00-W_土曜日氏_146

Last-modified: 2010-08-01 (日) 10:40:49
 

 古今東西、物語に深みと厚みを増す為に必要なのは、主人公の対極に位置する者、
すなわち敵、もしくはライバル(宿敵)と言われるキャラクターの魅力如何に因ってくる、と言われている。
最近でいくと、赤い仮面の人、ICPOの専任捜査官脱出不可能よッ無駄無駄無駄無駄無駄ァー、等々。
 とある編集者によると、例え本筋の展開がクソつまらなくても、その敵キャラクターが魅力的なら、十分に読者は食いつくし、ある程度は話も引っ張れる、とのこと。
さらにその類型を増産すれば、あら不思議、一つのスタイルとなり、潮流が作られる、という寸法である。
現代における作話能力の全体的な後退、と批判する節もあるが、結局のところ、言葉が生まれ、物語というものが誕生してから今日に至るまで、文学なんてものは、似た展開と似た人物の繰り返しが基本だったりする。
パクりとアレンジは文化伝播の根幹なのだ。
 勿論、作者が意図的に、己の想いのままに書き、潮流から外した(外れた)ものも存在する。
大抵は下手糞扱いで評価されないが、稀に文化の進化として「独創的」「前衛的」と評価されたりする。
宮沢賢治は「銀河鉄道の夜」や「風の又三郎」等の幻想的な作品で、今でこそ誰でも知る国民的な作家だが、生前はほとんど無名のままであった。

 

 で、敵の話である。
この物語において、主人公であるパトリック・コーラサワー、そしてプリベンターの『敵』は、
正味の話、ここまででハッキリとそういう扱いになっているのは、一人しかいない。
その一人以外は、未だ対決前なので、『敵候補』と呼ぶのが正しいのかもしれない。
まあいずれ本式に敵になるんですけど、それはそれ。
魅力があるかも、またそれはそれ……。

 

 では、振り返り&後付けあわわ確認も今回がラスト。
「プリベンターの敵編」でよろしく。

 

 ◆ ◆ ◆

 

 アリー・アル・サーシェス。
年齢は30半ばから40前後。
裏社会では名の通った傭兵で、数多くの紛争、事件に関わってきたツワモノ。
また、ゲイリー・ビアッジの偽名で、表社会で堂々と活動することもある。
かつては様々な組織に身を置いていたが、現在は何処にも属さず、部下を率いて傭兵団長なことをしている。
現在は、「イノベイター」のリーダーであるリボンズ・アルマークに雇われている。
おそらく、「人間」としては、コーラサワーやプリベンターの最大にして最強の敵。
 世界が統一されて紛争そのものが激減してしまった為、生活に苦しんでおり、密輸や窃盗、密漁等のこすっからい悪事に手を染めることもある等、それなりに苦労している。
 傭兵としては疑問の余地を差し挟むことなく、生身でもMS操縦でも、超が付くレベルで一流。
部下を率いての集団戦もこなせば、単騎で無双することも可能。
色々と計画をプリベンターに潰されてきているが、部下の一人も逮捕されておらず、自身もほとんどダメージを負っていない。
コーラサワーの無茶パワーが無ければ、潰された企みのうち、おそらく何度かはアリーに凱歌の旗が揚がったであろう。
事実、アザディスタンの事件では、プリベンターを壊滅一歩手前にまで追い込んだ実績を持っている。
 性格は、所謂お約束のワルモノ。
金品にウルサイ辺りはいささか小悪党の雰囲気もあるが、それもプロ意識の現れであろうか。
『戦い』というものに人生の価値を見出しており、「自分がおもしろければ」というのが行動原理の一つになっている。
粗野で強引ではあるが、愚鈍ではなく、退路を必ず確保してから無茶をするタイプ(所謂死んだら負け理論)。
芸術を理解し、ギャンブルを楽しみ、酒や料理の味にもやかましい等、単なる戦闘狂ではない。
絵面的に言うと、高級なブランデーを傾けてニヤリと笑うより、居酒屋で安酒とヤキトリをカッ喰らう、もしくは立ち食いソバでかけソバネギ抜きを一気にかき込むタイプの悪役か(よくわからん)。
なお、最近は極東ドラマ(恋愛系)にハマっており、再放送もきっちり見ている。
アリー自身は現実主義者だが、そういったドラマについては、「現実は現実、虚構は虚構。分けて考えりゃそれはそれで楽しめる」とのこと。
 交友関係は良好とは言い難い、ってか友人と呼べるような人物は皆無。
だが、部下とのやりとりを見ていると、一定の信頼関係はそこにあるようである。
リボンズの手下のうち、アレンドロ・コーナー、そしてトリニティズとは特に折り合いが悪い。
リニアトレイン社のラグナ・ハーヴェイはかつての雇い主だが、特に敬意を払ってはおらず、アロウズの面々に対しても、どうやらあまり良い印象は持っていない。
リボンズ本人とは、それなりにウマが合う様子。
 乗機は健康に良い『アグリッサ』(微量の電流を周囲に放出することが出来る)と、ミカンエンジンを搭載したMS(ミカンスーツ)の『ソンナコト・アルケー』(コーラサワーが言うところの「ひょろひょろ赤鬼」)。
『ソンナコト・アルケー』には分離式の小型兵器『ハッサク』が装備されており、これを空中で操ることによって、全方向からの攻撃が可能となる。
アリーはこれを完璧なまでに使いこなし、アザディスタンでプリベンターをフルボッコ状態にまで追いつめた。
ミカンエンジンはビリー・カタギリの特製で、未だ世間には発表されていないが、イノベイターが色々と手を使って情報を入手し、MS(ミカンスーツ)を造り、アリーと契約した際にこれを譲渡した。
 ちなみに、靴下は物凄く臭い。
変なこだわりでもあるのか、アザディスタンでは部下達の靴下も集め、これを空中にばら撒くことでバリヤーの代わりにしようとした。

 

 滅茶苦茶強いが、バカ。
 紛う方無きバカ。
 でも強い。
 アリー・アル・サーシェス、そんな男である。

 

 リボンズ・アルマーク。
年齢は不詳(外見年齢は10代半ば~後半くらい)。
世界的な人気アイドルグループ「イノベイター」のリーダー。
諸兄もご存知の通り、「人間」ではない。
リボンズが何を目的にしているかは、今のところ物語内では不明。
とりあえず、「今の世界」に対して何らかのアクションを仕掛けようと考えているのは確実。
 一応、現時点でのラスボス候補。
なのだが、コーラサワー達とは未だに絡んでいない。
これでいいのかどうなのか。
 アロウズ、トリニティ、そしてアリーを傘下に収め、計画を進行中。
どうやら、マイスター運送の創始者であるイオリア・シュヘンベルグ、そしてアザディスタンが関係しているようだが……ま、それはおいおい。
 性格はほぼアニメの通りだが、「世界転覆を企む悪の親玉」と言うには、醸し出す雰囲気と言うか、カリスマと言うか、そんなのがやや欠けるか。
自ら新人類を自認している割には、懐古厨乙なんてもんじゃないレベルに趣味が古臭い。
いや、趣味だけでなくセンスも相当古臭い。
 イノベイターのメンバーは彼以外に、リジェネ・レジェッタ、ヒリング・ケア、リヴァイブ・リバイバル、ブリング・スタビティ、デヴァイン・ノヴァらがおり、どれも美形で、中性的な外見をしており、小さい子供から大人まで、幅広い年代に支持されている。
ライブを開けば数万の単位が入場出来るベースボールパークの会場もあっという間にチケット完売満席御礼、
歌をリリースすれば発表直後にDL回線パンクは当たり前の、世界規模のウルトラアイドルユニット。
現在は、表向きには充電中ということで、活動を休止している。
代表的な曲は『パラダイス木星圏』『進化気分でロックンロール』『形式番号のないエース機』等。
作詞作曲、舞台演出は基本的にリボンズが行っている。
が、正直、メンバーのウケは前述のセンスの理由であまりよろしくない。
マネージャーは金ぴか趣味で陶酔癖のあるアレハンドロ・コーナー。
 乗機は現在は未定。
まあ、多分リバーシブルな感じにはなるでしょう。
……おそらく。

 

 リジェネ・レジェッタ。
年齢は不詳。
リボンズより少しだけ年長に見えるが、見えるだけかもしれない。
世界的な人気アイドルグループ「イノベイター」のメンバー。
イノベイターの中では唯一の眼鏡属性持ち。
リボンズの腹心的な立場だが、皮肉を言ったり混ぜっ返したりと、本当にそうなのかは謎。
とりあえず、イノベイターの他の面々よりかは出番が多めになる予定。
つうか他の面々をどうやってキャラ立ちさせたものか。
 性格はほぼアニメの通り。
あっちではリボンズを出し抜こうとして結局ツメの甘さを露呈したが、さてこちらではどうか。
と言うか、お約束通り○○○て、○○○○○○に○○る予定、今のところ。
○○○○○○○と○○○○、そして○○○○○○の絡みで、今後のキーキャラになる……はず。
あくまで、はず。

 

 トリニティズ。
長兄ヨハン・トリニティ、次兄ミハエル・トリニティ、末妹ネーナ・トリニティ。
トリニティ運送という、小さな会社を運営している(マイスター運送とはライバル)。
リボンズ・アルマークの招集を受け、彼の手足として動くべく、現在は会社を休業してアザディスタンへ向かっている最中。
 長兄ヨハンは冷静沈着で、態度も静か。
つまりは「オトナ」な男。
トリニティ運送の社長を務め、弟や妹が暴走しないように、終始気を使っている。
言葉遣いも丁寧な為、トリニティ運送の渉外はほとんど彼一人でやっている。
ネーナ曰く、「結構腹黒い」。
 次兄ミハエルは粗暴で喧嘩っ早い問題児。
気に食わないことがあるとすぐに威しにかかる。
が、兄妹想いでもあり、兄には決して逆らわず、妹のことになると甘い。
アリーとはソリが合わず、物凄く嫌っている。
 末妹ネーナはじゃじゃ馬で活動的。
イメージ的にはやんちゃな子猫(注:関西圏の風俗ではない)。
思いつきで行動することがある為、ヨハンの眼の届かないところだと何をしでかすかわからない爆弾娘。
マイスター運送の刹那・F・セイエイを気に入っているが、今のところ、目立ったアクションは起こしていない。
 三人共に人工生命体(デザインベビー)であり、直接の血の繋がりはない。
 乗機は未定。
つか乗らせる物語的な余裕があるかどうか。

 

 アロウズ。
今をときめく巨大総合企業。
実はOZと強い繋がりがあったのだが、OZ崩壊に伴って新政府側へと乗り換えた。
裏では色々と動きがあったようだが、一般市民がそれを知ることはない(で、それを絹江が調べていた)。
 イノベイターに協力しているのは、会長のホーマー・カタギリ、
欧州地区マネージャーのアーサー・グッドマン、
アロウズ・エレクトロニクス副社長のリー・ジェジャン、
アロウズ・セキュリティ・サービスの警務部長アーバ・リント、
リントの部下であるバラック・ジニンといった面々。
 形的にはイノベイターの部下的な立場だが、実のところは、「利用する間は利用する」という関係。
特に会長のホーマーは、何か思惑を秘めているようだが……。
また、グッドマン達も決して一枚岩ではない。
特にジニンは色々と思う所がある様子。
 ホーマーは在野の天才ビリー・カタギリの叔父で、ビリーの才能を惜しみ、アロウズに引き込もうとしているが、ビリー本人は今のところ首を縦には振っていない。
ちなみに、アリーの『ソンナコト・アルケー』を組み上げたのは実はアロウズである。
ミカンエンジンのデータを盗んできたのは別の誰かさんだが。
で、ミカンエンジンをビリーが開発中という情報を誰かさんに渡したのは実はホーマー。
 正直、ジニン以外はコーラサワーと直接絡まない……かも。
プリベンターにとっては、背面の敵となる予定。

 
 
 

 謎の軍団イノベイターとその仲間達。
 ま、こんな面子が集まったアクヤク様である。

 

 

【あとがき】
 遅れまくって申し訳ありませんコンバンハ。
 次回から本編に戻ります。
 ぶっちゃけ、話そのものは、細かい部分を除いて頭の中でラストまで出来てます。
 でもこのペースだと映画公開までには絶対間に合わないな( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \ /  \
 ……ハァ。

 

 ではサヨウナラ。

 
 

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