901◆GbvohmL8bU_第8話

Last-modified: 2014-08-03 (日) 04:36:06

「これからは我々もモビルスーツを扱う時代なのだ!やつらに対抗するにはそれしかない!」
とある大佐が吠えている。
「しかしもうメビウスは最終調整に入っている。今更変更などできんよ」
少将が応える。この少将は腹部がぽっちゃりしているようだ。
(まったく・・・こんな中身のない会議ををいつまで続けるんでしょうね・・・ティエリアさんたちと今後の話を煮詰めたいのに)
周りにわからないようにため息を吐くアズラエル
数日前のことを思い出している

 

「ティエリアさん刹那さん、コペルニクスに到着しました。それにしても光学迷彩ですか?すごいですね・・・」
月に向かう際の監視の対策としてクアンタが光学迷彩を展開、レーダーはアズラエルのシャトルに張り付いて誤魔化していた。
「それよりも僕はこの広大な場所が貴方の会社の所有地というのに驚いた」
コペルニクス近辺にアズラエル財閥の工場がある、正確な広さは不明だがとんでもなくでかい。
そこのアズラエル専用のプライベートスペースにシャトルとクアンタを収容していた。
「これでもお金持ちなんです」
ウインクしながらおどけて言う。正直キモイというのが2人の気持ちだ。

 

「貴方に渡す情報がコレに詰まっている。イノベイターの情報もだ。ただしまだ誰にも情報は見せないこと。誓えるか?」
ティエリアがアズラエルに問う。その目は光っており脳量子波を使っていることをわざと見せつけている。
(僕を試しているんですね。嘘をついてもわかるぞ。と)
「ありがとうございます。この情報は誰にも見せません。でもいつ頃なら一部に公表してもいいですか?」
「そうだな・・・情報の中にあるEカーボンの生成を成功したら、順次公表といこう」
「わかりました。では、まずここの研究所でEカーボンの生成を始めましょう。職人気質の研究者を数名用意させます」
こうして2人は施設で宿泊しEカーボンの生成をすることになった。
さらにアズラエルから指示を受けていたため特に問題もなくアズラエル財閥の施設を利用していくことになる。

 

1人自室でデータを見ているアズラエル
「モビルスーツ・・・ティエレンとフラッグですか・・・
ティエレンは数を揃え部隊単位で運用、陸戦と宇宙戦はパーツ換装で対応、破損を前提としているのでパーツもブロック単位で簡単に交換可能、
武装もバリエーション豊富、装甲はEカーボンを複層で配置・・・これでジンの動きを抑えて側面からメビウスが攻撃というパターンですか。
フラッグ・・・航空機と人型に変形可能ですか、乗ってみたいです。そして換装なしで地上と宇宙で運用できるのは素晴らしいです。
運用方法は現在の航空機に近いですね。ディフェンスロッド・・・?回転させ弾を弾き直撃を防ぐ・・・たしかにエースパイロットでなければお金の無駄遣いです。
メビウスと同じような運用方法ですが色々とトリッキーな動きができるみたいですね。空中変形でわざとバランスを崩し急激に減速を行うなど今まででは考えられません」

 

2機のモビルスーツのデータを見ながら色々と考えているようだ。そしてとうとうイノベイターの項目になった
「イノベイター・・・脳量子波・・・テレパシーみたいなものですか?
稀にいる空間認識能力はコレの劣化版でしょうか?肉体強度に反応速度の期待値が一般人と比べるのもバカらしいほどに圧倒的ですね・・・
コーディネイターとも比べ物にならない・・・
うん?コーディネイターとは『新たに生まれるであろう新人類と人類の架け橋となる調整者となるように』
初めはこういう意味だったはず・・・と、なるとジョージ・グレンはイノベイターの存在を予期していた?
まあどっちでもいいでしょう。イノベイターのことをうまく世界に発表すればコーディネイターへの差別意識も消えていくでしょう。
『コーディネイター(怖)』から『コーディネイター(笑)』になりますね。ふふ、今から考えるだけでも楽しいです。
それに、これに僕が・・・ふ、ふふ、ふふふ、ふはははは!いやったァァァァァァ!!」
部屋に防音設備が無ければ守衛が飛び込んできただろう叫び声が木霊した。

 
 

思考から戻り会議中、未だに会議は続いている
「だからモビルスーツがなければコーディネイターには勝てん!」「メビウスで十分だ!」「ナチュラルでは動かせないんだぞ!」
(この人たちはそんなにメビウスを製造して利権を守りたいんですね・・・僕がこんな考えになったものあの2人のおかげでしょうか)
このような思考をしている間、会議という名の口喧嘩にまでなってきていた。
「お前たちの練度が低いから艦艇が4隻しか戻ってこないのだ!」
「損傷率が80%を超えているんだぞ!4隻も戻ってこれたのだ!」
「貴様が無能だからだ」「それはお前だろ!ハゲ狸!」

 

(まったく、これでは埒があきません。しょうがない、僕が何とかしましょうか)
咳払いを一つ、ただそれだけで会議という名の言い争いは終わり静かになった
「モビルスーツを作ると言ってもすぐにドウコウはできませんよね?なので我が社はメビウスの計画はそのまま続行をします」
明らかに安堵の表情を浮かべている人が多数いる。だが険しい表情の人も少数だがいる。
「ただ、ハルバートン大佐の言うことも一理あります。
彼に資金援助いたしましょう、それでモビルスーツを開発してみてください。
それと同時に我が社でもモビルスーツの開発を始めてみます。みなさん、これでいいですか?」
一瞬ざわつくが利権は守れる。モビルスーツを作る金は手に入る。これ以上駄々をこねてもムダだと各々が判断したのだろう、反論はなかった。
最終的に
①プラントは破壊しない
②メビウスを量産し、防衛網を固める
③ジンのデータ収集、ならびに鹵獲
④モビルスーツはハルバートン大佐が独自に開発、成功した場合は提督に昇格。
⑤アズラエル財閥は独自にモビルスーツ開発計画を実施。
⑥ハルバートン大佐とアズラエル財閥のモビルスーツ開発が同時に成功した場合、トライアルを実施
以上が軍として今後の対応になった

 

C.E.69年
2つのモビルスーツ開発計画が進行していくことになる

 
 

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