リリカルクロスSEEDStrikerS_第03話

Last-modified: 2008-06-22 (日) 11:05:08

4機のガジェットの進行方向の陸橋にエリオが立っている。
「いくよ、ストラーダ!カートリッジロード!」
『Explosion.』
ストラーダはカートリッジを1発分消費する。黄色の魔方陣が現れ、ストラーダを頭の上で回し始める。
エリオはそのまま自分が乗っている陸橋を連続で斬りつける。そして、タイミングよくジャンプ。
崩れた陸橋にガジェットが突っ込んでいき、2機が破壊され残りの2機は空へと上がろうとする。
そこへ後から後ろを追いかけていたスバルがジャップし、マッハキャリバーを叩き込むがAMFに阻まれる。
「やっぱ魔力が消されちゃうといまいち威力が出ない」
少しぼやきながらも後ろにいるガジェットを地面に叩きつけてマウンドポジションを取ってマッハキャリバーを零距離で叩き込んで破壊する。
「よし!」
「連続いきます。フリード、ブラストフレア」
「キュウゥゥッ」
フリードの前に炎の塊がうまれる。
「ファイア!」
ブラストフレアの威力にガジェット3機の動きが止まる。
「我が求めるは、戒める物、捕らえる物。言の葉に答えよ、鋼鉄の縛鎖。錬鉄召喚、アルケミックチェーン!」
ガジェットの下に桃色の魔方陣が現れ、鎖がガジャット3機を捕まえる。

 

「うわ~、召喚ってあんなことも出来るんですね~」
シャーリーが感心したようにキャロのアルケミックチェーンを見ている。
「無機物操作と組み合わせてるね、中々器用だ」
なのはも感心しながら喋っている、キラはそんなキャロを優しそうに見ていた。

 

「こっちとら射撃型、無効化されて、はいそうですかって下がってちゃ生き残れないのよ!」
カートリッジを3発消費し、橙色の魔方陣が現れる。
(スバル、上から仕留めるからそのまま追ってて!)
(応!)

 

「魔力弾?AMFがあるのに?」
ティアナの魔法に首を傾げてしまうシャーリーにレイジングハートが答える。
『Yes, there is an available passing method.』
「うん、キラくんが私たちの中で一番うまいよね」
「威力はなのはに負けるけどね」
「キラくんは速射性と命中性なら誰にも負けないよ」
そう言いながらなのはとキラはティアナを見つめた。

 

(・・・攻撃用の弾体を無効化フィールドで消される膜状バリアで包む。
フィールドを突き抜ける間だけ外殻が保てば、本命の弾はターゲットに届く!)
橙色の弾丸をさらに濃い橙色のバリアで包み込んでいく。

 

「フィールド系防御を突き抜ける多重弾殻射撃。AAランク魔導師のスキルなんだけどね」
「AA!?」
なのはの説明にシャーリーはまたも驚いてしまっている。
キラはそれを見て少し笑ってしまうが、すぐに視線を戻した。
(さすが・・・の・・・だね)
キラは心の中で小さく呟いていた。

 

(固まれ・・・・固まれ、固まれ、固まれ!!)
「てえぇぇぇぇいっ!」
一気に弾丸をバリアが包み込んでいき、弾丸が完成する。
「ヴァリアブル、シューーット!!」
橙色の弾丸は一気にスバルを追い抜き、ガジェットのバリアも突き抜け、2機を一気に破壊した。
(ナイス!ナイスだよ、ティア!やったね~、さっすが~!)
(うるさい!このくらい当然よ!)
そう言いながらも疲れを隠せず、そのまま仰向けに倒れこむ。息も上がっていた。

 

「終わったね」
「そうだね、普通はこうはいかないよ」
なのはもキラも最初の訓練結果にしては中々満足したようだ。
「シャーリー、15分休憩後にもう一度行くよ、数を増やしておいてね」
「さ・・・・さすがなのは。初日なのに容赦ないな」
なのはの言葉に唖然とするシャーリーと苦笑いをしながらなのはを見るキラだった。

 

「それじゃあ、訓練を再開するよ。次は同じレベルだけど数は12機。
制限時間もさっきと一緒だよ。少しきついかもしれないけど頑張ってね」
『『『『はい!』』』』
4人は元気良く返事を返した。
そして、シャーリーはガジェットをさらに4機増やした12機が動き始める。
しかし、そのガジェットをキラとなのはは厳しい目で見つめる。
「シャーリー、1機だけおかしいのいない?」
「え?」
シャーリーには別段変わっていない気がしたが、コンソールを叩きながら確認して息を呑んだ。
「い、います!1機バグ起こしちゃってるのが!」
そう言った時にはキラはストライクを作動させ、空に飛び立っていた。
「なのはさんたち用のガジェットのデータにバグが残っていたみたいです。
今日一度実験しておくつもりだったんですけど」
「消せないの?」
「受け付けてくれません!」
(なのはは4人に指示を!僕が叩く!)
「分かった。お願い、キラくん。シャーリーはキラのバックアップお願い!」
「は、はい!」

 

『皆、訓練は中止!ガジェットに手を出さないで!』
なのはの指示に4人は困惑してしまう。しかし、なのはの口調からそれが重大なことだと理解は出来た。
ティアナはすぐにそれを理解する。
「何かトラブルですか?」
『そうなの、訓練用のガジェットにバグが起こって1機Aランクが混じってるの』
その言葉に4人は動揺を隠せないでいた。しかし、なのははしっかりとした口調で4人を励ます。
『大丈夫、応援が向かってるし、4人ならこの状況を切り抜けられるよ。私の指示に従ってね』
4人はしっかりと頷いた。なのはの指示で障害物が多く隠れやすい場所へ移動していった。

 

『皆はそこで待機していて、キラくんがガジェットを破壊するまで動かないでね。
もしそっちに気が付いたらすぐに逃げて』
ビルの中でティアナたちは事の経緯を聞き、周囲を警戒する。
Aランクのガジェットが他のガジェットを統率しているらしい。
下手に動けば12機全機に攻撃される可能性がある。
「まさかいきなりこんなことになるとはね」
スバルは溜め息を付いてしまうが、ティアナはデバイスにカートリッジを入れながら言葉を返す。
「仕方ないでしょ、これも訓練だと思いなさい」
「・・・・・来ました」
外の様子を伺っていたエリオの声で4人に緊張が広がる。
ティアナたちは気配を殺すがすぐに察知され、ティアナたちを囲もうと展開する。
「このままじゃ囲まれる。まだ展開されていない部分を突破するわよ!」
ティアナが殿を務め、後ろへと威嚇射撃を行う。しかし、AMFの前では意味がない。
(天井を崩して!)
いきなりの念話にティアナはすぐに反応し、天井に数発打ち込む。
天井が崩れ、3機のガジェットが潰れて爆発した。
そして、ティアナたちが出てくるのを待ち構えていた目の前のガジャットが蒼い魔力弾に貫かれ爆発する。
「ごめん、遅くなって。よく耐えたね」
赤い翼を広げ、ライフルとシールドを持ったキラがティアナたちの上空にいた。
ティアナたちの足元に蒼い魔方陣が展開され、強固な防御魔法がティアナたちを囲んだ。
「とりあえず、そこで動かないでいて!」
キラはそう言うと残りの9機のガジェットへと向かっていった。

 

「ストライク、ソードモード」
『Yes, sir. Load Cartridge. Sword mode. Set up.』
カートリッジが1発分消費され、シュベルトゲベールやパンツァーアイゼンなどが現れる。
キラはシュベルトゲベールを構えると4機のガジェットへと向かっていく。
ガジェットが熱線を放ってくるが、キラはそれを避けていく。
そして、割れているコンクリートを見つけるとそこへシュベルトゲベールを振り下ろす。
コンクリートがてこの原理で壁となり、ガジェト1機が衝突し爆発する。
その壁を上に越えたガジェットは煙を抜けるとそれの真下をキラが平行に飛んでいた。
「はぁっ!」
キラはシュベルトゲベールを突き出し、ガジェットを串刺しにする。そのまま振りぬきガジェットが爆発する。
「次っ!」
着地したキラは何も確認せずに横を通り抜けようとしたガジェットをパンツァーアイゼンで捕まえる。
そして、そのまま横を飛んでいたガジャットにぶつける。
ガジェット同士はぶつかりあい、爆発を起こす。
ほんの十数秒の間に4機のガジェット倒されていた。
その様子をティアナたちは驚いてみているしかなかった。これが隊長陣の力なのだ。
「何でよ・・・・・何でそんなに強いのに・・・・・・」
そんな中、ティアナは悔しそうにキラを見ていた。それに気が付いたのはスバルだけだった。

 

『残りガジェットバグ含めて3機です』
「まずはバグを落とさないと!」
キラは空中を飛んでいるガジェットバグにアグニを向ける。カートリッジを1発消費する。
『Fire.』
強力な赤い魔力の一閃がガジェットバグへと命中するが・・・・・。
「防がれた!?」
アグニの一撃を消し去るほどのAMFのようだ。キラは考え込んでしまう。
あの威力が防がれるとなると今のストライクの装備ではAMFを破るのは難しい。
方法がないわけではないが、それを使うことをなのはたちは許さないだろう。
「・・・・・なのは」
『うん、分かってる。皆には作戦は伝えておいたよ』
キラの言葉にすぐになのはは答えた。どうやらキラが言いたいことはもう伝わっているようだ。
ティアナたちはもうキラの防御魔法の中から移動していた。
「よし!いくぞ、ストライク!」
『All right. Load Cartridge. Full power.』
2発のカートリッジを消費し、途切れない赤い魔力の一閃がAMFとぶつかり合い続けた。

 

『いい?作戦はこうだよ』
数分前、ティアナたちはなのはに説明を受けていた。
『キラくんがアグニを撃ち続けていれば向こうはアグニのほうに集中する。
そうなると後ろのほうが狙い目になる、そこをみんなに叩いてもらうよ』
その言葉に一瞬不安そうな顔を見せるティアナたちになのはが笑顔で答える。
「大丈夫!さっきあれだけ頑張れたみんななら出来るよ」
その言葉にティアナたちはしっかりと頷いた。

 

(ティア、準備いい?)
(えぇ、ちゃんと道は作ってやるわよ)
ティアナはヴァリアブルシュートの用意をする。
自分は残りの2機を破壊してスバルの道を作らなくてはいけないのだ。
「それじゃ、キャロお願いね」
「はい!」
キャロがスバルとエリオに補助魔法をかける。それが終わるとスバルはウイングロードを伸ばす。
「いくよ、エリオ!」
「はい!」
スバルはエリオを背負うとウイングロードを走り出す。
それを迎撃しようとガジェット2機が現れるが、すぐに橙色の魔力弾が破壊する。
AMFにより先の道が消えてしまっているが十分な距離だった。
スバルの肩にエリオは足をかけると一気に飛び出した。
『Sonic Move.』
「いっけーーーーっ!」
エリオはストラーダを構え一気にガジェットバグへと突貫していった。
『Speerangriff.』
ガジェットバグはストラーダに貫かれ、爆発する。
落ちていくエリオとスバルをすぐに飛んできたキラが捕まえた。
『皆、ご苦労様。訓練は終わりだよ、戻ってきてね』
その言葉に全員が安堵のため息をついた。

 

「あ・・・・・・」
訓練が終わり、ティアナたちは食堂へ行くと先に来ていたキラが先ほどの訓練の映像を見ながら休んでいた。
キラはティアナたちに気が付くと笑って出迎える。
「お疲れ様、何か飲むかな?」
「自分で出来ますので、大丈夫です」
ティアナはそう言うと奥のテーブルへと座った。スバルはキラに一礼してティアナのところへと向かった。
エリオとキャロはその様子に驚いてしまう。ティアナがキラを避けているように見えるのだ。
エリオもキャロもキラとはフェイトを通じて何度も会って面倒を見てもらった時もあった。
人に嫌われるような性格じゃないことを知っているので尚更驚いていた。
「あの・・・・キラさん」
「うん、どうしたの?エリオ」
「ティアナさんと何かあったんですか?」
「ちょっと・・・・ね」
エリオの質問にキラは苦笑いをした後、ティアナのほうを見ながら呟いた。
その目はとても寂しそうだった。