運命と最強_第01話

Last-modified: 2007-11-19 (月) 13:24:28

:コズミック・イラ71 廃棄コロニー内

 

「フォルファントリー!フルパワー!」
スーパーハイペリオンを取り囲んでいたフィールドに向け、カナードは放った。
結果、フィールドは消滅したがハイペリオンは大破、核エンジンの暴走も始まった。
敗北し、覚悟を決めるカナード
核エンジンの暴走にも省みず、カナードを助けようとするプレア
ドレットノートがハイペリオンに近づいたその瞬間
核エンジンは爆発し、二人を、そして互いの機体を包んだ
コズミック・イラ71
スーパーコーディネーターを目指していた少年「カナードパルス」
「運命の子」と呼ばれた少年「プレア・レヴェリー」
彼らは「この世界」から消滅した。

 

:闇の書発動2週間前・PM6:50

 

「・・・また明日ね、はやてちゃん。」
石田先生からの伝言メッセージを聞き、のどの渇きお覚え水を飲もうとキッチンへ向かった。
今は車椅子の音しか聞こえない静寂の中、少女、八神はやてはこれからどうしようかと考えていた。
「・・・・・・お風呂は入ったし、夕飯食べて、寝て、明日また石田先生の病院、そのあと図書館・・いつも通りやな」
はやては思っていた、このような生活がこれからも続くのだと、
ドサ!!
庭の方から聞こえた物音を聞くまでは

 

:海鳴大学病院

 

「こ・・・ここは・・・・」
少年、カナード・パルスはベッドの中で目を覚ました。
眩しい蛍光灯の光に照らされ、思わず顔をしかめる。
光を手で遮り、辺りを見回した。
「俺は確か、プレアと戦っていた筈、あの空間内でフォルファントリーを放った後・・・だめだ、思いだせん!!」
目覚めて早々苛立ちを覚えたカナードの部屋に白衣を着た女性が入ってきた。
「あら、目覚めたのね」
という石田先生の質問に
「誰だ、貴様?」
と答えるカナード。まぁ、元の性格だから無理は無い。
「口が悪いようだけど、元気そうね。私は石田、ここの病院で先生をやってるわ、貴方ははやてちゃんの家の庭で倒れてたのよ」
「(はやてちゃん?誰だ?)」
「普通はこのあと警察に任せるんだけど、はやてちゃんの親戚みたいだし、今はやてちゃんを呼んでくるわ」
そう言い、出て行く石田先生を無視してカナードは考えていた。
(一体ここはどこだ?収容所どころか軍の病院ですらなさそうだ・・・・・それにあの女、「はやてちゃんの親戚」とか
言ってたな、俺にそんなものはいない、それは俺が一番良く知ってる)
その時、扉が開き、車椅子に乗った少女が現れた。
「目ぇ覚めたんか。びっくりしたわ~、突然物音がしたと思って庭覗いたら人が倒れてるんやら、怪我とかは特に無いって石田先生が言ってたからよかったわ」
「・・・・・・助けてくれた事には感謝する。で、ここはどこだ?プラントか?」
「・・・はい?」

 

:八神家

 

怪我が特に無かったため、即日退院したカナードは八神家ではやての入れたお茶を飲んでいた。
「(どういうことだ?プラントどころかコーディネーター、地球連合軍が存在しないとは?それどころか人類は月に行くことが精一杯とは・・)」
正直はやての話を聞いたときは「ただガキが嘘をついてるだけだ」と思っていた。だが、はやてが持ってきた資料や図鑑、
TVのニュースなどを見る限り信じざるを得なくなってきた。
「(信じられんが過去にでも来たというのか?いや、それならばこの年代では既に火星のテラフォーミングが始まってる筈・・・美味いなこのお茶は・・・)」
何気に三杯目のお茶を飲み干そうとしている所にはやてが図鑑をもってやってきた。
「ごめんな~、これで最後や」
「いや、もういい、感謝する。それより聞きたいことがある、どうして嘘をついてまで俺をかばった?」
もっともな質問に
「だってほんとのこと言ったら警察のお世話になってたやろ?」
はやては「のほほん」と答えた。
「違う世界から来たという俺の話は?狂った人間の戯言だと思わんのか?」
「そないな真面目な顔されたらしんじてまうよ。それに(ノーマルスーツ)やっけ?そないな服着てるし」
「だが、見知らぬ人間を庇うどころか家にまで入れるとは・・・親とかは何も言わないのか?」
「・・私、一人なんよ。せやから心配ないんよ。」
「・・・・・すまなかった、俺はこれで失礼する。お茶、美味かったぞ」
帰ろうとしたカナードをはやては急いで呼び止めた。
「って、カナードさん行く当てあるんかい?カナードさんここの世界の人間やないんやろ?お金とかどうする気や?」
「(・・・・・・そういえば、どうするか・・・・・いっそそこらのチンピラをシメて金を・・・)」
「・・・・・なんや、すごく物騒なこと考えてへん?どうせ行くところないんやろ?そなら家きいや。」
「・・・正直申し出はありがたいがいいのか?」
「全然問題あらへんよ、むしろ一人や無くなってうれしいわ。」
「そうなると、俺もここの住人だな、改めて自己紹介だ、俺の名はカナード・パルス。(さん)は付けなくていい、呼び捨てでかまわん」
「わかったわ、よろしくなぁカナード。そなら遅くなったけどご飯や、手伝ってくれる?」
「ふっ、了解した。そうだ、俺以外にだれか倒れていなかったか?」
「いんや、カナードだけやったで、そういえばこんなもんが落ちてたな~」
そういい、はやては居間のひきだしから手のひらサイズの四角錐の物と楕円形の赤い宝石を取り出した。
「これ、見覚えあるか?」
「いや、無いが・・・・・(なんだ?この感じは?)とりあえず預かっておく。」
こうして八神家に居候が一人増えた。二週間後さらに増えるとは二人とも思っても見なかったであろう。

 
 

:時空航行艦アースラー病室

 

「こ・・ここは・・僕は・・・」
少年、プレア・レヴェリーはベッドの中で目を覚ました。
眩しい照明の光に照らされ、思わず顔をしかめる。
「僕は確か、カナードさんと戦っていて・・・・」
少しづつだがプレアは思い出していた。
「あの時、ドラグーンの特殊能力を使って・・・・・その後・・だめだ、思い出せない」
プレアが自問しているその時、扉が開き1人の少女が入ってきた。
「あっ、目が覚めたの?」
現れたのはプレアとそう歳の変わらない金髪の少女だった。
「びっくりしたよ、訓練中に突然転移してきたんだから、体には特に異常は無いみたいだよ。気分はどう?」
「特に問題は・・・・・(あれ、どうしてこんなに快調なんだろ?僕の体は、もう・・・)」
「どうしたの?どこか痛い?」
「いえ、ご心配していただき、ありがとうございます。あの・・・」
「フェイト、フェイト・テスタロッサだよ。」
プレアに自己紹介をするフェイト。
「フェイトちゃんですか、僕はプレア・レヴゥリーといいます。改めて助けていただき、ありがとうございます。あの、ここは?」
「ここは時空航行艦アースラーの病室。今、クロノ達を呼んでくるね」
そう言い、フェイトは病室を出て行った。
「(時空航行艦?戦艦・・なのかな?)」
フェイトの言葉に疑問を持つプレア。
数分後、病室に入ってきた女性によってプレアは信じられない事実を聞かされる。

 

「・・・・・正直、信じられません」
女性、リンディ・ハラオウンから聞かされた事実、次元世界、時空管理局、魔法、どれも信じられるようなことではなかった。
だが今乗船しているアースラー、フェイトが見せた小規模の魔法、突如変身したアルフやユーノ
目の前の事実を突きつけられたプレアは信じざるを得なかった。
「う~ん・・・・プレア君の話からするに時空管理局の管轄外世界から来た見たいね。どうやって来たのかは不明だけど。」
「あの、どうにかして帰れないのですか?」
プレアにはNジャマーキャンセラーを運ぶ目的があった
その目的は果たされておらず、今すぐにでも帰りたい気持ちで一杯であった。
「正直、管理局の管轄外世界はかなりある。そこから君の世界を特定するのは時間がかかるだろう、申し訳ないがしばらく待ってくれ」
「そうですか・・・我侭をいって申し訳ありません、ありがとうございます、クロノさん。」
申し訳なさそうに誤るプレアに慌てふためくクロノ
「い・・・いや・・・こちらも全力を尽くす。それと、これを」
そういい、クロノは首飾りを渡した。
「(これは、Nジャマーキャンセラーのデータメモリ)」
「見覚えがあるようだね、これは君と一緒に落ちてたものだ、どうもデバイスのようなんだ」
「デバイスってあのフェイトちゃんのバルティッシュのような?」
「ああ、だがこのデバイスは不完全だ。解析した結果、機能に支障はなさそうだが、一部機能がパーツごと抜けてる」
見ると真ん中にあった赤い宝石が抜けていた。
「それと検査の結果、どういうわけだか君の体内からリンカーコアが確認された。君も魔法が使えるようになる」
「僕が・・・ですか?」
クロノの言葉に驚くプレア。
いきなり今さっきまでフェイト達が行った芸当が出来るようになると聞かされれば仕方が無い。
「まぁ、突然のことで無理は無いよ。実際魔法がまったくない世界でもリンカーコアを持つ人はまれにいる。」
その後、軽い事情聴取が続いた。
「カナード・パルス君ね、わかったわ、貴方のいた世界と一緒に探しましょ」
「何から何まですみません」
クロノの時同様、申し訳なさそうに誤るプレアに苦笑いをするリンディ。
「子供が遠慮なんかしないの。とりあえず、今日はこのくらいにしましょう。プレア君も色々と疲れてるようだし」
「そうですね、とりあえず君の世界の特定は急いで行う。それまではこちらで面倒を見よう。」
「本当にありがとうございます。あの、厚かましいようですけど、何か僕にもお手伝いさせてくれませんか。」
「申し出はありがたいが(いいんじゃないの)艦長?」
「プレア君が自分から何かしたいって言ってるんだし、エイミィの手伝いでもお願いしましょ。エイミィ、いいかしら?」
「勿論ですよ、資料を整理してくれる助手がいるだけでも大助かりです」
「わかった、エイミィの補佐をお願いしよう、あのフェイレットモドキよりは数百倍素直そうで(ちょっとまてー!!」

 
 

突然、ユーノ・スクライアはクロノに詰め寄った。
「僕はユーノ・スクライアって名前があるといってるだろ!このエロノ!」
『エロノ』という名称?に顔をまっ赤にするクロノ。
「なぁ!お前なんか淫獣で十分だ!この覗き間!」
「なにを~!もっと牛乳飲め!背が小さいんだよ~!!」
いつも通りの喧嘩が始まり、リンディとフェイトが止めに入ろうとしたとき
「お二人は仲が良いんですね。」
この言葉で二人は止まり、同時に
「「それは絶対ない!!!」」
と言い返した。だが、プレアは屈託の無い笑顔で
「ですけど、そうやって互いに言いたいことを言えるのって仲がいい証拠だと思いますよ、うらやましいです」
そのプレアの言葉に
「「・・・・・・・・うう・・・・・・」」
二人は見事に沈静化した。
「あらあら~、見事なもんだね~」
茶化すアルフ。
「プレアって、素直な子だね」
素直な感想を言うフェイト。
「う~ん・・・・フェイトちゃんに続く純粋タイプ二号だねぇ~」
エイミィは笑顔で答えた。
「さて私達は出て行くわね、何かあったら遠慮なく読んでね。少し経ったら食事を持ってくるわ。」
「ありがとうございます。リンディさん。」
「どういたしまして、それと、貴方について1つ解ったことがあるわ」
最後まで残り、急にまじめな顔になったリンディにプレアは緊張する。
「貴方が、とても素直でいい子ってこと」
笑顔でそう言い、リンディは病室から出て行った。

 

:闇の書発動直前

 

八神家カナードの部屋
今日も終ろうというこの時間カナードは机でプログラミング作業を行っていた。
何もしないではやての世話になるが納得いかなかったカナードは、
翌日から仕事を探したがこの世界では身分が無いため断念。
どうにか石田先生に斡旋してもらい、自宅で出来るプログラミング作業の仕事を行っていた。
訓練やキラ・ヤマトを探す日々。兵士としてコーディネーターを撃つ日々。
そんな生活を続けていたカナードにとって、はやてとの生活は新鮮な体験だった。
兵士として生きてきたカナードにとっては温い日常だったが、不思議と悪い気はしなかった。
ある程度終わり、ふと時計を見た。PM11:58
「もう少しではやての誕生日か・・・・・しかしこんな物でいいのか?」
カナードは引き出しの箱から小さな箱を取り出し、中に入ってるもの「イヤリング」を不思議そうに眺めていた。
「石田は『明日ははやてちゃんの誕生日だから何かプレゼントした方が喜ぶわよ』とは言っていたが・・・・こんな物でいいのだろうか」
女の子は勿論、他人に贈り物をしたことが無いカナードにとってプレゼント選びはとてつもなく難しい内容だった。
気づかれず情報収集しているときに、はやての「この包丁もう切れんなぁ~」という言葉に反応して
軍人さん御用達の物騒なナイフをプレゼントにどうだろうかと石田先生に相談したところ、笑顔で「ぐー」で殴られたのはまた別のお話で。
結局石田先生のアドバイスでイヤリングにしたが、
「まぁ、喜ぶかどうかは本人次第だ、さて、俺も寝るか」
寝ようとベッドに近づいたカナードに

 
 

・・ドクン・・・・・・

 

妙な感覚が襲い掛かった。
「・・・・クッ!な・・なんだ・・!」
妙な感覚に襲われたカナードは考えるよりも早く自然にはやての部屋に入った。

 
 

・・そこでカナードが見たのは・・・・・

 

ベッドの上で目を回してるはやてと

 

床に跪く4人の男女だった。