DEMONBANE-SEED_種死逆十字_第09話2

Last-modified: 2013-12-22 (日) 06:15:03

『ヒャハハハハ! そら逃げろや逃げろぉ!』

 レイダー・ビヤーキーがフリーダムにライフルを向ける。二又状に開いたライフルの先端から、緑色をした無数のビーム弾が連続して放たれる。フリーダムは立て続けに飛んで来るビームを回避しながら、お返しにレールガンをR・ビヤーキーに連射する。だがR・ビヤーキーは飛来する高速の弾丸を時には機体をクルクルと回転させながら、時には弾の合間をジグザグにすりぬけるようにしてかわしていく。R・ビヤーキーの異常な運動性を見せ付けるその動きは、どこかフリーダムをおちょくっているようにも感じられる。

「この機体、なんて動きだ!」

『危ねー危ねー、けど上ばっか見てっとそっちもアブナイぜ?』

『……ヌオアアアァァァァァァァ!』

「何!?」

 突然の咆哮にキラが地上のカラミティ・クラーケンへと視線を向けた瞬間、C・クラーケンの右腕が

『飛んで来た』。ロケットのように高速で迫る腕に驚愕しつつもフリーダムのスラスターを噴かせて回避する。通り過ぎていく腕を見て、キラはそのカラクリに初めて気付く。

「……伸びてる!?」

 そう、C・クラーケンの腕は飛んできたのではなく文字通り『伸びて』いた。上腕と前腕の間の関節から新たな関節が生まれ、そこからまた次々と新たな関節が造られて今もなお伸び続けている。

 まるで大蛇のようにうねる関節は自由自在に軌道を変え、進行方向が逆転した上腕部がフリーダムの背中を捉える。

「──ーーッ!」

 至近距離で爆弾が弾け飛んだような衝撃に、キラは声すら発せなかった。胃の中のモノが逆流してくる感覚を

激しく揺れる頭で必死に耐える中、目に映るのはピンボケで回転する世界と損害を知らせる警告メッセージ。

 たった一撃、伸びて来た腕に殴り付けられただけの原始的な攻撃。PS装甲こそ傷付かなかったものの、ただそれだけでフリーダムの内部とキラは大きなダメージを受けていた。

(何発も喰らったら、フリーダムより先に僕が保たない……!)

 朦朧とする意識をなんとか引き戻し、墜落寸前だったフリーダムをフルブーストで急停止させる。だが間を置かず、上空から降ってくるビームの雨。

『おらおらおらおらおらぁ! ボケッとしてんじゃねえっつうの!』

 降り注ぐR・ビヤーキーの砲撃から逃れようとするフリーダム。しかしキラの反応とフリーダムの機動を持ってしても完全には回避しきれず、ビーム弾が右肩アーマーを消し飛ばす。

「っ! くっそぉぉぉ!」

『どこヲ見ていル!?』

 C・クラーケンの大蛇のような腕──『アナコンダアーム』が再びフリーダムへと迫る。今度は両腕だ。

「邪魔しないでくれ!」

 アームを避け、サーベルを抜いて伸び続ける関節に斬り付ける。ビーム刃に触れた関節は火花を散らしてわずかに歪むが、切り裂くまでには至らない。ならばと機体を加速させ、腕を伸ばして棒立ちのC・クラーケン本体に向かう。後ろからアームが追ってくるが、フリーダムのほうが少し速い。

「これなら!」

 ビーム砲を展開、C・クラーケン目掛けて連射する。C・クラーケンは真正面からビームの直撃を受け……何事も無かったかのようにその場に立っていた。

「そんな!?」

『そノ程度カ、ムズ痒いゾ!』

 C・クラーケンの胸部中央に光が集まり、そこから高出力のビームが放たれる。咄嗟にシールドで受け止めるフリーダムだったが、ラミネート装甲製でビームに強い耐性を持つはずのシールドは徐々にその形を歪めていく。何とか大破こそしなかったが、ビームに耐え切ったシールドの表面はひび割れ、今にも崩れ落ちそうなほど劣化していた。

「防御力も攻撃力も桁違い……もう一機は逆に速い……どっちもムチャクチャだ!」

『フハハハハハ! どうシた、動きガ鈍いゾ!』

『ソッコーでキめちゃつまんねえ……トコトンまで甚振ってやんよ! ヒャハハハハ!』

 上空からは無数のビームが降り注ぎ、地上からは二本のアームが何処までも追ってくる。徐々に勢いの付いてくる攻撃をもはやフリーダムは避けるのが精一杯、反撃する間すら掴めない。

「このままじゃ……」

 フリーダムを上下左右に飛び回らせながら、キラは状況を打開する術を模索していた。







「う、う~ん……あれ、俺どうなったんだ……?」

 電源全てがダウンしたインパルスのコクピットで、シンが意識を取り戻す。

「確か俺……そうだ、フリーダム! あのヤロウ!」

 意識が戻った直後の頭へと即座に血が昇る。乱暴にインパルスの基本システムを起動しようとした瞬間、シンを迎えたのはやかましいほどの警告アラームとインパルスの問題を示すデータだった。

「うわっウルセェッ! 何なんだよこれ……ッ!? ウソだろ、なんでこんな事になってるんだ!?」

 インパルスのダメージはかなり深刻だった。機体は何故か背中から地面にめり込み、その際にフォースシルエットは大きく損傷してしまったらしい。しかも装甲表面はまだしも関節や内部機器には大きなダメージを受けており、特に左腕の駆動部にガタが来てしまっている。

 そして現状特に問題なのは……バッテリー残量が殆ど残っていない点だ。

「そんな、まだまだ余裕だった筈だろ……?」

 困惑にほんの少し頭の冷えたシンは意識を失うまでの経緯を思い出す。完全に暴走していた自分がフリーダム相手にバカスカとライフルを撃ちまくっていたのは覚えている。しかしその時は確かにエネルギーに余裕はあった……筈だ。

 そして一気にケリを付けようとビームサーベルで切りかかった瞬間、突然大きな衝撃を受け自分は意識を失った。あれはそう、インパルスに何かがぶつかったかのような感覚だった。それにインパルスは吹き飛ばされ、今の地面にめり込んだ状態になっているということか。

「それじゃ……たった一撃でこんなにバッテリーを持ってかれたってことかよ!?」

 信じられない。確かにフェイズシフト装甲は物理攻撃にほぼ無敵を誇る代わりにダメージを受ける度エネルギーを喰うが、インパルスのバッテリーなら対MSミサイル百数発を喰らいでもしない限りここまで減る事は無い。たった一撃でここまで減らせるなんて、どれだけの破壊力なのだ。

「……ってそれよりも、あの後フリーダムはどうなったんだ!?」

 今更ながらシステムを完全に起動し外部モニターをつけると、飛び込んできたのはフリーダム含む三機のMSが暴れまわっている姿だった。どうやらフリーダムが他の二機に攻撃を受けているらしいが……



 ──その光景を見た瞬間、一時的にシンの意識から全てが……フリーダムへの怒りや憎悪を含む、

 全ての感情が消し飛んだ。



「あ、ああ……アアアアアアアアアアアアア……」

 空と地上で繰り広げられる戦闘。降り注ぐ流れ弾。燃える大地。逃げ惑う人々。

 そして転がっている、先ほどまで生きていた筈の、肉の塊。



 ──その光景はシンが家族を失った時と……連合のオーブ侵略と瓜二つの状況だった。



「また、また繰り返すのかよ……アンタ達はああァァァァァァァァァッッッ!」

 咆哮と共に、シンの頭の中に浮かんだ真紅の『種』が、弾けた。真っ白だった意識は再び憎悪に塗り潰され、目的達成の為だけの理論を一から組み立て直そうと思考が一気に加速を始める。

 まずインパルスの両腕を地面から抜いて、ライフルとシールドを捨て地に手を付き、身体を押し上げる。深く埋まった身体を少しでも早く立ち上げる為にフォースシルエットをパージ。残りカス程度のエネルギーは既に本体のバッテリーに移してある。軽くなった身体を起こし、立ち上がる。エネルギー残量はほんの僅か、武器は勿論の事VPS装甲に回す余裕すら無い。

「なら……エネルギーを使わなきゃいいんだろうが!」

 腰に内蔵された対装甲ナイフ『フォールディングレイザー』を右手で引き抜き、駆ける。

 悔しいが、空を飛ぶフリーダムやもう一機に攻撃する術は今のインパルスにはない。ならば狙うべきは、地上で腕を伸ばしているあのデカブツ……力無き人々を巻き込み、犠牲にする者はフリーダムを含め、全てがシンにとって、憎むべき敵なのだから。

「うおおおおおおおおっ!」

『アアン?』

『ムッ!?』

 C・クラーケンへと、メタリックグレーの装甲を鈍く輝かせながらインパルスが一直線に駆ける。愚かにしか見えないその姿をクラウディウスが嘲笑う。

『ヒャハハハ! おいカリグラ、自殺願望者がそっちに行ったぞ!』

『ふん、馬鹿メが!』

 フリーダムを追い掛けていた腕の一本が目標を変え、インパルスの頭上から迫る。輝きが消え虚ろになったシンの瞳はそれを捉えていない……だが自分でも不可解に思えるほどに広がった知覚の片隅で、迫ってくる腕の存在はしっかりと『感じて』いた。

 アナコンダアームがインパルスを捉えようと爪を広げると同時に、インパルスが跳ぶ。アームは大地に深々と突き刺さり、激しい砂煙を上げる。大地から足を離したインパルスは、慣性に従いながらなお前進する。

『何だト!?』

 無防備のC・クラーケンに、ナイフを逆手に持ち振りかぶるインパルス。狙うは、C・クラーケンの胸に装備された砲口。

「くたばれェェェェェェッッッ!」

 ナイフの切っ先が、砲口へと触れると思われた刹那。

『調子ニ、乗るナァ!』

 眼前に広がった壁にぶつかったナイフが、折れた。淡い光に形作られた魔術の障壁は更に激しく輝き、発生した衝撃波がインパルスを吹き飛ばす。体勢を崩してよろめくインパルス、その足元から何かが飛び出しインパルスの右腕を掴む。

 右腕を掴んだのは、先ほど地面へと潜って行ったC・クラーケンの腕。ディアクティブモードの右腕を容易く握り潰した腕は大地を割きながらその関節を露にし、インパルスを空高く持ち上げて振り回す。四方八方から襲い掛かるG、更にトドメとばかりに地面へと叩きつけられ、インパルスとシンの体は悲鳴を上げる。

『消シ飛べぇェ!』

 C・クラーケンの胸部から激しいビームの光りが放たれる。視界が揺れ意識が朦朧とする中、シンはそれを呆然と見つめていた。

 もはやインパルスに攻撃手段も、エネルギーも無い。そして目の前の攻撃を避ける術も、無い。

(けどこんな所で死ねるか……死んでたまるかよ!)

 頭では現実を淡々と理解しながらも、シンの意思は未だ生への執着を捨ててはいなかった。しかしそれを嘲笑うように、光の奔流は倒れたインパルスへと迫る。

 ビームがインパルスを貫くと誰もが確信した、その瞬間。赤い影がビームとインパルスの間に割って入った。

 それは一機のMSだった。インパルスの前に仁王立ちしたそのMSは盾でビームを受け止める。最新鋭の対ビームコーティングシールドはかなりの損傷を受けながらもビームに耐え、持ち主とインパルスを守り抜く。そして赤いMSの背に搭載された一対のパーツが脇腹部へと展開し、長い砲身を持った火器となる。砲の先端から高出力のプラズマ収束ビーム砲が放たれ、中程に備えられた小型の銃口からビーム砲が連射される。計四門のビーム攻撃を受け、C・クラーケンがほんの少し、僅かによろめく。

『シン、シン! しっかりしろ!』

「……アスラン、さん?」

 インパルスを支える赤いMS、その接触回線から聞こえる声にシンは我を取り戻す。何時の間にか、先ほどまでの思考がクリアになったような感覚は消えていた。

『聞きたい事が山ほどある。コイツラは何者だ? 何故フリーダムがここに居る?

 ……何よりも、カガリはどうなった!?』







「また新型? 何がどうなってるんだ一体!?」

 逃げ遅れた来賓や彼らを守ろうとするオーブ兵達が駆け回りメチャクチャになった結婚式場で、ユウナは五機のMSを見据えていた。

 フリーダムがカガリを攫おうとしたかと思ったらインパルスそれを阻止し、今度は謎のMS二機が現れインパルスを一蹴、そしてその二機が信じられない事にフリーダムを押していた。そしたら今度はインパルスが命知らずにも特攻を仕掛け、見事に玉砕と言うところで新たなMSの登場ときた。

 もはや最悪の斜め上など遥かに通り過ぎた、ユウナの想定外にも程がある事態だった。

「けどアレの登場で、ようやく流れ弾やらなんやらが収まった……カガリ、今のうちに急いで避難を……カガリ?」

 カガリの手を引きシェルターへ向かおうとするユウナだったが、何故かカガリに全く動こうとする気配がない。怪訝に思って振り向いたユウナの目に入ったのは、ガタガタと震えながらMS達を悲嘆の表情で凝視するカガリの姿だった。

「そんな……オーブが、お父様の残してくれた国が……国民達が暮らしていた町が……また……」

 カガリが見ているものは、正確にはMS達の闘いによるオーブの惨状だった。

 空中から放たれるビームに焼かれた建物。うねり狂うアームに穿たれた大地。フリーダムの攻撃も、決して大地を焼かなかったわけではない。

 立ち上る炎と煙。響き渡る阿鼻叫喚の声。見渡せばそこらに逃げ惑い、怪我を負い──事切れている民の姿。



 ──その光景がカガリに、今満身創痍のインパルスに乗っている筈の少年の言葉を思い出させていた。



(俺の家族はあんた等のせいで死んだんだ!アスハの人間のせいで戦争に巻き込まれて、挙句暴れまわってたフリーダムに殺された!)



「~~~ッッッ! キラ、もうやめてくれっ! オーブがっ! オーブの皆がまた!」

「カ、カガリ何をしてるんだ!? 誰か、カガリを止めろ!」

 周囲の人間を押し退け、フリーダムの居る方向へと駆け出そうとするカガリを、ユウナの声を受けたオーブ兵の一人が抑える。

「離せ! 離してくれ! ユウナ、私はアイツらを、キラを止めなきゃ!」

「今の君がどうやって彼を止める!? それに彼一人が戦闘を止めたからって、他の連中も止まらなきゃ何も変わりはしない!」

 彼女の叫びは、ユウナに認められるはずも無い。カガリはもがくが、屈強なオーブ兵の手から逃れる事は

出来ない。

「今はとにかく、君の身の安全の確保が先決だ! 今でさえ訳の分からない事が起こりすぎてる。これ以上もっと酷い事態が起こらないとも限らな──」

「アララ、ザンネンでした♪ 悪いんだけど、もう遅いわ~ん☆」

 場違いに明るい声と、グシャリと何かがひしゃげたような音が響く。ユウナの眼前で、カガリを抑えていたオーブ兵の頭が鈍く輝く鉤爪に潰され血と脳漿を撒き散らした。

 誰かの悲鳴が響く。飛び散った血と肉を顔に受けながら、現実をまだ理解しきれないままカガリはゆっくりと後ろを振り返る。

 そこには道化師のような格好で、ニヤリと笑っている仮面を付けた大男がいた。

「主賓の事を忘れて遊んでるなんて、あの二人もダメダメね~。まあいいわ、おかげでパーティに間に合ったわけだし♪ 会いたかったわよ~ん、カ・ガ・リ・ちゅわ~ん☆」







『カリグラ!? チッ、また新手かよ!』

 突然の登場に不意を疲れたとはいえ、C・クラーケンの攻撃を受け止めただけでなく一矢報いる程の敵の登場に、クラウディウスの意識がフリーダムから一瞬逸れた。

 一瞬とはいえR・ビヤーキーに隙が生まれる。アナコンダアームもカリグラの意識がインパルス達に傾き、その動きが止まっている。

「っ! 動きが止まった……今だ!」

 キラの頭の中でSEEDが弾ける。マルチロックオンシステムを起動、フリーダムの全火器をR・ビヤーキーにロックする。

 大きく翼を広げると共に全ての火器を展開する、ハイマット・フルバーストモード。高機動と高火力を両立した、フリーダムの切り札。

『っ!? チィィィィィ!』

 クラウディウスが気付くが、遅い。一門のライフルとニ門のビーム砲、レールガンが連射され、その全てがR・ビヤーキーに殺到する。銃弾とビームの嵐を、R・ビヤーキーは普通なら機体も人体も耐えられないような、殺人的な機動をもってしてかわし続ける。だが一撃、一条のビームがR・ビヤーキーの腕をかすめ、装甲表面を焼いた。

「かすった!? このまま一気に……!」

『調子にのってんじゃねえぞクソッタレがぁぁぁぁぁ!』

 R・ビヤーキーがフルバーストをかいくぐり大きく上昇、再び戦闘機形態に変形する。機首をフリーダムへと向けたR・ビヤーキーが、その身に瘴気の風を絡ませ始める。

『テメェも跳ね飛ばしてやらぁ!スクリーミング──』

「はーいそ~こま~でで~す! こ~れ見~てく~ださ~い☆」

「『っ!?』」

 突然周囲に響き渡る大音量の声に、フリーダムもR・ビヤーキーも動きを止める。

「こっちよこっち、もっと下! そうそう、こっちでOKよ~ん♪」

「……──ッッッ!?」

 声の出所、地上の結婚式場にフリーダムを向け画面をズームさせたキラの表情から、一気に血の気が引いた。

『あのヤロウ、もう来てやがったのかよ』

 どこか不満そうなクラウディウスの声も、キラには聞こえていなかった。

 キラの視界に映る、おぞましい光景──それは引き裂かれた無数の死体と、その中心に立つ道化師風の男の姿。そして──

「カ、カガリ……」

 金髪とウェディングドレスを赤く染め、グロテスクな触手に絡み取られた、たった一人の姉の姿だった──









オリジナル機体設定3



レイダー・ビヤーキー

クラウディウス主導で開発された、『GAT-X370レイダーガンダム』を素体としたMM。

組み込まれた術式は『セラエノ断章』の鬼械神『ロードビヤーキー』。

この機体は空戦能力に異常なほど特化しており、その為の徹底的な軽量化が図られている。最大限まで

装甲をそぎ落とされた本機に、もはやレイダーの名残はほとんど残っていない。

魔力炉からの高出力、軽いボディと魔導書の記述から構成されたブースターによる機動力、運動性能は

既存のMSを遥かに凌駕するものとなっている。ある程度の真空波や竜巻を操る事も可能で、

攻撃力も決して悪くは無い。



人型形態でも恐るべき速度で飛行できるが、戦闘機形態に変形することで更に加速力を高める事が可能。

その運動エネルギーはとてつもなく、最高速度で敵に特攻する必殺技『スクリーミングバード』は

交差するありとあらゆる物を破壊する。その威力は例えPS装甲を装備した機体相手にも内部機構や

パイロットへ大きなダメージを与え、相手のエネルギー残量によっては一撃でフェイズシフトダウンを

誘発させるほど凄まじい。



弱点は軽量化に由縁する、並のMS以下の装甲の脆さ。防御陣や風の壁も作れるが決して厚い訳ではない。

また推進器を除いて本体にはあまり記述が組み込まれておらず、その為再生能力も低い。

とはいえこれらの欠点は攻撃が当たらない事が前提の機体である故でそこまで問題視はされていない。



全高 16.83m

本体重量 60.93t



武装

スペル・ビームライフル×1







カラミティ・クラーケン

カリグラ主導で開発された、『GAT-X133カラミティガンダム』を素体としたMM。

組み込まれた術式は『水神クタアト』の鬼械神『クラーケン』。

この機体は本来砲戦型の陸戦機であるカラミティを重装甲、パワータイプの水陸両用機に改造するという

思い切ったアレンジが施されている。レイダー・ビヤーキーとは真逆に徹底的に増設され、魔導書の記述を

組み込んだ装甲は実弾、ビーム問わず高い剛性を誇る。更にわずかではあるが再生能力を有し、

強固な防御陣も展開可能なこの機体を破壊するのは困難を極める。



だが何より脅威なのは攻撃力。魔力炉の出力の大半を振り分けたパワーは圧倒的で、

殴りつけるだけでもありとあらゆるモノを砕く威力を誇る。更にその豪腕は魔術による伸縮が

可能であり、距離を取った相手をもその爪で捉えることが可能。

また『水神クタアト』の力でその場で水や氷の塊を精製し、相手に叩きつける等も出来る。

必殺技と呼べるものは存在しないが、攻撃の多くが文字通り一撃必達の威力を持つため決して

侮れる相手ではない。



弱点はそのパワーと防御力に反して、歩行や動作速度が極端に遅い事。一応背面や脚部に装備された

スラスターによりホバー移動程度は可能だが、やはり遅い。故に長距離移動は輸送機や

レイダー・ビヤーキーにサポートしてもらうのが常である。

ただ例外として、水陸両用機である本機は水中では普段とは逆にかなり滑らかな動きが可能となる。

普通に考えれば、水圧に対する剛性は十分とはいえ重量的にも形状的にもそこまで水中戦には適さないのが

道理なのだが、水を操る『水神クタアト』の恩恵によりほとんどゴリ押しの形で水中での

高い能力を獲得している。



全高 22.98m

本体重量 160.65t



武装

有線アーム「アナコンダアーム」×2

580mm高効率複列位相エネルギー砲「スキュラ改」×1







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