種死&リリカルなのはさん 単発SS集9

Last-modified: 2007-11-17 (土) 19:14:47

リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU 2007/10/26(金) 22:12:34
リリカルクロスSEED超番外編2『一番は誰?』

 

「キラパパ~」
「どうしたの、ヴィヴィオ?」
キラがしゃがんでヴィヴィオの目線と同じ高さにして、笑いかける。ヴィヴィオはそのまま笑顔でキラに抱きついてくる。
「抱っこ~」
「はいはい」
キラはしょうがないなといった顔でヴィヴィオを抱っこする。しかし、その顔はとても優しそうだった。
今日は隊長陣が緊急の呼び出しで出ているため、訓練もなくキラたちは思い思いに休んでいる。
「ねぇ、ティアナ」
「何?」
キラとヴィヴィオの様子をぼ~っと見ながらスバルは横でジュースを飲んでいるティアナに話しかけた。
「キラさんの本命って誰だろ?」
「ぶはっ!」
スバルのいきなりの疑問にティアナはジュースを噴き出してしまう。
「あ~、ティアナ汚いよ~」
「うっさい!大体スバルの質問がいきなりすぎるのよ!」
「そっかな?結構この隊じゃ気にしてる人多いよ?」
「あ、それ僕も聞いたことあります」
そうしているとエリオとキャロが会話に入ってきていた。
「私はヴァイスさんにキラさんとフェイトさんの関係聞かれました」
「え?何で?」
「確かおっずがどうとかって・・・・・」
「人の恋愛で何を賭けやってんのよ」
ティアナは怒るを通り越して呆れ果ててしまう。どうやらこの隊は本当に平和なようだ。
「でも、ティアナは気にならないの?」
「べ、別に気にならないわよ。そんなこと」
そうは言っても確かにティアナはキラの本命が誰なのかは気になる。あんなに美人な隊長陣と幼馴染のような関係を続けていたのだ。
それで彼女を作っていない方がおかしい。

 

「もしかして、キラさんてホ・・・・・」
「はい、スバル。エリオとキャロの教育に悪いからその発言は控えなさい」
ティアナはスバルの口を塞ぎながらもキラを見た。
六課の中で最強と言われ、頭も良く、顔も良く、性格も優しく温和、時に熱い。普通ならいないくらいの人物だ。
「でも、やっぱり本命はなのはさんかな?」
スバルはう~んと考えながらティアナたちに聞いてくる。
確かにヴィヴィオのおかげかキラとなのはが一緒にいることが多くなっている。3人で一緒にいるときなど親子そのものだ。
「でも、キラさんとフェイトさんの時も凄いですよ?」
そうだった、キラとフェイトがいるときはとにかくヴィヴィオを甘やかしてヴィヴィオにべったりだったりする。2人の子供に対する姿勢が似ているからだろう。
「せめて2人のどっちが好きなのかくらい分かればいいんだけど」
「何の話をしてるいるのだ?」
「キラさんの本命は誰かなって話です。さすがにママが2人ってのは問題ですし。ここはキラさんの好きな方がなるべきじゃないかなと」
「それで、今のところどうなっとるんや?」
「それが分からなくて悩んでいるんですよ」
「そうだな、キラのやつは本当にどうしようもなく救いようもなく鈍感だからな」
「そんな、言い過ぎよ。確かにキラ君の鈍感は神掛かってるけど救いはあるはずよ?」
「いや、そちらも言い過ぎじゃないかと・・・・・・?」
そこでティアナたちはふと疑問に思った、いま自分達は誰と話しているのかと。
そっと4人は後ろを見ると面白そうに笑っているはやてとその騎士たちがいた。
「なのはママ~、フェイトママ~」
後ろではキラとヴィヴィオがなのはたちを出迎えている。
「い、いつ戻ってたんですか!?」
「ついさっきや、安心して向こうには聞かれとらんから」
慌てるティアナにはやては笑いながら答えた。
「しかし、キラ君の本命か~。確かに気になるな~」
一瞬、真面目な表情をしていたように見えたがもう面白そうに笑っていたのにティアナは気付いていた。
「簡単な方法とればいいじゃねぇか」
そう言うとヴィータはキラとなのはたちの下へと向かった。

 

「え?」
ヴィータの行動が理解できずに固まるメンバーたち。
「おい、キラ」
「何?ヴィータ」
「お・・・・お前が・・・一番・・・・・す、すすすすす」
しかし、さっきまでの勢いはどこへやらヴィータの顔が茹蛸のように真っ赤になっていく。
「?・・・・どうしたのヴィータ?」
ヴィータは両肩を震わせたかと思うと半ば逆切れ状態で叫んだ。
「お前が一番好きなやつって誰なんだ!」
「・・・・・・・え?」
「って、はやてたちが言ってた!」
未だ真っ赤なヴィータは部屋の隅で固まっていたはやてたちを指差して言った。
「な!ヴィータ、何を私たちを首謀者にしとるねん」
「だって、皆が聞きたいことだろうが、あたしははやてたちの代弁をしただけだ!」
キラは今の状況をマズイと感じていた。何がマズイのかは分からないがとにかくマズイのだ。
「キラパパは誰が一番好きなの?」
キラはこの状況で一番聞いてほしくない相手に聞かれたような気がする。腕の中で自分の顔をじ~っと見つめるヴィヴィオの顔があった。
全員が次のキラの言葉に集中している。なのはもフェイトも今は頬を少し染めてキラを見ていた。
キラはふぅと軽く溜め息をつくとヴィヴィオに笑いかける。
「ヴィヴィオは僕やなのはママ、フェイトママ誰が一番好きかな?」
「え?」
ヴィヴィオは少しう~んと悩むと顔を横に振ってにっこりと笑った。
「キラパパもなのはママもフェイトママも一番好き!」
「うん、そうだね。僕も一緒だよ。僕もこの隊の皆が一番好きなんだ」
「皆?ヴィヴィオも?」
「もちろん」
そうして嬉しそうな顔のヴィヴィオを抱っこしたままキラはそのまま部屋を出ていった。
そして、静かになった部屋で全員が思った。
救いようがないかもしれない、と。

 

「なるほど、キラはハーレムを作ると・・・・・よし、俺はこの大穴に」
「何をしてるんですか?」
「いや、キラの本命が誰かってな。賭けをしてるんだよ」
「へぇ~、そうなんですか。知らなかった」
「キラパパ?」
「そうなのか?じゃあ、あんたも一枚噛むかって・・・・・キラパパ?」
ヴァイスは後ろを向くとヴィヴィオを抱っこしているキラがいた。いつの間にかバリアジャケットを着ている。
「あ、いや・・・・待て、キラ。これは・・・だな・・・・・」
「ヴィヴィオ、ちょっと目を瞑っててね。直ぐ終わるから、フリーダム」
「うん」
『All right. Load Cartridge. High MAT full burst mode. Set up.』
「ちょ、ちょっと待て・・・・・ヴィヴィオちゃん目を瞑らないでお願・・・・ぎゃあぁぁぁぁ!」
その日の機動六課は平和(?)であった。

 
 
 

111氏 2007/10/26(金) 22:56:42
リリカルクロスSSストーリー番外編 『天空のキラ』

 

ミッドチルダ地上本部は、スカリエッティ一味の襲撃でボロボロになっていた。
起動六課の協力もあり、なんとかナンバーズを避けるこは出来たが、メンバーもだいぶ痛手を負っている。
ヴィヴィオもつれ去られ、大切なレリックまで奴らの手に渡ってしまった。
そしてキラのデバイス、フリーダムはゼストのフルドライブからヴィータを庇い、フレームが完全破損。
修復が完全に不可能な状態へと陥ってしまい、事態は深刻であった。

 

そして数週間後…

 

「デバイスのフレームの損傷率が90%を超えてます…これはもう事故修復じゃ回復できません…」
いつもに無く悲しい表情でキラの様子を伺うシャーリー。
「フリーダム…ごめん、無理させちゃって…」
キラはシャーリーに一言ありがとう、と言うと静かに部屋を出た。
「キラ…」
外に出たキラを待っていたのは今にも泣き出しそうなヴィータだった。
「ごめん…お前の大事なフリーダムを・・・・本当はあたしがお前やなのはを守ってやんなきゃいけねぇのに…本当にすまねー…!」
ヴィータはキラの前で大粒の涙を流し、泣き崩れてしまった。しかしキラはヴィータの頭をそっとなで励ました。
「ヴィータが無事だったから、それでいいんだ、それにフリーダムもフレームが完全に破損しただけでコアが死んじゃった訳じゃない…だから泣かないで…」
ごめん…ごめん…と泣き崩れるヴィータが泣き止むまで、キラはずっとヴィータの頭を撫でてやった。
だがフリーダムが使えなくなった痛手は大きい、キラとフリーダムのコンビネーションははっきり言ってなのはと互角を誇る程だ。
これから激化する戦いで、キラも自分専用のデバイスが使えないはまさに生き地獄であろう・・・

 

それからしばらく経った後だった。はやてが帰還し、六課の新たな拠点として配備されることになった戦艦アースラ。
そして六課を支援するために再び配備された、過去にキラたちの所属していた部隊の船、エターナル…
「キラ、フェイト!元気にしてたか?」
「アスラン…!」
到着したエターナルから降りてきたのは、本局からエターナルを任された、キラの大事な親友、アスランであった。
「アスラン・・・来てくれたんだ・・・」
「あ…あぁ」
フェイトもアスランと言葉を交わすが、二人の表情が赤くなる。キラとフェイト、アスランは過去に一度同じ部隊になったことがあり、絆の面ではなのはに負けないくらいの友情があるのだ。
「これからどんどん戦いが激化していく…だから俺もまた戦うさ…」
拳を握り締め優しく微笑むアスランに、フェイトとキラもまた笑顔になる。

 
 

再び親友のアスランがエターナルと共にキラと同じ部隊でいっしょに戦ってくれることになり、次第に六課も明るさを取り戻していった
「キラ、お前は少し、エターナルの格納庫に言ってきてくれないか?」
「え…?」
到着していきなりの発言にキラもなんだろうと首を傾げる。
「お前、フリーダム壊されたんだろ…?土産がある・・・行って来い」
「まさか…」
「キラっ」
フェイトもキラをみてにこっと頷く。キラも格納庫に何があるのか察し、内部へ足を運んだ。
「これ…は…」
キラが格納庫をみて愕然とする、そこにあったものは、フリーダムのフレームであった。しかもただのフレームではない、形も以前のフリーダムとは異なり、
なのはのレイジングハートのように黄金のフレームに包まれている。
「ラクスがお前のために残してくれていた、新たな力だ」
「ラク…ス…が…」
いつの間にかキラの後ろに居たアスランが、キラに説明を始める。
なんでも、キラの恋人だった今は亡きラクスが、いつか来るかもしれない新たな戦いの為にひそかに開発していたフリーダム用のデバイスで
カートリッジシステムを廃止し、新型の魔導核エンジンを搭載したまさに、次世代型デバイスらしい。
「ラクス…ありがとう…」
キラは、その場でラクスの想いに涙し、フレームを握り締める。そしてスカリエッティ一味の逮捕と、ヴィヴィオの救出を改めて心に誓うのであった。

 

その後、シャーリー達の協力もあり、フリーダムのコアを無事新型のフレームに移植し、無事に解決を迎えた。
新たなる力、ストライクフリーダムが完成したのであった。
「この力のお陰で僕はまた戦える…ありがとう…ラクス」
「よかったねキラ君っ、デバイスもパワーアップしたし…一緒にヴィヴィオを助け出そうね」
隣に居たなのはがキラに微笑みかける。だが何故だろう、なのはの表情がほんの少しだけだが悲しそうだであった。
しかし気のせいだろうと、キラは
「うん…絶対…!」
と決意を硬くし、なのはを励まし返したのであった。

 

そして夜になり、なのはは一人屋上の上で風に当たっていた。
「なのは、こんなところにいたんだ…」
ようやく見つけたと、フェイトはなのはの所へ駆け寄る。
「ねぇ、フェイトちゃん…キラ君のあの新型デバイスって…ラクスさんの形見なんだよね…?」
いつものなのはの態度とは違い、何か弱々しい雰囲気に気づくフェイト。
「そうだよ…ラクスはずっとキラのことを想って…想い続けてきっとあのデバイスを完成させたんだと思う…」
「うん…」
なのははフェイトの説明を聞き、下を俯いた。
「どうしたの…?なのは…少し変だよ…?」
心配そうになのはの顔色を伺うフェイトを尻目に、なのはの目から涙がこぼれた。
「本当は…喜んであげなきゃなのに…励ましてあげなきゃなのに…亡くなったラクスさんと今もまだ続いてるキラ君との絆に嫉妬してる私が居る…!」
「なのは…」
フェイトはその場に泣き崩れるなのはを抱きしめた。
「なのはは…キラの事を…」
「ヴィヴィオもキラ君も失いたくないよぉ!」
「大丈夫…キラはなのはやヴィヴィオの事ちゃんと考えててくれてるから…だから泣かないで…」
ここまで弱音を吐くなのはを初めて見て、さすがのフェイトも驚いた。
でもフェイトは信じていた、いつしかキラがなのはの気持ちを受け入れてくれると
いつかキラが本当になのはに微笑みかけてくれる日を・・・

 
 
 

リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU 2007/11/05(月) 14:21:37
リリカルクロスSEED超番外編ラスト『本当の気持ち』

 

「そういえばキラくんこの頃見かけないけどどうしたの?」
「キラだったらデバイスの調整で一昨日からずっと篭ってるみたい」
なのははフェイトからキラの現状を聞き、思案顔になる。
「徹夜とかしてなきゃいいけど」
「それを心配するのは無理なんじゃないかな?」
キラの性格からすると始めたら時間も忘れて気が付くと朝だったということが何度かあったのだ。
そんなキラになのはとフェイトは毎回注意しているが、直っていないようだ。
「ねぇ、なのはママ、フェイトママ」
「うん?どうしたのヴィヴィオ」
そんな会話をしている2人にヴィヴィオが話しかけてきた。
「なのはママとフェイトママはキラパパのことをあいしてるの?」
「「なっ!?」」
なのはもフェイトもいきなりの言葉に固まってしまう。この前まで好きとかそういう会話があったがヴィヴィオには理解できていないはずだ。
それを飛躍して愛しているなどの言葉を使ったのだ。普通は有り得ない。
「それは誰が言ったの?」
「はや・・・・・誰も聞いてないよ?」
それを聞きなのはとフェイトははやてのところに行こうと思ったが、はやては今は地上本部に行っている。
多分、狙っていたのだろう。
「あいしてるの?」
ヴィヴィオは2人の顔をじっと見つめている。
(ど、どうする?なのは)
(そう言われたって愛してるだなんてそんな・・・・)
フェイトとなのはは顔を赤くしながらもどうにか良い言い訳がないかと考えていた。
「ヴィヴィオは3人のあいのけっしょうなんだって」
「「ぶっ!?」」
さらにヴィヴィオの言葉になのはたちは驚いてしまう。
「そ・・・それは誰が?」
「しゃ・・・・・何でもないよ?」
どうやらまたターゲットが増えたようだ。しかし、愛の結晶と聞き一瞬なのはとフェイトはその姿を想像して顔がさらに赤くなる。

 

「でも、なのはママたちがあいしてなかったらヴィヴィオはなのはママたちの子供じゃないんだって」
ヴィヴィオは悲しそうな顔をしてなのはたちのことを見る。
「「んなっ!?」」
そう言われると逃げ道が塞がれてしまう。そこまで言わせたいのだろうかあの人たちは。
その時、ドアをノックする音が聞こえてきた。なのはとフェイトは気付かなく念話に集中している。
(ど、どうしようなのは)
(し、仕方ないよ、フェイトちゃん)
(ヴィヴィオにはこの事を秘密にしておいてもらえばいいしね)
(じゃ、じゃあ言うの?)
(ヴィ、ヴィヴィオのためだよ)
ヴィヴィオはドアを開けて来訪者を招き入れる。
「そ、そうだよ。ヴィヴィオ」
「私たちはキラのことを愛して・・・る・・・んだ・・・・よ?」
なのはとフェイトは苦笑いをしながらも顔を赤くして振り向いた・・・・・瞬間固まった。

 

「・・・・・・・・」
そこにはヴィヴィオを抱っこしているキラがぽかーんと口を開けていた。
そして、その様子をさらに口を開けて固まってしまっているなのはとフェイト。
「よかった、なのはママもフェイトママもキラパパあいしてるんだ」
そんな中ヴィヴィオはとても嬉しそうな声で笑っていた。しかし、キラたちにはそれを優しく見つめる暇はない。
「「あ・・・ああ・・あああああ・・・・」」
2人は口をパクパクさせながらキラを指差す。キラは未だ固まったまま。
「「っ!!??」」
先に気が付いたなのはとフェイトは顔をさらに赤くして部屋を飛び出していった。
「あれ?なのはママ~?フェイトママ~?」
ヴィヴィオは急に飛び出していったママたちの後姿をキラの腕の中から見送った。そして、キラを見る。
「キラパパ?」
手を振ってみる、反応がない。
「キ~ラ~パ~パ~?」
体を揺すってみる、するとキラはハッとする。やっと気が付いたようだ。
「え?・・・・あ・・・あれ?」
そのままキラはあたりをキョロキョロし始める。ヴィヴィオはそれを不思議そうに見つめていた。
キラははやてになのはたちの部屋に行くように言われていた。そして、さっきの場面に出くわしてしまった。

 

「キラパパ?」
キラはやっと抱っこしていたヴィヴィオに気が付いた。
「あ、あのさヴィヴィオ」
「うん」
「さっきまで・・・・なのはママとフェイトママってここにいた?」
「うん」
「・・・・・な、何を言ってた?」
「えっとねえっとね、ママたちがね。キラパパのことをもごっ・・・」
キラはヴィヴィオの口を塞いでしまう。聞いてしまえば、また止まってしまいそうだったからだ。
「ヴィヴィオ、僕の頬を摘んでくれる?思いっ切り」
「?」
ヴィヴィオは不思議そうな顔をしながらもキラに言われた通りキラの頬を思いっきり摘んだ。それはキラにとっては痛くはなかったが・・・・・。
「夢じゃなかったのか」
「??」
ヴィヴィオはさらに?マークを増やしながら困った顔をしたキラを見上げた。

 

(な、何で逃げるのフェイトちゃん)
(なのはだって)
(ヴィヴィオのための嘘だって言えばキラくん分かってくれるよ)
(だ、だったらなのはが言ってよ)
(えっと・・・・そ、それは・・・・・)
2人とも言い訳ならいろいろ立てられるのに何だか恥ずかしいのだ。今、キラに会うとさらに混乱しそうになるだろう。
(ともかく時間を置いてキラくんに説明しよ)
(そ、そうだね)
なのはとフェイトは少し時間を置いてキラたちの元へ行くことにした。ヴィヴィオはキラにまかせれば良いだろう。

 

1時間後
なのはたちは自分たちの部屋なのにゆっくりと慎重に入る。
ソファーに座っている、キラの後姿が見える。それを見ただけでなのはたちはキラを意識してしまい顔が赤くなる。
(あ、あのね、キラくん・・・・さ、さっきのはね)
(ヴィヴィオが私たちとキラが愛し合ってないとヴィヴィオのママとパパじゃないって言われて・・・・それでね)
なのはとフェイトは念話を使ってキラに語りかける。
(で、でもキラくんのことが嫌ってわけじゃないよ)
(私も・・・・キラは強くてカッコよくていつも私たちのことを助けてくれて・・・・)
なのはたちの頭に浮かぶのはいろいろな戦いを共に戦い、自分たちを守ってくれたキラの姿だった。
そこで2人は気付いた。自分の正直な気持ちがそして、それを今なら言えると思った。
((私たち・・・・・本当は・・・キラ(くん)のこと・・・・)
「「スー、スー」」
「「へ?」」
聞こえてくるのは安らかな寝息が2つだった。その寝息に2人は固まってしまう。
なのはたちはキラたちの前に来ると唖然としてしまう。そこにはヴィヴィオを抱っこして一緒に寝ているキラの姿があった。
「「・・・・・・」」
2人はそれを見るとキラに対して言い知れぬ怒りが湧き上がってきた。自分たちがせっかく勇気を出したというのに当の本人は寝ているのだ。
お互いデバイスに手をかけようと思ったが、やめた。キラとヴィヴィオの寝顔を見ていると怒るものも怒れなくなる。
「まったくもう」
「怒れないね、これじゃあ」
なのはとフェイトは小さく溜め息を付くとキラたちを見る、本当に安らかに寝ている。自然と笑みがこぼれてくる。
キラとヴィヴィオの姿は本当の親子のようで微笑ましかった。
「気持ち良さそうに寝ちゃって」
「どうする、なのは?」
「何だかキラくんたち見てるとだんだん眠くなってきちゃった」
なのはがキラの右隣に座る、それを見たフェイトはキラの左隣へと座った。
「寝ちゃおっか?」
なのはの言葉にフェイトは笑って頷いた。

 

「あれ?はやて隊長何をしてるんですか?」
ティアナたちは自主訓練を終えて、休憩に入るところだった。はやてたちはなのはたちの部屋の隙間から中を覗いている。
「お、ちょうどいいところに来たな~。ティアナたちも来てみ」
そう言ってはやてたちはなのはたちの部屋へと入っていった。ティアナたちは訳が分からず付いていく。
「あ・・・・・・」
「これって」
そこには寝ているキラの腕の中で気持ち良さそうに寝ているヴィヴィオとその両隣でキラの肩に頭を乗せて眠っているなのはとフェイトの姿があった。
「微笑ましいな~、本当の親子のようや」
はやてはその姿を優しそうに見つめていた。ティアナたちもその4人の姿を見て笑みがこぼれてくるのが分かる。
それくらい幸せそうな寝顔だったのだ。

 

「参ったな」
キラはその夜、自分の部屋の窓から星空を見上げていた。
あの後、起きたキラはなのはたちから事情を聞き、はやてのところに文句を言いに行ったが、寝ていた時の写真を見せられ何も出来なかった。
なのはたちはキラに真っ赤になりながら色々言い訳をしていた、キラはそれを苦笑いで頷いているしかなかった。
「参ったな」
もう一度キラはその言葉を言ってしまう。それははやてたちにあの姿を見られたことでもない。
(で、でもキラくんのことが嫌ってわけじゃないよ)
(私も・・・・キラは強くてカッコよくていつも私たちのことを助けてくれて・・・・)
((私たち・・・・・本当は・・・キラ(くん)のこと・・・・))
キラはあの時、目を覚ましていた。しかし、起きることもできなかった。
そのままキラは寝たふりをしていたのだ。それになのはたちは気が付くことはなかった。
そして、そのままなのはたちが寝てしまい、動くことが出来なかった。少し寝たとはいえ徹夜明けだったためいつの間にか自分も寝ていた。
キラはなのはたちの言葉を思い出しながら、空を見上げる。
「参ったな」
しかし、そう言いながらもキラの顔は少し笑っていた。
「僕もなのはやフェイトのこと・・・・・」
「キラパパ~」
キラが口を開きかけた時、ヴィヴィオの声がした。下を見るとなのは、フェイト、ヴィヴィオが手を振っている。
それを見るとキラはフッと笑うと窓から飛び降りていた。大事な人たちの下へと。