魔動戦記ガンダムRF_エピローグ

Last-modified: 2011-08-13 (土) 23:26:33

沢山の人の哀しみによって引き起こされた“時の方舟事件”から7年の月日が流れた。

 

遠見市のとある病院の待合室、そこでシンは自販機で買ったオレンジジュースの蓋を開け、それをぐびりと飲んだ。するとそんな彼の元に2人の若者が近付いてきた。
「あ、シンさん……こんにちは。」
「お久しぶりです。」
「おお……エリオにキャロ、久しぶりだな……大きくなったな。」
そう言ってシンは十代半ばの少年……エリオと、この七年で少し大きくなったキャロの頭を撫でる。
「あ、あの……頭撫でるのは勘弁してもらえますか?ちょっと恥ずかしくて……。」
「え?なんで?フェイトは今だに頭撫でると喜ぶぞ?」
「フェイトさんは特別ですよ~。」
そして三は一緒のソファーに座り、久々の談笑を楽しんでいた。
「二人とも……最近の仕事はどうだ?上手くいっているか?」
「はい!大変な事も多いですけど……エリオ君と一緒に上手くやっています。」
「そうか、二人とも互いをちゃんと守ってやるんだぞ……しかし本当に2人とも大きくなったなあ、初めて出会った時はこんなにちっちゃかったのに。」
「もう七年ですもんね、私達が初めて出会ったの……私は時の方舟事件の時に、エリオ君はその後でしたよね。」
「はやてが機動六課を設立した時だな、アリューゼさんが残した犯罪者達のデータを使って一斉検挙する為に設立された部隊で……エリオもスカウトされたんだよな。」
「ええ、ティアナさんやスバルさん、それにマユさんやDSSDに入ったスウェンさんも一緒に……あの時は大変でしたね。」
「スカリエッティやナンバーズの抵抗が特に激しかったよな……でも全部のナンバーズが目覚める前に奴等を逮捕できてよかった。そういえばその時保護した子達って今どうしているんだろ?」
「たまに連絡取るんですが、ヴィヴィオはなのはさんと仲良く暮らしているみたいですよ、最近アインハルトちゃんっていう新しい友達ができたみたいです、ルーちゃんは……保護されたお母さんと一緒に今は仲良くしているみたいです。ナンバーズの子達は色んな人達の所に引き取られて行きました。」
「そっか……みんな元気でやっているんだなぁ……。」
そう言ってシンは眠そうにあくびをしながら体を伸ばした。
「大丈夫ですかシンさん……目にクマができていますよ。」
「もしかして寝ていないんですか?」
「ああ、あいつの具合がよくないみたいで……でも看護婦の話じゃ心配ないみたいだけどな。」

 

するとそこに、4人の人影がシン達の元にやって来る。
「おとーさーん!」
「こらラウ、病院の廊下で走っちゃ駄目だぞ。」
「はーい。」
シンは自分に駆け寄ってきた金髪に赤い瞳の少年に注意する。
「まあそう言ってやるな、ラウだってお前と会うのは久しぶりなんだから……。」
「すまないなスウェン、アルフ、ラウの面倒を見てくれて……かえでちゃんもね。」
「かまいまへんでー。」
そう言ってスウェンと手を繋いだ銀色の髪に紫色の瞳をした少女はエヘンと胸をはった。
「ラウ君もかえでちゃんも大きくなりましたね、二人とも今年で五歳でしたっけ?」
「うん!うち五歳やでー。」
「僕も五歳―。」
「いやー、二人ともお母さん似の可愛い子じゃないかー、きっと将来は2人とも立派になるよ~!」
そう言ってアルフ(おとなフォーム)はラウとかえでを捕まえ、2人に頬ずりする。

 

そしてその光景を、シンとスウェンは暖かい目で見守っていた。
「早いものだな……子供が成長するのは。」
「ああ、まさか俺達が結婚して父親になるなんてなぁ、数年前までは想像も出来なかったよ。」
「まあ2人ともデキ婚なんですけどね。」
そう言ってバスケットの中にいたノワールはニヤニヤとシンとスウェンの方を見る。
「エリオ君、デキコンってなんだろう?」
「ぼぼぼぼくには解らないなあ!あははは……!」
「子供達の前だぞノワール……。」
「へーい。」
「いいかラウ……大人になったらリンディさんの出した飲み物には注意するんだぞ。」
「?」

 

「それにしてもシン……最近花屋のほうはうまくいっているのか?」
「ぼちぼちな、最近は不景気だから客足減っているけど……お前のほうはどうなんだよ?」
「この前管理局の依頼で管理外世界探索用MSの制作費用をもらってな……これから少し忙しくなるかもしれん、はやてやかえで達と過ごす時間が減ってしまうな……。」
そう言ってスウェンはラウと遊ぶかえでを見て溜め息をつく、するとスウェンの様子に気付いたかえでは彼ににっこりとほほ笑んだ。
「おとうさん……うちさみしくないで!ヴィータやリインやアギトもいるし!だからお仕事頑張ってえな!」
「かえで……!」
スウェンはたまらずかえでに抱きつき、彼女におもいっきり頬ずりした。
「ホントごめんな~!遊んであげられなくて!その代わりお前の欲しいおもちゃ買ってあげるから!」
「わーい!ありうがとうおとうさーん!」

 

「スウェン……随分とキャラ変わったよなあ。」
「いや、あれはかえでちゃんの前だけでしょ。」
「初めて会った時はクールな子だったのにねえ、なんでこうなったんだか。」

 
 

ふと、キャロは気になる事があり、隣にいたシンにある質問をする。
「そう言えばシンさん……どうしてお花屋さんを開いたんですか?管理局やザフトにいた方がお給料一杯貰えそうなのに……フェイトさんも執務官やめちゃったし。」
そのキャロの質問に、シンは少し答えに詰まりながらも話し始めた。
「いやあ……フェイトと話し合ったんだ?子供もできたしあまり命を危険にさらすような仕事をするのはやめようって、だからこの世界に移り住んで第二の人生を送ろうって決めたんだ、幸い退職金もたんまり貰ったし、この世界は治安もいいし……ラウも伸び伸びと育ってくれているし。」
そう言ってシンはラウの頭を優しく撫でた。一方ラウは隣にいたアルフに質問する。
「……?お父さんってお花屋さんの前に何かお仕事してたの?」
それに対しアルフは優しく頬笑みながら答えた。
「ああ!ラウのお父さんとお母さんはな……皆の命を守る仕事をしていたんだ、今は普通のお父さんとお母さんだけどな。」

 

その時、彼等の元に病院の看護師が近付いてきた。
「シン・アスカさんですか?先程奥様が……。」
「!!フェイトがどうしたんですか!?まさか……!」

 
 

数分後、シン達はフェイトのいる病室にやって来た、フェイトは疲れ切った様子でベッドに横たわっていた。そしてその隣にはベビーベッドが設置してあり、そこには黒髪の赤ん坊が寝かされていた。
「おめでとうございます!元気な女の子ですよ!」
「おおおお!!よくやったぞフェイト!」
そう言ってシンはベッドで寝ながら微笑むフェイトの手を取った。

 

「ほらラウ、この子がアンタの妹だよー。」
「ふわああああ……!」
ラウはベビーベッドに眠る赤ん坊を見て驚いているのか、声を出せないでいた。
「いいなラウ君……おとーさん、私も弟か妹がほしー。」
「もううちにはリインやアギトがいるだろ、これ以上は無理。」
「いやー、人間の赤ん坊って何回見ても可愛いッスねー。」

 

同時刻、とある世界の軌道拘置所の一室……そこでザフトの白服を着たレイと、執務官服を着たマユは通信回線を通してこの拘置所に収容されているフェリシアとカシェルと話をしていた。
『そう……姉さん、また子供が生まれるんだ……。』
「ああ、確か今日が予定日の筈だ……この前メールで聞いた。」
『ふーん、あの男も元気なもんだ……あの歳でもう2人目を作るなんて。そう言えば一人目はアンタが名付け親だったな。』
「カシェル君もはやく出られるといいねー、そしたら通信なんか使わないでいくらでもお話できるのに……。」
『な……何言っているんだよお前……。』
『あー、カシェル赤くなっているよー。』
『姉さん!からかうのはやめてくれ!』
「まったく、お前等……(ピピピピ)ん?」
ふと、レイの通信機にシンからのメールが受信された。
「シンからのメールだ……今生まれたそうだ。」
「え!?本当ですかレイさん!?」
『ちょ……!メール見せなさい!』
『お、俺も……!』
「お前等落ちつけ。」

 
 

同時刻……ミッドチルダのなのはの自宅、そこでなのはは夕飯の支度をしながらヴィヴィオの帰りを待っていた。
「ふんふんふーん、ヴィヴィオ遅いな……今日もお友達と遊んでいるのかな……。」

 

「ママー!ただいまー!」
「「おじゃましまーす!」」
その時ヴィヴィオと複数の女の子の声が聞こえたなのはは、玄関に赴くきその声の主達を出迎えた。
「おかえりヴィヴィオ、今日はコロナちゃんとリオちゃんも一緒なんだね。」
「ううん、もう一人いるよー。」
するとヴィヴィオの背後からエメラルドグリーンに翠と赤のオッドアイの少女が現われ、なのはにぺこりとお辞儀した。
「こんにちは……なのはさん。」
「あらー、アインちゃんも来てたんだー、それじゃお菓子一杯用意しないとね。先に上がって待っていて……。」

 

ピピピピピ……

 

その時、なのはが持っていた携帯からメールの着信音が鳴り響き、彼女はそれをとって内容を確認する。
「シン君からだ、どうしたんだろう……まあ!」
「?どうしたのなのはママ?」
「フェイトちゃんが無事女の子を出産したんだって!ほら……写真もあるよ!」
「えええ!?」
ヴィヴィオはなのはから携帯電話を受け取り、シンから送られてきた写真を見る。
「うわあぁぁ……かわいいなぁ!」
「ヴィヴィオちゃん!私にも見せて!」
「私も私も!」
「わ、私もいいですか……?」
「ほらほら、喧嘩しないようにね……。」
そう言ってなのはは写真を見て心から和んでいるヴィヴィオ達を見て、思わず笑みをこぼした……。

 

同時刻、とある管理外世界のMSの残骸が散乱する砂漠……そこで黒い執務官服を着た赤い長髪の女性が、オレンジ色の髪の毛の女性から報告を受けていた。
「これでここ一帯のテロ組織の殲滅が完了しました。」
「御苦労さま……それにしてもすごいMSの量ね、ツギハギだらけのジャンク品だけど……。」
「おそらく残骸を集めて作ったのでしょう、とにかく街を襲撃する前に壊滅出来てよかった……。」

 

そんな凛々しい2人の様子を見て、すぐ近くで作業をしていた局員達は彼女達に見惚れていた。
「いいなあ……2人とも美しい。」
「彼氏とかいるのかな……確かあの人フェイト執務官の代わりに入って来た人だよなぁ。」
「ああ、元はザフト軍だったらしいけど……なんか失恋して新しい人生を始めるとかで執務官になったらしいぞ。」

 

ピピピピピ

 

その時、赤い髪の女性の通信機に着信音が入る。
「あら?シンからだわ……。…………。」
「……?どうかしたんですか?」
オレンジ髪の女性は赤い髪の女性の様子がおかしい事に気付き、彼女の顔を覗きこむ、すると……。

 

「ちっくしょおおおおおおお!!!!!!」
突如赤い髪の少女が空に向かって叫びだした。
「うひゃあ!?どうしたんですかルナさん!!?」
「ティアナ……!今日は朝まで飲むわよ!つきあいなさい!」
そう言って赤い髪の女性……ルナマリアは、オレンジ色の髪の女性……ティアナの首根っこを掴んで輸送機に向かってドカドカと歩き出した。
「まさかまたシンさんから連絡ですか!?いい加減昔の男なんて忘れてください!付き合わされる身にもなって!」
「うっさい!そう簡単にこの想いが捨てられると思ったら大違いよ!チンクやヴィータも呼ぶわよ~!」

 

そんな二人の様子を見て、先程まで熱い視線を向けていた局員達はポカンと口を開いていた。
「「「な、なんだあの二人……。」」」

 

同時刻、ミッドチルダにある聖王教会……そこで神父の姿をしたアウルとスティング、そしてシスターの姿をしたステラは庭の花壇の雑草取りをしていた。
「はぁ……なんでこんなクソ熱い日に草むしりなんてしなきゃならねえんだ。」
「文句言う暇があったら手を動かせ。」
「お花さん、はいお水。」
そして彼等の背後には、トンファーを持ったシスターシャッハが仁王立ちしていた。
「アウルさん?この前みたいに逃げようとは考えないでくださいね?」
「わ、わかっていますって……はあ、なんでここにシャマルさんがいないんだよぉ……。」
アウル達は7年前の時の方舟事件の後、ネオの意向で連合軍を離れてこの聖王教会に引き取られていた。
すると彼等の元に水色の髪のシスターの格好をした少女がやって来た。
「おーいお前らー!そろそろお茶の時間だってよー。」
「セインか……よし、一回切りあげるぞ。」
「うん。」
スティングの指示で他の2人も道具を置き、セインと呼ばれた少女の元に集まる。
「ようアウル!相変わらずしけた顔してんな~!」
「うるせーペチャパイ、お前なんてシャマルさんの足もとにも及ばないんだよー。」
「んだとー!」
そう言ってアウルとセインはいつものようにじゃれあいを始める。そんな2人を見てステラとスティングは不思議そうに頭を傾げた。
「あの二人……本当に仲がいいよね。」
「もう付き合っちまえばいいのに。」
するとスティングの言葉を聞いたアウルとセインは顔を真っ赤にして必死に否定する。
「な、なんでコイツと俺が仲良しに見えるんだよ!」
「そうだよ!私はこいつの事なんとも……!」
「はいはい。」
「ねえ早く行こう、オットーとディードも待っている……。」
「ですねー。」
だがステラ達はその声に耳を貸すことなく、ガーデニング用具を置いて教会へと向かうのだった……。

 

「「人の話をきけ~!」」

 

「やっぱり息ぴったりじゃん。」

 
 

同時刻、オーブ沿岸の孤児院の食堂……そこでキラはシンからのメールを受け、思わず笑みをこぼしていた。
「キラ……いかがいたしました?」
「うん、無事フェイトちゃんが女の子を出産したみたい。」
「まあ、では今度お祝いを持って行かなければなりませんね。」
「うん……でもスケジュール大丈夫かな?今度クラナガンに行かなきゃならないよね。」
「そうですわね……たしかアスランとカガリさんも一緒ですわよね。」

 

7年前の事件の後、ラクスは見解を広める為プラントの議長就任の要請を断り、キラと共に数年間ミッドチルダの学校に留学していた。そして卒業後はコズミックイラとミッドチルダを結ぶ外交官として忙しい日々を送っていた。
「しかしフェイトさんが羨ましいですわ……こんなかわいいお子さんが2人もいるんですもの……。」
「…………ラクス。」
その時キラは懐から小さな箱を取り出し、それをラクスに渡した。
「キラ!?これは……。」
「今までずっと言いそびれていたけど……仕事も大分落ち着いてきたし僕もそろそろ身を固めようと思ってね、ラクス……僕と結婚してくれ。」
「キラ……!はい!」
そう言ってラクスは太陽のような笑顔でキラに抱きついた、するとどこからともなくユニゾンデバイスのフリーダムやミーティア、そして事件後にキラ達に保護されたエール、ソード、ランチャーがクラッカーを鳴らしながら飛び出してきた。
「「「「「二人ともおめでと~!!!」」」」」
「みんな……ありがとう。」
「うふふふ……ワタクシ達もフェイトさん達に負けないような幸せな家庭を築きましょうね。」

 

そしてそんな二人の様子を、ネオとマリューは暖かく見守っていた。
「ようやく2人もゴールインしたか、いやー長かったな。」
「そうね……ものは次いでだから私達も……。」
「ついでかよ……でもいいのか?俺……ムウ・ラ・フラガなんだろうけど、記憶はまだ戻っていないんだぞ。」
ネオはムウとしての記憶をまだ取り戻してはおらず、時の方舟事件の後連合軍を退役した彼はマリューと共にオーブで技術者として働いていた。
「記憶は……ゆっくり取り戻せばいいのよ、それに私が愛しているのはムウであり、ネオであり、アナタなんだから……。」
「マリュー……。」

 

そして二人は誰にも見られていない中、互いの唇を重ねた……。
場所は戻り遠見市の病院、その中の一室でフェイトは自分が産んだ女の赤ん坊に優しい眼差しを向けていた。
「ふふふ、沢山眠って大きくなるんだよ。」
するとそこに、知り合いにメールを送り終えたシンとアルフが、ラウと共に病室に入って来た。
「シン……スウェンさんは?」
「かえでちゃん連れてアリシア達やはやて達やリンディさん達を迎えに行っている、もうすぐ来る筈だぞ……ああそれとエリオとキャロは近くのコンビニに食べ物買いに行っている。」
「そっか……。」
ふと、ラウはシンの横をすり抜けてベビーベッドに駆け寄り、その中で眠る赤ん坊を見ながらシンにある質問をする。
「ねえおとうさん、この子の名前どうするのー?」
「そうだな……ラウの時はレイが名付けてくれたんだけど……今度は俺達で付けたいよなー。」
「……ねえシン、一つ考えた名前があるんだけど……。」
「ん?どんなのだよ?」
「……この子の名前……プレシアって名前にしない?」
フェイトのその言葉に、シンとアルフは目を見開いて驚いた。
「フェイト……その名前は……。」
「うん、レイがラウの時にそう願いを込めたように……この子も母さんの分まで幸せにしてあげたいって願いをこめたいんだ、だから……。」
「うん、アタシはいいと思うな。」
「俺も……それで構わないよ。」
「おかーさんどーしたの?なんだか悲しそう……。」
ラウはフェイトの様子に気付き、彼女の顔を覗きこむ。
「うん……昔の事を思い出してね、プレシアっていうのはアナタのおばあちゃんの名前なんだ。」
「?僕のおばあちゃんはリンディおばあちゃんとアスカおばあちゃんだけだよ?」
「もう一人いたんだよ、今はとっても遠い所にいるけど……。」
「プレシアおばあちゃんってどんな人だったの?ぼくききたーい。」
するとシンはラウを抱き上げ、そのまま近くのパイプ椅子に腰かけた。
「そうだな……じゃあ次いでにおじいちゃんの事とか、俺とフェイトが出会った時の話をしようか、あれはもう14年も前の話になるなぁ……。」

 
 

そしてシンはラウに、まるで絵本を読み聞かせるような優しい声で、14年前のフェイトとの想い出話を始めた。

 
 
 

フェイトが休んでいるベッドの傍らに、シンがフェイトにプレゼントした写真立てが置かれていた。その写真立てにうっすらと積もっている埃を、デスティニーは優しく払った。

 

「“R”……皆が幸せに至る為のRebirth(再構成)の物語、私達の物語は閉幕……いや、またどこか遠い世界で続いて行くのでしょう。」

 
 

写真立ての中には、とても幸せそうな笑顔で真っ白なウエディングドレスに身に纏ったフェイトと、優しく微笑む真っ白いタキシードに身を包んだシンが映った写真が入っていた……。

 
 
 

エピローグ「こうして2人は末長く幸せにくらしましたとさ。」