてが返事をするとグリフィスが入ってくる。
「失礼します。あ、高町一等空尉、テスタロッサ・ハラオウン執務官、ヤマト一等空尉。ご無沙汰しています」
そのまま敬礼をするグリフィスを見て、少し首を捻るなのはとフェイトだったが、やがて1人の人物が思い当たる。
「もしかして・・・・・」
「グリフィスくん?」
「はい、グリフィス・ロウランです」
その言葉になのはもフェイトも嬉しそうに声を上げる。
「うわ~、久しぶり。っていうか、すご~い、すごい成長してる~」
「うん、前見たときはこんなちっちゃかったのに・・・・」
「フェイトもなのはもいつの話をしてるのさ」
キラは苦笑いをしながら答える。グリフィスも困ったように笑ってしまう。
「グリフィスもここの部隊員なの?」
「私の副官で交代部隊の責任者や」
「運営関係も色々手伝ってくれてるです」
はやてとリインⅡが代わりに答える。なのはたちも久々に会えて嬉しそうだ。
「お母さん、レティ提督はお元気?」
「はい、おかげさまで。あ、報告してもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
「フォワード4名を始め、機動六課員とスタッフ全員揃いました。今はロビーに集合、待機させています」
「そうか、結構早かったな。ほんならなのはちゃん、フェイトちゃん、キラ君、まずは部隊の皆にご挨拶や」
その言葉に3人は嬉しそうに頷いた。

 

「機動六課課長、そしてこの本部隊舎の総部隊長、八神はやてです」
六課メンバー全員が拍手で答える。
「平和と法の守護者、時空管理局の部隊として事件に立ち向かい
人々を守っていくことが私たちの使命であり、為すべきことです。
実績と実力に溢れた指揮官陣、若く可能性に溢れたフォワード陣。
それぞれ優れた専門技術の持ち主のメカニックやバックヤードスタッフ。
全員が一丸となって事件に立ち向かっていけると信じています。
まぁ、長い挨拶は嫌われるんで以上ここまで。
機動六課課長および部隊長八神はやてでした」
そして、全員の拍手の後、次の紹介が始まる。
副官のグリフィスの挨拶が終わり、続いては隊長陣の挨拶となる。
「戦技教導官高町なのはです。スターズ分隊の隊長を務めます。
フォワード陣の訓練は私が担当だから頑張っていこうね」
「はい!」
スバルは挨拶の途中だというのに元気良く返事をし、ティアナは溜め息を付いてしまうが、なのはは嬉しそうに笑っていた。
「本局執務官フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです。
ライトニング分隊の隊長を務めます。これからよろしくお願いします」
なのはとフェイトが終わり、キラが前に出る。
「本局航空隊キラ・ヤマトです。遊撃部隊ウイング分隊の隊長を務めます。
僕も高町隊長と同じく訓練担当です。よろしく」
キラはそう言って一礼するとすぐに小さな声が聞こえてくる。
「あれが局の最終兵器」
「違う違う・・・高町教導官いや管理局の白い悪魔と並ぶ蒼い死神だって」
(・・・・・・あ、あはは)
(わ、私白い悪魔じゃないもん!)
苦笑いするキラと否定するなのはを見ながらフェイトたちは笑っているしかなかった。

 

(ティア)
(何よ、スバル)
(あの人なの?何か聞いて想像した人よりかなり優しそうに見えるよ?
ギン姉が言ってた人のほうに近いんだけど・・・・)
(・・・・・・・・)
スバルの念話を聞きながら昔の事を思い出していた。
あの頃の自分は彼の顔もちゃんと見たことがなかった気がした。
自分も噂の所為で違う想像をしていたのかもしれない。
あの頃はただただキラ・ヤマトという名前を覚えていた気がした。
(でも、最終兵器とか死神って感じもしないよね~)
スバルの言葉にティアナも同意だった。どう見ても優男にしか見えないのだ。
そうしてティアナはキラを見ているとふと目が合った。
キラは優しそうに微笑むが、ティアナはすぐに目を逸らしていた。

 

「ごめん、遅れちゃって。なのは、皆の様子は?」
キラは訓練が始まり、数分後になのはとシャーリーのところへキラが走ってきた。
「ちょっと苦戦してるけど大丈夫だよ」
キラは軽く空中に触れモニターを出して確認をする。
そして、素早くキーボードを叩きながら訓練の様子を見る。
AMFに戸惑っていた新人たちだったが、うまく対応しているようだ。
キラはそれを見て安心した顔をする。
「ここは私とシャーリーだけで大丈夫だよ。それともキラくんも訓練していく?」
「あはは、エース・オブ・エースに教えてもらえば少しは強くなれるかな?」
なのはとキラはお互い笑い合いながらも新人たちから目を離しはしない。
たしかに全員見所があるところが多く、成長が期待できそうだが、やはりまだまだ未熟な部分の方が多い。
「キラさんやなのはさん用にAランクのガジェット用意できますよ?」
シャーリーがコンソールを叩くとなのはとキラの横にデータが映し出される。
「へ~、後でやってみよっかな」
「なのは」
「にゃはは・・・・・じょ、冗談だよ、冗談」
なのははキラに睨まれてしまい苦笑いで答えてしまう。
自主訓練についてはフェイトと同じようにキラも厳しい目で見てくる。
自分を心配してくれるのは嬉しいのだが、如何せんなのはとしても消化不良の時がある。
「まぁ、僕も訓練はやっておきたいんだけどね」
「ストライクには慣れた?」
なのははキラが持っている蒼の宝石を見ながら少し心配そうに聞いてくる。
「すみません、キラさん。フリーダムはまだ・・・・・」
「気にしないで、フリーダム自体他のデバイスと違うのに無理なプログラムを作ってくれって頼んだ僕も悪いんだし」
謝るシャーリーにキラは首を横に振って苦笑した。
「あ、仕掛けるみたいだね」
モニターではティアナたちが動き始めていた。