~前回のあらすじ~
ポチョムキン城に突入した肛門、じゃない黄門様を待っていたのは全身を緑のタイツで包んだ聖○太子だった。
驚愕する黄門様一行を尻目にタイツ太子は言い放つ、「今こそ世の中に○ジ○ジ君を流行らせん!」と。
時代を逆行させてはならぬ、聖剣エクスカリパーを抜いて「認めたくないものだな若さ故の綾波というものは」と○徳太子に斬りかかる黄門様。
しかし、聖徳○子も部下の新渡戸○造とともに黒光りするバスターキャノンを股間から抜いて立ちふさが
らない。
断じて立ちふさがらない。
これはあくまでコーラサワーの物語である。
はい、以下に正しい前回のアラ寿司、ではなくあらすじ。
なるべく破壊兵器を使わずに敵を抑えることが大切なプリベンターは、MS(ミカンスーツ)の開発者であるビリー=カタギリに依頼し、非破壊鎮圧用の武装をこさえてもらうことに。
そこでその武器のテストのために旧軍事演習場を訪れたのだが、そこで的になっていたのは巨大なコーラサワーの絵だった――ほにゃらら。
「な、な、なんじゃそりゃぁぁあぁあああぁ!」
パトリック=コーラサワーは驚いていた。
彼もツチノコ、じゃない人の子、びっくりすることだってある。
まして、目の前に自分の十倍近い大きさの『自分の看板』が出てきたとあっては、誰が心穏やかでいられるものか。
これで喜ぶのはバラエティ番組のリアクション芸人くらいなもんであろう。
「はい、あれが的です」
目ん玉飛び出んばかりにびっくらこいてるコーラとは対照的に、サリィ=ポォはどこまでも澄まし顔。
彼女とていつまでもコーラサワーに引きずりまわされているわけにはいかない。
プリベンターの現場リーダーとして、シメるところはシメておかないとダメなのだ。
いみじくもかつてのコーラの上司であるカティ=マネキンが鉄拳二発でコーラを黙らせたように。
まぁ、そこでコーラとサリィに二匹目のドジョウの如く恋の芽生えなんぞ起こりはしないが。
「な、な、何なんだよありゃあ! 何で俺があんなことになってんだぁ!? どういうことだよ!」
「質問は却下します」
「いや却下って! 却下って! だいたい何時の間に作ったんだよ!」
「答える必要を認めません」
「いや認めませんて! 認めませんって! 何で俺が的にならなきゃならないんだぁ!?」
「二度も言いません!」
「そんなぁ!」
これが『スペシャルなコーラサワーを祝う祭り』だったりしたら、さぞかしコーラはデカコーラ看板の前で得意満面の笑顔になっただろうが、さて、やっぱり試作武器と言えどその標的になるのはどうにもいい気持ちがしないらしい。
ま、当たり前っちゃ当たり前田のクラッカーだが。
「ああ、みんな。あの的、あと数十枚はあるからバンバン狙っちゃっていいわよ」
「ひでぇー!」
涙目のコーラさん。
普段に比べて若干意地悪なサリィの仕打ちだが、まぁこれくらいやってもバチは当たらんであろう。
今まで散々コーラによって精神をすり減らしているのだから。
彼女の背負い込んだ苦労は、二十歳ちょっと越えの女性のそれではとてもとてもない。
多少の憂さ晴らしはアリだろう、プリベンター的に。
「し、しかし一体何処で何時あんなものを?」
「んー……ま、スポンサーが臨時に援助してくれたからね、それでちょっと」
コーラの問いかけには答えないが、カトルの問いかけには答える。
これもまたサリィの心の奥底を現しているようでちょっと興味深い。
何度も言うが、彼女にだってこれくらの逆襲はあってもいいであろう。
「スポンサー、ですか」
その言葉を受けて、ガンダムパイロットの脳裏に浮かぶのはとある妙齢のお姫様一人。
太陽光発電にエネルギーの主役を取って代わられたが、まだまだこの世界では化石燃料は滅んじゃいない。
あっちの世界じゃドビンボーかもしれないが、こっちじゃアザディスタンは現代の中東石油産出国程ではなくとも、それなりにやっていけるだけの経済的余裕があるのだ。
「あ、あのお姫様じゃないから」
「違うんですか?」
マリナ=イスマイール説はあっさりサリィ本人が否定。
ほしたらば誰がこんなバカげたデカコーラ看板を作る資金を捻出してくれたか。
はいそこ、政府直属の特殊機関なのに民間から裏ルートで経済援助受けていいのかとか言わない。
そんなの日本でもやってる。
先進国でも発展途上国でも何処でもやってる。
資本主義国家でも社会主義国家でも何処でもやってる。
「それじゃあ誰なんです?」
「……皆のよく知ってる人物よ」
「よく知ってる……?」
「そ。いろんな意味で」
さぁて来週のサ○エさんは、じゃなく、ここで問題です。
ガンダムパイロットがよく知る人物で、かつお金持ちとは誰でしょう。
ヒントは 「早く戦争になぁ~れ♪」
はい、早押しでお答え下さい。
「うぐ」
「どうした、カトル」
「デュオ……今、何か以前フェンシングで受けた古傷が痛みだしました」
「そうか、俺は何だか頭の中が眉毛でいっぱいだ」
カトルとデュオのやりとりを見て、トロワ、ヒイロ、五飛は視線を交わして頷きあう。
三人とも、サリィの言葉から連想出来るのはただ一人しかいない。
「ドロシー=カタロニアか……」
「あの女、今度は俺達のスポンサーか。また何を考えているのやら」
「さあな。風の噂では投機でかなり儲けているらしいが」
ロームフェラ財団は解体されたが、それでもドロシーの元にはかなりの額の財産が残った。
もともと他人を焚きつけるとか、種火を団扇で煽るのが得意な彼女である、
金を動かしてさらに大きく取り返すなんてのは、性に合っているのであろう。
なお、一応今でもリリーナ=ピースクラフトとは『お友達』である様子。
その性(しょう)は違えど、互いにどこか親しめるものがあるのかもしれない。
……と言うか、世界政府でそれなりに地位にあるリリーナに同年代の友達を作る余裕なんぞ今はないわけで、
自然前から付き合いがあったドロシーだけが残されたという見方も出来なくもないが、それは置いといて仲良きことは美しきかな。
ま、いずれ彼女もどっかで出てくるでしょう。
絶対コーラサワーとは性格が合わないと思いますが。
「じゃ、とにかくテストに入りましょ」
「ちょっ、おいっ、丁重に扱えよ! あの的、俺なんだからなぁ!」
「……」
武器のテストの標的に俺も何もあるか、とは顔に出してもさすがに声には出さないサリィ=ポォなのだった。
プリベンターとパトリック=コーラサワーの心の旅は続く―――
【あとがき】
はい、次回にまた続きますコンバンハ。
ちょっと仕事の新歓がありまして酔っ払ってますので今日は短めでサヨウナラ。
なお、冒頭のあらすじは模倣氏の模倣ということで。