CCA-Seed_590 ◆4BazVYzDuE 氏_レーン大尉の血涙特訓

Last-modified: 2011-09-22 (木) 02:06:16
 

レーン大尉の血涙特訓

 

戦争が起きていない間にも日々訓練は続いている。
アップデートした装備の習熟や新しいMSの運用が可能な様に改修を行ったりと
毎日が慌ただしく過ぎていく。
今回フラガ少佐がバカンス(地上に降りるなんて羨ましい、ていうかキャバクラ俺も行きてぇ~!)の為
アークエンジェルで行われるジェガンの運用試験に立ち会うことになった。

ボン中尉とソルマン少尉は今回GM2改から先行量産型のジェガンD型に乗り換えての試験である。

自分も予備機のジェガンD型に乗り彼らとの模擬戦をする予定である。

 

訓練宙域まで移動の間に彼ら二人にはGM2改とジェガンD型の違いや注意点を簡単ではあるが講義をする。

基本的な操作方法は同じであるもののハンドグレネードやシールド内蔵式2連ミサイルランチャー等
GM2改には無い装備もある。

今回の訓練ではグレネードやミサイルは使用予定がないものの非常時に備えて実弾が装備されている。

ビームライフルやビームサーベルも訓練用では無い本物を使用する。

模擬戦モードではそれらはロックされるが念のために注意するように強く念を押した。

後はスラスターなども増えているがこれらは特に学習型コンピュータで管理されているので
パイロットは特に気にする必要はない旨を伝えた。

そうこうしていると訓練宙域に到着したとの艦内放送が入ったので
最後に何か質問はあるかと尋ねると特に無いと答えたので解散を伝え
20分後に格納庫へ集合するように伝える。

彼ら2名は椅子から立ち上がり模範的な敬礼をし自分は返礼をしてミーティングを終えた。

 

***

 

少し早いものの10分後に格納庫に行くと既に彼ら2名は既に到着していた。

慌ただしくメカニックと打ち合わせをしたりシステムのセッティングの変更をしたりしていた。

自分に気がつくと慌ててこちらに来ようとしたので手で制してそのまま作業を続けるように伝える。

自分も乗る予定のジェガンに乗り込み、システムのチェックなどを手早くこなしていく。

機体の時計を見ると集合予定時間の5分前になったので機体から降りて彼らを呼ぼうとすると、
彼らも機体から降りて自分の所に近寄ってきた。

あまり気負うなと伝えるものの彼らの表情は硬く強ばったままだったので
和ませようとフラガ少佐の情報を彼らに伝えるのであった。

 

「自分たちが訓練とか試験をしている間にフラガ少佐達は地上でよろしくやってたそうだよ。」

「「もしかして例のキャバクラ事件の事ですか?」」

「ああ、というかなんだ君らも知ってたのか。」

「「ええ。某所から映像が送られてきたとかでラミアス中佐の顔が修羅になってたと小耳に挟みました。
 バジルール少佐もアムロ中佐が一緒だったというのでがっかりしていたと。」」

「自分も映像見たけどあの顔ったら無いよなぁ。
 ラミアス中佐の事愚痴ったりとかしてたしありゃ戻ってきたら何か有りそうだよな。」

「「ありそうですね。アハハ」」

「さてようやく君らの顔の強張りも取れたところで試験を始めるか。」

「「了解です!」」

 

***

 

ジェガンのコクピットに乗り込むと開始時間が少し遅れたことをラミアス中佐に謝罪する。

そして2人の発進準備が終わったのを確認し、ハゥ伍長に全員の発進準備が終わったことを伝える。

「レーン・エイム エンジェル1出る!」

「デートレフ・ボン ホーク2 出ます!」

「ユリア・ソルマン ホーク4 発進します!」

3機のジェガンが訓練宙域に打ち出され試験が始まった。

 

まず機体に慣れる事が先決と2人に暫く好きに操縦して良いと伝える。

この時に本当に好きに機体を振り回すタイプと慎重に習熟するタイプに分かれる。

2人とも最初こそ慎重に操縦していたが徐々にメリハリを付けた操縦へと変化していった。

5分ほどして終わりを告げて初めてジェガンに乗った感想を聞くと
やはりGM2改とは違いますねとやや興奮した様子だった。

慣れたところでデブリ群のある地点にスタートとゴールを設定してそこをどう抜けるかの試験をした。

あらかじめ時間が短いから良い訳では無いこと、機体を壊しては元も子も無いことを説明しておいたが
2人ともそういう心配は無用だった。

スラスターを上手く使って機体の向きを上手く変えて比較的無難な(褒め言葉だが)ルートを
瞬時に選択してゴールしていた。

タイムも比較的良く特に問題はない。というかこのままでは自分の立場がない・・・

 

2人の「「レーン大尉のお手本も是非!」」と言う言葉に押されて自分もタイムアタックを始めた。

本気モードでアタックを始めていき、スタート付近の比較的密度の低いデブリ群は
ほぼバーニア全開で僅かにスラスターを吹かしてクリアする。

その後彼らの動きとレーダー解析からデブリの配置も把握済みであり行ける!と判断したルートに
移動しながら近づくデブリが現れる。

予想外の事に一瞬戸惑うものの火器管制システムで頭部バルカンを選択しデブリに向けて一瞬だけ放つ。

デブリは一瞬で砕けたもののその中に慣性の法則に従い機体は向かっていく。

すかさずシールドで機体を庇い、後はゴールまでまっしぐらである。

タイムは彼らより遙かに良かったが画面上の彼らの顔は少々驚いたような顔をしていた。

「「レーン大尉、バルカン使うのってアリだったんですか?」」

「ま、まあ使えるものは使わないとな。というかすまん・・・」

 

***

 

その後本来予定になかったビームライフルの射撃訓練もアークエンジェルに確認を取ったところ
承認が得られたので訓練に支障のない宙域の隕石を目標に行った。
M1のビームライフルとの威力の違いに驚く2人だったが
リゼルのロングビームライフルはさらに威力が高いと言うとさらに驚いた様子だった。
当初の予定の模擬戦は時間の関係もありアークエンジェル帰投後にシミュレータを使って行うことにした。

帰投後メカニックにシールドがボコボコになっているわ機体もデブリが当たってそちこち凹んでいるわ
「大尉!こいつはまだ先行試作機なんですよ!わかってるんですか!」と叱られてしまった。
申し訳ないととにかく謝ってその場は収め、ボン中尉とソルマン少尉を連れて
シミュレータルームへと急いだ。

 

既にシミュレータには訓練宙域のデータと各自の機体のセッティングデータも入力されており
後はボタン一つで模擬戦が開始される。

彼らの要望で自分と一対一の模擬戦をすることになったがなかなか彼らは手強かった。

今回シミュレータなので全武装使用して良いということにして模擬戦を開始した。

手始めはボン中尉である。やはり使い慣れた武装が良いのかバルカンやビームライフルで牽制し、
サーベルで仕留めようというのが目に見えていた。

陽動に乗ったふりをしてデプリの中に逃げ込み瞬間的に機体のリミッターを解除、
中尉を振り切って後ろに回り込んでビームサーベルで仕留めた。

ソルマン少尉はそれを見ていて考えたのかジェガンの武装をフルに使ってきてヒヤリとしたが、
自分がデプリの中に入るふりをして直前で回避するとついてこれずデプリに衝突してしまった。

本当なら殉職である。

慣れない操作で注意散漫だと叱るが初めての機体であれだけ動ければ十分合格点だろう。

 

最後に二対一の模擬戦をする前に10分ほど休憩を入れたが彼らは何か打ち合わせをしていた。

何を企んでいるのかと思うとボン中尉が後方からビームライフルで自分の動きを牽制し、
ソルマン少尉が接近戦を仕掛けてきた。

ソルマン少尉機に気を取られるとボン中尉機が接近しバルカンで威嚇、
ボン中尉機を追い払うとソルマン少尉機も距離を取りまたライフルやミサイルランチャーで自分を牽制する。

そして今度はボン中尉機が接近戦を仕掛けてくる。

上手い連携だと思うが段々と苛ついてくる・・・

「大人げないと思うが本気で行かせて貰う!」

 

***

 

刹那機体のリミッターを解除しバーニヤ全開でまずソルマン少尉機に近づく。

バルカンやビームライフルはシールドで避ける。当然彼は当たりたく無いから避ける。
しかしその瞬間にビームサーベルを抜刀し機体を切断、ソルマン少尉機は爆散した。

機体のリミッターを再び設定して今度はボン中尉機をじわりじわりと追い詰める。

そしてデプリの付近までボン中尉機が近づいた時、わざとらしくバーニヤ全開でボン中尉機に近づく。

明らかに慌てて逃げようとしたのか機体をデプリにぶつけて
動けなくなった所をライフルで仕留めて模擬戦は終了した。

 

模擬戦後彼ら曰く「「マジで殺されると思った。」」と言っていたが
決して怒ったとかキレたとかじゃないよ?

東洋に「獅子搏兎」と言う言葉がある。
これは、ライオンは兎のような弱い動物を捕まえるのにも全力を尽くす。
簡単と思えることにも、油断することなく、全力を尽くして行なうべきであるということなんだ。
君らにももっと強くなって欲しいと思うから自分は手を抜かずに戦った。
今回の事を教訓にもっと鍛錬を積んで欲しい。そういうことなんだと説明をすると
彼らは感動したのか涙を流していた。

 

「「大尉のことを誤解してました!もっと我々も鍛錬を重ねて
 いつか大尉に負けないようなパイロットになります。」」

 

と彼らは大きな声で言った。

誤解していたという言葉は気に掛かるもののやる気は感じられたので今回の訓練は終了とした。

 

やっぱり少し大人げなかったかなぁ・・・

 

-終-

 
 

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