00-W_土曜日氏_100

Last-modified: 2009-04-25 (土) 19:00:06
 

♪ちょっとあれ見な エースが通る
 スペシャルだぞと 軍内騒ぐ
 炭酸サンバ (炭酸サンバ)
 イヤッフサンバ (イヤッフサンバ)
 アイツの噂で女神も走る
 それにつけても コーラはなんなの
 言動一つにキリキリ舞いさ
 ヤッフヤッフヤッフ スペシャルアンドヤッフ
 最後に決めたぜカティをゲット
 そん時 コーラは スーパーヒーローさ
 ヤッフヤッフヤッフ ハッピーアンドラッキー
 萌えて映画も 駆け抜けろ♪
(原曲:燃えてヒ○ロー)

 
 

 さて、プリベンターである。
 統一された世界政府において、治安を維持する各警備隊と警察を除けば、唯一つの『犯罪と暴力を取り締まる』組織である。
 その存在は公になってるのかなってないのかわからんが、とにもかくにも、現在の政府が目指す恒久的な平和を守るためには欠かせない隠密同心的な集まりなのだ。
 選ばれたメンバーも当然の如く、その道のスペシャリストで、かつてOZの暴走を食い止めたガンダムパイロットをはじめ、錚々たる面子が名前を連ねている。
 間違っちゃいない、うん間違っちゃ。
 はいそこ、笑いを堪えないように。
 笑うなら思い切り笑え、笑ったらいいじゃないのさ。
 べ、別にアンタのために以下省略。

 

   ◆   ◆   ◆

 

「何時の間にやら花見のシーズンも終わっちまったなー」
「脳内が年がら年中花満開の奴が何言ってやがる」

 

 アザディスタンでの一件が終わってから、世界は実に無事平穏、荒々しい出来事はまったくない。
 あの事件が世界的な出来事だったのか、という点についてはいささかの認識の差があるだろうが、プリベンターにとって大事件だったのは疑う余地の無いところである。
 引き続きレディ・アンの主導の下で捜査が行われているし、ビリー・カタギリなど外部の協力もあるものの、目立った進展は無い。
 この辺りは、さすがにアリー・アル・サーシェスとその一党はそっちのプロであり、またその背後にいるイノベイターの影響が強いというわけだった。
 プリベンターがイノベイターの裏の顔を知る(表の顔はアイドルグループであるからして有名ではある)のは、ちょっと先のお話になる。
 何しろ無計画にここまで書き散らしてきたわけで、そんな先のことまで見据えて展開なんか考えてないとぶっちゃけておく。
 ね、人生は臨機応変、行きあたりばったりが魅力なんです。

 

「桜の花を見ながら酒を飲む、春のイベントとしてこれ以上のものはないだろーが」
「お前は人生最大レベルのイベントがもう少し先に控えてるだろ」
「……まーな」
「いっちょまえに照れるな、鼻の下を伸ばすな、この極楽炭酸人間が」
「褒めるなよぅ」
「褒めてねーよ!」

 

 相も変わらず、プリベンター本部ではパトリック・コーラサワーとデュオ・マックスウェルの掛け合い漫才が繰り広げられている。
 これなくして、何のプリベンターかな。

 

「招待状がもう少しで刷り上がるんだよ、大丈夫、お前らの分も用意してあっから」
「俺たちに出ろって言うわけ? お前とカティさんの結婚式に」
「ありがたく思えよー」
「そりゃ礼儀として参列せにゃならんだろうが……」

 

 さすがに世界を守る隠密同心としては、全員が全員結婚式に出れるわけでもない。
 何かあった時のために、本部に動ける人員は残しておく必要がある。
 その座を巡って熾烈な争いがコーラを除くメンバーで繰り広げられることは必至である。
 結婚式に出るための争い、ではない。
 残るための争いであるので、あしからず。

 

「無難にカトルあたりにお願いしたいところだけどな」

 

 下手に五飛やヒイロを参加させようものなら、コーラサワーの言動次第では式が破壊されかねない。
 そうなったらコーラサワーはともかく、相手のカティ・マネキンや両家の家族に申し訳が立たないというものである。
 が、それもまた先に述べた残留争いの結果によるであろう。
 全ては神の味噌汁、ではない神のみぞ知る、というわけだ。

 

「マスコミも呼んで大々的にやりたいくらいだぜ、ホントは」
「どこの芸能人の結婚式だよ」

 

 コーラサワー曰く、式のプログラムについてはほとんどがカティ・マネキンが主に取り決めているとのこと。
 さすがに秀才と謳われた戦術予報士、コーラサワーに任せる気はなかったようだ、と思うデュオである。

 

「MS(ミカンスーツ)に乗って登場、とかな。やりたかったんだが」
「教会を潰すつもりかよ」
「俺の操縦テクは知ってるだろーが、俺はエースだぞ、スペシャルエース!」
「……教会は無事でも、式は潰れるだろうな」
「ライスシャワーも派手に飛行機から撒いたりだな」
「さぞかし痛いだろうな、降ってくるのに当たったら」
「ブーケトスもこう、ぶわっと100束くらい」
「どうやって放り投げるんだよ、一つ一つやるのか?」

 

 デュオは溜め息をついた。
 そして思った。
 結婚式だけではない、あらゆる行事でコイツに責任者を任せてはダメだ、と。
 別の意味でマスコミに取り上げられることに成りかねない。

 

「でもノートルダム大聖堂でやりたかったなあ、パリの」
「……特級の世界文化遺産だぞ、オイ」
「じゃあランスの」
「戴冠式でも行う気か」
「アミアンでも」
「ハネムーンの代わりに巡礼に出ちまえ、いっそ」

 

 嗚呼、プリベンターは今日も平和である。
 願わくば、この安寧の日々が少しでも長く続かんことを。

 
 

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――

 

 

【あとがき】
 コンバンハ。
 自分でやってて何ですが、ミレイナ出すと話を持ってかれるので今後の使いどころが難しいですサヨウナラ。

 
 

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