Canard-meet-kagari_第14話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 21:31:02

第14話

「ローエングリン!てぇ!」
 ナタルの号令と共に発射された光の奔流が辺りに漂うデブリを薙ぎ払いヴェサリウスに突き進む。しかし、敵艦が回避運動を取った為に当らなかった、だが狙いはココにあった。
「ムウ・ラ・フラガ、出る!戻ってくるまで沈むなよ!」
 リニアカタパルトから発進したゼロは光の通った跡を辿り敵艦へと向かう
「ストライク、発進準備」
「了解、ストライク、発進位置へ」
 ナタルの指示を管制官をする事になったミリアリアが伝える。
「装備はエールだ……って、お前はたしか……」
「ミリアリアよ」
「何でそこにいる」
「トールが自分も志願するって言い出してね……心配だから私もって」
「随分、いい加減な理由だな」
「そう?女の子が好きな男の子を心配するのは当然だと思うな」
「そういう事は……良く解らん……」
「そうなの?」
「コラッ!無駄話をしてる場合か」
 ナタルが二人を諌める。それと同時にチャンドラ二世が敵をキャッチする。
「前方、ナスカ級よりMS発進。機影1、更に後方のローラシア級よりMS発進。機影3です」
「機種は解るか?」
「ちょっと待ってください……機種特定、イージス、デュエル、バスター、ブリッツです」
「我々の予想通りなら敵のMSは、これで全部だな……ストライク発進!」
「了解、カタパルト展開完了、針路は……え~と……」
「ん?どうした早く発進させろ」
 カナードがミリアリアの態度を不審に思い声を出す。
「だって、前にデブリとかがいっぱい有って……こういう時ってどう言えばいいの?」
「クリアじゃなくても、クリアと言えばいい」
「そうなの!じゃあ、針路クリア、ストライク発進どうぞ」
「カナード・パルス、ストライクガンダム出るぞ」
 リニア加速したストライクがスラスターの尾を引きつつ発進する。

「今度こそ聞き出してやる、アイツの居場所を!」
 カナードは真っ直ぐにイージスへと向って行く、発進した時間の違いとイージスがMA形態に変形していた為にアークエンジェルの直ぐ近くで遭遇する事になった。
「見つけたぁああ!!!」
 カナードが雄叫びを挙げ、宇宙を突き進む赤い機影に迫る。
「来たか」
 アスランは素早く機体をMS形態に変形させるとビームライフルを構え、ストライクに向けて三点射する。しかし、カナードはエールストライカーのスラスターの向きを細かく変え全て回避し、ビームライフルで応射する。
 二機の距離が縮まり、互いにビームサーベルを使っての格闘戦になった。
「聞こえているか!イージスのパイロット!!今度こそ聞かせてもらうキラ・ヤマトの居場所を!!」
 GAT-Xシリーズの通信回線でカナードがアスランに呼びかける。アスランは一瞬迷った後、通信回線を開き答えることにした。
「何故だ!どうしてキラの命を狙う」
 ストライクがビームサーベルを振るうがイージスのシールドに防がれ、振り下ろしてきたイージスのビームサーベルをシールドで防ぐ。激しいスパークが起こり、その光で両機が照らし出される。
「俺が俺として生きていくためにはアイツを殺さなくてはいけない」
「訳の解らない事を!!そんな理由でキラを殺させてたまるか!!」
「なら、力ずくで聞き出すまでだ」
 カナードは機体の腰を回し、腰の右サイドアーマーを左手の近くまで持ってくる。サイドアーマーから飛び出したアーマーシュナイダーを左手で掴み、シールドを構えたままイージスのシールドを斬りつける。
「何!!」
「そこだ!」
 シールドの切れ目にサーベルを突き立てる。アスランは回避運動を取るが僅かに反応が遅れ、イージスの左肩にサーベルが突き刺さる。左腕の回路が溶断され左腕が全く利かなくなる
「チィィ、外したか」
「それほど腕を持ちながら……何故ナチュラルの味方をする」
「何?」
「ナチュラルがコーディネーターに何をしてきたか……お前だって知ってるだろう」
「それがどうした」
 カナードが関心のなさそうに答える
「ナチュラルにMSが開発されれば今まで以上に多くの仲間が死ぬ事になるんだぞ」
「クックククッハハッハハハハッハ」
「何が可笑しいィ!!」
「他のコーディネーターがどうなろうと知ったことか!!俺はアイツを倒す!!ただそれだけだ!!!!」
「貴様は!!」
 アスランは激情に駆られ、右腕だけでストライクに挑むが左腕が使えないために段々追い込まれていく、そして遂に……
「ここまでだな!さあ、教えてもらうぞ」
 ビームサーベルの切っ先をコクピットに突きつけ、カナードが宣言する。
「断る!大切な親友を貴様のようなヤツに殺されてたまるか!」
「……そうか……なら死ね!!」
(キラ……ラクス……)
 アスランが諦めかけたその時、突如ストライクが直撃を受けて吹き飛ぶ
「何っ!!」
 おそらくグレーネード弾だろう、PS装甲でダメージは少ないが、その直後ストライクのビームライフルより数倍強力な火線が肩を掠めていく回避行動を取った所で何もない空間からミサイルがストライクに襲い掛かる
 カナードはビームサーベルを振るい全て叩き切る。開いたままの通信回線を通してイージスを助けた者達の声が聞こえる。
「フン!無様だなアスラン」
「危機一髪って所だったな」
「間に合いましたね」
「イザーク、ディアッカ、ニコル!!」
 アスランが歓喜の声を挙げる。
 カナードは新たに現れた三機のMSをスクリーンで確認しつつ
「デュエル、バスター、ブリッツ……いいだろう一つ残らず消し去ってやる!!ガンダムはストライク一機あればいい」