次の日の朝、アムロはシャワーを済ませ着替えていた。そこにドアを叩く音がする。
「おはようございます隊長。ルナマリアです。お目覚めでいらっしゃいますでしょうか。よろしければ朝食をご一緒にと思いまして。」
「ああ起きているよ。ちょっと待っててくれ…」
と言いつつ上着を着ながらドアを開けた。にこにこしているルナマリアがそこにいた。
「おはよう。シン達は?」
「先に行くと言っていました。でもすぐさっきでしたので下で待ってると思いますよ?」
エレベーターを降りダイニングに向かうとシンがオレンジの髪をした男となにやら話していた。
その男がこちらに気付き寄ってくる。
「あなたがミネルヴァ隊の隊長さん?俺はハイネ・ヴェステンフルス。以後お見知り置きを。」
「アムロ・レイだ。宜しく。」
そう言うと握手をする二人。ハイネの襟にはフェイスの紋章が光っている。
「そういえばもう一人のフェイスは?」
そこに昨日見たラクス・クラインと一緒にアスランが歩いてきた。ハイネはそれを見てアスランのほうへと歩いて行ってラクスとアスランに
話し掛けている。アムロとシン、ルナマリアは席に付き朝食を取ることにした。席に付いてパンをかじっていると
「Are you OK?」
と機械的な声が聞こえる周りを見渡しても何もいない。するとまた機械的な声がした。
「Lacus Lacus」
どうもテーブルの下から聞こえる。アムロはテーブルの下を覗き込むと赤いボールが落ちていた。それを拾い上げテーブルの上に置くと
耳?がパタパタと開き飛び跳ねた。それに気付いたラクスは
「こら!いけませんわよ、ハロ。」
といい、そのハロと呼ばれたものを取りにきた。
「何?ハロだと!?」
そう言うとアムロは赤いハロを手にとりじっと見つめる。確かにアムロが16のときに持っていたハロに大きさと色は違えどそっくりだ。
機械狂の血がうずく。アムロはラクスに少し興奮しながら聞いた。
「ラクスさん、これを今ハロと呼んだね?これをどこで手に入れたんだい?」
「アスラン…この方は誰ですの?」
「ミネルヴァのアムロ・レイMS隊隊長です。」
「あら、そうでしたの。アスランがお世話になっています。」
「いや、こちらこそ。で、どこでこのハロを?」
「どこでと言われましても…これアスランが作って下さいましたのよ?」
「何?アスランが?本当か、アスラン?」
「ええ。一応…(この赤い奴は俺じゃないんだが…違うと言ったら今度はミーアが疑われるか…)」
「ラクスさん、少しこのハロを貸してくれないか?」
「ええ!?急に言われましても…そうですわね…アスランと朝食を取る間でしたら…」
「そうか!ありがとう!」
そう言うとアムロは赤いハロを持って走って自室へと戻る。しばらくするとまた走って戻ってきた。
「ありがとう。すごい技術で作られているな。なかなか参考になったよ。お礼に少し改造しておいた、スイッチを入れてみてくれ。」
「はぁ…」
と言いながらミーアはハロのスイッチを入れた。すると目がちかちかと光ったあと先ほどとは違うトーンで喋りだした。
「ラクス、ゲンキカ?ラクス」
ミーアが少し引いた様子でハロを見ている。アムロは満足げにハロを見ている。
「ラクス、ノウハイジョウナシ、ラクス、ノウハイジョウナシ」
ミーアはアムロに聞いた。
「これ…、どうされましたの…?」
「実は僕もハロを持っていた時期があるんですよ。改造して会話パターンを組み込んだり、脳波を軽く検知する装置をつけたり。さっきお借りしたときにそのデータを組み込んでおきました。かわいいでしょう?」
「あ…ありがとうございます…しかし…あんまり…」
ミーア「かわいくないですわね」
シン「かわいくないですよ」
ルナマリア「かわいくないですね」
三人が同時に言った。アムロはたじろぎながら
「そ…そうか…やっぱりそうだよな…元に戻して来るよ…」
そう言うとまた走って自室に戻っていった。