種死&リリカルなのはさん 単発SS集11

Last-modified: 2007-11-22 (木) 22:09:08

伊達と酔狂 ◆3NDcoAsIJo氏 2007/11/20(火) 17:49:02
クリスマスプレゼント

 

「ね~え?キ~ラくぅん?」
キラ・ヤマトは高町なのはにベットに押さえつけられていた。
(どうすりゃいいんだ?僕は?)
何故そのような状況なのかと言うと・・・

 
 

そもそも事の発端は機動六課の部隊長である八神はやてが
「クリスマスパーティーでもしよか?」
の何気ない一言から始まった。
こっちの世界にはクリスマスなど無かったから
(コズミック・イラにはあったためキラ、シン、アスランには説明不要だったが)
スバル達やその他の局員にははやて達の世界の神様の生誕を皆で祝う記念日だと説明した。
「クリスマスか~、軍にいた時じゃあんまりバカ騒ぎ出来なかったからな~」
とシンが、アスランも
「あまり祝っている様な状況でもなかったからな」
「そうなん?ほんなら気合入れて準備せんとな!」
こうして六課総出でパーティーの準備が始まった。
そして当日・・・

 
 

「めでたい日に長ったらしい挨拶もアレやからかんぱ~い!」
はやての短い挨拶からクリスマスパーティーは開始した。

 

パーティーははやてらしい趣向を凝らしたイベントで盛り上がった。

 

「メリークリスマス、キラ」
アスラン達と話していたキラにフェイトが話しかけた
「メリークリスマス。でも凄いね、まさかこんな盛大なパーティーになるなんて」
「はやてはお祭り騒ぎとか好きだからね」
「あ~確かに」といった様なキラの顔を見てフェイトは微笑んだ。
「アスランとシンも楽しんでる?」
「はい!でもはやて隊長元気ですね、シャーリーさんと一緒にノリノリで歌ってますよ」
ステージの上でははやては頭にリインフォースを乗せ
シャーリーと肩を組んで踊りながら歌っていた。
そのあまりの弾けっぷりにフェイトは
「仕方ないよシン、普段は部隊長としての責任があるからこういう時くらいは、ね?」
それを聞いたアスランも
「そうだな、彼女、あまり表情に出さないから解り難いが、
結構無理してるだろうからな」
機動六課自体他の部隊から見たらありえない位の優秀な人材が集まっているのである。
その六課を設立させるのにどれだけの苦労があったか容易に想像がついた。

 

フェイトはそこであることに気付いて、
「それじゃあ私はそろそろ行くね?お邪魔みたいだから」
そう言ってフェイトは足早にエリオやキャロと一緒にいるヴィヴィオの方へ向かって行った。

 

キラ達は三人とも頭に?マークを浮かべていたが、アスランが振り向くと、
あぁ、と言った感じで
「行くぞ、シン」
「ちょ、なんだよアスラン!」
「いいからちょっと来い」
「アンタって人はぁ~!」
アスランはキラだけを残して、暴れるシンを引っ張ってその場を去った。

 

一人残されたキラは未だ理解できずに後ろを振り返ると
そこにはプレゼントを持って赤面しながら膨れていたなのはが立っていた。
「メリークリスマス、なのは。それよりどうしたの?」
「メ、メリークリスマス、キラ君。・・・まぁ~その~え~と、何と言うか・・・」
「?」

 

たまたま近くでその状況を見ていたザフィーラ(狼モードでトナカイのコスプレ)
は後日そのときの状況をこう語った
(二人ともとても初々しく見ていたこっちが恥ずかしくなった、
しかしキラ・ヤマトの鈍感ぶりには殺意が沸くほどであった)
はやてに説得(脅)されて渋々語り六課の伝説になったのはもう少し先の話である。
ザフィーラはその場を立ち去り主であるはやて達がいる方角に歩いていると
「ん?お、ザフィーラ」
シンがザフィーラの方に向かってきた
「何か食べるものやるよ。犬って玉葱ダメなんだっけ?
いまいち犬の好物ってわからないんだよな?」
ザフィ-ラ静かに口を開けると
「ならば・・・そこの肉を」
シンは凄い形相でザフィーラを見て
「お、お前喋れたのか!!!」
「・・・・・・」
クリスマスの19時過ぎの出来事であった・・・

 
 

話はキラとなのはに戻り
「これ、キラ君にクリスマスプレゼント!」
そう言ってなのははキラに綺麗にラッピングした袋を渡した。
「ありがとう、なのは。凄く嬉しいよ」
「今空けてみて欲しいんだけど・・・」
「え、うん。それじゃあ」
キラは綺麗にラッピングされていたので少し勿体無い気もしたが袋を空けると
そこには手作りのマフラーが入っていた。
「今の季節は寒いからね、仕事の合間とかで作ったから上手に出来たか自信ないけど。
ちょっと巻いてみてくれないかな?」
なのはに言われキラはその場でマフラーを巻いた。
「うん、とっても暖かいよ。大切に使わせて貰うよ」
キラのその言葉を聞くとなのはは溢れんばかりの笑顔をこぼした。
しかしキラを重大なことに気付いた、それは・・・
(しまったな、こんなこと予想外でなのはにプレゼント用意してないよ・・・どうしよう・・・)
キラは笑顔を装いつつも冷や汗を掻いた。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイどうしよう・・・)
そういえば昨日アスランが
「キラ、お前明日の準備の方は大丈夫なのか?」
「明日の準備?」
アスランはやはりと言った感じでため息をついて
「・・・あのなキラ、・・いや何でもない、たまには自分で考えるんだな」
(アスラン・・・この事だったんだね、友達なら教えてくれよ)
今更言っても仕方ないのだが
キラはSEEDを発動させんばかりの勢いで考えに考え抜いた。その結果は
「え~と、あのね、なのは?」
「うん?」
頭を深々と下げ、手を合わせて
「ゴメン!君にプレゼント用意していないんだ」
素直に謝った。
しばらくしてキラはちらりとなのはの方を見た。少し寂しそうな顔をしていたが
「気にしないでよ、私が勝手にキラ君にプレゼントしたんだからね?」
そう言ってなのははフェイトやヴィヴィオ達がいる方へ走って行った・・・
キラは声をかけられずにその場に動けずにいた、まるで自分の足が棒になったようだった

 

その後もはやて達の暴走は止まらずさらにヒートアップしていき、
しばらくしてパーティーはお開きになった。
キラは自室に戻ってシャワーを浴びようとしたが疲労困憊でそれどころではなかった。
「明日なのはにもう一度謝らないとな」
暗い部屋で机の上のマフラーを見てそう呟いた。
(眠くなってきたし・・・このまま・・・寝る・か・・・)
意識が飛ぶ寸前に部屋のブザーが鳴った、しかもかなりしつこく。
「・・・はいはい、誰だろこんな時間に」
キラは文句を言いながらドアの方へ向かいドアを開けると
「にゃはは~、キラ君こんばんわ~」
「な、なのは!?」
かなり上機嫌でサンタのコスプレをしたなのはが立っていた。

 

「メリ~クリスマ~ス~」
「ちょ、ちょっとなのは!」
時間は11時を過ぎていた、明日は通常の業務がある人がいるのだから
廊下でいきなり大声で出したら近所迷惑になる。
近所迷惑にならないように取りあえずキラはなのはを部屋に入れた。
「はぁ、一体どうしたのさ?こんな時間に。ヴィヴィオは?」
「ヴィヴィオならね~フェイトちゃんとエリオとキャロと一緒に寝ているから大丈夫~」
普段とは違うなのはの様子にキラはある一つの答えに達した、ズバリ
「なのは・・・さん?もしかして、お酒飲んで・・・酔ってる?」
「ん~?この程度じゃ酔ったうちに入らないよ~」
(飲酒したことは否定しないんだ)と心の中で思ったが言わなかった。きっと話がややこしくなるから。
「そりゃあお酒だって飲みたくもなるよ、キラ君!」
急になのはは怒り出した、突然のことでキラは怒り出した理由が分からなかった。
さっき謝ろうと決意したが泥酔なのはが突然押し掛けて来て
混乱してしまったので仕方がないといえば仕方がないが・・・
「私がさ、勇気を振り絞ってキラ君にプレゼント渡したのにさ~。キラ君てばさ~
少し期待してたのにさ・・・」
「な、なのは、そのことは本当に悪かったよ。ゴメンね。
だからさ今度の休みに必ずこの埋め合わせをするから、ね?」
なのはは少し考えて
「今~」
「はい?」
「今年のクリスマスは今日だけだよ~。後40分位で<今日>が終わっちゃうよ~」
(なんかなのは精神年齢も口調も幼くなってないか?)などとキラは考えた、がやはり口には出さなかった
「今日って、もう流石に何処も店は閉まっているよ?」
それを聞いてなのはは突然笑顔でキラをベットに押し倒した。
「だからね?私がさ、寝付くまでこうやってぎゅ~と抱きしめていて」
なのははそう言ってキラに抱きついてきた。
「こ、こんなことで良いの?もっとちゃんとした・・・」
なのはがキラの口を押さえて頬を膨らませながら
「こんなのが良いの、私・・・それじゃあお休み~」
なのははすぐに小さな寝息を立てた。
「はぁ~、どうしよう。この状況」
なのはに強く抱きしめられて身動きがとれない
(なのはの胸が腕に・・・)などと思ったがバレたら後が恐いので我慢した。
もともと強烈な睡魔に襲われていたキラだったので、思ったより早く眠くなり
(起こすのもあれだし仕方ないからこのまま寝るか・・・)

 
 

次の日の朝
なのははとても温かくて優しい感覚に目を覚ました。
二日酔いと寝ボケていたため隣で寝ているのがヴィヴィオだと勘違いしていた。
が、ヴィヴィオにしては大きく体格がガッチリしている
そこでなのはは始めて隣で抱き合う形で寝ている人物を見た。
「・・・キ・ラ・・君?」
なのはは混乱した。
(いやいやいや、キラ君の部屋に行った夢は見たけれどこれはアリエナイ。そうよ!これは夢なの)
なのはは現実逃避した。
「ん・・・アレ?なんでなのはが?」
キラは目を覚まし、なのはは現実を知った。
「い、いや゛ぁぁぁぁ~」
なのはは昔、父と兄と姉からもしも襲われたときの為に護身術を学んでいた。
その成果を始めて披露した。キラ相手に・・・
「ぐぼらぁ」
キラは急所に見事な一撃を喰らって意識が飛んだ。
(トール・・・フレイ・・・サイ)
キラはかつて死んだ親友と護りたかった少女と何故かまだ生きているはずのメガネの親友が見えた。
「あ゛!ちょちょっとキラ君!」
流石にまずいと思ったなのははシャマルを叩き起こして連れて来て事情を分かる範囲で話した。
シャマルは苦笑いしながら回復魔法である静かなる癒しを詠唱した。
そこにアスランとシンが通り掛ったのでシャマル同様事情を話した。
それを聞いた二人は顔を真っ青にして
「「うわぁ」」
と言いキラに向かって敬礼した。
その後キラが回復したのはだいぶ時間が経ってからである。

 

「ホントゴメンね!キラ君、その・・大丈夫?」
なのはは心配そうにキラに尋ねた
「まあ、うん。大丈夫・・・と言えば嘘になるかな?」
キラはまだ少し辛いが頑張って笑顔を作って見せた。
因みになのはは昨日の夜の事はまったく覚えておらず、キラはなのはに酔って自分の部屋に間違えて
入って来てそのまま寝てしまったというかなり無理な嘘をついた。
本当のことなんて口が裂けても言えないわけで・・・
本人も飲みすぎで体調が悪く深く考えなかったのだろう
「それでもいきなりキラ君の・・・その・・ごにょごにょ」
後半は恥ずかしくて言葉にならなかった。
「僕はもう気にしてないよ?なのはは?」
「う、うん。それじゃあ」
「それじゃあこの件はお終い。それでね、なのは?もし良かったら今度の休みに一緒に買い物でもどうかな?
なのはにクリスマスのお返しにプレゼントを贈りたいんだけど、どうかな?」
なのはは少し驚いたがしばらくして
「どうしよっかな?」
「えっ!」
予想外の答えにキラは驚いたが
「ふふ。嘘だよ、キラ君。それじゃあ、お願いしよっかな?」
キラは安堵してなのはに微笑みかけ、二人は一緒になって笑った。

 

その後・・・

 

お互いの休みの日に買い物に行った二人を現場で盗み聞きしていたシャマルから話を聞いた一部の
六課メンバーがあとをつけて行った。
メンバーは野次馬精神旺盛なはやて+リイン(強制)、シャマル、ヴィータ、スバル、ティアナ達である。
「でもはやてちゃん。良いんですか?こんなことして。バレたら二人に怒られるですよ?」
「ええんや、リイン。これは二人を見守ってるんや!」
拳を握り締め力説するはやてを見てリインは諦めた。
「でもティアまで一緒に来るなんて意外だね。なんで?」
ニヤニヤしながらスバルはティアナに聞いた
「うっさい!何だっていいでしょ別に!」
「やっぱりティアってキラさんのこと好「うぎゃ~!だったアンタもでしょ~!」」
「お前らあんまり騒ぐとバレちまうだろが」
ヴィータの一言に二人は「は~い」と大人しくなった。
「お、二人が喫茶店に入ったで。行くで皆!」
五人とリインは駆け出した

 

因みにフェイトとアスランは
「二人のことだから大丈夫だ(よ)」
と言って追跡を辞退
はやては仕事があるのだが無理やりグリフィス等に仕事を押し付けた
シンは面白そうだったので行きたかったが、スバルとティアナの仕事を押し付けられ
さらに部隊長権限で残らされた。

 

「くっそ~!こんなことで俺は~!」
「ね、ねえエリオ君」
「どうしたのキャロ?」
「シンさん凄いね。物凄いスピードで三人分の仕事してるよ」
「なんか鬼気迫る感じだね」

 

「うおぉぉぉ~!」
エリオとキャロは恐くてその日一日中シンに声を掛けられなかったとさ。
             
            終わり

 

伊達と酔狂 ◆3NDcoAsIJo氏 2007/11/22(木) 20:46:27
その休日に

 

休日
それは出動と訓練漬けであったシン達にとっては久しぶりに自由に過ごせる一日であった。
「しかしいきなり今日はお休みって言われてもな~?アスラン、あんたはどうするんだ?」
「溜まってる書類を片付けなくちゃいけないからな、まあ半日もあれば終わるだろ」
「じゃあキラさんは?」
「僕?そうだね、ちょっとデバイスのメンテナンスしたいし、マリーさんやシャーリーに
ちょっと用事があるから…」
「せっかくの休日なのに……あんたら趣味とか無いのか?」
そう言われると二人して考え始めたが
「あ~…もう良いですよ…聞いた俺が悪かったですよ」
苦笑しながらシンは自室に向かって歩き出した。
(そういう俺も特にすること無いんだよな…ちょっと街にでも行くか…)

 
 

シンは私服に着替えて隊舎から出ようとしたら
「あっ!シ~ン」
向こうからスバルが走ってきて無理やりシンの腕を掴んで隊舎から出た。
「ちょっ、な、なんだよいきなり」
「探したよ~シン」
「はぁ~?ていうか止まれよ」
「いや~ギン姉とティアと一緒に遊びに行こうとしたんだけどさ、ティアが体調崩して
来れなくなっちゃたんだ」
(人の話聞けよ!)と突っ込みたかったがスバル相手じゃ意味無いので諦めた。
「…それで?」
「一緒に行こ?どうせ暇でしょ?」
「どうせってお前…」
当たってるのが悔しいシンであった。
「だめぇ?」
「ぐっ!」
スバルは上目遣いでシンに尋ねた。これには流石のシンも勝てずに何度もアイスを奢らされてきた
しかし今回は
(そう何度もやれると…)
シンは目を見開いた
(思うな!!)
「シンってば~」
「はうあ!」
スバルは目を潤ませながら訴えてきた。
「わ、わかったから、そんな顔すんな!」
「やった~」
今回もシンはスバルに負けたのであった…
「んに~」
「この野郎…、給料日前なのに…」

 
 

「ギン姉~シン連れて来たよ~」
スバルが財布の中身を確認中のシンを引っ張ってきたのである。
「シン君ゴメンなさいね。大方スバルが無理言って連れて来たんでしょ?」
「ん~!だってシンが良いって言ったのギン姉じゃん」
「ちょ、ちょっとスバル!それいったらあなただって喜んで賛成したじゃない!」
ギャアギャア楽しそうに騒ぐ姉妹を見てシンは少し昔を思い出した…
(俺もマユとはよくあんな風にじゃれてたっけか…)
「どしたのシン?」
そんなシンを不思議そうにスバルは声を掛けた。
「えっ…、い、いや。そんなことより今日は何処行くんだよ?」
「そうね?とりあえずクラナガンに行きましょ」
「とりあえずって…まさか」
「うん!特に行き先なんて決まってないよ」
「あんたら…無鉄砲にも程があるだろ」
シンはそれを聞いただけでどっと疲れてたのである。

 
 

シンはクラナガンでギンガとスバルの買い物に付き合わされたり、パンチングマシンで二人に負けて凹んだりして有意義?に過ごした。
ベンチで休憩していると
「シン!見て見て、ほらアイスクリーム屋さんだよ!」
「そうだな…」
ちらっとスバルの方を見たら、期待に満ちた笑顔でシンを見ていた。
「あ~!もうわかったよ、これで買って来い!」
「やった~!」
そう言ってスバルは店に向かって走り出した。

 

「ゴメンねシン君。あの子ったらあんなにはしゃいじゃって」
少し悪そうにギンガはシンに謝ったが、シンは笑いながら
「良いよ、俺も結構楽しめたし。それにしてもアイツ元気だな」
そうね、と言ってギンガも一緒になって笑った。

 

しばらくしてスバルが戻ってきた
「はい、シン。ギン姉」
スバルはシンとギンガに四段重ねのアイスクリームを渡した。
「お前人の奢りだからって…」
そこでシンはある事に気付いた
「スバル?」
「ん?」
「何で口の周りにアイスクリームが付いてるんだ?」
「バレたか」
スバルは自分のだけ五段にしてくる途中に食べたのだ。
「はぁ~、仕方ないな…」
「でも良かったよ、シンが少し元気になって」
シンは驚いた。
「『こっち』の世界に来た時から、なんかずっと辛そうな表情だったから」
「そうね。それにシン君、任務とかでも結構無茶なことするから心配で…」
確かにシンは最初かなり荒れていたのだが、六課の面々やキラとアスランのおかげで少しずつ立ち直っていった。
しかしそれでもまだ心の傷は完全に癒されたわけではなかった。(自分は結局力を手にしても誰も助けられなかった)
そんな自責の念がシンを未だに苦しめ、その所為か自暴自棄になってどこか生き急いでいたようだった。
シンは少し考えて
「二人に聞きたいことがあるんだ」
「何?」
二人はシンの真面目な眼差しに少し驚いた。
「二人はさ、戦闘機人として生まれてきたけど…どう考えているのかなって思ってさ?
聞いちゃマズイかなとか思ったけどその…どうしても聞きたかったから」
研究者のエゴで生み出されたギンガとスバルがどうしてもレイとステラとダブってしまったのである。
「確かに他の人たちと違う生まれ方をしたけれど母や父やスバル、掛け替えのない大切な人達と出会えたのだから
そんなに悲観するような人生じゃないと思うわ?」
そう言ってギンガも真っ直ぐな眼差しでシンを見つめた。
「そりゃ結構大変だったけど幸せだよ?今もね?」
屈託の無い笑顔でスバルは答えた。
(『掛け替えのない大切な人』か、俺はレイやステラにとってそんな人物になれたのだろうか?)
「アスランさんから聞いたんだけど、レイ君とステラさんだっけ?」
スバルの口から二人の名前が出てきたことにシンはビックリした。
「きっとシンに出会えたこと感謝していると思うよ、そりゃ別れるのは悲しいけど少なくてもシンに出会えてその時だけでも
幸せで~え~と、なんと言ったら良いか解らないけど~その~」
スバルは身振り手振りで説明しているが後半はグダグダになってしまっていた。
(コイツもしかして励ましてくれてるのか?)
シンはベンチから立ち上がってスバルの頬を引っ張った
「いひゃいひょ~にゃにしゅんのしゃ~?(痛いよ何すんのさ?)」
それを見て思わずシンは吹いてしまった。
「スバルに説教されるとはな…」
「ひどいよ~」
スバルは赤くなった頬を擦っていた。
「…ありがと」
小さな声でそう言ってシンは照れ隠しのためスバルとは反対の方を向いたが、そこにはシンの真っ赤な顔を見て
笑いを堪えているギンガが立っていた。
「それじゃあそろそろ帰りましょうか?」
笑いながらギンガはシンの右手を取った。
「そうだね」
スバルも同じくシンの左手を取った。
「お、おい!何すんだよ」
二人して
「「こうするの」」
シンを真ん中にしてナカジマ姉妹とシンは走り出した。
(レイ、ステラ。俺『こっち』でもう少し頑張るよ。だから見守っててくれ)
「シン(君)早く~」
「分かったから引っ張るって!」

 
 
 

数日後…
「何?金を貸してくれだと?」
「お願いしますよ~ザラ隊長~」
シンはアスランに泣きついていた。
「おはようございますキラさん、シンさんどうしたんですか?」
「おはようエリオ。何でも休日にギンガとスバルにお昼とか奢ったらお金が無くなったんだって、
それでアスランに貸して貰おうと頼んでるんだよ」
「ハハハ…でもなんかシンさん、少し明るくなったような気が…」
「色々と吹っ切れたのかな?」
「頼むよ!ア~↑ス~↓ラ~↑ン~↓」

 

         終わり