FateDestiny_第03話

Last-modified: 2007-11-18 (日) 15:54:10

脳裏を駆ける直感的な鋭い感覚。
「何だ?」
レイは不振に思いながら、シンのあとを追った。

頭上、横、背後からのビーム攻撃。
「なっ!?一体どこから?」
シンはインパルスの動きをとめないように注意しながら宙域を滑る。
「さぁて、その機体も頂こうか!」
ネオは口元を歪にゆがめ、突撃ビーム砲四機をインパルスに目がけ、再び射出する。
直線的ながらも、ランダムに動くその四機の砲塔はインパルスを全包囲、360度で狙い撃つ。
次々と放たれる砲火をインパルスは盾を使い防ぎ、何とか避けた。
グルグルと回るメインカメラのモニター映像。
とはいっても、あたり1面似たような風景が続くので不快な思いはしないが…。
額に汗が滲むシン。
右から放たれるビームをかわすと、直後頭上、そして、下、そして左。
一発でもあたり、動きを止めれば、撃墜は必死だろう。
めまぐるしく動く発射体の動きについていけず、避け、防ぐのだけで精一杯だ。
『『シン!!』』
フェイトとレイが援護に駆け付ける。
スラスター全開でバルディッシュとザクが割って入った。
そしてネオの脳裏にもレイと同様の感覚が駆けた。
全包囲から放たれるビームの嵐を巧みに避け、かわしバルディッシュとザクが位置を入れ換える。
ザクを狙うビーム砲塔をバルディッシュが間合いの長い鎌で破壊。
そして、バルディッシュを狙うビーム砲塔をザクのビームが撃破する。
『何をやっている!シン』
『ぼうっとしてたら、落とされるだけだよ!』

「こりゃ、さすがの俺も一人で三機を相手にするのはしんどいかな…。」
エグザスのコクピット内でそんなことを呟くネオ。
サブモニターにうつるナノハの姿。
『ネオ…、撃つよ?』

戦闘区域よりも少し離れた宙域にエクシードはいた。
「エクセリオンバスター・フォースバースト」
ナノハが呟くとマルチロックオンシステムが機動。
レーダーにうつるインパルス、ザク、バルディッシュの三機を表す機影を赤い枠が囲んでいく。
「ロックオンされた?」
フェイトが声をあげた。
『ロックオンって一体どこから?』
ビームを防ぎつつシンから通信が入る。
『動きを止めるな!ぼうっとしていたら、ただの的だぞ。』

二丁のライフル、ディバインバスター、背部の両翼のバインダーから姿を見せる二つの砲口、ディバインバスターEX。
そして腹装砲、エクセリオンバスターから膨大な光が溢れだした。

「機密正常、FCSコンタクト、ミネルバ、全ステーション異常なし。」
アーサーはミネルバのシステム起動が正常に進んでいることを確認していく。
「索敵急いで。インパルス、ザク、バルディッシュの位置は?」
進水式がまだにも関わらず急遽発進することになっミネルバ。
「インディゴ53、マーク22、ブラボーに不明艦1。距離、百五十!」

「それが母艦か…」
デュランダルが言う。
「熱紋をデータベースに登録、以後、対象をボギーワンとする。」
タリアにより、指示が出され、そして
「同、157、マーク80、αにインパルス、ザク、バルディッシュ。
交戦中の模様。」
三機の位置を特定したメイリンがタリアに報告する。
「呼び出せる?」
「駄目です!電波障害激しく、通信不能。」
「敵の数は?」
「二機です。モビルアーマー、モビルスーツ一機ずつです。」

五の奔流が通り抜け三機を散々にする。
「なっ…」
回避するシン。
その奔流の歩飛ばしる勢いと太さが、破壊力を物語る。
「もう一機!?」
フェイトはバルディッシュに近付いてくる敵影を目視。赤い十の翼。
左右の手に持つ、ライフルの砲口が向けられ、交互に放たれる桜色の奔流がバルディッシュのビームシールドに突き刺さり、霧散。
そして、動きを一瞬止めたバルディッシュに容赦なく降り注ぐエグザスの突撃ビーム砲。
「フェイト!」
インパルスはスラスターを全開でアンノウンモビルスーツへと向かう。
メインモニターを横切る発射体。
「ぐっ!!」
フットレバーを緩急つけて踏み込み、ハンドレバーを操る。
インパルスを減速させ、盾を構え、左右に移動させながら、突撃ビーム砲の狙いを散らし、正面はシールドでガードする。

突撃ビーム砲によるビーム砲の嵐を上昇降下、左右後退、サイドローリングしながらかわす、レイの操るザク。
一旦呼吸を置き、エグザスの本体を狙い撃つザクのビーム。
「ちぃっ…。」
ネオは舌打ちをし、ビームスパイクを射出した。ザクは上昇してかわす。

「はぁっ!!!」
ビーム刃を持つ鎌で横一閃。しかし、エクシードは後退し、かわしながらビームを連射する。
見たところ、近接戦闘用の武器がない。
「シン!!」
フェイトはインパルスへの通信回線を開いた。

「ボギーワンを撃つ!」
タリアは決意し、指示を出す。
「ブリッジ遮蔽、進路、インディゴδ、信号弾、及びアンチビーム爆雷発射用意!
アーサー!」
「了解、ランチャーエイト、一番から四番、ライトハルド装填。
トリスタン、一番二番、イゾルデ起動。照準、ボギーワン!!」
アーサーの声と共にミネルバの武装が次々と起動させられていく。
「彼等を助けるのが先じゃないのか?艦長…。」
デュランダルは怪訝そうな顔で、タリアに聞いた。交戦中のザクを除いたインパルスとバルディッシュの二機は、エネルギーが危険域と聞いたからだ。
戦闘中のモニターを見ても、三機の分が悪く見える。
「そうですよ、だから母艦を撃つんです。
敵を引き離すのが一番手っ取り早いですから…。この場合は…。」

「艦…?」
ネオは呟きながらモニターでミネルバの姿を確認。
「欲張り過ぎは元もこもなくすか…ナノハ!!」
ネオが呼ぶと、通信モニターにナノハの姿が移る。
「そいつらを振り切れるか?」
『…うん…。大丈夫だよ…。振り切れば、いいんだよね?…』
「そうだ…。」
ナノハは頷き、モニターの画面が消える。
ネオはザクを突撃ビーム砲で牽制すると戦線を離脱した。

一方、二方向に大型のビームを放つエクシード。
そしてその方向から向かってくるインパルスとバルディッシュ。
そのビームを紙一重の距離でかわし、エクシードに斬撃を見舞う二機。
エクシードはそれらを宙返りしてかわし、背部両翼のバインダーに収納されているディバインバスターEXを展開。
放たれる大型のビームをなんとか回避するインパルスとバルディッシュ。
そしてその間に背部の翼、フライヤーフィンをスライドさせ展開、エグザスの後を追っていった。
「くそっ!逃がすか!!」
シンが追撃しようとするが、ミネルバから信号弾が放たれ、帰艦命令が出る。
「ミネルバ…、帰艦信号!?何で!」
「そろそろ、インパルスもバルディッシュもパワーがきついからね…。」
ヘルメットを外し、額の汗を拭うフェイト。
「何より、命令だ…。戻るぞ!」
三機はミネルバへと向かった。

追撃を受けるボギーワンこと、JPジョーンズ。
ライトハルド、トリスタン、次々放たれる砲火が次々とJPジョーンズを襲う。
そんな悪条件の中、エグザス、エクシードは帰還し、ネオは指示を出すため、直ぐ様ブリッジへ上がっていった。

「インパルス、ザク、バルディッシュは?」
慌ただしいミネルバのブリッジ。
「帰投、収容中です。」
「急がせて!このままボギーワンを追う。」
タリアはメイリンにそう言いつけた。

「大佐!」
JPジョーンズブリッジに入ってきたネオに艦長が声をかける。
「悪い、少し遊び過ぎたか…。」
「かなり足の早い艦のようです。厄介ですぞ。」
次々放たれるミサイルの迎撃の指示を出す。戦艦の付近で爆発、衝撃で船体が大きく揺れた。
「両弦の推進材予備タンクを分離後爆破!アームごとでいい、鼻っ面に食らわしてやれ!!」
指示を出すネオ。
「同時に、上げ舵35!取舵10、機関最大!!」
ネオの指示でトリスタンをかわし、本格的な逃走を開始した。

帰還したレイは状況を知るため、すぐにコクピット内から飛び出して行く。
シンもそれは同様だが、ヴィーノとヨウランのかける声にも反応せず、行ってしまった。
シンの様子に異変を察知するヴィーノとヨウラン。
「何だ、あいつ…。大丈夫か?」
ヨウランとヴィーノは顔を見合わせ、バルディッシュへと向かう。
こちらは割りとゆっくりだ。
「フェイト、大丈夫か?」
シンにかけた言葉と同じ言葉をフェイトにかけるヴィーノ。
「うん…、大丈夫だよ…。ちょっと疲れてたけど…。ごめんね、逃がしちゃった…。」
「何でもいいよ、無事に帰ってきたんだからさ…、お疲れ、フェイト。」
「うん…。」
フェイトは困ったような笑みを浮かべ、頷いてから、コクピットを出ていく。
長い金髪ふわつかせながら、フェイトは出口へと向かった。

推進材予備タンクの爆破の間に何とか逃げ切ったJPジョーンズ。
「やってくれるわ…。こんな手で逃げようだなんて…。」
呆れと賞賛の意味を込め言うタリア。
「大分手強い部隊のようだな…。」
デュランダルは難しい顔をする。
「ならば尚のこと、このまま彼らを逃がすわけにはいきません。そんな連中にあの機体が渡れば…。」
その先は言わずともデュランダルにも知れた。
「今からでは下船していただくことも出来ませんが…。
私は、本艦はこのままあれを追うべきと思います。
議長のご判断は?」
「いや、私のことは気にしないでくれたまえ、艦長。
私だってこの火種、放置すればどれだけの対価になって返ってくるか…考えるのは怖い。
あの三機の奪還、もしくは破壊は、現時点での最優先責務だよ。」
「ありがとうございます。」
タリアはデュランダルの気遣いに感謝し、クルーに追跡の指示をだした。

フェイトの指示でミネルバへと避難していたカガリとその随員のアレックスはルナマリアの案内でデュランダルに謁見を希望し、士官室に案内されているところだった。
『全官に通達する。
本艦はこれより、さらなるボキーワンの追撃を開始する。
突然の状況から思わぬ初陣となったが、これは非常に重大な任務である。
各員、日頃の訓練成果を存分に発揮できるよう務めよ!』
「何だと!?」
アレックスが驚愕の声をあげる。
避難しに来たつもりが、余計に危険な場所に来てしまったようだ。

ブリッジの遮蔽を解除、警戒レベルを緩める。
「議長も少し、艦長室でお休みください。
ミネルバもかなりの足自慢ではありますが、敵もかなりの高速艦です。すぐにどう、と言うことはないでしょう。」
そこへ、いいタイミングでレイがブリッジへとやってくる。
「丁度よかったわ。レイ、議長をご案内して。」
タリアに命じられ、レイが案内しろと頼まれた人物を見やると、目を見開き、驚く。
「議長!?」
デュランダルはレイに微笑みかけると座席から腰をあげ、立ち上がった。
「ご案内します。議長、こちらへ…。」
レイがこちらへ来るよう促し、デュランダルが向かおうとした時、ルナマリアからの通信が入った。

JPジョーンズ。
光が明滅を繰り返す三つのカプセルの中にアウル、スティング、ステラ、ナノハの4人が眠っていた。
端末から伸びた配線が4つのカプセルに接続され、モニターには四人の脳波や、バイタルコンディションが示されている。
それをしばらくジッと見つめていたネオは、部屋から出て、ブリッジへと戻る。
「どうやら成功…というところですかな?」
とリー。
「ポイントBまでの時間は?」
質問には答えず、ネオが逆に尋ねた。
「あと二時間ほどですが…、大佐はまだ追撃があるとお考えで?」
一時の間を置いてから答えるネオ。
「わからんね…。わからんから、そう考えて予定通りの進路を取る。
予測は常に悪い方にしておくものだろう?特に戦場では…。」
ふむ、と納得するリー、それからまた質問をする。
今度はカプセルで眠る四人のことだ。
「彼らの最適化は?」
「大胸、問題は無いようだ。みんな気持ち良さげに眠っているよ。
ただ、アウルがステラにブロックワードを使ってしまったようでね…。
それがちょっと厄介と言うことだが…。」
「エクシードのパイロットは?何やらラボでは手を焼いていたそうですが…。」
「ふむ、ナノハは今のところ、問題は無いとのことだ。ステラたちとは違って、急ピッチで造られたわりに、最適化しやすいそうだ…。
まぁ、それがナノハにどう影響するかはわからんがね。」
は溜め息を着くリー。
「何かある度、揺り篭に戻さなければならないパイロットなど、ラボは本気で使えると思ってるんでしょうかね?」
「それでも、前のよりは大分ましだろ?
こっちの言うことや仕事をちゃんと理解してやれる分だけ…。」
ネオはどこか調子を落とした声で言った。

「本当にお詫びの言葉もない…、姫までこの様な事態に巻き込んでしまうとは…。」
ミネルバ士官室。
座席に座るデュランダルと頭に包帯を巻いたカガリが対面して座り、そして、その両名のわきに控え立つミネルバ艦長、タリア・グラディスと、カガリの随員、アレックス・ディノ。
「ですがどうか、ご理解いただきたい。」
「あの部隊については、まだ全く何も分かってはいないのか?」
カガリは咎めるような目付きでデュランダルを睨む。
「えぇ…、まぁ…そうですね…。艦にも何かを示すようなはっきりとしたものはなにも」
デュランダル自分の後ろに控えているタリアに確認をとる。
「しかし、だからこそ私は、一刻も早く、この事態を収拾しなくてはならないのです。
取り返しのつかないことになる前に…。」
「あぁ…分かってる。それは当然だ…議長。
今は何であれ、世界を刺激するような事があってはならないんだ…絶対に!」
いくら停戦中とは言え、未だ前大戦の爪痕は残っており、今の平和な状態は、些細な刺激で崩れてしまうほどに脆弱なものなのだ。
「ありがとうございます。姫ならばそうおっしゃってくださると…信じておりました。」
デュランダルは何故かその視線をカガリにではなく、随員のアレックスへと移す。
「ッ?」
それから席を立つデュランダル。
「よろしければ、まだ時間のあるうちに艦内をご覧になってください。
一時的にとは言え、いわば命をお預け頂くことになるのです。
それが盟友としての我が国の相応の誠意かと…」
デュランダルの気遣いに、正直、あまりいい気分がしないカガリとアレックスだった。

モビルスーツ格納庫。
「オーブのアスハ?」
シンが声をあげた。
「うん、私もびっくり…まさかこんなところで、前大戦の英雄に会うとはね。」
陽気に話すルナマリアと違い、浮かない表情のシン。
「そう言えば、あのザク誰が乗ってたんだろ?
戦闘中だったし、損傷はしてたけど、動ける様だったからミネルバに向かうよう指示したんだけど…。」
フェイトが手に持っている端末を操作しつつ、何気なく話題を反らした。

「何だ、フェイト、あんたが指示したの?
それならそうと連絡入れてくれればって…。
まぁ、まさかオーブの代表が乗ってるとは思わないわよね。」
「ごめんね…ルナ。」
笑いながら謝るフェイト。
「じゃあ、操縦してたのはアスハ?」
「うぅん、多分、護衛の人だと思うわよ。」
シンの問掛けにルナマリアはそう答え、さらに続ける。
「アレックスって言ってたけど…」
シンとフェイトの顔を覗き込むルナマリア。
「実はアスランかも…。」
その名前を聞き、シンもフェイトも驚いた。
アカデミーでも有名な名前でシンもフェイトも何度か耳にしたことがある名前だ。
「代表がとっさに護衛の人をそう呼んだのよ、アスランって」
興奮しながらルナマリアが言う。まぁ、無理もない、前大戦ヤキン・ドゥーエにて停戦に導いた、三国同盟、プラント出身の英雄の一人なのだ。
フェイトも会ってみたいと思っていたりする。
「アスラン・ザラ、今はオーブにいるらしいって噂でしょ?」
とそこへ、議長の声が聞こえてきたので、会話を切り上げMSの調整に戻る。

「ZGMF-1000ザクはもうすでにご存じでしょう?
現在のザフト軍主力の機体です。」
流暢に話すデュランダル。
「そして、このミネルバ最大の特徴とも言える…この発進システムを利用したインパルス、工場でご覧になったそうですね?」
そうカガリに尋ねるがしかし、彼女はデュランダルを睨むばかりで何も答えなかった。
代わりにアレックスが頷く。
「技術者に言わせると、これは全く新しい、効率の良いシステムだそうですよ。
もっとも、私にはあまり、詳しいことは分かりませんが…。」
口元に笑みを浮かべ、愉快そうに話すデュランダルとは別に、不快感を隠せないカガリ。
自然と握る拳に力が入った。

「しかし…やはり姫にはお気に召しませんか?」
そう尋ねるデュランダルに
「議長は嬉しそうだな。」
皮肉るカガリ。
「嬉しい…というわけではありませんがね…。
あの混乱の中から懸命に頑張り、ようやくここまでの力を持つことが出来たと言うことは…やはり…。」
「力か…。」
うんざりしたようにカガリは言葉を吐き捨てる。
「争いがなくならぬから力が必要だと言ったな…議長は…。」
途端に今までの表情を真剣なものにするデュランダルと、その隣に控えているレイ。
「えぇ…。」
デュランダルは肯定する。
「だが…ではこの度のことはどうお考えになる!
あのたった三機の新型モビルスーツのために、貴国が被ったあの被害のことは!」
周囲の整備班、そして、フェイト、ルナマリア、シンたちの視線が一斉にアレックス、カガリ、デュランダル、レイに集中する。
場所を考えず、声を張り上げるカガリをアレックスがなだめるが、聞く耳をもたない。
「だから…力など持つべきではないと?」
「そもそも何で、そんなものが必要なのだ!!今更!」
格納庫に響きわたる声。さらに注目を集める。
ようやく停戦にこぎつけ、安定を取り戻そうとしている世界に何故、力が必要なのか。
熱弁を振るうカガリ。
そして、その熱弁は全くの綺麗事ばかり、一人の少年のこらえていた感情が爆発した。
「さすが綺麗事は、アスハのお家芸だなぁ!!」
怒声というには過言だが、嫌味と言うには少し足らない声。
そしてその少年、シン・アスカへと周囲の視線が一瞬にして移動。
カガリに向けられる憎悪に満ちた赤い瞳。
デュランダルのそばに控えていたレイが彼に向かって足場を飛びこえていく。
警報がなり響く艦内。
恐らく、ミネルバがボキーワンを補足したのだろう。
整備班、技術班、そしてパイロットたちは出撃準備のため、慌ただしく準備をし始めた。
「シン!!お前!」
シンは胸ぐらを掴むレイの手を乱暴にふりほどき、パイロットスーツに着替えるため、更衣室へと向かった。
「申し訳ありません、議長!この処分は後程必ず!!」
レイは敬礼したのち謝罪すると、シンのあとを追って行った。
そしてその様子を呆然と見送るカガリ。
「本当にすみません、姫。彼はオーブからの移住者なので、よもやあんなことを言うとは思いもしなかったのですが…。」
デュランダルの言葉に、困惑の表情を隠せないカガリだった。