ZcrossC.E ◆ycBHgYNLCA 氏_第04話

Last-modified: 2009-10-15 (木) 20:48:12

「キラ、バルトフェルド、お前らオーブ軍に入れ」
「ええ?!」
「これはまた唐突だねぇ……」

 
 
 

ZcrossC.E
第四話「キラとラクス、アスランとカガリ」

 
 
 

冒頭のやりとりから遡ること二日。ミネルバはオーブに入港を果たし、タリア、アーサーの二人を伴ったカガリは国民と婚約者の熱烈な歓迎に見舞われた。

 

「カガリ~!!」

 

やや軟弱な顔立ちに緩いウェーブのかかった紫色の髪。くねくねととした挙動の線の細い体、それらが相まって、中性的な印象を与える。カガリの婚約者にしてオーブ連合首長国閣僚の一人、ユウナ・ロマ・セイランであった。
そのユウナが、ミネルバのタラップを降りてきたカガリに大きく両手を広げ、抱き締める。

 

「お帰りカガリ!もう心配したんだからさぁ~!」
「おい、やめろユウナ、ちょっと待て、国民の前で何を考えて……?!」
「やめんかユウナ。国民の前であるぞ。代表にも失礼であろう。……お帰りなさいませ、代表」

 

ユウナを窘めた壮年の男。ユウナの父にしてオーブ宰相のウナト・エマ・セイランを前にして、さすがにユウナはカガリを解放した。ユウナに抱き締められて泡を食ったような対応しかできなかったカガリとは対称的に、その表情はピクリとも動かない。

 

「ウナト・エマ……留守中、ご苦労であった。被害の状況など、どうなっているか」
「他の国と比べれば大分軽微ですが、やはり沿岸部は高波にやられました。……詳しいことは、行政府で。すぐに、おいでいただけますな?」
「無論だ。……」

 

ウナトの視線が僅かに動き、目の端にアスランを捉えた。それを感じたカガリは、やや不快そうな態度だ。

 

「では、こちらへ。車を待たせております」
「ああ、アレックス、お前は……」
「代表の護衛ご苦労様、アレックス。君の仕事はもう終わったから、帰っていいよ」

 

ウナトがアスランについて具体的に言及する前に、最後にアスランに一言労いの言葉をかけようとしたカガリだったが、それはユウナに阻まれた。カガリは不快感を露わにするが、ユウナは動じない。むしろ、面白がっている節さえある。

 

「ユウナ、アレックスは私の私設秘書だ。勝手に指示を出すのはやめてくれ。……アレックス、ありがとう。ご苦労だった」
「……では、私はこれで」

 
 

ユウナに時間と話すべき言葉を持っていかれ、あまり多くを話すことができなかった。車に乗り込んだカガリは不機嫌さに任せて思い切り腰を下ろす。出してくれ、と一言吐き捨て、カガリは腕を組んで目を瞑った。

 

「どうしたんだい、カガリ?ご機嫌斜めじゃないか」

 

わかっていてわざと聞くユウナの相手が面倒で、カガリは狸寝入りを決め込むことにした。

 

一方、ミネルバのクルーたちは上陸許可が出るのを心待ちにしていた。この男、シン・アスカともう一人、この世界に居場所のないカミーユを除いては。

 

「オーブ、か。帰って来ちゃったんだな、俺は……」

 

ミネルバのデッキ、一人柵にもたれて立ち尽くすシンを、ルナマリアとカミーユが遠巻きに眺めていた。

 

「なんでシンはあんなに沈んでるんだ?オーブはシンの故郷なんだろ?」
「そりゃあそうよ。でもね、あいつはオーブで家族を亡くしてるの。当たり前っちゃ当たり前だけど、楽しい思い出ってわけじゃないから、誰かれ構わず言いふらしたりはしないしね」

 

それでか、とカミーユはシンが発している、怒りと悲しみの入り混じった感情を理解した。

 

「ね、何とかしてやれないかしら」

 

無茶言うなよ、とカミーユは呆れて呟く。かつてとある女性の心に無遠慮に踏み込んで拒絶されたことを思い出したカミーユには、今のシンに必要なのは、無遠慮な異邦人に心を覗かれることではないとはっきりとわかる。

 

「その気持ちはわかるよって傷を舐めてやればいいのか?……違うだろ?」
「……わかってるけど」

 

ルナマリアは少し落胆した様子で、デッキの床に視線を落とした。いつも元気一杯な彼女には珍しい、と、ルナマリアに出会ったばかりのカミーユは思った。
その時、シンがカミーユたちの方を振り向いた。

 

「……何やってんだよルナ、カミーユ」
「何って、お前を心配してたんだ。元気がなかったからな」

 

白々しく答えたカミーユに、シンの眼が細くなる。どうせもう聞いたんだろ、とうそぶいて、シンは再び二人に背中を向けた。その背中に、カミーユは呼びかける。

 
 

「お前を理解して、心配している人がいるんだ」
「……だからなんだよ?」
「いつでも受け止めてもらえるってことさ。お前の怒りも悲しみも、肯定してくれる人がいる。それを忘れないでくれ」
「なんだよそれ……わけのわからないことを言うな!そんなのはカミーユの言い分だろ!俺は誰かに、自分の苦しみを受け止めてほしいなんて思っちゃいない!」

 

怒りに任せて怒鳴るシン。一言一言を叫ぶ度に覗く犬歯が、彼の危うげな攻撃性を物語っている。そのシンが、大きく肩で息をつきながらカミーユを睨みつけた。

 

「そうやって、人の心を理解したふりをする――鬱陶しいんだよ!」

 

大股でカミーユとルナマリアの側を通り抜け、シンは艦内に消えた。そのシンを目で追いつつも、残されたカミーユを気遣わしげに見遣るルナマリアは、

 

「ご、ごめん……私、そんなつもりじゃ」
「いや、ルナマリアの気持ちもシンの気持ちもわかるから……」

 

カミーユは三人の人間を思い出した。内二人は自らの両親。二人が二人共、宇宙(そら)の藻屑となった。二人ともいい親ではなかった。それでも、二人が死んだ時は涙が出たのだ。シンの悲しみはカミーユの比ではないだろう。
もう一人は、何かとお節介を焼いてきた幼なじみ。心配そうなルナマリアのその顔に、カミーユはファ・ユイリィの顔を重ねて微笑んだ。

 

「な、何?」
「あ、ああ、ごめん。ちょっと、知り合いのことを思い出してさ」
「知り合いって?」
「幼なじみ。何かと世話焼いてきてさ、ちょっと鬱陶しいって思ってた頃もあったんだけど……」
「……大切な人なんだ?」

 

さあね、とカミーユは肩をすくめる。夕日が、オーブの海に沈んだ。

 
 
 
 
 

「同盟締結は避けられないのか?」

 

緊急の閣議を終え、カガリは、席を立って資料をまとめているウナトに歩み寄った。

 

「でしょうなァ。そもそも、この同盟はブレイク・ザ・ワールド……今回の事件の被災者及び被災地への復興支援、というのが表向きの理由ですから」

 
 

閣議でユウナにグウの音も出ないほどに論破され、カガリは苛立っていた。大西洋連邦との同盟など、理念に殉じて死んでいった父を裏切るも同然。
しかし、カガリの頭に残された最後の冷静な部分は、同盟を結ばざるを得ない、むしろ結ばねばオーブが危ないと、しきりに喚起していた。

 

「なあウナト、本当にもうどうしようもないのか?」
「……閣議でもユウナが散々申し上げましたでしょう。オーブのため、国民とその財産、そして彼らの住まう土地のため、我々はどんなことをしてでも、もう二度とこの国を焼かせるわけにはいかないのです」
「……そうか」

 

落胆して議場を出ると、そこには散々自分を言い負かしたユウナがいた。カガリは鼻息も荒く足早に立ち去ろうとしたが、ユウナにその腕を掴まれる。

 

「何の用だ」
「……もしかして怒ってる?」

 

カガリは掴まれた手を振り払い、再び歩き出す。大股で歩くカガリの隣に慌てて並んだユウナは、とても一国の閣僚とは思えない軟派な口調で喋りだした。

 

「ねえ、カガリが怒るのもわかるけどさあ、仕方ないじゃない?僕たちはこの国のために最善の道を選ばなきゃならないんだから」
「だからお父様が命を賭して守った理念を捨てると!お前はそう言いたいのか?」
「そうだよ」

 

当たり前じゃん、とでも言わんばかりのユウナの襟首を掴む。そのまま一目のつかない所まで引きずり込み、カガリははったとユウナを睨みつけた。睨みつけられているユウナはというと、襟首を掴まれる前と変わらないへらへらとした調子である。それでも、カガリは言った。

 

「そうしなければならないというのは私にだってわかる。閣議でもお前に散々言われたからな。だが、お前のその態度は何だ?まるで前大戦で払われた犠牲を軽侮するようなその態度と物言いは!
お父様だって、お前やウナトと同じように国を思って、国を守ろうとして、その末に死んでいったんだぞ!そしてその尊い犠牲の上に、何とか築いたのが今のオーブなんだ!それをお前は一体何だと思ってるんだ、ええ?!言ってみろ、ユウナ!!」
「……そうだねぇ」

 

口調はそのままなのに、どこか底冷えするユウナの言葉にカガリははっとした。そのユウナの目は、冷徹さと怒りを湛えてカガリを見ている。

 
 

「じゃあさ、逆に聞きたいんだけど、ウズミ様に国民の財産であるマスドライバーとモルゲンレーテを爆破されて、それでも二年でそれらを再建して、その間経済危機になりかねなかったところをどうにか支えて、何とか僕たちはこの国を復興させたんだ。
おまけに武門のサハクの台頭を抑えて君の席を守ってさ。で、君がそれらの苦境を呼び込んだ元凶たるウズミ様の肩ばかり持つのはどういうわけ?」
「げ、元凶だと?!ユウナお前!」
「元凶以外の何だって言うのさ?!この二年間、僕やパパが必死にやってこなきゃあ、経済的に世界各国に大きく立ち遅れて、この国は三流国に成り下がってるよ!」

 

父を侮辱されたと思うカガリと父の功績を蔑ろにされたと感じるユウナの口論は過熱し、やがては怒鳴り合いになった。これでは一目につく場所だろうがつかない場所だろうが意味がない。

 

「マスドライバーとモルゲンレーテを破壊しなければ、連合はどこまでもオーブを狙うに決まってるだろ!」
「じゃあなんで連合に下るって発想がないのさ!取り引き次第じゃ使用料まで取れて一石二鳥だったはずなのに!」
「そんなことができるものか!お父様が殉じたオーブの理念を何だと思ってる!理念と工業技術で立ち回ってきた我が国がいきなり理念を捨てれば、他国からの信用を失う!」
「その他国の大半が大挙して押し寄せてきたのが前大戦だろ!いつまでも的外れなこと言ってんじゃないよバカガリ!」
「何だと?!言ったな、この女々しいオカマ野郎!」

 

カガリを迎えに来たアスランは唖然とした。議場へ向かう廊下の一角に、ちょっとした人だかりができている。
その中心では、オーブの中枢を担う二人がつかみ合い、罵り合いの喧嘩をしている。上になったり下になったり、派手に暴れ回っているせいで、時折カガリの服の胸元が大きく開き、あられもない姿を晒している。

 

「代表、何をなさっているのです!ユウナ様、あなたもです!」

 
 

コーディネイターの腕力で強引に割って入り、アスランは二人を引き剥がした。
カガリはシャツを引っ張られたためか、ボタンがいくつかちぎれている。ユウナは更に悲惨で、唇は切れ、整えた髪が無惨にもぐしゃぐしゃになっており、その上シャツが裂け、上着もしわくちゃという惨憺たるありさまである。

 

「ああ、アレックスか!ちょうどいい、さっさとそこの馬鹿娘を連れて帰ってくれ!」
「国家元首を捕まえて、よりにもよって馬鹿娘だとぉ?!ならその馬鹿娘の閣僚のお前は馬鹿以下だ!」

 

アスランはこれ以上この場にいてはならないと肌で感じた。素早くカガリを抱え上げ、

 

「失礼致します」

 

と言い置いて、走り去った。カガリを車に放り込み、アスハ家の私邸に向かう。その道中、機嫌悪く後部座席にひっくり返っているカガリに、アスランはふと気になったことを聞いてみた。

 

「ユウナ・ロマは、君の婚約者だよな?」
「……そうだ」
「……彼は、君と結婚したいんじゃないのか?」
「……アスハ家のカガリとは結婚したいんだろう。だから国民の前で平然と抱きついてみせたりもする。大西洋連邦にかぶれてるんだ」

 

アスランはどう反応したらいいのかわからなくて、黙りこくっていた。

 

「元々ユウナとは幼なじみで、昔はよく喧嘩もしたんだ。頭のいいあいつが私を馬鹿にして、力で勝る私があいつを泣かして、ってな。まあ今日は久しぶりだったけど」
「まあ、君の気持ちはわからなくはないが、自重した方がいい。何せ君は」
「オーブ代表首長、カガリ・ユラ・アスハだからな。……わかってるよ」

 

少し寂しげに呟いたカガリをバックミラー越しに見たアスランは、方向指示機を倒してハンドルを切った。脇道に逸れた車は、やがて海沿いの道に出る。アスランはそこで車を止めた。沈む夕日に映えるオーブの海は、息を飲むほど美しかった。
それから小一時間ほど、夕日が完全に沈むまで海を眺めて、カガリはようやく決心を固めた。いや、そもそも始めから、他に選択肢がないことはわかってはいたのだ。

 
 

「ありがとうな、アスラン。ようやく決意がついた。……私はお前に誓う。この美しい海を、オーブを戦場にさせはしないと」

 

晴れやかな口調で言ってのけ、そして、涙した。

 

「…………ごめんなさい、お父様…………私は、お父様の…………」

 

それ以上は言葉にならなかった。アスランは後部座席に移り、嗚咽を洩らすカガリを抱き締めた。そしてその時、アスランはある決意をした。

 
 
 
 
 

「……本当に行くのか。何もお前じゃなくたって……」
「俺だから意味があるんだ。元ザフトトップガンで、タカ派のパトリックの息子である俺だからこそ」

 

カガリが同盟締結を覚悟したその日、アスランはプラントへ行くことを決め、翌日には旅立つことにした。その目的は、ギルバート・デュランダルに非戦を説くため。大西洋連邦の方はカガリに任せ、自分は自分にできることをする。
そう決めたアスランだったが、アスランのこのプラント行きを誰よりも渋ったのは、何故か本来であれば恋敵のはずのユウナだった。

 

「なあ、本当に行っちゃうのかい?」
「ユウナ様、代表をお願いいたします」
「嫌だよ、カガリの面倒は君が見てくれなきゃ。君には、いずれ行われる僕とカガリとの結婚式で花嫁泥棒をやってもらうつもりだったのにさあ」

 

冗談だか本気だかわからないユウナの暴言に、アスランは苦笑で返すしかなかった。そうできたらどんなにいいか――。

 

「そんなに私が嫌か?!」
「嫌だよ。君だって僕のこと好きじゃないだろ?僕だって、もっとこう、しとやかで、大人の色気ある女性が好みなのにさあ――」
「人のこと言えた義理か、お前が!」
「アレックスさあ、プラントに行くのはいいけど早く帰ってきてよ?ほら、なんなら今ここでキスでもしていけば?カガリが僕に惚れちゃあ困るし」
「お前ぇ!!」

 
 

激昂したカガリの注意が完全にユウナの方を向いたのが嫌で、アスランはカガリに歩み寄った。女性特有の華奢な肩を掴み、振り向かせる。

 

「では、遠慮なく」

 

これにはユウナですら驚いた。そして、当事者たるカガリはもっと驚いた。ゆっくりと慈しむように唇が離れ、カガリの顔が怒り以外の何かで真っ赤になる。

 

「では、行って参ります」

 

その日、カガリは何も手につかなかった。その翌日になってようやく仕事に手をつけ、猛烈な勢いで溜まった仕事を処理する。午後、ティータイムが過ぎた辺りでようやく一段落つき、ふと秘書を呼んだ。

 

「ミネルバの修理、補給はどうなっているか」
「もう二、三日もあれば全て終わるかと存じますが」
「そうか。……ちょっと出てくる。私用だから、車はうちのを使うからな」

 

アスハ家所有の車に乗り込んで、カガリは考えた。大西洋連邦と同盟を結ぶのは仕方ない。しかし、何から何まで向こうの思い通りではつまらない。ここは強力なカウンターを用意しておく必要がある。そして、場面は冒頭に戻る。

 

「どうして?僕たちをオーブ軍に入れて、カガリは僕たちに何をさせたいの?」

 

カガリの提供した、海辺の別荘。キラ、そしてラクスはそこを孤児院として、そしてかつての三隻同盟の中核を担った者たちの住まう家として活用していた。

 

「オーブの自治と独立を守るため、お前たちの力を貸してほしいんだ。キラ、バルトフェルド」
「まさか、連合と真っ向から戦うつもりかな?」
「馬鹿を言うな。……オーブは大西洋連邦との条約に加盟することになった。今はこれでいいとしても、いずれ彼らの要求が度を超えたものになる可能性は充分にあり得る。その時、オーブは主権国家として、彼らを拒むことになるだろう」
「その時、俺たちを連合に対するカウンターにしようってか」
「そんな?!……カガリ、ウズミさんの貫き通した理念を忘れちゃったの?おかしいよ、そんなの……」

 

カガリは俯いた。キラのこういうリアクションは予想できていたのだが、改めて糾弾されるとやはり辛い。

 

「熟慮して決めたことだ。お父様のことも、理念のことも。それでも、オーブをもう一度戦場にはできないと判断して決めたんだ。だからこそ、お前たちの力を貸してほしい」
「まあ、俺は構わんがねぇ。カガリの嬢ちゃんには、ここに住まわせてもらってる恩もある。しかし、あんまり期待せんでほしいね」

 

バルトフェルドは割とすんなりカガリの要求を容れた。後はキラだけ、そう思ったところで、孤児院からラクスが現れた。

 

「カガリさん、お久しぶりですわ」
「ラクス。……」

 

名を呼んだきり、後に言葉が続かない。三隻同盟からの付き合いではあるが、カガリには未だにラクス・クラインという人間がよくわからない。良く言えばミステリアスで、悪く言えば得体が知れないのだ。
しかし、希望はある、とカガリは考える。キラはラクスの言いなりになるきらいがあるからだ。果たして、ラクスは言った。

 

「キラ、カガリさんは自分の仕事に全力を尽くしているのです。カガリさんを責めるような言い方はいけませんわ」
「だけど……」
「そんなに心配なら、キラがカガリさんを支えて差し上げればよろしいでしょう。カガリさんの言う通り、今のオーブに他に手はありません。ならば、私たちは私たちにできることをしなければ。できること、望むこと、キラとカガリさんの望む世界は同じでしょう?」

 

勝負あった、という確信があった。ラクスにここまで言われれば、キラは間違いなくラクスの言うことに従う。そして、そうなれば早速彼に一つ頼まれてもらわねばならない。

 

「……わかったよ、ラクス、カガリ。僕も戦う。オーブのために」
「そうか。ありがとうな、キラ。……悪いんだけど、早速一つ頼まれてくれるか?」
「何?」
「フリーダムで、ミネルバを守ってくれ」

 
 
 
 

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