901◆GbvohmL8bU_第7話

Last-modified: 2014-08-03 (日) 04:09:42

「映像は以上になります」
動揺していたのが落ち着いたのか、いつもの笑顔に戻っているアズラエルであった。
「そしてもう1つ、こちらのデータをご覧下さい」
モニターにとあるデータが表示された。それは
「これはメビウスといい、次期主力MAです。来年には配備が始まる予定で現在最終調整が行われています。機体下部にあるリニアガンならデータ上では一撃でジンを破壊できます」
モニターに表示されているメビウスのデータを見ているティエリアと刹那、だが表情は優れない。
「はっきり言わせてもらおう。この機体、メビウスでは先ほどの人型・・・ジンというMSには勝てない」ティエリアは断言した。
「ふぅ」と、ため息を吐きティエリアに問う
「予想はできていましたが、根拠を聞いても?」
表情は変わらずに笑顔だが、視線に圧力が加わったようだ。これが商人として成功した男の視線なのだろう。
そのことを感じ取ったティエリアは嘘偽りなく回答することに決め
「まず、ジン、モビルスーツと呼びましょう。それとミストラルとメビウスのモビルアーマーでは運用方法が違います
まずモビルアーマーは一撃離脱戦法を主体としています。最高速で突撃し攻撃、すぐさま安全圏に離脱。それを繰り返す戦法であればジン相手に相討ちには持っていけるでしょう」
間を空けるため水を一口含み話を続ける
「次にモビルスーツだが、ある程度接近しての格闘戦を想定している。手足を動かしての姿勢制御、方向転換、それの応用によるダンスを踊るような細かい回避行動、そしてなにより腕に銃を持っているのが利点です」
話の途中だが、アズラエルが質問する
「すいません、ティエリアさん。腕に銃を持つことの利点を教えてもらえますか?」
「ああ、そうか。画面に出ているメビウスのリニアガンを敵に当てるには敵を機体の正面に捉えなければ当たらない。これは見ればわかるだろう。だが腕で銃を持っていれば射角はどうなる?」
ティエリアがアズラエルに問う
自分の腕を動かしながら
「それはもちろん・・・ああ、そういうことですか・・・上下左右、好きに撃てますね。それにメビウスには難しい細かい方向転換も簡単にできますね。これは参りました」
頷くティエリア、そして続きを話し始める
「あとは簡単だ。メビウスの初撃をやり過ごしたら艦隊に接近、そうすれば艦隊防衛のためメビウスは不利な格闘戦を強いられる。あとはわかるな?」
腕を組み考えるアズラエル。
「ええ・・・これは参りました。これでは人命もお金も捨てているようなものですねぇ・・・このあと月で会議があるんですよ、この大敗後どうするかの」
更に考えるアズラエル、「よし」と一言。考えがまとまったようだ
「ティエリアさん、刹那さん、二人にお願いがあります。モビルスーツの技術提供をお願いできませんか?このとおりです」
深々と頭を下げるアズラエル。
ティエリアと刹那は脳量子波で相談をしていた
《このままだと紛争ではなく、戦争に発展しそうだ》とティエリアが刹那に伝える
一方の刹那は
《コロニーを占拠したテロリストか、介入しても問題ないだろう》と、刹那は応える
《技術的にみてティエレンかフラッグあたりだな、あとはEカーボンの精製技術と水素プラズマジェットエンジンか》
脳量子波での会話がまとまったのでティエリアが応える
「分かった。協力しよう」
安心したのか、一気に表情が和らぐアズラエル
「ああ、良かった。後で詳細を教えてくださいね。ちなみにジンと1対1で戦った場合どちらが勝ちますか?」
「2機、情報提供をする。1機は五分以上、もう1機はエースパイロット用で圧勝だ」
笑顔になるアズラエル。だがいつもの胡散臭い笑顔ではなかった。
「それはすごい!月にある我が社の施設を使ってください。必要なものは全て届けさせます。戸籍とかも、ですね」

 
 

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