00-W_不定期氏_07

Last-modified: 2009-01-04 (日) 18:49:07
 

 世界絶対平和は続いても、マフィアや暴力団は滅ぶことはない。
 悲しいかな、それが他の暴力抑制装置になっている限りは。
 今日も、統合政府のある街の人通りの少ないところでいかにもな風体の輩達が集っていた。

 

「今回のあがりはこれです」
「……最近、あがりがすくねえなぁ。おまえら、ちゃんと働いているんか?」
「あい、すいやせん。なにしろプリベンターとかいう輩達が商売の邪魔ばかりするんですよ」
「プリベンター?なんだそりゃ」
「どうも、世界統合政府の直属機関で、あらゆる戦争の後始末や、凶悪事件の治安担当する連中らしいんです」
「政府の狗か……そいつらの面は割れているのか?」
「こいつらです」

 

 写真を数枚、ボスらしき人間に差し出す。

 

「なんでぇ、おまえら!!こんなガキどもと馬鹿面した男にやられて、おめおめ尻尾巻いて帰ってくんのか!!」
「まあ、聞いてくださいよ、ボス。ガキ共の方は元ガンダムパイロットで、女はこの体で100tハンマー振り回すんですよ。この前なんか、100人ががりで痛め付けようとしたら、モーニングスター取り出してきて、トスバッティングなみのスピードで全員お空の向こうへさようならにされたんですよ。こっちだって、商売あがったりでさぁ。なかには、僕ちゃんもう帰るっていって、そのまま逃走したやつもいますぜ」
「んで、こっちの馬鹿面の方は?」
「腕っ節自体は先のこいつらほどではないんですが、『俺は!スペシャルで!模擬戦無敗で!エースなんだよおお!!』とか喚いて、それでナイフで刺しても、ライフルで狙撃しても、トラックで跳ね飛ばしてもローラーで轢殺そうとしても、ぴんぴんしてるんですよ。ありゃ、人間じゃありません。 ター○ネーターですよ」
「ふーむ……しかし、なんとかこいつらを始末せんと、俺もシノギや上納金がだせん。大ボスからこの前もこっぴどく絞られたからな。このままだと、俺たちお船にのせられ、簀巻きにされて沈められるぞ……」

 

 まあ、大概チンピラのバックには暴力団やマフィア、そして大ボスの組長、ラスボスの悪徳政治家やフィクサーがついているものだが、それはともかく、今はどうやってシノギをつけていくか、ボスとチンピラたちは思案投げ首していた。
 と、そのときボスの肩を軽く叩く者がいた。

 

          *          *          *

 

「すまんがのぉ」
「ああぁ!?」

 

 不機嫌そうにボスが振り向くと、爺様と婆様が立っていた。

 

「なんか用か? 俺様に」
「すまんが、世界統合政府の場所はご存じないかの?」
「知るかよ!! そんなもん他の奴に聞けよ!!じじぃ!!」

 

 口汚い言葉が、彼らの命運を決した。

 

「ほぅほぅ、どれもこれも碌な面はしとらんのう。特にお前さん、ガマガエルが道路でひき潰されたような顔をしておる。肌のお手入れはちゃんとしておるのか?」

 

 とボスの顔をギュウっとつねった。

 

「イテテテテ!何しやがる!!ジジィとババァだからと思って優しくすりゃ付け上がりやがって!! おい!!二度と足腰の立たないようにしてやれ!!」

 

 チンピラは一斉にナイフやチェーン、ナックルパート等を構えた。

 

「ほほほほ、爺さん、ここには命知らずの人が多いですわね」
「ほんじゃ婆さん、やりますかの」
「はいな、私の分残しておいてくださいね」
「ふぉっふぉっふぉっ。 はぁああああーーーー!!!!

 

 爺様が気をいれると、衣服が裂け、そこにはプロレスラーも裸足で逃げるような鍛え抜かれた肉体が現れた。

 

「ひ、ひぃぃぃぃーーーー!!」

 

 ボスが悲鳴をあげて逃げ出そうとするが、時既に遅し。
 頭をつかまれて、もがいても余計に指が入ってくる。

 

「老人に話をするときは、もっと敬意を持った話し方をせんかい」
「ごめんなさい、ごめんなさいぃぃぃぃぃい!!」

 

 何故かラ○ウ様のような顔になっている爺様にいわれ、情けなく懇願するボス。

 

「今度から気をつけぃ!!」
「あひゃー!!」

 

 爺様はそう言って、ボスをチンピラの方に投げつけた。

 

 どーーーーーーん!!

 

 ボスは20人ほどのチンピラを巻き添えに空の向こうへさようなら。

 

「ありゃ、爺様相変わらずお見事ですこと。んじゃ私はこれで」

 

 左手に皮手袋をはめた婆様の目が妖しく光った。
 そして、チンピラの一人の背後をとり、

 

「老人は労わるものじゃぞ」

 

 といって、腕を捻り上げた。

 

「ぎゃあああああああああああああ!!」

 

 チンピラの断末魔がとどろきわたる。
 ぎりぎりと筋肉のきしむ音、そして、必殺仕○人でおなじみのレントゲン撮影。

 

 ゴキィ

 

 チンピラは腰を落としてそのまま動けなくなった。

 

「あ、あひゃひゃひゃひゃ……」

 

 あまりのことに気が触れてしまったらしい。

 

「ひ、に、逃げろっ!!」

 

 残ったチンピラたちは必死に逃げようとするが、婆様の足の速いこと速いこと。
 あっという間においついて、ハイ、レントゲン。
 通りにはチンピラの山が築かれていた。
 ほんでボスと巻き添えのチンピラはさぁ、どこへいったんでしょう。(笑)

 

          *           *          *

 

「うーむ、気分はすっきりしたが、世界統合政府の位置はわからんのう」
「どおです、この人たちを連れがてら、警察にいってきいてみては?」
「おお、そうじゃった。最初からそうすればよかったのう」

 

 すっかり好々爺に戻った爺様と婆様は、縄でチンピラを結わいつけ、警察へ向かった。
 さあ、プリペンターの部屋で何が起こる?。我らがコーラサワーさんの運命や如何に!?
 次回ご期待を!!

 

 

【あとがき】
 どうも、お久しぶりでございます。不定期です。ネタ不足で間が空きました。
 いつの間にか新スレへ移行してましたが、相変わらず土曜日氏、水曜日氏、模倣の人氏の切れ味は抜群ですね。腹筋何回壊れたことか。
 ちょっと本日は時間がありませんので途中にさせていただきます。
 今回のネタが皆様のお口に合うかどうかは不明ですが、やはりストーリーの演出は土曜日氏の路線に乗っているんでしょうね。
 また、違った面を書ければ、後半書いたあと考えたいと思います。
 失礼いたしました。

 
 

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